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脚本

エヴァの脚本決定稿を読んで分かるフィルムとの違い等(第四話)

EVANGELION ORIGINAL〈1〉より https://www.amazon.co.jp/EVANGELION-ORIGINAL%E3%80%881%E3%80%89-%E5%BA%B5%E9%87%8E-%E7%A7%80%E6%98%8E/dp/4829173211

・この話はシリーズ構成では一度欠番とされた話。もともと第伍話が第四話だったが、「シンジと周辺の人間の関係を描くドラマがやはり必要なのでは」という考えから内容を大幅に変えて作られた話。
なので制作順だと第四話は第伍話の決定稿が完成したあとに作られている。 【2】

・全話の中で庵野さんがプロット・脚本に直接手を入れていない唯一のエピソード 【2】

・最初に前話の戦闘シーンの回想があった【3】

・最初と最後にミサトさんのナレーションがあった。DEATH編の3話・4話に相当するパートにミサトさんのナレーションがあるのはそのため(内容は一字一句同じというわけではない) 【3】

DEATH編でミサトのナレーションがあるのはこの名残 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・フィルムにはないシーンアリ 以下の通り

・ミサト「ねえ、あの時どうして私の命令を無視したの?」 シンジ「あの時って…?」 ミサト「あの二人を操縦席の中に収容しなさいって言った時よ」 
シンジ「リツコさんが・・・言ったから」 
ミサト「あなたの作戦責任者はこの私でしょ。リツコがどう言おうと、私の命令が優先されること、忘れたわけじゃないでしょ。どうゆうつもりだったの?学校であの二人と何かあったの?」 
シンジ「別に…なにも…」 ミサト「別に何も?」 シンジ「勝ったからいいじゃないですか。そんなことどうでも」 

ミサト、シンジの胸ぐらをつかむ→「あんた、もういっぺん言ってごらんなさいよ。」 
顔を腕で覆うシンジ。そのおびえた目 →手を放すミサト。床に崩れるシンジ。→シンジ「もうエヴァなんて・・・乗りたくないよ・・・」 ミサト、うなだれるシンジを見下ろしている  
※シンジの言う「リツコさんが言ったから」というのは3話決定稿時にあったがフィルムでは没になった台詞の「その子たちを助けたければ相手を倒すことだけを考えなさい」というセリフのこと。 
つまり最初は錯乱したシンジが突撃したわけではなくリツコのセリフを受けてああいう行動を取ったという流れだった 【4】

この回はフィルムにはないシーンが多い 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・ミサトのナレーション「暦の上では夏なのに、まだ肌寒い日が続く」とある。「この時点では年中夏という設定はなかったようだ」との筆者のコメントあり 【5】

・ミサト「パイロットのあなたがそんなことでどうするの?」の後に「ちょっとシンジ!いいかげんにしてよね!」というセリフアリ(フィルムではシンジのことを呼び捨てにすることは一度もなかった) 【6】

・この段階のサブタイは「さまよえるサード・チルドレン」 【6】

・ドアを蹴るミサトの「シンジのバァカ!」なし。フィルムよりも大人っぽく描かれてるミサト 【8】

・フィルムにはないシーンアリ 以下の通り

・ミサト「学校で何かあった?」 トウジ&ケンスケ「何もありません」 →帰った後に ケンスケ「何がなにもありませんだよ。二発も殴ったくせに」 
トウジ「ああいう綺麗な人に聞かれたらああ答える他あらへん」 というくだりあり 【8】

・この会話の後にシンジが映画館にいるカットが入る(フィルムよりも早い) 【9】

・シンジ「帰らなくちゃ・・・学校行かなくちゃ・・・」というセリフアリ 【10】

・突然一匹のセミが鳴きだす その場にいた老夫婦「15年ぶりにこの街にもセミが帰ってきた」という会話を始める。 
(この時はエヴァの世界は年中夏だという設定がないのが分かる典型的なシーン) 【11】

常夏である本編とは真逆である 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・セミの声に耳をふさいで走り出すシンジのカットはそのまま 【11】

・シンジが放浪中に海を見るカットがあったが、第三新東京市に海はないためカットされた 【14】

・「セカンドインパクトは隕石の落下ではなく我々がパンドラの箱を開けてしまったからよ」というリツコ。 
「サードインパクトは人類の破滅を意味しているから我々は同じ過ちを二度と繰り返してはならない」と言っているミサトの会話があった 【14】

フィルムよりもミサトがセカンドインパクトのことについて詳しそう 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・まさかの「ヤマアラシのジレンマ」の話なし。当然、ミサトが「シンジのあの態度はヤマアラシのジレンマなんだ」と気づく描写も無し。

・また、リツコがシンジのことをミサトに聞き「戻らないかもしれない。その方が彼にとっては幸福なのかもしれない」というくだりはなし 【15】

・ケンスケのミリタリーごっこはこの段階ではもっと長かった。 ケンスケの芝居の手間を考え多少カットされたと書かれている 【16】

・シンジ「こんなことしてるとお母さんに怒られない?」 ケンスケ「その「お母さん」ってのがいないんだよね俺。碇と一緒だよ。」というくだりはあり 【19】

・この段階では「マタンキ」ではなく「キンタマ」 【21】

・その後「俺、まだ作戦展開中だから戻るわ」と言って教室から出ていくケンスケ 【22】

・フィルムにはないシーンアリ。 内容は以下の通り

・ミサト「エヴァのスタンバイできてるけど乗る?」→黙るシンジ→ミサト「乗らないの?」→頷くシンジ→ミサト「どうして?」 
シンジ「僕は・・・エヴァの操縦には・・・向いてないからです・・・僕には・・・そうゆう能力は・・・ありません」 
ミサト「エヴァに乗るのがイヤなのね」 シンジ「はい・・・」 ミサト「もうエヴァに乗る気はないのね?」 シンジ「はい・・・」 
ミサト「それならそれでいいわ。無理に引き止めたりはしないから」 ミサト「あなたは前に暮らしていたところへ帰りなさい。以前の生活に戻るの。エヴァのことや私たちのことは何もかも忘れて」 
シンジ「--」 ミサト「ただ、あなたにはいつも監視の目が光っているはずよ。そのことを忘れないでね」 
シンジ「ごめんなさい・・・ミサトさん」 ミサト「謝る必要はないわ。こちらこそ今まで無理言って悪かったわ。許して。」 という会話になっている。   
会話の内容が違う。ミサトがキレたりしない 【24】
(「ヤマアラシのジレンマ」がないため、ここの会話はフィルムのスネたような態度ではなく、もっと悲しい感じになっている)

この回の脚本を書いた薩川さんは「ミサトは軍人然とした態度が素なのだと最初思っていた」とのこと 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

※ここ含めこの段階でのミサトはフィルムよりも大人っぽい。理由は脚本の薩川昭夫さんが「ミサトという人間は実はガキみたいな人間だということを知らなかったから」(このことについては別の記事で書きます)

・リツコが「あなたのお父さんが、こう伝えてくれって。--達者で暮らせ」 シンジ「それだけですか・・・・・・」 リツコ「そう。それだけよ」というくだりがあった 【25】

・シンジが最後に「ミサトに別れを言いたい」とリツコに言うがもうあなたはネルフの人間じゃないからという理由で教えられないというリツコ。(「いじわるで言ってるわけじゃなくて規則だから」とも一緒に言っている) というやりとりがあった。(このやりとりはフィルムでも車の中のシンジと諜報部の男で交わしてる) 【26】

・「殴れ」というトウジ。ケンスケの「昔の青春ドラマの再放送を見ているようで気恥ずかしいけど、それで丸く収まるんなら殴ったら?」というセリフあり 【28】

・殴った後、保安部の男が苦笑しているのはこの段階でもアリ 【28】

・フィルムのように、シンジが一度戻ってきて「殴られなきゃいけないのは僕だ!」というやりとりとは違う。 

内容は以下のとおり

(シンジ、目がじっとにじむ)

シンジ「もう一度殴られなきゃいけないのは僕だ。あの時、僕は鈴原と相田をエヴァの中に入れようとするのをためらった・・・二人を見殺しにしようとした・・・」 
シンジ「(涙があふれてくる)僕は卑怯で・・・臆病で・・・優柔不断で・・・弱虫で・・・ずるくて・・・心が冷たくて・・・怠け者で・・・バカで・・・ケチで・・・いつも一人ぼっちのくせに、一人じゃ何もできなくて・・・最低な奴で・・・」 
トウジ「おい、碇」 シンジ「僕にはエヴァに乗る資格なんてありゃしない・・・。最初にエヴァに乗ったのも、この街を救おうとか、人類のために戦おうとか、そんなカッコいい理由じゃなくてーー」 
トウジ「碇、もう何も言うな」→シンジ、その時に涙がこぼれる。  

フィルムではなかったシンジの「鈴原、相田」呼び、後半に出てくるシンジの「自分はエヴァに乗る資格がない」という考え方がこの段階でもうあるのは興味深い(しかも庵野さんの脚本ではない)【29】

フィルムとは違うやりとり 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・シンジが連れられていったときにマジな顔をして敬礼をしているケンスケ 【30】

・この段階ではここで長い回想があった(ミサトさんと初めて出会ってから~一緒に暮らすあたりまでの回想) 最後にミサトの「がんばってね」で〆(この4話の脚本が描かれた段階では2話のコンテは書かれているようだ(「シンジを道具としてみていたミサトのモノローグやシンジの「逃げちゃダメだ」「がんばってね」があるため) 【35】

・「ただいま」 「おかえりなさい」なし 【36】

・フィルムだとミサトとシンジ二人の空間だが脚本だとシンジはミサトとトウジとケネスケに気づく。黙り合う3人 【36】

・この段階だとどうやら長時間シンジとミサトが見つめ合う演出は考えられていない(記述がないため) 【36】

超名シーンである長時間見つめ合うシーンや「ただいま」「おかえりなさい」はこの段階ではない 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・フィルムではここまでだが、この段階では数日後の描写があった。内容は以下の通り

~数日後~ 

シンジ「ミサトさん朝だよ。」 ミサト「うん・・・今日木曜だっけ」 シンジ「燃えるゴミなら出しておきましたから」 ミサト「そう・・・」 
→シンジがドアを開けるとトウジとケンスケがいる→仲良く登校する3人【37】

これはこれで見たかった 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・ミサトのナレーション「サードチルドレンは1週間ほど休ませて復帰させた」というナレ。DEATH編のナレはここに流用されている 【37】

DEATH編のミサトのナレーションとほぼ同じ内容 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

・シンジの部屋が中学生らしい生活感のある部屋になっているのが映る 【38】

・初号機の訓練で「Zサイクル・レーザー砲の試射」をする(どんな兵器だ) 【38】

・ノートを閉じるミサト 再び操縦席についているシンジ。ミサト「西暦2015年7月末日これを記す」というナレで終わり。   この段階では4話は7月末日という設定だった 【39】

この終わり方も良いと思う(見たかった) 
引用:EVANGELION ORIGINAL〈1〉富士見書房

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