カテゴリー
その他書籍

庵野秀明直撃インタビュー ナディアのこととかいろいろ(スペルマぬるぬる副艦長)

ナディアのエロ同人誌の中に入っている希有馬さん(イラストレーター・漫画家)から庵野監督へのインタビュー。インタビュー日時1998年7月10日。(カレカノの作業で忙しい時)

七月十日、三鷹・ガイナックス。 

「彼氏彼女の事情」の作業で忙しい庵野秀明を訪ねて、 

二人の無謀者が訪れていた。 

「不思議の海のナディア」に関して、 

今の庵野秀明から何かを引き出せるのだろうか? 

希有馬:どうも、お忙しいところを。 

庵野:あんま時間取れそうにないすけど。 

希有馬:いや、別に全然構いません。 30分でも・・・ ・・・ええと、ずいぶんすっきりされましたね。

庵野:ああ、夏は鬱陶しいすからね。 

希有馬:なんか・・・・・あ、ええと、これ、みやげ物なんで。 

有馬:全然たいしたことない、そこら辺で買ってきたモノなんで。 

庵野:ああ、すいません。 

希有馬:······ 

希有馬:今やっぱ、カレカノで忙しいんですか?

庵野:ああ、忙しいっすね。 

どうしたの?(笑)

希有馬:いや、なんか……目の前にあると、なるほど進んでるんだなあ、と…… 

庵野 :んーま普通の、テレビシリーズくらい のスピードッスよ。 

希有馬:あ、そんなもんなんすか。意外と······時間 かけないって言うか・・・・・あの、庵野さん自身が前イ ンタビューで、もうアニメやらないよ、みたいなコト言ったときに・・・・・・ 

庵野:どっかで言ってましたっけ

有馬:なんか••••••システムが見えるんでイヤだって話を…… 

庵野 ああ、はい。 

希有馬 で、やるからにはなんか、勝算があってや るのかなあ、と、なんか・・・そう言うこと考えてたんすけど。 

庵野:まあ、勝算は別んトコにあるンすよ。勝算って言うか、やる・・・・・・なんかなあ、理由じゃ無いなあ、目的? みたいなものは・・・ 

希有馬別のところにあるって言いますと

庵野 ん!…………ひみつ(笑)

希有馬:(笑) 判りました(笑) 

庵野 なんかなー若いのに好きにやらしたいんすよ。エヴァって押しつけて作ってたから、 ま今回は、こういう原作だし、気楽にやれるし。

希有馬:じゃ、今回はあんまり口を出さないと? 

庵野 んーまあ、そうッスね。若いのが好きにやれればなあ、と。 

有馬:若いのって言いますと······ええと・・・・・・

庵野ああ、原画やりたい人は原画やればいいし、 これで作監やってみたい人は作監やればいいし、演 出やってみたいってのがいれば、じゃあ演出やってみたらって。 

希有馬:あー、なるほどなるほど••••••そいつはすげえや(笑) 

庵野 エヴァはもう、 コンテやれる人間ですら、 絞っちゃいましたからね。三人しか残んなかった。

有馬:あー······なるほど······で、今回は自由にや ってみようと。 

庵野 ま、できるだけ。時間のない中でまあ、 時間かけてちゃんと作るのは当たり前なんすよ。 

有馬:当たり前すか。 

庵野そら当たり前でしょう(笑) まあ時間の無 いところでどこまでできるかってコトですよ。2 年かければ、なんかなあ・・・・・・それなりのものはできるし。 2年あれば・・・・・・ 

希有馬:はあ・・・・・・ 

庵野:まあ、スタッフにそれなりの人がいればで すけど。 

希有馬:で、今回は、あのもう今更聞いてもしゃあないのかもしれないんですけど、庵野さんに、 ナディアの話を聞きに来ようかなあと、思って…… 来たんですけど・・・・・・まあ、もう完全に忘れてるでしょうってコトは、こないだ会場で聞きましたんで、 どうしようかなあと本当に思ったんですけどね・・・・・・

庵野:まあ結構忘れてますね・・・・・・ 

有馬:実は今日の朝観てきたんですよ。

庵野: ? 

有馬:ナディアを。 

庵野:ああ。 

希有馬:久しぶりに、半年ぶりくらいに。で、あの ですね、あのハマハマがどうこうって言うとこ ろから、ラストまで一気に、やっぱ観ちゃうん ですよねえ。 

庵野:はあ

希有馬;で、観るとですねえ…とてつもなく実は面白くて、こんなの失敗作だって言ったヤツは誰だ? 俺かあっ!? っていう……(笑) そこでちょっとだけ反省してみたりなんかして。やっぱ面白いですよ(笑) で、あのう······あの同人誌自体が、 なんかしょうがないから出したみたいなところがあったんですけど、やっぱいるんですよね、ナディア 好きって言うのが。 

庵野:ん……そうっすね…… 

希有馬:で、だから…… エヴァがあったからナディアっていうんじゃなくて、ホントにナディアが好き で、未だにナディアが好きって言う人たちがいて、 結構若い奴らにもいるんですけど、手紙が来て、その文面から「俺はナディアが好きやあ!」てのが溢れて来るんですよね。で、なんであんたそんなに好きやねん(笑)ていうアレなんですけどね(笑) あのう、そういうトコで、なんであんなにその、好きなヒトがいるんでしょうねえ、って言うのを、庵 野さんに聞いてもしょうがないんですけどね。 庵野さん自体はどう思いますか? その、未だに・・・・・・ 「ナディア!」っていうヤツがいるってのを。

庵野 んー…や、それは人の好きずきだから、言えたコトじゃないですけどねえ······

希有馬:ひひ(笑) 

庵野:それはそれありがたい話だと思いますけ ど。 

希有馬:ええと・・・・・・じゃあ、庵野さんは冷静に、ナディアの一体どこが受けたのかって分析できるんで すか? 

庵野:受ける……受けるねえ・・・・・・ 

希有馬:ていうか、つまりあの頃もう業界ナディア一色に染まってたじゃないですか。 で、すごいじゃあ良くできた作品かって言うと、穴は、まあ、そのう作った人目の前にしてアレなんですけど、 結構開いてるんですよね。かばかばどうしてこうなってるんだろうとか、構造上の穴もあるし演出上 の穴もあるし、またあのう、発注の、アレもあるで しょう? あの海外発注の画質の荒さとか。で、 それでも・・・・・・そんなもんさておいて、やっぱその、 全員が盛り上がったワケじゃないですか。で、ホン トは一番聞きたかったのはそれなんですけど・・・・・・ど うやって、そんなことができるのかっていう魔法をかけてるとしか、僕には思えない。 

庵野:んー……えっとですね、どうだったかなあ ……最初のアニメージュのインタビューの時に、結 当時のことは言ってたと思うんですよ。 ロングインタビューがあって······ ロマンアルバムに再録して ると思うんですけどね。 

希有馬:ええ。読みました。 確か、一番最初の段階では成りゆきで参加したという話ですけど······

庵野:成りゆき…まあ成りゆきっすねえ。あのねえ、えーと…ちょっと待って、思い出すから・・・ 

希有馬:(笑) ホントにホントに忘れてるんで すね(笑) すまんこって(笑) 

庵野:まあ「トップ」やってたんすよね。 ビデオ でで、ええと… 「トップ」やってるときに、僕 はもう「トップ」で全然知らなかったんだけど、井 上プロデューサーがNHKの方に、貞本と前田の絵でプレゼン出してたんですよ。 「ナディア」てのは 僕はもう、全然知らなかった。 まあ知ってても相手にしてなかったと思うんですよ。 それどころじゃな かったから・・・ 

希有馬:「トップ」で。 

庵野 ええ。 で、 やってて・・・・・・あの、まあ…… 「トップ」 って赤字だったんですよ、ウチの会社。

希有馬:え! そうなんですか!?!?!? 

庵野:まあ制作費決まってて、あと持ち出しって コトで・・・・・まあいくらかのアカが出ちゃったんです よ。 

希有馬:それ書いてもいいんですか?

庵野:まあアカが出たのはいいんじゃないです か? 具体的な金額は俺もよくわかんないけど、 結構な金額のアカが出ちゃって、まあそりゃまあそうなんですけど制作費をほとんど据え置きで、まあ時間だけかかっちゃってるっていうことは……あの値段であれだけ頑張っちゃいけない企画なんですよ。

希有馬:え······ いや、でも······そうなんですか?

庵野:ああ、商売考えたらそうなんですよ。 ウチの会社じゃなきゃやっちゃ行けないことですよね。 ただウチの会社だから、まあそんな無茶を出来たわけでよそなら、もう当の昔にストップかかってるでしょう。 

有馬:そんなに金かかったんですか? 

庵野 いや、そうじゃなくて、安いんですよ。 元々が安くて、その安い部分をウチがかぶるってい うんですか。 

希有馬:はー、なるほど•••••• 

庵野:制作費が決まってるんだから、後は持ち出 すしかない。 

有馬:あちゃー痛い話ですねえ……(笑) 

庵野:だから例えばその会社の維持費が、まあ何百万かかるとして、で、仮に本来だったら三ヶ月かかるところを、五ヶ月かかっちゃったとすると、 その二ヶ月分ってのは維持費だけは飛んでくわけじ ゃないですか。 

有馬:ええ。 

庵野:まあその維持費だけでも赤字になっちゃう ワケですよね。だからスケジュールは、タイトで短きゃ短いほどアニメは助かるんですよ時間がかかればかかるほど金がかかる。だから、セル枚数々 ていうよりは、それはあのう、たいしたアレになん なくてね、あのう、セル一万枚が一万二千枚になっ たところで、そんなにアカにはなんないすよね。 ど ちらかと言えばそれに伴う人件費なんすよね、アニ メーションの場合。 ほとんど人件費だから要する に、セル一枚にかかる動画のお金とセル画のお金だけじゃないですか。 それって、全体から見れば大したお金じゃないですよ。それよりはその二ヶ月他の仕事してりゃ他の仕事で儲かってるワケじゃないで すか。 

希有馬:それで、アカが出ちゃうんですね。

庵野:そう。で、その分の被害って言うのはわかんないわけでしょ。 

希有馬:ああ、その間仕事していたらどうだったか、 っていうのは、わかんないと。 

庵野:そうそう。 

希有馬:で、それでアカが出て・・・・・・ 

庵野:まあそう言うのも含めて、トップ全体はー今はもうわかんないんだけど、当時はアカだった

有馬:え!! 信じられん! 

庵野:そんで、プレゼン通ったところで、この話 が突然やってきてですね、で、えーとねえ…これは僕の見た風景ね。実際の他の人のはわかんないん だけど。僕が見た風景は、えーっと…まあ、とりあえず、次の仕事決めなきゃいけないっていうんで、 あの「トップ」が終わったあとで、井上さん がテレビシリーズをやりたいって言って、 で岡田さんは当時そんなに乗り気じゃなかったんだと思うんですよ。 

希有馬:なんでですか

庵野:儲かんないじゃないかなあ。

有馬:あ、やっぱり 

庵野:アニメやっててももうかんないって、当時 はゲームがちょっと始めた時期だったと思うんだけど、確か、ウチの会社が。 で、アニメよりゲームやった方が儲かるって。

希有馬;はあ・・・・・・ 

庵野:だから、アニメやめようみたいな話が、 まあ、その時はまだ無かったですけれど、段々そっ ちに移行しつつあるって、こんな時にテレビシリー ズやって、また赤字被って、まあ、どうなるんだろうっていう不安あったと思うんですよ。それも どうなったのかなあ、わかんないなあ・・・・・・ま、岡田さんとか井上さんが、どういうアレだったのかは、 ちょっと、俺の聞いている範囲では判らないですね。 まあとにかく、ウチで、この企画はTACが上なのね、だからアレも、NHKから、NHKエンタープライズに行って、NHKエンタープライズから 東宝に行って、で東宝からTACに行って、でTACからウチだから、ウチは孫受けの孫受けくらいなんですよ(笑) 

希有馬:(笑)前のインタビューの時には孫受け てことになってましたけど、それじゃあ曾孫受け、 個々孫受けくらいじゃないですか(笑) 

庵野:まあ、実際そんな感じなんですよ。だから あのう、なんかなあ・・・・・・それで、僕最初声がかかんなくて、まあ「トップ」やってたし、やんないだ ろうって言うのが向こうにあって。で、最初これどっかで言っちゃったかなあ? 言ったような気 もするんだけどわかんないな。言ったかどうかち よっと今わかんないけど最初は貞本が監督だっ たんですよ。 

希有馬:あ、そうだったんですか? 

庵野:でも、あの… NHKから来た条件がちょっと厳しいんで、降りちゃったんですよ。これじゃ出来ませんって。そりゃまあ、降りて当然だったんですけど。で、降りちゃった後、それでもこの企画だけは続けたいって言うことで、それでようやく僕 のところに話が来て、とにかくまあやってくれない かって言うんで、そん時は負い目があったんですよ。会社にね。トップで赤字出してるから。で、当座の金もいるってから。後はまあまだ29だったかな、あの頃。で、NHKのテレビの監督やれるってんだったら、まあ・・・・・・テレビシリーズは体力が 勝負だから、やるなら早い方がいいって思ったんですよね。 

希有馬:やっぱやりたかったんですか、テレビシリ ーズ? 

庵野:まあ、やれるウチにやっとく、ていう······

希有馬:で、引き受けた。 

庵野:ていうか、引き受けざるを得ない状況だっ た……でも、それがなんかね、あの······僕ン中でナディアが駄目な理由の一つなんですよ。 

有馬:途中から参加したって言う……? 

庵野:いや、じゃなくて、自分で本当にやりたくてやったわけじゃなくて…… 「トップ」はもう、こりゃあ勿体ない!てのがあって、自主参加みたい な感じだったけど、これはなんか、やらなきゃなあ、っていう、まあ人様のために、みたいな感じ だったんですよ。 

希有馬:・・・・・・なるほどねえ······ 

庵野:まあそれと、後はNHKから来てるのが、 もうこれはもうどっかで言っちゃってるからいいと思うんだけどNHKから来てるラフって言 うかプロットみたいな原案が、これがもうラピュタ そっくりなんですよ。 

有馬:んー(笑) 

庵野:まあ、これこのままやったらラピュタの真似にしかなりませんよっていう(笑) 

希有馬:ブルーウォーターっていうのはそこら辺で? 

庵野:いや、もう、基本設定はみんな向こう、NHKですよ。それをいじっちゃいけないっていう。

希有馬:え、そうなんですか······俺前田さんあたりが考えたんじゃないかと思ってたんですけど(笑) 

庵野:いや、デザインはこっちだけど、あの…… 設定的なモノは全部向こうですね。名前もそうだし

希有馬:ナディアって言う。  

庵野:そそそ。最初はアディアっていったかな。

希有馬:ナディア・コマネチから来たんじゃないん ですか 

庵野:いやいや、ウチから名前はなんにも出してないっすよ。 ホントの名前の方と、あとジャンの下の名前は必要だったんでこっちで考えたっすけど。 メインの人間の名前と設定その他は、全部向こうで すよ。 

希有馬:ネモ船長やエレクトラさんも?

庵野:エレクトラって言うのは向こうですね。

希有馬:ヘー、そうなんですか。実に決まってますねぇ・・・・・・で、制作に関わったのは、ロマンアルバム によると二話まで出来てる段階からって……?

庵野:僕が監督引き受けたときには脚本が二話まで上がってて、で、全体39本のプロットはもう決まってたんですよね。だから……最初からね、言い訳がもう、頭の中にあるんですよ。 

有馬:言い訳が? 始める前から? 

庵野:そう。ラピュタにしないようにすればいいっていう。出来るだけそれから外すようにするしか、 やれることがないって言うか・・・・・・ 

希有馬:なるほどねえ。 

庵野 だから………最初っからうまく行くはずがないんですよ。そんなんで。 

希有馬:うーむ……………(笑)じゃあ、全体のペース配分は? つまり、どこの話数まで落としてどこを自分たちで押さえるか、みたいなのも、最初のうちに決めてたんですか? 海外発注とか 

庵野:海外発注? 海外発注はでも、最初から動画から先は韓国って言うのは、もう、最初からその約束でそう言うモンなんですよ。三銃士とア レは、もうそれがベースなんですよ。 動画から先は 韓国って言うのは、もう決まってることなんですよ。 引き受ける前から、アニメはもう、そう言うコトに なってるんですよ。 

希有馬:ああ、それがシステム化されてるって言うことに。 

庵野:まあ、それに関しては。ナディアって言うのはもう、それが最初からレールの上に乗ってて、

希有馬:そーれはきついわ!(笑)良く引き受けましたね……って、引き受けざるを得なかったのか・・・ 

庵野:でも、見方に寄っちゃあラクなんですよ。 動画から先を全部、どっかで引き受けてくれるって 言うことは、そこに関してはこっちで面倒見る必要がないっていう。 

希有馬:でも、ある一定以上のレベルを保てないと、 やっぱ「トップ」観て庵野秀明を期待していたファ ンはーていう部分のアレはなかったすか?

庵野:でも、トップもほとんど、動画は向こうですよ。 

希有馬:あ、そうなんですか? 

庵野 今日本で、海外使わずにできることって無いですよ。どのみち韓国に行くんだったら最初ッからシステム化されてればそれはそれでありがた い。やってるウチにうまくなってくしね。 

希有馬:実際うまくなってますよね。 

庵野:うまくなってる。撮影の技術とか、かなり上がってるから。まあアレもねえ、一長一短なんで すよ。一概に全部悪いとは言えないです。いいトコ あるんで、そこは利用した方がいいです。

希有馬:いいところ。 

庵野:まあギリギリまで待ってくれるし後は、 なんだっけ・・まあ、デメリットもかなりあったけ ど、枚数が多くても文句言わないし、んー、結構メ リットもあったんですよね。なんかあるとしたら、 原画から韓国出さなきゃ行けなくなる瞬間からが厳しかったッスねえ。 

希有馬:ああ、じゃ、原画さえちゃんとこっちで押さえとけば、ちゃんとしたモノが上がって来るんですね。 

庵野:まあ割と。まあそれなりに。向こうも日本の国営放送と仕事をしてるって言うのは売りになる わけだから、そんな、手を抜いた仕事もできないッ スよ。だから、向こうとしてもかなりやってくれた と思いますよ。 

希有馬:じゃあ、あまり海外発注だったデメリットって言うのは、そんなに無かった? 

庵野:あ、デメリットもあったけど、 プラスマイナスで考えれば、最終的にはプラスの方が多かったと思いますよ。 

希有馬:はあ······じゃあ、 で、始まって…… 

庵野:まあ、後はいかにNHKの原作から崩していくかですよね。 

希有馬:それで取った道が「トップ」と同じ手法だ った、と言うことが以前のインタビューに載ってましたけど

庵野んー元々最初の企画が宮さんのパロディじゃないすか。じゃあ、宮さんのパロディになるくらいだったら、それじゃあセルフパロディの方がいいやという…… 

希有馬:(笑)また、○○になるくらいなら××の 方が、ってヤツですね(笑) 

庵野:でも、あのままだったら…どっからどう 見てもラピュタでしかなかった。 

希有馬:そのプロットの中に、最初から南の島編 やアフリカ編は入ってたんですか? 

庵野:入ってましたよ。 アレって、 ジュール・ヴ ェルヌの原作の、島に行くヤツ、あっちのほうも一 緒にしたいってわけで、その原作も、オチが実は無人島がネモ船長の秘密の補給基地だったって話なんですよね。そういうのだから、気球で旅行もしなき ゃいけないし、最後にはアフリカに行かなきゃいけないしー 

希有馬:すごい、全部忠実に守ってる(笑)

庵野:まあ、島はどうしても行ってくれってんで、 じゃあどうしても行きますって。で、行くにはどうしたらいいんだろう、ノーチラス沈めるしかないなあ、と。 

希有馬:え、アレは沈まない予定だったんですか?

庵野:沈まない予定だったんです。 

希有馬:えー、じゃあ······どうやって話を繋ぐんですか? 

庵野:だから、出ていく。 脱走する話だったんです。 

希有馬:はー。 

庵野だから、ナディアが他の人先導してノーチラスを脱走して、気球でその島に流れ着いたらそこがノーチラスの補給基地だったって言う…それはないでしょーっていう(笑) 

庵野:でもあの二つの原作を一緒にすると、 確かにそうなっちゃうしかないんですよね。 

(ここで一旦庵野監督の仕事の打ち合わせのために 一時中断) 

庵野:まあそんな具合に、大枠はNHKの方で出来てて、それはいじれなかったんですよね。

希有馬:で、ノーチラスを沈めるしかなかったと。

庵野:まあそれもなんかなー、結構弁を弄していったりとかしたんですけどね。最初はね、NHKのプロデューサーの人も、結構すごい剣幕とい うか、険悪なムードだったんですけど······途中でまあ、諦めてくれたって言うか••••••まあ、若いのにまかせようって言う感じになってくれたんですよね。 そっから後はラクになったんですけど。

有馬:どこら辺から……ですかね

鹿野 やっぱ放送スタートして、人気が出てからですよね。 

希有馬:数字を見て。 

庵野:数字とか、評判を見て・・・・・・ああ、これでい いんだ、って言う。それまでは、これがいいのかどうかわからん、っていうのがあったと思うんですよね。あと、自分でやりたかった企画だから、まさか若いのに乗っ取られるみたいなコトは、思わなかっ たと思うんですよね。だから最初の頃は、かなり抵抗してましたけど・・・・・・ 

希有馬:なるほどねえ・・・・・・ 

庵野:まあそれも、ちょっとずつちょっとずつ変えていくって言う感じでしたね。一話の脚本はさすがにほとんど残してないですけど、それも、よってたかって… 確か、脚本直しでやってても埒が明かないから、絵コンテの形にまで起こして、その第一稿みたいなコンテをNHKの人に見せて、で、これが通らないんだったら、僕にはもう監督は出来ませんっていう……でもう、スケジュール的に今更、N HK側としても変えられないんですよね。それも計算の上だったんですけど。で、もうしょうがな い、これでいいよっていう。それで路線変更。二話も……二話は半分くらいは残してたかな。三話は三 分の一くらい、っていうように、どんどんちょっとずつ消えていったんです、 元の脚本が。 

希有馬:第一話って、言っちゃなんですけど、無茶苦茶バラバラなイメージがありますよね。 とても第一話に見えない、ぎくしゃくして。 

庵野:あれはもう、なんか······なにやっていいの かわかんないって言うのが正直なところでしたね。 だから、やれることやっとこうという…それでも、 サーカスで出会わなきゃいけないし、三人組は出さなきゃいけないし、 

希有馬:あ、アレ三人組も決まってたんですか?!?!?

庵野:三人組は最初、おばあちゃんと息子二人で 

有馬:ぶう(爆笑) 

庵野:でブルーウォーターを狙うという・・・・・・

――なんか、鷲鼻のおばあちゃんが脳裏に浮かぶんですけど(笑) 

希有馬:そーれは、なんていうか・・・・・・(笑)

庵野:名前だけはその時の名残が残ってて、グランバアって。グランディス・グランバアって言って、 それでおばあちゃんなんですよね。 

有馬:弱ったなそれは(笑) 

庵野 アレもね、ラピュタになるんだったらタイムボカンにしてしまえっていう。 

有馬:ああ(笑) 

庵野:だからね、全部アレ、 比較級なんですよ。 ベストのものを見つける時間が無くて、全部ベター で作ってある。これよりはこっちの方がまだ気が晴れるとか、そういうレベルですよ。 

有馬:あと、エアトンについてなんですけど、あ いつも決まってたんですか? 

庵野:アレもそう。 原作にも出てるはずですよ。 ジュール・ヴェルヌって読んでないから知らないん だけど

有馬:あいつってなんでいるのかさっぱりわかんないキャラで、それなのに最後まで出てくるじゃ ないですか。 

庵野:アレも用意されてたんですよ。島に行った ら先に流れ着いていたって言う設定で決められてて。 確か原作のどこかにいると思いますよ。 

ーーーキャラの設定や、登場退場については、絶対にずらせないんですね(笑)

希有馬:はーなるほど・・・・・・なんだか見えてきましたよ、ナディアがどうしてあんなだったのか(笑) じゃ、次ですけど、34話でしたっけ、韓国から来た絵が全部使えなくて、自腹切ったって言う回。

庵野:ああ、はい。 

希有馬:あの回って、本当の話って言うのはどんなだったんです? 気球に乗ってナニやってたん ですか? 

庵野:••••••いや、あの頃は脚本は・・・・・・もう、 上がってきたの読んでなくて、 

有馬:ええっ?! 

庵野:脚本読まないでやってたハズだから、えー と、アレは一回もりさんに頼んだんだよね。ブロッ ト、それも一行しかないようなのを渡して、で上がってきたコンテをもう素通しで韓国に流して 「捨て」の回だったんですよね、もう。この回に関 してはナニもしない、っていう…… 

希有馬:最初からそうだったんですか。

庵野:34話に下駄を履かすヒマがあるんだったら後半に力を注ごうって言うね。だから切り捨 てたブロックだったんですよ。あそこは。

希有馬:なるほど・・・・・で、庵野さんとしては、ナデ ィアはやっぱ、軽く流そうとした作品だったわけですよね。 

庵野 最初は。 

希有馬:それが、軽く流せなくなった。なんでですか? 

庵野:まわりのスタッフが頑張ってたから。

(カレカノの脚本のチェックのため、一時中断)  

庵野なんだっけ?(笑) 

希有馬:えーと…… (笑) 

結局、スタッフが頑張るから、自分だけ流していこうと思えなくなったっていう。 

庵野:結局スタッフが本気でやり始めたら・・・ ・・・しょうがないっスよね。 

希有馬:しょうがない(笑) そう言う感じだったんですか、始めは? 

庵野:やるときは、最初は出来るだけラクしようラクしようと思うんですけど・・・・・・テレビですから、 どうしても経済的にも精神的にも追い詰まって行くから、だからラクしなきゃいけないと思って。あの時期にあそこでテレビシリーズやっておかないと、 テレビアニメダメでしたからね。 

希有馬:ダメでしたね。 

庵野:当時から、反対意見って言うのは結構あって。まあテレビであんなコトやんな、ナニ考えてん だって言うのはありましたし。 エヴァの時もそうだったけど….. 

希有馬:え? ナニ考えてんだ……?

庵野:ああいう仕事をテレビでしちゃいかんという。

希有馬:あ? ああいう仕事、っていうのはいい仕事のことですか?(笑) 

庵野:そうですよ。 

希有馬え、そうなんですか?!?!?! 

庵野:テレビは流さなきゃいけないんですよ。いい仕事しちゃいけないんです。 

希有馬:えーなんで······しちゃいけないんです か? だって…•••いい仕事すれば、LDとかは売れ るし、ファンは喜ぶんじゃないですか? 

庵野:いやあ、ファンは喜ぶかも知れないですけ ど、LD売れたって……なんかなー、戻ってこない じゃないですか。スタッフには。戻るのは金出した ところにで。ナディアで全然食えなくて、その後儲かったかって言えば作監に版権で少し行ったくらいで…… 

(バンダイビジュアルからお電話で中断) 

有馬:えーと、ですから、なんでいい仕事しちゃ イカンのか、って言う点を。 

ーー結局、そうすることによって…… 

庵野:バランスが崩れるからですよ。 一つに、お金が儲からないですよね。プロって言うのはまあ、 いろんな考え方ありますけど、その中の一つに金銭 に見合った仕事をやるって言う、千円の仕事は千円 の仕事、五千円の仕事は五千円の仕事って言うふう に、ギャラに合わせた仕事をするって言うのはプロ の考え方ですよね? 

希有馬:当たり前ですね。 

庵野:だから、そう言うのをプロとする人たちは、 こういうコトされると困ると。千円のギャラで、な んで一万円の仕事するんだっていうね。 

希有馬:で、やっちゃうと後から、こないだはあの 値段でやった、とか言われちゃうワケですね。

庵野:そうなんですよ。 よそのスタジオに向かって 「あそこはこの値段でこの仕事をしている。 なんで君のトコでは出来ないんだ」って言うとばっちりが行くわけですよ。だから、バランスは均衡は 破っちゃいけないと。 

希有馬:や、でも・・・・・・あの時期ナディア無かったら、 それこそセーラームーンまでオタクはなぁんにも見 るモノがなかったって言うか・・・・・・ 

庵野:だから、そう言う意味ではウチはアマチュアイズムだって言われるのはそこですよね。金銭の ことを考えないって言うか、よそのことを考えてない。 

希有馬:でも····そういうつまり、面白くないモノを量産すれば良いのである、って言う考え方だと、 段々縮小して行くだけじゃあないですか? 

庵野:まあそうなんですけど、でも・・・・・・でも世の中の大半って言うのはそういうもんなんじゃないですか?(笑) 

希有馬:まあ、そうなんですけどね(笑) 

庵野:だから、それが通常のシステムですよ。

希有馬:いやあ、でも・・・・・・なんて言うかなあ・・・・・・ 

庵野:縮小再生産は、アニメーションの宿命みたいなモンですね。 

希有馬: 宿命! 

庵野:今でも宿命みたいなモンですよ。 どう見ても衰退期ですからね 

希有馬:うーん……エヴァ終わった後、見るモノが 

庵野なんかな!星の一生で言えば、ちょうど赤色巨星ですよね 

希有馬:(笑) あと爆発するくらいしか無いじゃないですか (笑) 

庵野:あとはまあ、爆発して四散するか、ブラッ クホールになるか・・・・・・超新星かブラックホールか、 まあどっちかでも最後がありゃまだマシですよね

希有馬:はあ・・・・・・

庵野:なんにもならずに燃え尽きるという可能性もあるかも知れない。 

希有馬:いや······でも······庵野さんなんか矛盾して て、要は······庵野さんがそうやって面白いモノを作 ることによって、寿命が延びるワケでしょ、アニメ界の? 

庵野 いや、伸びてないすよ。大きい目で見れば縮んでると思いますよ。 

希有馬:縮んでる!?!? 縮んでますか……(笑)

庵野 少なくとも、エヴァの後ロボットモノは無 くなっちゃいましたね。 

有馬:ああ・・・・・・ 

庵野;ひとつ、なんか…………要するに、売れセンだったジャンルが、これで終わっちゃったワケですよ

希有馬:えー、でもなあ······ 

庵野:新しい物差しができるって言うのは、つまりそう言うコトですよ。 

希有馬でも······ エヴァのおかげで、他のアニメの 企画は通りやすくなったって….. 

庵野:いやそれも、最初の一回だけッス。

庵野:まあ、エヴァが当たって、今ならアニメが 儲かるって思っても、質の量産って出来ないわけですよ。良質のモノが出来るスタッフって決まってるから。

希有馬:それが痛いトコですよねえ…… 

庵野 ま、どこもそうでしょ。 TV番組24時間近くやってますけど、その中でじゃあ面白い番組って 何時間あるのか、とか。バラエティあんだけあって、その中で面白いバラエティはじゃあどれだけあるのかって。それと同じですよ。 バラエティはバラエティの分野で、面白いモノを作れる人は限られて て。小説にしたってそうでしょ。本は余るほどあるけど、その中にどんだけ面白い小説はあるのかっていう。アニメに限らないッスよ。 

希有馬:でも、アニメには少なすぎですよ

庵野:ゲームだってなんだってそうでしょ。どの ジャンルでも同じですよ。ただ、アニメが儲かってると言うか、イけそうに見えるからって、 他のジャ ンルの人が慌てて金かけたとしても、その掛けた金が返らないと思ったら、やっぱ新参の人はさっとや めちゃいますよね。 

希有馬:返ってきませんか。 

庵野:返ってきません。 

希有馬:返るんじゃ…………ないですかねえ?

庵野:どうして

希有馬:いや・・・・てゆうか今回は本数が多いと思いますけど・・・・・・ 

庵野:買う人間の数はだいたい決まってて、それで本数が多いって言うことは、そん中のどれか一つ しか買わないってコトですよね。今まで一つ買ってた人が、いっぱいでたからじゃあ七つ全部買うかって言えば、やっぱ買わないわけですよ。精々もう一個増える程度で。そうすると、残りの五つは売れないワケですよ。結局、40本アニメがあったとして、 そのなかでお金出してまで買おうって言うのは一本か二本なんですよね。で、十本のうち一本が二本だったら、まだ十分の一で済みますけど、これが40 本のうち一本だったら四十分の一になっちゃう。 残りの39本って言うのは、やっただけ撮って言うこ とになるわけですよね? 

希有馬:・・・なるほど

庵野:現に深夜アニメはほぼ全滅ですよね? 

希有馬:うー(笑) 衛星のシステムはどうですか 

庵野:衛星・・・・・・だれも見ないでしょ、アニメファ ン以外。だから、外に向かないでしょアレは。

希有馬:ダメですかあ······· 

庵野:現に何も声を聞かないじゃないすか。

希有馬:そうなんですよねえ(笑) 最近衛星のブレ ンパワードしか楽しみなアニメが無くて、あんなに面白いのにどーしてみんな騒がないんだ、って思ってるんですけど(笑) 

庵野 ブレンパワードは……1分半くらいだけ見たなあ…… 

希有馬: やっぱダメっすか? 

庵野:古かったッス。 

希有馬:そこがいいんだと思うんですけどねえ(笑) やっぱ富野世代なんで、「ああ、トミノだ」ってだけで見る理由になっちゃうんですけど(笑) 

庵野:それはVガンの時に味わったんで、もういいっすよ笑) 

希有馬:以前、Vガン本が作りたいってコトを言っ てたのは、やっぱその辺なんすか? 

庵野 いや、アレもねえ…………あの時期、アレしか なかったんですよね。だから、なんかな!結局、 押井さんが言ってるのと同じになっちゃうのかなあ 

希有馬:なんすか? 

鹿野:アニメージュの20周年記念本で押井さんがちょろっと言ってたんですけど、まあアレなんすよ。なんかねえ、なんて言うか・・・・・・ 逆シャアは面白かったんすよ、すごく。そんで、F91はまあ、それなりだった。あの頃、あんなに面白かったのって F91くらいしかなかったんすよ。他のアニメはあんまり面白くなかった。 その後は・・・・・Vガンと「お兄さまへ・・・・・・」くらいしかなかったんすよね。結局、 今になっても面白いモノを作ってるのは、出崎さんとか、あとVガンで富野さんとか僕らの中で 人気があるのって、セーラームーンじゃないすか。 まあアレは……キャラ人気とかそういうもんで、およそ文化として残すモンにはならないですよね。一 過性のモノだと思うんですよ。 一過性じゃないって 当時言ってた人もいたけど、アレはどうみても一過性ですよね(笑) セーラームーンを見ていた子供たちが、って言うけど俺はセーラームーンを見ていた子供たちではないので(笑)一般論ではない。

希有馬: そらそうだ(笑) 

庵野:要するに、当時あれだけアニメがあって、 面白いのはVガンと「お兄さまへ・・・」だけだったんですよ。結局、なんかな~····面白いモノを作り続けてるのは、あのおじいさんたちだけかって。 後は、当時アニメ誌にも結構言ってたんですよ。

希有馬:なにを? 

庵野:結局特にアニメージュっていうのは、 宮さんとガンダムとそういうアニメ文化の発信源 になってたじゃないですか、当時。 

希有馬:はいはい。 

庵野:アニメ誌で、いろいろやってたじゃないですか。コナンは見てたけど、宮崎駿っていうのはそんなに意識してなかったすからね。 そんな人の過去 の作品の紹介とか見て、「ああ、面白いのはみんなこの人がやってたヤツだ」 って思って、あと高畑勲って人が面白いの作ってる、と。まあ、富野とか、 松本零士とかは知ってたんだけど、宮崎駿のは作品は知ってても名前までは来なかった人だった。 コナンで初めて「ああ、こういう人もいるんだ」って 知ったわけで、で、そういうのをちゃんと認識させ てくれたのがアニメージュの誌面だったと。 アニメ誌が当時、そう言うのにもう見向きもしなくなって、 表層的な部分しか見ない、ただの情報誌になっちゃったんですよね。 

希有馬:そうですねえ。 

庵野:そう言う声優さんの本と、なんか情報を発する本でしかなくて、当時、Vガンダムを取り上げたとこってどこにもなかったんですよ。

希有馬:ああ、それで・・・・・・ 

庵野:あれだけのものが出来ていながら、アニメがまるで見向きもしない。 それで、渡辺くんがアニメージュに帰ってきたときに、それで、言って、ようやく富野さんとの対談って言うのをね・・・・・・とにかくのっけなきゃいかんて言って(笑) だから、一人で Vガンの応援してたんですよね。 

希有馬:(笑)

庵野:「今これを持ち上げなくて何を持ち上げる」 と。特撮ファンがティガに群がるようなモンですよ 

有馬「これしかないと。 

庵野:「これしかない」から、今これを持ち上げとかないとホントに無くなっちゃうって。だから、 Vガン時も、危機感なんですよ。 アニメはもうダメなんだろうなあって。 

希有馬:今でもそう思ってるっすか?

庵野:ああ、それはもう十年前から、ナディアよ りも前、トップの頃からずーっと思い続けてることッス。 

希有馬: エヴァのあの成功の後でも、やっぱり?

庵野 いや全然、なにも変わってないッスよ。

希有馬:そうかあ・・・・・・やっぱ現場は重いッスね・・・ 

庵野:逆に、エヴァが十年に一度の傑作だって言われたら、あと十年何もないって言うことですよね。

希有馬(笑)それは困りますねぇ(笑) 

庵野:ガンダム以来のヒットって言うことは、アレが二十年前だから、あと二十年待たなきゃ行けないわけで(笑

希有馬:そーれはキツいわ(笑) 

庵野:ヤマト・ガンダム・エヴァンゲリオンって コトは、三十年でこれしか・・・(笑)

希有馬:でも、それはヒットと言うことに限ってで、 面白い作品ってだけなら、他にも······ 

庵野 いや、世間はヒットが来ないと動いてくんないすからね。 

希有馬:それは難しい話ですね……(笑) 

庵野:まあ他は、宮崎アニメくらいッスかね。 

希有馬:まあ、それはさておき・・・・・(笑)んで、ナディアが終わったあとにですね、CDを何枚か出し てるじゃないですか。で、最後に「ByeBye Bluewater」っていうの作って、我々ファ ンが「ああ、これで終わりか」と、ほっと胸をなで 下ろしていたらですね、それから一年だか、二年だか経ってから、「ByeBye Bluewate 「2」ってのを出したでしょ、アレは一体なん でですか? 

庵野:あれは、なんでだったかなあ・・・・・・経済原理が先立ってたんかな、 

有馬:あ、やっぱそんなもんすか(笑) 実はこないだの年末に初めて知ったンすよ(笑) ナディア本作ろうと思って、じゃあ、ナディアの資料、今から手に入るだけ手に入れてみようと思って、 中古CD 屋に行って初めて知ったんすよ。 「こんなモンがあったのか!」って(笑)で、その頃ナディアファン だったって言う連中に見せると、みんながビックリ するんですよやっぱり(笑) 「こんなモンがあったのか!」って(笑

庵野:「2」はアレは、ボックスですね。

希有馬:ボックスのヤツを、単品で出したって言う 

庵野:えっとユーメックス(昔のレコード会社)なんかには、あれ、 ドル箱だったんす。 CD。あんなに売れたCDは、 ガンダム以来って言うか当時、ドル箱だったんす。あれはだから出し続けるのを宿命づけられちゃったんすよね。で、なんてのかなあ。ナディアに関して、僕にはなんも権利無いすよ。だからまあ、出さないでくれ、とは言えないんですねアレ。

希有馬:ああ、はあはあ 

庵野:まあ、リミックスだけはさすがに勘弁してくれって、アレだけは関わってないですけど、なん か、リミックスのヤツが出てるはずなんすよ。 アレ は一切関与してないっすね。さすがにもう、いいで しょうっていう……………(笑) だからアレだけは、なんもアドバイスもしてないっすね。 

希有馬:はー・・・出さざるをえないから出すのか・・・ 

庵野:箱で出す、で、新しくCD1枚入れるっていう時に、なんかな~・・・・・・CDだけはなんつーの、人に振りたくない、最後の砦だったんすよね。まあ、 LD出すのも、向こうの勝手なんですよ。 ビデオ出 すのも勝手なんです。 勝手に出されるくらいだったら協力して、少しでもこっちの、こう、気の済む方向にさせて貰おう、と。だから、おまけ劇場みたい のをLDに付けたのも、値段設定が、僕から見りゃ べらぼうに高かったんですよ。 

希有馬:わはは(笑) 買ったヤツがここにいますよ(笑)

ーーすいません、買いました(笑)

庵野:だから――こ、この値段はちょっと無いでしょ(笑) てのがあったんですけど、でも、 その値段設定も、こっちじゃどうしようもないでしょ。じゃあ、せめておまけくらい付けないとマズいんじゃないですか、って。んもう販促も、こっ ちの知らないウチに出来てるからね、テレカとか。 あずかり知らないところでどんどんどんどんナディアって動いてたんすよ。だから今出し直ししてんのも、もう知らなかったッスよ。

希有馬:えーアレも知らなかったんすか(笑)

庵野: だからもう、ホントになんの通知も来ない ッスよ、僕には。ま、関係無いんすよね。権利者じゃないから。まあ、ボックスで出すって言うときに も、そこに一枚CDを新たに入れる。 それはまあ協力しますけど、ボックスはともかく、出るときにち ゃんとバラでも出してくれって頼んだンすよ。 

希有馬:ああ、それでバラで出たんすか。 

庵野:で、バラも頼んで、で、あのう、 ボックス 全部買い直す人もいれば、中には新作一枚のため にっていう人も何割か、何パーセントがいるかもしれない。だから、その人たちが損した気分にならないように、ボックスで出すときに、バラもあるって告知してくれって頼んだンすよ。 

ーー今聞くとすごいドラマですよね(笑) 

希有馬:ひひひ(笑)

庵野:あれはなんかな子供っぽいのがダメだったんすよね。 

希有馬:子供っぽいのがダメだったっつうと・・・ 

庵野:だから、ナディアみたいな、ああ言う子供 っぽい、ガキっぽいのがすごくイヤで、しょうがなかった時期じゃないかなあ・・・・・・だからちょっと、なんか、大人な感じ大人な感じって、背伸びしてますよね、アレは..まあ背伸びしてて、 キャラクター 使わなくてもいいかって言う感じで、じゃあ好き勝手させて貰おうっていうことになって……

希有馬:そんで第二新東京市ですか(笑) 

庵野:アレは…………あの頃なんすよ、エヴァの最初の、ビデオの頃の企画書いてたのがちょうどあの頃 だったんすよね。だから、重なってるんすよね。

希有馬:なんか、ハタから見てると、継続して成長したみたいな感じがあって面白いっすけどね(笑)

庵野:ほぼ同時に企画やってましたからね。エヴァのひな形になるヤツ、ビデオ六本の時の企画とは。アレが第二新東京市の話にするつもりだったから、 まあ・・・・・・同じですよね。世界観的には引きずってますよ。アレにもリツコっていうキャラクターが出る 予定だったし。 

希有馬:なるほどね、そう言う事情があったんですか。

―庵野さんが言う、その「CDが最後の砦だ」 って言うのは? 

鹿野:アレは、えーと・・・・・・徳間の方で、小説まで出ちゃったんすよね、知らないウチに。

希有馬:(笑)

庵野:んもう、最初のノベライズの時には、まあ台本通りにした方がいいんじゃないですかって言ったんですけどね。あんまりオリジナルで作るとなん か・・・・・・ テレビシリーズを見た人が反芻するためのモンだから、ノベライズって…… 

庵野だから、あんまり変えない方がいいッスよ って。……あれもなー、なんかやっぱナディアん時ってみんな貧乏だったンすよ、ホントに。 で、直接現場に携わってない人ほどお金持ちだった んすよね。 

希有馬:はー(笑)

庵野:んであげく、知らないまあホントに知らないところで、なんか、書き下ろしの小説とかも徳間から出ててですねえ・・・・・・しばらく徳間の仕事しなかったからなあ・・・・・・ 

希有馬:あ、そんなにハラ立ちましたか・・・・・・

庵野:アレはハラ立ちましたね。感情論でしかないんすけどね、アレに関しては。 

希有馬:映画とかは……? 

庵野:映画も結局は、降りた形に。 

希有馬:あ、アレは降りたんすか。 勝手に、とかじ ゃなくって…..? 

庵野:時間的に無理なんすよ。東宝って「タッチ」 とかやってたじゃないすか。 あれ、テレビシリーズやりながら映画同時にやってましたよね。 で、映画で使った絵とかをそのままテレビに流用するとかし て、まあ、うまくやって両立させてるじゃないすか。

希有馬:ええ。 

庵野:僕にはそれ、できませんって。まあ映画になるのはもう決まってて、だから東宝が入ってるンすよね、アレ。東宝で映画化って言うのもセットだった、既に。だけど、それはちょっと勘弁して下さいって。テレビシリーズで多分無茶苦茶になって、 もうなんか、余裕無くなるはずなんで、同時に映画の作業なんかできんと。まあアレも、いろいろ紆余曲折あるんですけどね。最終的には、あのう、僕に話が来たときには、総集編ならやるって言って。 新作入れて四ヶ月でテレビシリーズ、あれ最終話に半年かかってるんだけど、だから、テレビの三分の二のスケジュールで、映画一本作れませんって言って。 

希有馬:まあ、確かに(笑) 

庵野:だから、クオリティが落ちるのはもう、目に見えてたわけだし、これをこなすのはもう、 テレビのバンクをがーッと使った上に、新作カットを入 れて、要するにガンダムにするしかないと。100 カット……150ぐらいの新作カットを入れて、うまく繋げれば、まあアレ元々35ミリだし、

希有馬:え、アレ35ミリだったんですか?

庵野:韓国には35しか無いンですよ。だからまあ、仕方がない。 16ミリがないんだし。 16ミリ に縮小プリントなんすよ。 

希有馬:ヘー、ビックリ(笑) 

庵野:だから、まあ••••••時間がないんだからって。 で、それはまあ、NG食らったンすよね。

希有馬:なんでですか

庵野:あのストーリーは、NHKに著作権があるって言われて、ああ、そうですかって(笑)

希有馬:うわー)それはすごい(笑) 

庵野:だから、同じストーリーじゃ、映画は許せって言うので。まあストーリーに著作権があるって、俺にはちょっとわかんないすけどね(笑) じゃあ、聖書がマルC取ったらどうなるんだって (笑) 聖書は全世界の脚本家の共有財産ッスからね (笑) ••••••まあ、それはどうでもいいや(笑) とにかく難癖付けられて、ダメだったんすよ。じゃあもう降りるしかないって。だからあとは、もう預かりしらんところで・・・・・・まあ、そうせざるを得ないんですけどね。 

希有馬:小説と映画は、じゃあまったく関知してな いところで進んで、しかも小説に至ってはまったく通知もなかったって言う…… 

庵野:まーそうすけど、本来はそうなんですよ。 権利のない、受けの雇われ監督みたいなところ に、いちいちね……でも、なんかなー、半分以上は こっちでやったっていう、自負みたいなのが当時あ りましたからね…まあ、今考えればほとんど感情論なんすけど、やっぱ、不愉快な気分にしかならないッスよね。 

希有馬: エヴァの小説は勘弁してくれって 言うのは、つまりそこらへんから……? 

庵野:エヴァん時は、それだけはちゃんとしよう って思ってたんすよ。幸い大月さんがそれを許してくれたんで、だから、エヴァでようやく「小説は出しません」って言えるようになって、CDもだし、 挙げ句の果てには、これでもう終わりです、って言えるんですよ。ナディアみたいに「ボックス出すから」みたいのはないですよね、これで。 そう言うコントロールも、ようやくこちらで出来るようになっ て。だから、ガンダムにもヤマトにもならないで済む(笑) 松本さんとか偉かったと思いますよ、今考えれば。「1」ってのは自分たちでやったハズなの に、知らないウチに、ねえ、なんかこう…(笑) 次々に(笑)あんまりいい気持ちはしなかったんじ ゃないかなあ、わかんないですけどね。俺もあんまりいい気持ちはしなかったから…… 

希有馬:なるほどねえ・・・・・・ 庵野さん聞いてると、やっばナディア好きだったんですね。 

庵野:んー、や、作品はそんなにキライじゃないですよ、滅茶苦茶だけど。 やってた自分が嫌いなんですよね。やっぱり、言い訳を最初に、ベースにしてるから、あんまりすきじゃないっていう……..

希有馬:やってた自分が嫌いっていうのは・・・・なんかこう、微妙な意見ですね(笑) 

庵野:作品自体は、僕個人でどうこう語れるものではないし…失敗した部分もあるけど、うまく行ったところもある。当時、あのスタッフであれだけのことができたっていうのもすごかったし、途中で樋口にバトンタッチして、またあとからっていうのも、結果としては良かったなあって思うしあっちの方が好きだって人も、まあかなりいますしね。

希有馬:樋口ナディアですか(笑)とたんにおかしくなりますからね(笑)おかしくと言うか、途端に底抜けになっちゃって(笑)今まで底があったと思ったのにあの辺は確かに面白いですよね(笑)

庵野 いええ。そーゆうのも含めて、テレビシリー ズのおもしろさだと思うんですよ。だから、そこを否定するつもりはないっす。 コナンとかもそうですよね。途中まで宮さんがやって、八話で矢折れ力尽きて高畑さんにバトンタッチして、やっぱ途中から 変わりますから、コナンが。 で、十六話からまた宮さんが帰ってきたら、また元に戻りますからね。だから、そう言う意味ではコナンも二重人格ですよ。 高畑さんの部分が、やっぱり半ば入ってる。 

希有馬:テレビシリーズの良さは、そう言うところにある? 

庵野:や、それも含めて良し、って言う。

希有馬:ナディアが未だに好きだって人が多いの は、やっぱそういうふうにして、テレビシリーズの 少しずつ、別の部分が見えてたっていうのがあるんですかね。そのうちのどれかが、今でも引っかかっ てて。カチンと 

庵野:んーまあ、そう言うのもあるとおもうんすけど。いや、嫌いな人は嫌いだろうけど。 

希有馬:あー(笑) あんなにわがままなヒロインは初めてだったし……(笑) なにしろ、今見てもどん な女かさっぱりわかんないッスからね(笑) 

庵野:……わかんないッスよねぇ・・・・・・アレはもう最初に出来ちゃってるところから、いじって行ってるから……根っこがないんですよね、キャラクターに。ジャンくらいシンプルだといいんですけど 

希有馬:あージャンいい男ですよねー(笑)いやもう、父ちゃんが死んだってことを知るくだりからこっちのジャンは、なんかもう言うことは明解になる上に、思いやりまであっていいヤツですよねー(笑) 庵野さんのワールドの中では、かなりいいヤツの部類に入るんじゃないですか、あの男は(笑) シンプ ルで(笑)典型的ですけどね、おかげで。 

庵野:ん~キャラクターはマンガだからステレオタイプなんですけどね。まあ、役割分担がはっきりしてるからですよね。 

希有馬:比較として、まっとうに見えると?

庵野:や、いわゆる「いいひと」の部分を全部あそこに持ってくっていう。ジャンとナディアって、 二人で一つの人格だから。 

希有馬:ですねー(笑)片方だけだとストーリーに なりませんからね(笑)ずっと一緒にいるし。 

庵野:そういう対の部分がはっきりしてたから・・・ ・・・ダメなキャラクターといえばダメなキャラクターですよ 

希有馬:(笑)いやー 

庵野:四話で、たしか答えを出しちゃってるんですよね。確か言わせてる。「僕には嫌いな人っていないんだ」って言わせてると思うんだけど、てことは 好きな人もいないってコトですよ。誰も嫌わないってコトは、誰も好きじゃないってコトだし。あのセ リフ自分で思いついたときに、ああ、これでこのキ ャラクターはできたな、っていう。 

希有馬:ああ、そう言う男なんすか、あいつは。 

庵野:要するに世間知らずっていうか。典型的ないい人ですよね。イヤなヤツだと思いますよ(笑) マンガん中だから許せるけど、あんな人間がそばにいたら殴りたくなってたまんないと思いますよ 

希有馬:わははは(笑) 友達づきあいはしやすいと思いますけど・・・)

庵野:んーでもまあ、要するに誰からも嫌われないけど、誰からも好かれない人間になると思うんですよね。 

希有馬:んー、そうですねえ…(笑) 

庵野監督、携帯に電話入る 

庵野:んでなんでしたっけ。 

希有馬:すいません、忙しいのに・・・・・えーっと、 イヤ実はですね、昔ガンダムブームの時にですね、 僕はまだ小学生だったんですよ。 で、世の中には二ュータイプ信者ってのがいて、で、あのう、ニュータイプの思想が本当にあるって信じて、それを論説してる人間がいるって聞いたときに、げらげら笑ったんですよ。だって、僕にとってはガンプラの題材でしかなかったワケじゃないですか。ガンダムってのが。で、そんなのっているのかねって思ってたんですけど・・・・・・まあさかこの歳になって自分が遭遇するとは(笑) 

庵野 そうっすねえ…………俺も、そんなん話に聞い ただけだったんですけどねえ、ニュータイプ論者なんてのは······ 

庵野:え? 

希有馬:自分が作ったじゃないスか笑) 

希有馬:いや、エヴァンゲリオン論者を。 

庵野 ああ···・・・まぁ富野さんも、そんな気は無かったんじゃないかと思いますよ。 いや、俺よりはあったかも知れませんけど。少なくとも俺にはなかったなあ・・・・・・まあ、世の中にはいろんな人がいるんだなあと。 

希有馬:なるほど(笑) 

庵野:なんかなー…言っちゃ悪いけど、あの程度じゃないすか。 エヴァって。 

希有馬:そ、そこまで言いますか!(笑) 

庵野:だって、あの程度ですよ(笑) アレで宗教だなんだって言うんだったら、ほんとに麻原彰晃てのは、なんかこうオウムって、初めて聞いたときには、もっとイイ物だと思ってたんですよ。イイ ってのは、もっとレベルの高い…

希有馬:あ、僕もそう思いました。 

庵野:なんか、戦闘集団みたいな感じだったのに、なんかこう、上佑さんとか、いろいろマスコミに出始めたら、みるみる化けの皮がはがれて行って

希有馬:あああ(笑)

庵野:あれっ、こんなに頭の悪いヒトタチだったのっ!?っていう(笑) 

希有馬:いや、僕はオウムって言うのは一枚板の組だと思ってたんですよ。麻原彰晃のもとに。 

庵野:いや、一枚板だとは思わなかったンすけどね。もうちょっと、組織の上の方の人たちって、イケてると思ってたんですよ。 

希有馬:僕ももっとシャープだと思ってて、

庵野:シャープって言うか、んー、なんかもっとこう、洗練された部分? 確信犯的にですね・・・ ・・・やると思ったんだけど・・・・・・まあ、サリンのやり方についてもちょっと、迂闊っぽいですよね。

希有馬:うかつ(笑) 

庵野:本気でやるならもうちょっときちんとやればいいのにって思う。 テロリズムにしてはアマチュアイズムっていうか・・・・・・ アマチュアっぽいですよね。 

希有馬:ええ。 

庵野:あとあの、麻原彰晃ってのが、これがまた、 みるみるうちに化けの皮がはがれていって(笑) え、この程度の人なの? って······なんかな…… アレで宗教にハマる感覚って言うのがわかんなかっ たっすからね。でも、エヴァ程度でコレくらいてんだから、ああ、なるほどって…….. 

希有馬:(笑) 庵野さん教祖になれますよ、今なら(笑)

庵野:いや! いいっすよ。 いやーいいっすよ。 

希有馬:好みのタイプの女ばっかりまわりにはべらしてですねえ(笑) 

庵野:んーでも、あの感覚を快楽と感じられれば、 多分なれるんじゃないかな。 

希有馬:快楽と言いますと? 

庵野:そういう、人が崇めてくるような感覚をね。 なんか、褒めてくるわけじゃないですか。素晴らしいですねって。 

希有馬:そういうのって快楽じゃなかったんですか? 

庵野:快楽じゃなかったっすねぇ。むしろ、なんか不愉快…・・・ 

希有馬:不愉快!?!? 

庵野:だから、先生扱いされるたびにいやな気分 がしてましたよ。 こないだも、新人の子に、監督監督言うから「監督って言うな!」って怒りましたもん。 

希有馬:なるほど・・・・・・ 

庵野:そういうのがなんかもう、すごいヤなんですよ。 

希有馬:心情的に 

庵野:ん、なんか・・・・・・全然いい感じしないッス ね。もう、もてはやされるのがイヤ。 

希有馬・・・・・・なんでですか

庵野:それに値する人間だと、自分で思ってないからでしょ。そのギャップがあるからですよね。

希有馬:じゃあ、あれですね。庵野さんよりももっ とナルシストの人が、もしもエヴァンゲリオンを作っていたら教祖になってた?

庵野:ん、なれたでしょうね。富野さんだったらなれたかもしれない。 ナウシカ作ったころの宮さんだったらなれたかもしれない。でもまあ······フィルム作ってるような人はみんなそうなんじゃないですか? イヤじゃない人が教祖になるんですよ。 か、 フィルム作れないような人が教祖になるん じゃないかなあ。 

庵野 フィルム作ってる人はなんか、そういう風 に行かないんじゃないかなあ? 別になんなくても いいやっていう 

希有馬:なんで?? 

庵野:なんでって面白くないからじゃないすか・・・

希有馬: フィルムを作っている……よりも?

庵野フィルム作っている方が面白いからッスよね。 

希有馬:はははあ、なるほど。 

庵野:教祖みたいの、なんかなナニがおもしろいんだろうって思いますよね。イヤな思いしかしないだろうし…… 

希有馬:つまり、なりたくないんですよ (笑) 

庵野:まあ、正直エヴァのテレビが終わったあと、一斉に排除にかかったじゃないですか。まとわりついてくるみたいのを。 

希有馬:ええ。 

庵野:あれくらい言わないと、なんかこう、嫌われないっていうのが。あと、あれくらい言わないと耳傾けてくれないッスよね、アニメファンって。

希有馬:そうっすか。 

庵野 いや、なんか……やっぱアニメファンって、 ある面ピュアなんすよ。ピュアって言うことは一つのことを純粋に信用しちゃうんですよね。そりゃあ、 なんかこう…いい意味ではいいんだけど、広い目で見たら、どうみても弱点じゃないですか。 

希有馬:「お前騙されるぞ、そのうち」とか、そう言うコトですか?(笑) 

庵野:まあ・・・判っててやってんのはいいんですよ。判ってない人が、やったらとなんかこう、目に付いたもんで…. 

希有馬:判ってない……? 

庵野:自分の位置と社会の位置というか世間の位置というかというのを、相対的に見れてない層とい うのが、やたらといたのが気になっていて。 

希有馬:つまり、公共の場でも騒ぐとか、そう言うヤツじゃなくて? 

庵野:じゃなくて、 

希有馬:自分の趣味が一般的だと思ってるとか。

庵野 まあそういうのもありますね。一般的だと思ってるのかも知れないし、もしくは、一般の人が 自分の高尚な趣味を判ってないんだという

希有馬:あっ!それはありますねえ!

庵野:じゃないでしょーっていう

希有馬:おいおいっていうか(笑) 

庵野:実に下らない趣味なワケでその下らないことを一生懸命やってんのがイイんだって(笑)  うわ、なんて下らないんだーっていうのがイイのに、 それを高尚な物だと思うのはちょっと、思い上がりも甚だしい 

ーーちょうど僕らくらいの世代の少し後からだと思 うんですけど、アニメ観るのが恥ずかしくない世代、っていうのがあって…… 

庵野:まあ、いますねー。 

ーーで、僕らそれ見てビックリしちゃったんですよ。 僕らなんかはアニメ観るのが恥ずかしいことだって世代なんで 

希有馬:あのですね、コレは僕の考えというか、まあ······普通の人はそう思うのかもしんないんだけど、僕にとってはオタクって負けてるんですよ、い ろんな物に負けてここに流れ着いて来てるんです よね。 

庵野:ええ、世間の負け犬ッスよね。 

希有馬:だから僕は、「こんなアニメ、好きだあ !」ていうのは恥ずかしいし、「こんなアニメで、 こんなにエッチなコトを描いてしまいましたっ!」 っていうのなんて、あんな人が集まるところでしかやれないワケじゃないですか(笑) 同好の士が集まる場所でないと(笑) それをですね、あろうことか 一般公道で話すのはおろか、まるで自分が最先端の モノに触れているかの如くに言うヤツとかがいるんですよ実際! 

庵野:ええ、いるんですよ。アレが格好悪くてですね。 

希有馬:勘弁してくれって感じで(笑) 

庵野:そうなんすよねもう。 オタクが情報の発信源みたいな勘違いしてる人たちがですね、なんかやたら多かったんで。アニメがなんか世界の、うーん、 文化の最先端って言ってるように見えるけど、僕から見れば一周遅れなんすよね。

希有馬:一周遅れ(笑) 

庵野:一周遅れだからなんかこう、 先を走っているように見えるだけ(笑) レースとか見てて、お、 あいつ速いなと思ったら、実は周回遅れでって言う (笑) 一位と競ってるように見えるんだけど(笑) なんか······あ! ニッサンがこんな位置にいるなん て!って実は周回遅れで(笑)だからまあ、 そう言う感覚が、僕はもうオタクにはあるんですよね。 

希有馬:で、それを…………おまえらが見てるのはこんな下らないモノだ、って言いたかったんですか?

庵野 下らないコトだ、っていうのを認識して欲しいっていうかいや、認知とか認識とかそんなんじゃなくて、なんかなー…… 

希有馬:成功しました? 

庵野 んーまあ、ある程度は。でも、それはもうどうでもいいんすよ。まあ、そう言うことで俺のそばに来るのがガタッと減ったから、それでいいっす。

希有馬:あ、なるほど(笑) 

ーーみんな心から、「そんなことはない」「アニメはもっとすごいモンだ」 って、言ってましたからねあの頃エヴァンゲリオン終わって、庵野さんがそう言ったのを聞いた後に 

希有馬:あっれでもしも、庵野さんが「俺は世界の最先端だ!」みたいなコト言ってたら、ああっと言う間ですよ笑) 

庵野:でしょうねえ······ いややっぱ、世の中には 教祖になりたい人と、なりたくない人がいるんですよ。あとなれない人が。なれない人は、もうしょうがないんで、誰かすがりつく人を捜すしかないですけどね。 依存するしか。 でも、俺は依存の体質には 耐えられなかったから…… 

希有馬:結局、それがいやだったんですよね?(笑)

庵野:なんかもー俺、「蜘蛛の糸」のカンダタの気持ちが良く判るんですよ。いろんな、なんかこう、 仲間がやってきて・・・・アレはもう仏様がひどいと思う(笑) 元々カンダタ一人を助けようと思って蜘蛛の糸をそれも、蜘蛛の糸じゃないですか。 アレ がナイロンザイルとかだったら、もう二、三人はオッケーかとカンダタも思うと思うんですよ(笑) で も、よりによって垂れ下がって来たのが蜘蛛の糸で、 そんなん見たらねえ······自分一人で上がってても、 いつ切れるのかしらんっていう恐怖と戦っているは ずなのに、それで、いろんな人間が山のように群がってきたら、そりゃあ、なんか落とすじゃないですか(笑)おまけに······なんかな 僕が法の基礎だと思ってるのは二つしか無いンですよ。 「カ ルネアデスの船」、目には目を、歯には歯をの 「ハムラビ法典」。あれこそが僕は、法として最低限のモノだと思ってるから。だから、カルネアデスの板から思えば、自分が助かるために他人を蹴落とす のは、モチのロンじゃないですか。それを否定したら国際法がもう成り立たないわけで(笑)なのに、 お釈迦様自身がそれを否定してる

ーー仏教思想の中では、それはダメ?(笑)

庵野というより、芥川龍之介の中ではダメだったんでしょ。あれはもう······アレを教科書にするこの国の感覚は、俺にはわからん、と。 どー見てもコ レは、向こうが悪いでしょう(笑) それがカンダタ が悪人になってて、こりゃダメだと。 こういうの教科書にのっけてる国はイカンなあと思うんですよ。

希有馬:まあ(笑) ……そうなんですけど(笑) 要は、みんなで一緒に助かった方がいいって、そう言う話でしょ?(笑) 

ーーでも、蜘蛛の糸だよ(笑) 

希有馬:ナイロンザイルにしとけってか(笑)

庵野 ええ。あれがナイロンザイルとかですね、 まだガンダムの手とかだったら、まあ、あと十人く らいは大丈夫かって、そう思いますよ。それが蜘蛛 の糸はないでしょうって

希有馬:わははは(笑) ••••••まあ、エヴァンゲリオ ンは蜘蛛の糸みたいなモンで、なんでみんな群がっ て来るんだろうと、そう言う感じですかね(笑)

庵野 まあ、そうですね。だから「あの程度のモン」なんですよアニメにしちゃあ良くできてる けれども、やっぱり「その程度」っていうだらけだし。あの、なんだったっけ、謎解き部分に 関しては、わざと開けてあるところもありますけど 

希有馬:あれでみんな、簡単に引っかかりましたよ ねえ。俺なんか、穴は開けるモンだとまで思いましたけど 

庵野:わざと開けてるところはありますよ。 リンクしないように、わざと矛盾があるように設定した ところが、二ヶ所か、三ヶ所 あれもね、なんか …………あれはどっちかって言うと嫌がらせかな(笑)

希有馬:嫌がらせって(笑) 

庵野:いや・・・最初のガンダムでそういう遊びをした人は面白いと思うんですよ。ファーストガンダ ムで語られていない部分を、どんどん埋めていって、 ルナツーってのはどうできててとか、ガンダムが宇 宙空間で動くのをどうやってるか説明して、なんかこう手足を動かしたら、その反動で動いて、これは推進剤を使わない分便利だって、エネルギーをつかわなくってっていう(笑) で、これはなんか・・・・・・いいこじつけだなあと思ったんです(笑) ザンジバル もホワイトベースも、あのまんまで突っ込んで行っ てですね(笑) 大気圏に突入するのがかっこいいと思ってたんすよ(笑) ガンダムにサランラップを巻いて大気圏に突入できる!ああ、これはいい! って(笑)

希有馬:わはははは!笑) 

庵野:ザクは燃え尽きるのにガンダムはなんで燃えないんだってシャアが不思議に思う、あの感覚が良かったんですよね。ガンダムのいいところってそこだと思うんだけど、それがゼータガンダムになってバリュートシステムとかいう余計なモンが付いて 格好悪くなってたじゃないですか。だからホワイト ベースも、あの格好で大気圏突入が可能な戦艦って いう設定が良かったのに、でも、ジオンは大気圏突入が遅れてるから、ザンジバルみたいなああいう丸 っこいやつでなきゃダメで、で、ザンジバル型でようやく大気圏突入が可能になったって。 で、 ホワイ トベースすごい!と(笑)

有馬:(笑) なにしろ、見た目で判りますからね、凄さが(爆笑) あんなんが大気圏突入するんですから(笑) 

庵野:え、なに、ガラスのトコにシャッター閉めたら、終わり? っていう(笑)••••••確かにガラスそのままはマズイでしょうけど・・ガンダムはサランラップだし(笑) まああれは銀とかでやればよか ったんだろうけど、アニメの場合銀って表現しにくいから。またはエネルギーの放射っぽいのとかを・・・ ・・・サランラップではなあ(笑) 説得力ないですよね (笑) 

希有馬:子供心にドキドキしましたけどね

庵野:耐熱フィールドつってまさかここからサランラップが出てくるとは(笑)

希有馬:(爆笑) 

庵野······あれが良かったのに、あっこからあとはなんか設定だけがやたら作られて… 設定マニア みたいのが出てきたじゃないですか。数値とかですね、なんか……ああいうのがな~ダメなんすよ。 ガンダムは18メートルだから、こういう風には見えないとか、いやその、どうでもいいじゃんって (笑)確かに人の大きさ、ここに乗ってるアムロとかから換算すれば18じゃないですけどね、どうでもいいじゃん! 1話で見てるアムロから換算すれ ば、あれ、30メートルくらいはあるんですよ。 比較すると。でも、あの大きさがかっこよく見えるんだから、それでいいハズなんですよ。だからエヴァ ンゲリオンもわざと、設定身長を出さなかったんですよね。 

有馬:スパロボで出たらしいですけど。

庵野 あの時には40~200って書いてありま すね。 

希有馬:んあ? 

庵野 まあ、一番小さく見えるときで40メート ルくらい、エントリープラグから換算すれば200メートルくらいかなあと。だって、エントリーブラグが首筋にこうささって、 こん中に人間がこれっくらいの大きさで入ってるってワケですからね。

希有馬:そう考えると滅茶苦茶でかいですね (笑) 

ーーかっこよく見えるために設定をいじっちゃうっ ていうコトを理解できないってのは多いですよね。 

希有馬:ああ、無理。飛べないっていうか…つまりその、「ヘンだろ、それ」ってのが先に立つんで すよね。 

庵野:そうなんすよ、だから気にしすぎなんすよね。普通の人はそんな気にしないのに。だから、 エヴァの場合はその辺意地悪くっていうか、言い方を悪くすれば・・・・・・馬鹿にしてるっていう。 ハナから。やるだけムダですよって。LDのライナーに 付いてる使徒図鑑みたいのも、あれも最初はやめたらって言ったんですけどね。どーやってもつじつま が合わないんだから。そんな風に、設定がいくつかリンクしないように作ってあるんですよ。これは負け惜しみとかじゃなくて、最初から、計算って言う か······こうすりゃもう、ダメだろう。このシーンっ てのは、それくらいいい加減にやってますよって言う(笑)誰が見てもこれじゃあ判んないでしょうっていう(笑) そういういい加減にやってるって判って貰えなかったかな、っていう(笑) ちょっと心外ですね(笑) 

希有馬:いや~それについてはあさりさんが「庵野秀明が、アンビリカルケーブルにオノが刺さると、 電気がたまってそこが膨らむくらいの演出をすれば、みんなが判ってくれたっていうのに(笑) あれはまだリアルすぎだ」って言ってましたよ(笑)

庵野:いやあそこまでやったらギャグになっちゃうじゃないですか(笑)だって、マグマにあの格好で潜るっていうアレでもうギャグっすよ。

――いや、俺たちはげらげら笑いましたけど

希有馬:んー、まあ、リアリティだよね

庵野:いやまあ、マグマの中が流動してるって言ったからって、こんな······あんなんじゃないですよね(笑) 

希有馬:いくらなんでもねえ(笑) あんなぶくぶく沈んでくのは無理だっつうの(笑) 

ーーマグマん中なのに、向こう見えますからね

希有馬:マグマの中で速い使徒って、なんだそりゃって(笑)

庵野:ねえ(笑) ちょっとみんな判ってよって 

希有馬:あー(笑)

庵野 あれもねえ・・・・・・山下くんとか、結構厳しい こと言ってて「マ、マグマに潜るんですか!?!?!」 つっ て、マグマっていう言葉はやめてくれって。マグマ ってのは個体の名称だからって。でも、それがいい のに(笑) マグマって言わなきゃ普通の人判んない よ) 

有馬:そうですねえ(笑) 

庵野:だから、ウチのやつはハードSFなんかじ ゃないですよね。まあ、それ言っちゃえば、昔から言われるように二足歩行の巨大ロボットの兵器運用性ってのは、もう、ハテナになっちゃう。 巨大ロボ ットがいる必要性から疑問になってく。 なんでそんなモンいるのっていうそれよりゃもっと、機動性 のいい戦闘機なんかの方がはるかにいいはずですよね。 あれよりはもっと、ちゃんと空を飛んで重火器を持たせて、の方が絶対にいいはずなんすよ。

希有馬:でも、それじゃあキャラクター性が無くな っちゃいますからね。 

庵野:まあ、ロボットにはなんないっすからね。 まあ、だからロボットモノって言う自体で、既にマ ンガなんすよ。 

希有馬:ゴチャゴチャ言うなと(笑)

庵野:ていうか、ゴチャゴチャいうたぐいのモン じゃないんですよ、 元々(笑) 馬鹿なことを、なん かこう、生真面目にやろうとしている、それがいい って言うのに(笑)最初のガンダムの良さ、マジン ガーの良さですよね。 

希有馬:はいはい。 

庵野:ガンダムでいいのは、あの微妙なバランス ですよね。ファーストガンダムは。ロボットモノと、 そこから抜けだそうとする力の微妙なバランスが良かったのになんでこう、Gアーマーとか否定するんすかね(笑) 

希有馬:(爆笑) いやあれ、富野さんもやりたくなかったって言ってるじゃないですか(笑) 

庵野:え、でもGアーマーいいよ。なんか、外枠から来ているロボットモノとしての宿命を、なんとどう回避しようかっていうあそこの葛藤がイイんですよね。アレを兵器として運用するっていう、 その無茶な(笑) アレを兵器として使用しようとす その心意気ってのが(笑) 

希有馬:確かになー、アレを与えられて、コレを兵器として使えって言われたら、困るよなあ(笑)

庵野でもま、兵器としてのMSを、作品中で否定しちゃってますからね。 MA出しちゃって。 ビグザム量産してれば良かったんすよ。 ギレンも、あん なところでレーザー作ってる場合じゃなくって(笑) 

希有馬:まあ・・・・・・これ以上長居しても・・・・・・じゃあ庵野さん、最後に聞きたいんですけど、庵野さんにと ってナディアって、今振り返るとどうですかね?

庵野 ん、まあ・・・・・・馬鹿なことやってたなあ、いっつもそれは思うんですけどね。 

希有馬:(笑)でも、今見る結構好きなんでしょ?

庵野:んーでも、やっぱりナディアやってる 自分が嫌いだから、多分見ないでしょうね。

希有馬:見られないですか。 

庵野見られないですねえ。 

希有馬:見てないんですか、結局? 

庵野:結局見てないす。LDの作業、アレが最後 

希有馬:じゃあ、ずいぶん見てないんですねえ。

庵野 んー、そうですね。六年くらい見てないか 

希有馬:もう見れないですか? 

庵野:見ようと言う気にならん、と。トップもそれくらい見てないですよ。 

希有馬:いつか見返そうかなあ、とか、そう言うのも今は……? 

庵野:今んとこないッスねえ。 

希有馬:見ると当時のことを思い出して辛いとか、 そう言う? 

庵野:いや、そういうんじゃなくて・・・もう終わ っちゃったから。 

希有馬:あぁ(笑) フィルム作ってるとそう言うコトってあるらしいですね。もういじれないフィルム に興味はないって言うか…… 

庵野:っていうか・・・・・・ああ、そう言えば、こない エヴァは一通り見直しましたよ。

希有馬:珍しい(笑) 

庵野 いや、アニメ忘れてるから(笑) どういうアニメやってたっけ、俺って。 カレカノやってると、 カット割りとかが実写になっちゃうんですよ。 カット 割りとか、カットとか。 

希有馬:実写のカット割り? 

庵野だから、「主観で全部動く」ああ、違う違う違う(笑) そんな、 こんなの主観でできない よ、とか。 

希有馬:あー(笑)アニメと実写で違う回路が必要になっちゃうん ですよね。 

庵野:そそ 

希有馬:ラブ&ポップの弊害っていうのもあったんですね……(笑) 

庵野:弊害って言うか、実写の方が今は好きだって言うのがあるんでしょうね。

希有馬:実写、面白いですか?

庵野面白いですよ。 

―これ終わったら、もう一度実写に……?

庵野 多分、これ終わったらまた実写でしょうね。

希有馬:ラブ&ポップ、アニメの人が実写って言うと押井守くらいしか思いつかないもんで、ああなっ ちゃうんじゃないかって心配してたんですけど いやあ、面白かったっすねえ。 

【感想】

見どころはエヴァの身長についての話やたびたび語っている「わざと矛盾点を入れた」っていう話。あとガンダムの話。エヴァの小説版は出さねえって話。(まぁ全部見どころだが)

ひとまずこれで全部終わり。最近上げたものを見やすく修正・要約する作業をすればコンプリートか。まぁでも「えっこの本に庵野監督のインタビュー載ってたの!?」ってのは後からゴロゴロ出てくるから見つけ次第上げるだろうなぁ… 

絶版本に絞っているからいいんじゃないかとは思うんだけどやってることは無断転載なんで版元に怒られたらいつでも消しますからねここ。

【R7.12.25感想】

貴重な話が多く面白いインタビューだが「いくら27年前とは言え同人誌に載っているインタビューを全文載せちゃっていいのかなぁ…」という罪悪感を感じる。希有馬さんこと井上さんは今でも現役の人だし)「ナディアの製作舞台裏」の話がすごすぎるのもある。

余談だがこのページはページをグーグルドライブでスキャンして文字起こしをしているのだが、希有馬さんの最初の希の字が高確率で飛んでいること、名前の後の:が高確率で飛んでいること、ところどころ文字がB字体になっているのも含めて誤字修正だけで7時間ぐらいかかった。疲れた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です