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このサイトについて

2 0 2 6 年 1 月 1 日 全 作 業 終 了 。(5年かかった…)

ネットでアニメや漫画、ゲーム等の話をしていて「このシーンは〇〇らしいよ」だとか「製作者はこう言ってたよ」みたいなのが時々出てくるじゃないですか。

「それは何に載っていたのか出典をいちいち明示してくれよ」って思うんですよね。

なので自分が一番好きな作品であるエヴァンゲリオンにおいて「この話のソースは〇〇の何ページだよ」っていうのを明らかにして公開したいなと思ったのでこのサイトを作りました。エヴァや庵野さんの勉強も兼ねて。(後から「この本に庵野さんのインタビュー載ってたのかよ!?」って判明してどんどん量が増えていったので今後それでページが増える可能性は大いにありますが)

元々はシンエヴァ公開前に自分の中で予習をしてエヴァ完結前に心の準備をしておきたかったので作ったページです。

ファン活動の範疇なんでいいんじゃないかと思ってはいるんですが版元に許可を取っていない所謂無断転載なんで版元に怒られたらいつでも消しますからね。

個人的には富野監督とかガンダムとか型月とかで誰かこういうページ作ってくんねぇかなぁ…と思っている。

俺は後はナデシコとマブラヴぐらいだったらこういうサイトが作れるんじゃないかなぁと思っているんだが2クール作品であるエヴァだけでも5年かかったからな…  

ちなみに新劇場版のサイトを作る予定はあるのか?についてですが…

誰か代わりに作ってくれねぇかなぁ…

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『対談 庵野秀明×二宮ひかる』(二宮ひかるオールコレクション【楽園】)より)

女性漫画家:二宮ひかるさんと庵野監督の対談。

インタビュー日時:1997年7月14日夕刻(夏エヴァ完成直後)

庵野:夏エヴァようやく終わったので今は実感あります。ラブ&ポップは明日から仕事開始。【69】

庵野:ラブ&ポップは自分からじかに原作者に話を持って行った。原作者に直接会って。【69】

二宮:女の前で泣ける男はすごい

庵野:僕は女性の方がすごいと思う。女の胸で泣くっていうのは、オトコっていつまでたってもやっぱり子供でしかないってことだと。

二宮:女も子供ですけどね。そのやり口が巧妙になりうだけで。

庵野:でもやり口が巧妙になるのはムダがなくなるということで、それが大人になるということなのでは。巧妙さを手に入れるというのはそれはテクニックですから。少なくともそのことに関して理解している。それが大人だということと思うんですけど。(ミサトさんに通ずる話だなって。15話っぽいというか)【70】

編集:庵野さんは猫背のイメージが強くて。「ああこれは庵野さんなのかな」って思ってたら「いやこれはウルトラマンが云々」って話を聞いたんですが。

庵野:まあ、ウルトラマンというのはヒト様に説明するのに便利だから使ってます。自分が好きなのが猫背なんですね。自分の形になっちゃうんです。だから僕が描くと胴が太くなる。時々、絵の方も描くんですが、 初号機とか描くと胴太になってあんまり好きじゃないですね。【70】

庵野:成功とか失敗とか・・・うーん….. 何か無責任みたいな感じになっちゃうかもしんないけど、あまり考えてないっス。僕が最低限確保しなきゃいけないのはですね、やってくれた各スタッフの人が、やって損したというか、やんなきゃよかったとか思わなきゃいいんですよね。まあそれがひとつと。あと、商業作品ですからお金を出してくれた人が損さえしなけりゃ…。 大儲けはそりゃ時の運ですから。 出してくれた金額に対して最低限の保証さえしてりゃいいんですよ。ビデオが2万本売れてそれでペイできるんだったら、最低限 2万本売れるものにはしておかなき ゃいけない。それが4万売れるか10万売れるか20万売れるかはホント時の運みたいなもんですかねえ。 世の中には当たるアニメでなく当たったアニメがあるだけなんですから。それは結果論ですね。ただ最低の保証 だけはしなきゃいかんと思いますね僕が言えるのはその2点ですね。【70】

庵野:僕が一番イヤなのが自分で完成形態が真っ先に見えちゃうって事なんですよ。そんなもの、自分で面白いと思わない。これから先どうなるんだろうという方が面白いです。(だからエヴァはああいう作り方をしたんだなと。NHKのシン・仮面ライダーの製作ドキュメントでも似たようなこと言ってたなぁ)【72】

庵野 『エヴァ』に関しては失敗への恐怖というのは無かったですけどね。【72】

編:このあいだある男性作家と作品制作の進め方について話をしてて、 彼の作り方を聞いているうち、「ああ、 それはトンネル開削だね」と。たいがいの人はビルの建設なんですけど。 基礎工事から鉄骨組んで、外壁付けて内装やって…。

庵野:人に聞いたんですけど、 土木と建築というのは全然違う。似たように見えるけど本質が違うそうです。

編:庵野さん自身はどちらだと?

庵野:土木じゃないですかね。 設計図なしにビルは建たないですよ。トンネルも出口を決めるやり方はありますけど、「どこに出てもいいや」っ てのもあって。

編:なんか脱獄囚みたいですね。

庵野:あ、いや、僕の場合トンネル がですね、どっちかというと掘ってる事に意義があるんで、どこに出るかというのはそんなにないんですよ。 掘り進んでいるところに意義がある。時間とか経済力とか尽きたら、そこで中断もオッケーなんです。出口に 出るというのにそんなに価値を感じない。最終的にそりゃ出た方がうれしいですけど。万が一出なくてもオ ッケーなんです。じゃなかったら×印もせずにトンネル掘るなんて作業できないし、出口が無ければスタッフを引き返させればいいんですから。 出口は片っ方はあるし、「ここまでだ」 と思ったら「すいません引き返して下さい」と言えばその山からはとりあえず出てこれます。それが最低限の保証なんです。だから僕がやっちゃいけないのはそこで落盤だけはさせちゃいかんと。出口の方に岩がドドッと落盤して詰まったらそれはもう保証が無くなる。最低限、引き返 してそっちに出てこれるという事だけはできるようにしておかないと。 もうひとつは掘ってるさまがそのまま芸にならないといけない。トンネルが貫通する事よりも掘っている姿そのものが面白くなきゃいけない。【72】

庵野 現実の中の真実と作り事の中の真実って、作り事の中の真実の方がより真実に近く感じるんですね。【72】

二宮:庵野さんの日常はどんなですか?

庵野:感覚的には仕事に逃げている感じですかね。

二宮:え、逃げているんですか。 追われてるとか溺れてるじゃなくて?

庵野:いわゆる日常が・・・飯を食うとか、そういう生活感というのが自分の中に存在しないので。まあ、仕事だけという。ちゃんとした生活をしながら家庭を持ち、子育てをしながら仕事をしている人の方が偉いという気がしますね。そっちに向けるエネルギーを全部作品にぶつけているから人様にウケがいいだけで。 そのバックに何か確固としたものが あるかというと生活基盤が全然無いという・・・現実ではなく夢の中にずーっといるようなもんです。【73】

二宮:「アンタちゃんと食べてる?」とか親から言われたりしないんですか?

庵野:ああ、ええ・・・家族という感覚が無いんで。正月とかたまに電話は入れますが、そういう感じじゃないですね。【73】

庵野:彼女がいたときも横に置いてましたね。で仕事仕事。【73】

二宮:男の人はどういう気持ちで女の人と付き合うのかなあ。

庵野 まあ、基本的には母親の代わりですね。【74】

編:庵野さん割と女性誌読まれますよね。

庵野 女性誌しか読まないです。【74】

庵野:(自分は)生きる事にそんなに執着してないからでしょうね。少なくとも喰う事にはほとんど執着ないですから。喰う事に執着が無いというのは生きる事に執着が無いのとほとんど僕は同 義だと思ってるんです。

二宮:お肉と魚と卵がダメなんですよね。

庵野:卵は大丈夫です。

二宮 いかん、小さい子供の偏食と一緒にしちゃ…(笑)。

庵野:いや、子供の偏食から一歩も外へ出てないですよ。だから卵焼きが好きという… 小さい子供と同じなんですよ。

二宮:小さい頃というと私も肉と魚と野菜が嫌いだったんですよ。で、 何を食べてたかというと白いご飯が 一番好きで。

庵野:ええ。

二宮:その白いご飯に塩をかけて食べるのが一番好きでした。

庵野:あ、僕はマヨネーズです。【74】

庵野:お腹空いたら喰いますけどそれでも雨が降っていたらですね、雨の中濡れてまでコンビニ行こうとしないですよ。あまり帰らないですが、 お正月休みとか帰るじゃないですか 自分のアパートに。するとアパートの近くにコンビニ無いんで、3~4 日間喰わないですよ。(それはおかしいだろwwwwww)

二宮:うわ~。3日間4日間ですか。

庵野:ええ。メシを喰いに外へ出るというのが鬱陶しいんですよ。だったら喰わない方がいい。アパートではもう7~8年位お湯沸かしてないです。冷蔵庫も6~7年開けてない。 だからどうなってるか分からないで す。電源切ってないんで大丈夫ですが、中に何が入ってるか・・・たぶん7 ~8年前のビールじゃないかと思う んですけど。

二宮:あの…氷おすすめですよ。いつも食用に氷作ってるんです。 小さめに、口に入りやすいように。 水道水で作って・・・あのカルキ臭さがキモチイイんですよ。

庵野:氷は子供の頃好きでしたよ。【74】

二宮:肉とか魚とかがキライなのは生理的嫌悪ですか?

庵野:それもあると思います。皿に載ってるのが死体に見えちゃう。 「あ、 魚が死んでる」 「牛が死んでる」。 まだ肉はパーツですから全体像を想像しないですけど、魚は全体像がそこにあるので死体にしか見えない。物とか生き物が好きじゃないんだと 思うんです。好きだったら食えるんです。 生き物が嫌いなんですね。

二宮:あ、でも嫌いだと言われるほうが解りやすくていいです。 「かわいそう」と言って食べない人はグーで 殴りたくなりますけど。

庵野:かわいそうとは違いますね。 嫌いなんです。

編:それは人間も含めてですか。

庵野:好きか嫌いかどっちかといえば嫌いだと思います。自分を含めて。

編:それにしても給食のとき苦労しましたでしょ。食べ終わるまで教室に残されたクチで。

庵野:ええ、そうです。残されたクチです。

二宮:お昼休みの間みんなが外で遊んでいるのに一人ポツンと机に残って食べさせられてる食べるフリをしているという感じですか。

庵野:ええ、食べなかったです。

編:それで先生が諦めました?

庵野:ええ。熱心な先生がいて、僕が給食を食べ終わるまで本人も帰らない。それでズーッと夜の8時までなって。結局食べないで、その帰りにチョコレートくれたのでラッキーでした。 小学校2年の時です。(草)

二宮:嫌じゃありませんでしたか? 「先生なんで早く帰ってくれんのやろ」って。

庵野:いや別に。「食え」と言われて「いや食べません」。「食べろ」と言われると余計に食いたくなくなる。 意地っぱりだったんですね。(この話はたびたびしてるけど本当に草が生える)【75】

庵野:僕のいた小学校は市のモデル校で、なんか教育委員会が思いついたらここで試すという。そこで「偏食児童をなくすシステムを作る」ってことで、全校から選りすぐりの偏食児童を空いている教室に隔離して。 そこで先生がマンツーマンで指導する。1年から6年までズララララーと各クラス1人ずつで1か月くらいやったのかな。テレビが取材にきたの憶えていますから。その中で唯一の失敗例が僕なんですよ。(流石に草)

二宮:つらくなかったんですか。

庵野:つらくないです。食い物じゃないですから。食える物が食えないというのはつらい事ですけど、最初から食い物じゃない。食い物として存在しないんです。【75】

庵野:ネーチャンにもあまり興味ないです。風俗行かないし。最近はただ慣れてですね、おネエサンからいろいろ話を聞くのが面白い。

二宮:それは自分から水を向けるんですか、それとも向こうから問わず語りに話してくるんですか。

庵野:これにはコツがあって、ある程度自分の事をサラサラと喋るんですよ。すると安心してバーッと喋り出す。そういう人の話というのは面白いですよ。自分で考えられないような人生っていうのがありますね。 ああ、面白いなあと…【75】

庵野:これは極論になってしまうんですけど、援助交際と結婚というのは事象的には変わらんと思うんです、相手が好きかどうかという大きな違いがあるだけで。男の方は女にお金を渡して貢ぐことによって自分の存在感というか価値観を認識してるわけですから。お互いにそれで納得してれば僕はそれでオッケーだと思うんですけどねえ。(EOEのミサトさんみたいなこと言ってる)【75】

庵野:セックスだけは相手がいなけりゃできないですから。自分も求めてるし相手も求めてる、そういう事ですよね。まあ一番簡単な方法論として、 相手を必要とする行為として、誰にでもできる。

二宮:セックスしたり恋愛したりというのは、とにかく自分がなにがしかになるための一番、最短距離なんですよね。

庵野:ええ、自分の存在を認識できる最短距離。おまけに快楽まで伴う、 こりゃグーですよ。ハマる人が多い のも解ります。僕も生まれて初めてセックスしたときには、「ナルホド!」 と思いましたね。

二宮:ナルホド、ですか。

庵野 ナルホド、です。 それまでわかんなかったですけど、若い頃初めてそういう事をした時に、「あ、ナル ホド、こりゃみんな一生懸命やるわ」 っていうのが最初の感想なんです。【76】

庵野:ちょ っと前にスピリッツで描いていた相原 コージさんのヒトコマ漫画で「今のオナニーはしないほうがよかったな」と いうのを見た時は「なるほど!」(笑・ 膝を叩く)と。 ハズレのオナニー。

二宮:なんかウロコが落ちますねえ (笑)。

庵野:毎回良いというわけではないですね。

二宮:すいません、ソレは射精してもですか(笑)。

庵野:ええ。そうです。射精感とい うのも、いいセックスというのもあると思うし、オシッコと同じで出すだけという時も・・・。いい歳して夢精するのもイヤだし「ここらで出しとかな いとマズイかなあ」という――それ は排泄物と変わんないですね。【76】

庵野:戦争に行くとまともな神経してる人は参るでしょうね。普通人間はヒトを殺すのがあんまり好きじゃないので。一次大戦や二次大戦から帰ってきた兵士はけっこう参ってたと聞きます。【76】

庵野:最前線に行ったらたぶん何もできないですけど、一番後方で作戦指揮を立てるんだったら僕はかなり 人を殺せると思います。実際に(殺人の現場を)見ないと、この作戦で向こうの兵士が何万人も死ぬし、こっちの兵士も何万人も死ぬんだなあと思いながらもそういう作戦を立てて実 行するでしょうね。

二宮:そうか。もう(監督という) 今の普通の生活の上でも指揮官なんですよね。みんなに死ねと言ってる・・・。

庵野:ええ。そのためにイヤな思いはするんでしょうけど、まあ、淡々とやってるんじゃないかなあ。【76】

庵野:アニメの世界は責任の所在がハッキリしてますね。

庵野:監督というのがそういうもんですからね。フィルムは監督のものですから。この民主主義の世界でめずらしく残っている独裁ですからね。 監督は絶対です。

二宮:昔からそうなんですね。

庵野:全ての悪評も、感動の声も、 監督のためのものです。そこには脚本が良かったとかは存在しないんですよ。そのホンを使った監督の手柄にしかならない。その分失敗した時も監督が全てを負うわけです。【76】

庵野:僕の周りにいる人は監督なんかやりたくないって言ってます。

編:庵野さんを見てるととりわけそう思うんですか。

庵野:みたいですね。【76】

庵野:作り事の中のリアリティというのは突き詰めてみたいですね。もちろん、 見てる人や読んでる人が共感するというのがリアリティにつながるという単純な方程式があるんですけど、 その方程式の裏にあるのは何かと最近思うんです。虚構と・・・何だろ・・・虚構と幻想と現実というのがありますよね。フィルムの、映像の方でいえばドキュメンタリーとフィクションとイリュージョン。アニメというのはイリュージョン、全てが作り事ですから。どこにも現実というのは無いわけです。セルアニメーション見て、こんな子がほんとに存在すると思う人は一人もいないはずなんです。 セル画ですから。実際にその人が存 在して自分のチンチン舐めてくれると思う人はいないはずなんです。でもそう思い込もうとする人は山のように…。【77】

庵野:『エヴァ』は アニメなんですよ。その中にあれだけのリアリティをみんなが見い出すというのは一体何だろう。それは共感する部分が多かったんだろうと。 自分の中の現実と照らし合わせた時にマッチングするものがあったんだろうと思います。

庵野:全部作り事の世界とドキュメ ンタリーが対立した時にどっちが勝つか、まぁ方法論の違いでしかないんですけど。フィクションがドキュ メンタリーに勝てる瞬間というのは何だろうと。やっぱり原一男さんの 『ゆきゆきて、神軍』とか観ると、かなわんと思いますよ。本物の強さというのは常に存在しているんだと。あれは本物ですね。確固とした真実なんです。フィクションの中の真実ーーー本物の瞬間というのはなんだろうと。最近はそっちの方の疑問もあって実写をやろうかと。方法論の影から何がでてくるのか。

二宮 ブラックボックスみたい。

庵野:今回の映画(夏エヴァのこと)で、今セルアニメでできる、思いつく事はほとんどやっちゃったんで(笑)。【77】

二宮 うーん、ニクイ(笑)。こういう風に言えちゃうところが。

庵野ちょっと今、ネタが無いんで(笑)。実写やらないと。次ができない。『エヴァ』始める時に考えたのは 40歳になるまでは連チャンでいく。 以前、4年も壊れてたんで(笑)。今が旬だと思うんですよ、35から40ぐらいが。先達を見ても全員がそうですね。高畑勲さんも宮さん(宮崎駿) も富野由悠季さんも出崎 (守)さんも石黒 (昇)さんも。一生のうちいいものが 作れるのはあと数年と思うんですよ。 あとはその後の下り坂をいかに押さえるかですね。ピークはもう来ると思います。ひょっとしたらこれが、 今がピークかもしれない、という恐怖はあります。「庵野さんはエヴァンゲリオンが一番良かったね」と言われるのはしょうがない事だと。ただ、 そう言われないように頑張ろうと。【77】

庵野:あまり自分が長生きしてるイメージが無いので、ヒト様の考えるような恐怖感というのが無いんですね。

二宮:パッと咲いてパッと散ろうっ てやつですか。

庵野:ええ。なんか、死が訪れてもそりゃあそういうもんかあというのがある程度あるからなあ。

編:もういっか、と思う瞬間ってあります?

庵野:エヴァに関してはもういっかあと。こないだ終わったんで。もういっかあと思ったんで次に移れます (笑)。あまり死ぬ事に関して云々というのはイメージが無いんですよ。【77】

庵野:僕は自殺を肯定してい るわけじゃないです。そりゃ人間死ぬよりは生きているほうがいいです よ。ただ終着点くらいは選択の余地があったほうがいいんじゃないかと。 しかし、世の中にはまだまだ生きたくても死んでしまった人がたくさんいますからね。中学からの友人がガンで死んだ時は一番こたえましたよ。 29の時なんですが。あの時は月並みな考え方ですがそいつの分まで生きようと素直に思いましたね。「なんでコイツがここで死ぬんだ」と。何にもまだしてないのに。

もう一人、2年前に。 こっちは交通事故で。これは運が悪いんですけど。 ウカツな奴だったからなあ……。 両方つらかったです。【78】

二宮:不穏な話ですけど、庵野さんに死なれたら現場の方は困るでしょうね。指揮官なわけだし。私、何も 知らなくて、この前まで、庵野さんがガイナックスの社長だと思ってました(笑)。

庵野:社長職はヤですね。

二宮:監督はオッケーですか。

庵野:社長は(社員の)生活の保証をしなければいけないじゃないですか。 でも監督というのは作品の保証だけすればいいんですよ。あとはそれに見合うだけのギャラを持ってくればいいので。生活の保証というよりは、 仕事に対する報酬の心配だけーーーあと、精神的満足感。その仕事をやって良かったという。それを与える事に専念すればいい。それが社長になれば、会社転がすために 「次のアニメは何をやろう」という事を考えなきゃいけない。【78】

庵野:僕が守るのは作品だけ。 イコール、スタッフ。 手伝って くれた人が嫌な思いをするのだけは避けたい。こうして作品が当たって、 人様から褒められたりするというのはスタッフの耳にも良いと思うので。自分はそういう意味では代表でしかない。そこには独裁というシステムも敷いてますが、それが映画という か映像というものなので、失敗しても監督の責任だし、うまくいっても監督の責任だし。それだけは確保しとかないと何にもできない。【78】

庵野:『エヴァ』に関していえば手を抜ける状況というのは存在しなかったから。努力は売りにならないですよ。「こんなに努力したのに」というのは僕は変だと思うんです。「こんなに一生懸命やりました」と言われても「そりゃ一生懸命やるのはアタリマエだ」と。【78】


庵野:ええ。脳内物質出まくりといえばTVの最終2話です。あの辺は楽しくて楽しくてしょうがなくって。 あの時間は良かったですよ。スタッフも大変でしたけど。あれを3日で作るというのはすごいスタッフだと思います。物理的に可能な限界なところまでやってあそこまで出来てるというのは我ながらすごいと思いま す。その分の揺れ戻しというのはそのあとガッシャーンと来たんですが、 あれもまあ今考えればいい経験で、 ヤク(薬)も射たずにこんなダウンな状態になれるなんてすごいと。その時は本当に嫌でしょうがなかったんですが、今考えるとああいうのもなかなかないと。【78】

二宮:一度は経験したいと思います。

庵野:まあ、こういうのは集団作業ですと一層デカくなりますよ。宮さんにもそこは褒められました(笑)。 面白そうだといえば、舞台やAVとかもやってみたいです。

二宮:制作費あまりかけないような?

庵野:今度の映画もそんなにお金かけないでやりたいっス。

編:制作期間も?

庵野:実写のいいトコはそれなんです。短期集中ですから。3か月で30 分のアニメは作れませんから。その分体力使いますけど。 この夏は1日3食喰わないと持たない(笑)。【78】

庵野:実写は自分が倒れたら全部止まっちゃうじゃないですか。アニメの場合、監督って最後尾で検閲する、 上がってきたものチェックしてNG出したりOK出したり。NGの場合は自分で描いたり他人に再配したり …。実写の場合は先頭車両です。ラッセル車みたいなもので。僕が最初にそこに行かないと。「じゃここにカメラ置いてください」と言わないとカメラマンは動けない。そこで僕がバテて 「じゃあその辺でやってて下さい」というワケにはいかないですよ。【78】

編:暑い日が続きますから・・・でも夏という季節が好きじゃないですか?

庵野:夏には思い入れが強いですね。 夏が好きなのはただ単に子供の頃夏休みがあったという記憶のせいかもしれませんけど。【78】

編:庵野さん鉄道が好きですよね。

庵野:早く500系に乗りたいです。

編:実写の撮影が終わる頃晩秋になったら東京まで来ますよ。 庵野:それまで待つしかないです。 500系ってHOもNも出ていないですよね。老後の楽しみにとってあるんです(笑)、鉄道模型は。あれは金がないとできないですね。あれを広げるだけの場所と、買い揃えるだけの経済力を手に入れないと金持ちの道楽ですから。

編:あと作る時間ですよね。絶対、レイアウト凝りそうだから。いや、 庵野さんの口から「老後」という単語聞いて安心した(笑)。

二宮 うん。不思議なというか、かわいい感じですよね。

庵野:老後の趣味はそれです。 それまでは鉄道模型を立ち読みで(笑)。 でも500系が出たら買うでしょうね。ついに買う時が(笑)。買い始める と怖いんです、LDがそうですけど。

編:どんどん買っちゃいましたか。

庵野:他にお金遣うあてがないですから。【78】

二宮:ここに来るときに思ってたことって単純で、もうエヴァンゲリオンの話はイヤってほど聞かれて、3回も4回も同じことをしゃべってうんざりしているだろうから…って。

庵野:いや、それはこれから始まるんです(笑)

二宮:あっそうなんですか(笑)

庵野:だからもう紙に書いて配ろうかと(笑)【78】

【感想】

見どころとしては「エヴァの猫背はウルトラマンからではないという話」(監督が猫背が好きだから)、よく話題に上がる庵野さんの偏食の話(卵は食べれるらしい)とヤバすぎる私生活について、監督というのは独裁だが失敗も成功も全部監督が背負うという話、等だろうか。(全部見どころだが)

『ガイナックスインタビューズ』よりも先に読んでいたのだがまとめるのを忘れていたので新年早々あげたという話。これで全作業終了。約5年かかった。(エヴァ17話の電車の中の冬月とゲンドウの話並み感)

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絵コンテ

ビデオフォーマット版第弐拾壱話・第弐拾弐話追加シーン絵コンテ

【第弐拾壱話】

・新アバン作成日:1996年10月10日【526】

・冒頭の映像(南極基地)は8ミリビデオの画面【526】

・絵コンテには「あぁこの先のカメラはいい。全部止めておいてくれ」「はい」という台詞アリ。(それでモニターが消える)あのビデオは記録映像だということか。【527】

・フィルム本編とはセリフが微妙に違う。フィルム本編では「違う、九州ラーメンだよ」 「どうも日本は小さくて、どこも同じに見えちゃいますわ」 「そりゃ君の国が広すぎるんだよ」という台詞があるがコンテにはない。【527】

・セカンドインパクト発生前の衝撃波で人が飛んでいる【530】

・こちらもフィルムにあるセリフが載ってない。

「ガフの扉が開くと同時に、熱減却処理を開始!」や「コンマ1秒でもいい!奴自身にアンチATフィールドに干渉可能な、エネルギーを絞り出させるんだ」や「S2機関と起爆装置がリンクされています。解除不能!」という台詞が絵コンテにはない。【531】

・庵野監督のコメント多数あり。

※アバンタイトルは全てビデオ処理になり〼 素材処理は一考

〇サンドノイズはビデオでインサートか?

〇ビデオ処理まで済ましたところでDBか?

〇すべて素材(SEも6ミリで)としてビデオ編集か?

〇ラストのマーク以外は一度8ミリビデオに落としてからビデオにする。

–でよろしく。

↑上記が庵野さんのコメント【531】

・冬月「あの悲劇をもう一度おこすつもりかね…」 ←冬月怒りへの嫌悪感がわいてくる とある【538】

・ユイの名前が唯と書かれている(公式でそうなのか適当にそう書いてあるのかはわからん)【540】

・加持「さて、行きますか」 ←覚悟を決めてりりしく とある【546】

【第弐拾弐話】

・「しかしあれではまるで人形の親子だ」のセリフの時に人形の生首を持ったアスカの手が映る。【641】

・ノーマルのコンテに追加してあるのだがビデオフォーマット版だと父親と女医の情事が聞こえているアスカのシーンで(ケンオ感)と描かれている。【642】

・アスカの母の墓標が映っているところで「母の名は一考します」とコメントあり。【642】

・追加シーンの加持さんにケータイで電話をかけるも通じなかった時のアスカの顔 「期限のよくなさそな表情」とある。【644】

・向かいのホームにいるシンジと綾波を見たアスカ 「ますます不機嫌になるアスカ。悪態をつく」とある。【645】

・「(憎々しげに)あんたなんかに」とある【645】

・「楽しげに話している様に見えるシンジ」とある。【645】

・(浴室のシーン)最初は「無表情なアスカ」とあるが「ミサトやバカシンジと同じ空気なんか誰が吸うもんか」のセリフの後に「徐々に追い詰められた表情になるアスカ」とある【648】

・「ミサトもイヤ。シンジもイヤ。ファーストはもっといや」のシーンでは「さらに追い詰められるアスカ」とある【648】

・「自室で聴いているミサト(仕事を止めて)万年床の上でノートパソコン、コーヒーの空き缶、本の山(ビールは一本もない)マジな顔」と記述あり(ここ家で仕事してたんだ…)【649】

・いろいろな人がアスカを演じているシーン。コンテでは『三石』や『林原』や『長沢』や『山口』と書いてある。「違う!こんなの私じゃない!」のシーンでは『宮村』と書いてある【651~657】

・追加シーン。コンテを読まないと分からない情報あり。以下の通り。

夜の石畳

さまようように歩くアスカの足

夜霧の操車場さまようアスカ

その寄り不安げに誰かを探す(ここ誰かを探してたんだ…)

背中越しに体返すと何か、見つける

操車場の向こう陸橋の下に人カゲ

求めていた人か?のりだし向かおうとするが

突然INしてくる人物にぶつかる ちょっとおどろくが…

もう一人

一気に人の群れにまきこまれ前に進めない

もまれるアスカ

顔が上がる フードが落ちると

中身は顔のないアスカ自身 口のみ笑っている

まとわりついてくる大勢のアスカ

去っていく人影 画面大きく揺れ

アスカ「たすけて。たすけて加持さん」 髪の毛ひっぱられたりもみくちゃにされる てをのばそうとするが…

去って行く加持 置き去りにされるアスカ #15バンク

加持「アスカは子供だからなあ」 ボーぜんのアスカ #15バンク

加持の笑顔さっとPANDOWNすると奥にシンジ。

アスカ「!」 息を飲むアスカ

アスカ「なんであんたがそこにいるのよ!」 屈託のない笑顔のシンジ

アスカ「何もしない!」 ふすまを閉めるアスカ #9BANK 閉めた態勢のままのアスカ

アスカ「私をたすけてくれない!」 口を近づけるアスカ #15BANK ギュと手をつかむ初号機

アスカ「抱きしめてもくれないくせに」 かけだすアスカ #15BANK うがいの後顔上げるアスカ

アスカ「誰もっ!」 子供の頃描いたあぶない絵 参考さがす

アスカ「誰もっ!」  同じく

アスカ「誰もっ!」  同じく

アスカ「だから私を見て!」 BANKなくアスカ #25【658~666】

・以下追加シーンについて記述

NHKドラマのセットの様な公園。裸でうずくまっているアスカ。

幼ないアスカ「寂しいの?」 サルのぬいぐるみを抱いた幼ないアスカ

アスカの前に立つ幼ないアスカ

幼ないアスカ「寂しいの?」 ゆっくりと差し伸べられる幼ないアスカの手

アスカのあたまIN 触れる直前に、

アスカ「違う!」 アスカ激しく拒絶

先から弾けていく子アスカの手

アスカ「側に来ないで!」 ちょっと飛ばされている子アスカ

弾けて消える ぬいぐるみ首がもげる

アスカ「私は一人で生きるの!」 色々なアスカの絵おきかえ。

アスカ「あ(あえぎ声)」 アスカOFF「ねえ、私のこと、好き?」 床に落ちてはずむぬいぐるみの頭。スローモーション(ストロボ) OFFで切ないあえぎ声(押さえきれずに漏れた感じ)

アスカ「誰にもたよらない!」 色々なアスカの絵おきかえ

アスカOFF「ん あ(あえぎ声)」 アスカOFF「ホントウに私のこと、好き?」 続き スローではずむサルの頭

アスカ「一人で生きていけるの!!」 色々なアスカの絵置き換え

切ないアスカ「(軽い笑いとからかい気味)・・・・ウソばっかり」 幼ないアスカ うす笑いをうかべるように。

↑さっとPANUPするとそれは人形なのだ

アスカ「いやぁぁぁぁぁ」SE破壊音。(ブチッと切る) グチャグチャな絵や文字模様etc。激しく置き換え狂った様なアスカの悲鳴。【667~670】

・アダムの胸元に刺さっている槍(まだアダム表記なのか…)

ズポッとぬける。体液が少し散るが穴はない。弾力のある表皮。

槍のぬけたアダムは一気に成長を始める。ずるずると下半身が現れる(袋に水が流し込まれる様)のにつけてPANDOWN。

1K作画。水柱上がるまで。

その様を見ている零号機。(見てたのか…)【672】

・槍のUP えらの様にゆっくり開くと中に光る隊組織が見える。(隊組織だったのかアレ…) 息をはき出す 一気に閉じる イカとか、くらげとか。 巻き込む様に無力化して一気に突破する。 そのままつかえるか? とある【675】

・なぜか弐拾参話のビデオフォーマット版のコンテがない(零号機が自爆するときに出る今まで倒した使徒の形の肉塊とか最後らへんの初号機建造シーンとかコンテの説明見たかったのに…)

・弐拾四話も追加カットのコンテねぇじゃねえか! 見たかったんだが!!

【感想】

最近出た電子版の絵コンテ集には紙の絵コンテ集にはない「ビデオフォーマット版のコンテ」が載っていると聞いて驚きながら買って読んでみたのだが、弐拾壱話・弐拾弐話のビデオフォーマット版のコンテが載っているのはありがたいのだが、先述したとおり弐拾壱参話・弐拾四話のビデオフォーマット版のコンテが載ってなくてとても残念。なぜ載っていないんだろうか。紛失したんだろうか。特に弐拾参話のは見たかった…

絶版本じゃないので今回は写真は載せません。

↓商品ページ

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ブックレット

リニューアルDVD単巻版付属ブックレット

【Vol.1】

・第弐話は第壱話に続き、庵野監督と福監督の摩砂雪さんが絵コンテを担当。摩砂雪さんはメカアクション中心の話を多く担当。

・初号機VSサキエル戦は作画監督の本田雄さんとガイナ若手エースの吉成曜さんが原画を担当。

・マンションでミサトがビールを飲み、シンジに風呂を勧めるあたりの原画はOPの作画にも参加している長谷川眞也さんが担当。

・第四話はシリーズ構成的に一度オミットされた話であり、第参話の次には第伍話にあたるエピソードが予定されていた。だが、制作を進めるうちに、第参話の後にシンジと周辺の人間関係を描く必要があるのでは、という意見がスタッフ内から出され、当初考えられていた内容を大幅に変更してこのエピソードが作られた。

・そのためこの話の脚本は第伍話の脚本が決定稿になった後に書かれている。

・第伍話は全エピソードで庵野監督がプロット・脚本に直接手を入れていない唯一のエピソードという記述あり。(コンテには庵野さんが描いたと思われるカットがあるため、このブックレットの筆者流石だなぁと思う)

・絵コンテの甚目喜一さんはセーラームーン等で知られる佐藤順一さんがロボアニメに参加する際に使用するペンネーム。この後もエヴァでは戦闘シーンがほとんどないドラマ中心のエピソードを手掛けることになる。

・薩川昭夫さんは実写映画『屋根裏の散歩者』などを手掛けた脚本家。ナディアにも参加。

【Vol.2】

・第伍話の絵コンテは第四話と同じく甚目喜一さんが担当。

・薩川・甚目・鈴木のトリオはこの後も第拾伍話・第弐拾壱話とドラマ中心のエピソードを手掛ける。

・ヤシマ作戦のネーミングの元になった二つの事象についての説明あり

・第八話と第九話は樋口真嗣さんが絵コンテを担当。作画監督は第弐話に引き続き本田雄さん。

・第八話と第九話はノリがナディアの島編と近いためスタッフ内で「島編」と呼ばれていたとか。と記述あり(これ、このブックレットでしか見たことない情報なんだよな…)

【Vol.3】

・5.1ch化には半年かかった。

・録り足した台詞は庵野監督が制作当時の構想にあったものの、2chステレオの音響では入れると情報過多となりかえって聴きづらくなるであろうとの意図で録音しなかったもの。あるいは、音声に関して情報の密度が低かった部分を引き締めるために追加したもの。

・追加録音でのオリジナルキャストはMAGI役の林原さんのみ。

・音響リニューアルの基本コンセプトは「オリジナルを尊重すること」

・第八話から第拾弐話までの5エピソードは登場人物が気持ちを一つにして使徒を倒すというプロットとなっている。(ちょっと考えすぎでは?)

・アスカか綾波に声をかける時に高い位置にいるのは庵野監督のアスカに関する演出プランの一つに「挨拶するときに相手よりも高い場所に立つことを心掛けている少女」があったため。第八話でもエスカレーターの上からシンジに声をかけている。

・イスラフェルとの最初の戦闘は『影枝』のキャラデザで知られる木崎文智さん。6日間の特訓シーンは摩砂雪さん。62秒の戦いは前半が『星界の紋章』で知られる渡部圭祐さん、後半が『カウボーイビバップ』で知られる中村豊さん。ラストのシンジとアスカのやりとりは小倉陣利さんが担当。長谷川眞也さんが原画を描いたのはシンジがアスカにキスをしそうになるシーン。

・第拾壱話のラストで青葉シゲルがシンジたちの脇でギターを弾きながら歌を唄うという案もあった。

・サンダルフォンの元ネタはアノマロカリス。アノマロカリスは1994年にNHKスペシャルで取り上げられ、当時は話題の生物だった。

・第拾壱話の英文サブタイは『地球の静止する日』より。

・国連の人たちはマトリエルのことを第8の使徒と呼んでいるため、アレが第9の使徒なのはネルフ側だけが知っている情報なのだろうと書いてある。

・第拾壱話の作画はジブリが担当。市議選率候補者の高橋覗はジブリのプロデューサーである高橋望から来ている。

・ニンニクラーメンチャーシュー抜きはアドリブであり、アフレコ台本ではノリラーメンだったと書かれている。

【Vol.4】

・リニューアル版DVDの映像リマスターをいかなる方法で行うかの決定に6ヶ月かかった。

・オリジナルネガからのテレシネ作業(フィルムからビデオソフトへの変換作業のこと)には主流となっているドライテレシネではなくウェットテレシネという方式を選択。これは細部のシャープネスの向上よりも全体の質感の向上を重視し、フィルム上の傷の除去を効率的に行うこと、16mmフィルムのテレシネ走行時の画の揺れを最小限に抑え込むことを優先したため。

・フィルム作品であるために生じる画面の揺れを軽減させるために、レジストレーション・ピンを使用。フィルムをより強固に固定することで揺れは誰の目にも明らかなほどに軽減された。

・TV版OP・ED・劇場版についてはソースが35mmフィルムであることから、クリアかつ高解像度、発色のいい画像を得ることを優先させ、最新のドライテレシネを採用。

・更にHDで収録を行い、以降のプロセスは最適なビデオエンコードとするために全て24Pで処理している。

・第拾六話と予告編の一部カットに関しては、過去に現像所から16mmオリジナルネガが紛失しているため、35mmインターネガからテレシネを行っている。

・フィルム作品において生じるカットとカットを繋ぐために使用した接着剤の跡も全コマに渡って消去した。それによりフル画角の再現も可能となった。

・塗りミスの修正、ディテールの追加等のリテイクも行われている。(リツコさんの眉毛ってこのタイミングで直ったんだっけ?)

・ビデオ画面上のデジタル修正が多いが、セル画をリペイントし、再撮影したカットもある。

・作業に庵野監督・摩砂雪さん、鶴巻さんが立ち会っている。色補正、音付けに至るまですべてに監督が参加するのは稀だとのこと。

・拾参話のアイディア・プロットは磯光雄さんが提出したもの。

・磯光さんはこの話だけでなく本作の根幹にかかわる設定に関して多くのアイディアを出している。

・「セントラルドグマ」とは遺伝情報がDNA→RNA→タンパク質と伝達されていく遺伝情報の流れのこと。

・拾参話の作画はプロダクションI.Gが担当。

・第拾四話は東京地方では1月3日の朝8時に放送された。なので総集編的な話として作られた。

・この回の新たに作画された動画枚数はわずか500枚。

・第拾四話のBパート頭の綾波のモノローグがエヴァで内的宇宙を本格的に描いた初のシーンと書かれている。(てっきり第拾六話の電車のシーンかと)

・マルドゥックとは50の名前を持つといわれるバビロニアの神の名前から。エヴァでは108だったが原典だと50。

・「ホメオスタシスとトランジスタシス両方持っているのが人間である」という考えは本作独自のものらしい。(知らんかった…)

・第拾六話の英文サブタイの話がここでも解説されている。

【Vol.5】

・第拾七話~第拾九話は「フォースチルドレン三部作」と呼ばれる。(とあるが、この呼び名このブックレット以外で見たことないような…。個人的に第拾九話がこの中に入っているのが昔から違和感がある。だってトウジの出番速攻で終わるじゃん)

・第拾七話・第拾八話は樋口さんが脚本を担当。

・第拾八話ではミサトとクラスメイトの関係をシンジが失うため、その前の話でたっぷりとそれらを描いたと書いてある。(これは樋口さんのインタビューでも同じこと言ってた気がする)

・シンジたちの学校はいつ無くなってもおかしくない存在であるという脆さを描き出したいと思ったそうだ。とある。(良く調べてるなぁこのブックレットのライター)

・第拾八話は第拾参話と同じくプロダクションI.Gが制作協力をしたエピソード。

・第拾八話冒頭で英語オペレーターを務めたのはガイナックスの社員の外国人とその友人の夫婦。

・第拾八話の英文サブタイは「両価性」。元々精神分析の用語。

・「シンジが決意したのに使徒を倒すのは暴走した初号機というのがエヴァらしい」とここでも書かれている。(よく言われる)

・拾九話の英文サブタイの意味は「接取」

・LD&VHSの30秒バージョン予告ではミスで「人のかたち 心のかたち」と言ってしまっていたが今回のリニューアルでそのミスは直された。

・30秒バージョンの予告は全てLD&VHSリリース時に作られたものと書かれている。

【Vol.6】

・第弐拾話では加持さんが撃たれたカットと次のシーンのつながりを変更して加持さんを撃ったのはミサトさんではないと導いているとある。

・第弐拾弐話のアスカの義母との会話は宮村さんにおまかせであった。

【Vol.7】

・「渚」は綾波の「波」と対になっているとある。

【Vol.8】

・第弐拾伍話の英文サブタイの元ネタは不特定人物の対話で進められる独特のスタイルの作風らしい。第弐拾伍話はそれを連想させるとある。

・第弐拾六話のペーパーアニメの作画を担当したのは庵野さんと吉成曜さん。

・もう一つの世界でゲンドウが呼んでいる新聞の「MPEG2」はTV放映版・LD&VHS版での表記。リニューアル版で「MGEGX」に修正された。

・サンゴ礁の地球は補完計画によって変貌した地球であるようだと書かれている。

【劇場版】

・DEATH編は庵野総監督の下、薩川さんが構成を担当。その構成に沿って摩砂雪監督がカッティングしている。

+DEATH編リテイク部分の作画監督は摩砂雪さん。原画のリテイク作業には庵野さんと貞本さんが参加。クオリティ向上のために背景や撮影のリテイクも行われている。

・第25話の演出以降の作業は全面的に鶴巻さんに任されていた。

・第25話はTVシリーズ制作中に書かれた第弐拾伍話の脚本をベースにしている。

・第26話はセル画を何枚も重ねたり裏返しにして撮影しているシーンがある。(どこかは言わなくても分かると思うが)

・ラストシーンは元々「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ」だったがアフレコ現場での庵野監督の判断で現在のものに変えられたとの記述がここにもあり。

【感想】

自分はこのリニューアル版DVDからエヴァに入ったのでこのブックレットはとても思い入れがあったりする。(中学生の時めちゃくちゃ読み込んだ)

劇場版まで読んで気づいたがこれの記述小黒さんだな?(誰が書いたかの記述がどこにもないんだよな)

ちなみにこのブックレットは単巻版だけに付属しているもので、先に発売されたBOX版には付属されていないらしい。(驚き)

俺がBOX版購入者だったらたぶんキレると思う。

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その他書籍

『ガイナックス・インタビューズ』(庵野監督以外の人のインタビュー該当部分)

【武田康廣】(インタビュー日時:2003年4月)

「エヴァンゲリオン」の商品化窓口を最初に担当していた代理店は、キャラクターの商品化権を特定メーカー1社に独占させる方針でしたが、なんとか独占だけはやめてくれと頼みました。

僕と当時「エヴァンゲリオン」の広報を担当していた佐藤の頭にあったのは、自分たちがガレージキットをやっていたときの体験です。そのとき、どこかのメーカーに権利を独占され て、商品化を許諾してもらえないことほど悔しいものはなかっ た。「俺たちだってつくりてえよ」と感じるわけです(笑)。ガレージキットの世界には、きちんと許諾をもらって合法の土俵にさえ上がれば、「俺がいちばんいいモノをつくってやる」という精神があります。しかし権利が独占されていると、その土俵に上がることができなくなる。 せっかく良い商品を出そうとしてくれる人がいても、表に出てこられなくなってしまう。そうした状況は 許諾を与える側も充分に考慮するべきことだし、なによりも市場にとって大きな影響があると思います。もちろん、商品化権を独占させることでビジネスがうまく回転する作品もあるでしょう。

でも「エヴァンゲリオン」はそうではないという確信があった し、大勢の人の手で、いろんな解釈で作品世界をいっしょに練り 上げてもらいたかった。だから独占に反発したんです。

ただ、そのあたりはなかなかわかってもらえなかったですね。交渉のときには、ケンカめいた大人気ないやりとりまでありました(笑)。

とにかく権利はオープンにしてくれ、市場の監視は全部こちら でするから、とお願いしました。このことは、人によっては「権利の囲い込みだ」と悪口も言われたが、これは本当に正解だったと思います。現在のキャラクタービジネス全体の活性化にも貢献したと自負しています。【38】

【摩砂雪】(インタビュー日時:2003年6月)

これ言ってもいいのか どうかわかりませんけど、面白かったのは、庵野が女性を口説くやり方。いつも「俺はナウシカの巨神兵を描いた人間だ」ってアピ ールしてたんですよ。そうすると女の子がみんな「わあっ、そうなの」と寄ってくるわけ(笑)。あれには「わあ、すげえな巨神兵。 ナウシカは偉大だなあ」と思い知りました。【103】

ガイナックスの作品としては、「トップ」と「ナディア」をやっているんですけど、最初は「トップ」ってバカにして いたんですよ。「トップガン」と「エースをねらえ!」を足したような話って、「なんじゃそりゃあ!」と(笑)。それでも見てみる と、第2話がそれなりに出来が良くて「まあ、こんなもんだろうな」と思ってました。そうしたら3話、4話でけっこうすごいことになってたんですよ。そう驚いていたら、自分にも手伝ってくれという話が来たんです。それで現場に行ったら、渡されたのが 第5話の職員室のシーンでした。

ほかの会社に行くと、どこでも俺は、いちばん初めに派手なメ カシーンを渡されるんです。事実、ラブコメの「オレンジロー ド」でさえもメカシーンを渡されましたから。メカとか派手なア クションとか、ジェットコースターを描けとかさ(笑)。俺はかわ いい女の子がちゃんと演技しているところを、ちょこっと描いて みたかったのに。「いつもとは違う演技を描いてみたい」ってい う感覚ってあるじゃないですか。

そうしたら、庵野がそこをちゃんとわかってくれてたんです よ。だから「トップ」に参加した自分に、「おまえはこういう人 間芝居を描きたいんだろう」と、職員室のシーンを渡してくれた んです。あのときはうれしかったですよ。最初に「トップ」を手 伝ってくれと言われたときも、「でもメカとかそういうのはやだ よ」って感じだったんですよ。なんか、”コレもん”ばっかり求 められてもねぇ。【104】

あの頃はもっと日常の芝居をやってみたかった。だから「トップ」の仕事は面白かったし、参加してよかったと思っています。 それで「トップ」が終わったときに「もしまたおまえが監督でやるなら、今度は俺にも演出をやらせてくれ」って、庵野に言っといたんですよ。それが実現したのが「ナディア」です。「ナディア」ではコンテをけっこう描か せてもらって、演出は確か2回やったのかな。それでやっぱり、 仕事としてかなりいい思いができたんですよ。終わったときに、 この作品を盛り上げてよかったなと思いましたから。

そのとき庵野に「こういうノリの作品をもう1回、あと何年後 かにやるから、そのときはよろしくね」と言われて、 またガイナ の外に出てうろうろした。 そして帰ってきてやることになった “こういうノリの作品”というのが、「エヴァンゲリオン」でした。【105】

「エヴァ」の企画がホントに面白くてね、そのちょっと前の仕事 から早く逃げだしたくて、「もうとにかく『エヴァ』を早く動か してくれ!」ってせかしたこともあったけどね(笑)。

そうしたら「だったら1、2話(第壱話「使徒、襲来」、第弐話 「見知らぬ、天井」)のコンテを描いてみるか」という話がすぐ返って来ちゃった。

しかし本当のことを言うと、実は「エヴァ」も当初は、いちば ん初めに「巨大ロボット」モノだと聞いて「あんまり興味ねえな あ」と思っていたんですよ。しかし「要塞都市があって、必ずそ こを攻めてくる敵から防衛する」というシノプシスをみて、面白 そうな設定だなと食指が動いたんです。あまりこういう設定は、 当時のほかの作品では見たことがないじゃないですか。要は「マ ジンガーZ』 に出てくる光子力研究所の設定を、さらに大規模にしたものなんですけど、それならちょっと作品を見てみたい。「だったらやるわ」と言って参加したんです。でも、あんまり防衛していませんでしたね、あの都市。ぜんぜん機能してなか ったよね……(笑)。【106】

でも「強羅防衛線突破されました」とか言って、戦況報告だけで 済ましてますよね。「おまえらいつ、どこを防衛してんだよ、全 然戦闘シーンねえじゃん」ってね(笑)。だから自分が演出した第 拾九話「男の戦い」)のときに、「必ず天井ミサイルを打つシー ンを入れるからね」と庵野に断言して、ネジ込みましたからね (笑)。【106】

「エヴァ」でまず要求されたのは、とにかく無駄なつなぎのカットをなくしていくことでした。そこから始まったんですよ。よくある、「ここはこういうところです」という場面説明の画とか、人物が移動するときの「ここからここまで場所が移りました」という経過の描写とか、そういうものはある程度最初の話数できちんと作品の世界を見せておけば、後は最小限に抑えられる。そうした無駄なものを省いていけば、テンポよくいろんな話を詰め込んでいけると。あとは「アングルには凝って くれ」と言われました。最初の頃は昔の円谷作品、『ウルトラセブン」や「帰りマン』、 あと『怪奇大作戦』 とかを参考に見せられましたよ。実相 寺昭雄監督の作品は画づくりがけっこう凝っていますからね。【107】

エヴァの立ち上げには、やはりそれなりの時間はかけてます。コンテ作業を始めてから1話と2話が完成するまで1 年以上は使ったんじゃないのかな?【107】

インタビュアー:たとえば第拾九話「男の戦い」には、使徒ゼルエルにエヴァンゲリオン初号機の攻撃が命中し、絶妙のタイミングで血がバッと 噴き出す。そしてその血が透明のATフィールドに「バシャッ」 とかかる、というカットが登場しますが、よくもまあ、あんなカ ッコいい画を思いつくものだと感じます。

魔砂雪:ああいうのはまあ(笑)。仕事中、スタッフの間で、酒を飲んで バカ話をしたりすることが多いんですよ。で、そういうところで 「こんなのどう?」って冗談半分で言ってると、そのアイディア を本当に庵野が、脚本に書き込んでいたりするんですよね(笑)。 俺なんか酒の席で言ったことが、けっこう、採用されてしまっ て、自分の持ちネタが全部「エヴァ」に使われてしまった。「これじゃ、俺がオリジナルつくるネタ、残ってねえじゃん!」と思いましたよ(笑)。ガイナって開けた環境というか、すごい下っ端 がなんか変なことを言っても、「それが面白いアイディアだったら採用される」という風潮があったんです。ほんとね、すぐ採用されるんです。 ちょいと言ったことが、次の日にコンテ用の脚本として上がってきたりしましたから。【108】

エヴァはあの当時1本1000万円でつくっていた 。 そんなにほかのアニメほどはかかってないはずです。段取り芝居を省いて、コンテも考えて切っているので、作画枚数はそれほどないんですよ。【109】


「エヴァ」ではね、編集の実作業そのものまで自分たちでやりました。はじめの頃はちゃんとフィルム編集の担当の方がついてくださっていたんですが、「エヴァ」で俺たちがやろうとしていることに付き合わせると、その方に、一日十何時間も労働させるこ とになってしまうんです。それじゃあ、申し訳ないということも あって、だから「自分たちにフィルム編集のやり方を教えてください」と頼み込んだんです。つまりネガ編への指示の出し方とかとスプライスなどのポジ編集の実務を御教授頂いて、編集作業を自分たちでやってしまったんですよ。「エヴァ」の最後のほうは もう鶴巻と俺と庵野で、入れ替わり立ち代わり編集室に詰めてフ ィルムをつないでいましたからね。そうそう、当時ガイナックス にはポジ編集のできる機材が3組もあったんですよ。普通のスタ ジオではあんまり見なくなってきてるような機材を、あちこちか らかき集めて、会社の一部屋を編集室にしてしまった(笑)。

今だとそういう作業もみなデジタルで行いますから、ずいぶん 楽になっています。画が足りなければ伸ばせますし、昔だったら 動画枚数を増やして再撮 (再撮影) しなきゃいけなかったもので もデジタルで処理してしまえるようになっていますから。【117】

庵野がアマチュアのときに監督した「帰ってきたウルトラマン」を観て、本当に悔しかったんですよ。「なんでこいつらは、 こんな面白いことができるんだろう」と思った。片やこっちはプロとして、テレビ作品だから予算はどうこうと言われながら仕事をしていた。予算がないところで、枚数が使えない中で、自分の 作画が目立つためにはどうすればいいんだろうと考えて、コマ撮 変化させて、パースをつけて、変わった画を描く”コレもん”のアニメーターになっていた。でもあの連中は正攻法で面白いことをやっていました。それが悔しかったんですよ。【122】

【貞本義行】(インタビュー日時:2003年5月)

庵野監督に「ここはどういうことなの」と訊いても、「どういう ことなんだろうね」といつもはぐらかされて終わっちゃう(笑)。 「エヴァンゲリオン」制作の当時、庵野監督は本当にライブ感覚 でアニメをつくっていました。ストーリーも描きたいけど、ヴィ ジュアルも描きたい。そのヴィジュアルのためにねじまげなきゃ いけないストーリーを、あの作品ではわりと自由に解釈できるよ うに、わざと曖昧にしてあるんですよ、たぶん。それこそが「エ ヴァンゲリオン」のいいところなんだと思います。違う言い方をすれば、意味を固定していない。見ている人が幅を持って受けと められるように、描きすぎていない。【128】

漫画版エヴァの最たる部分は、設定年齢というか、対象年齢を下げてしまおうと。「『少年エース』という、頭に少年とつく雑誌に連載される以上、子供でも読めるものにしたい」という気負いが最初にあったんです。 「エヴァンゲリオン」にはちょっとどぎつい部分と いうか、大人だったら楽しめるけどという、わりと流行りを狙った部分がありますよね。たとえば宗教っぽいところであるとか。 そういう部分はソフトにやっているつもりです。いや、ソフトというか、「あまりそっちの方向には持っていきたくない」とまたいでしまっていますね。【128】

僕の漫画は、「じゃあこのシンジの立場に自分がいたら、どう行動するだろう」と考えながら進めているんですよ。つまり「エ ヴァンゲリオン」の世界観の中で、シンジと自分を置き換えてや っていく作業になります。だから、難しい言葉を使ったりする場 面は出てこないんですよ。【130】

「王立」という作品は、最終的にはバンダイが スポンサーについて何億円もお金をかけた、すごく立派な劇場映画になってしまいましたけど、僕が最初に話を聞いたときは「2000万円くらいでオリジナルビデオをつくろう」という企画だったんです。【148】

インタビュアー:庵野さんや鶴巻さんはそんなに 「美少女戦士セーラームーン」にハマっていたのですか。

貞本:いや、すごかったですよ。当時はまだ「エヴァ」のキャラクタ ーデザインをやっていた段階ですけど、あの頃、会社の僕の机と庵野さんの机の間に万年床が敷かれていて、ずっと庵野さんがそこで寝泊まりしていました。ていうか、いつも寝ていたんですけ ど(笑)。で「セーラームーン」が始まると、ムクっと起き上がって、テレビをつけてじーっと観ているんです。こっちはセリフだけしか聞こえてきませんから、ストーリーはよくわからない。変身して、必殺技の名前を連呼する場面がありますよね。そこだけのぞき込んで観るんですけど、それだと「セーラームーン」のなにがいいのかわからない。ただ「これは大人から見てもある意味エロスだ」と思って、「エロスとしていいね」と言うと、いっしょに観ていた鶴巻が「違いますよ!」と怒るんです(笑)。じゃあ 「誰がいいの?」って聞くと「そういうんじゃなくて」と。でも 「やっぱり亜美ちゃん(水野亜美)がいいの?」と聞くと「いや この子は」とエピソードをいろいろと教えてくれるんですよ。た ぶん鶴巻は「萌え」がわかってるんだろうな。僕はその辺が今ひとつよくわかってないみたいですね。

鶴巻が言うには、「セーラームーン」という作品は、シリーズディレクターの佐藤順一さんがつくりだした世界の裏読みが、す ごく魅力的だったそうですね。それで「エヴァンゲリオン」でも 佐藤さんにコンテを描いてもらいました。甚目喜一さんというペ ンネームで参加してもらってます。よかったのは、こちらが作品 についていろいろ突っ込んで話をしていくと、相手も同類だと思 って乗ってくれて、こちらの仕事も手伝ってくれるじゃないです か。その横のつながりって、すごく大切だなと実感しました。佐 藤さんや、作画監督の長谷川眞也さんのように「セーラームーン」のスタッフに参加してもらったことは「エヴァ」にとって大きいことでしたから。【153】

庵野さんの場合、そのキャラクターを演じ る声優さんの性格だとか、過去のエピソードをライブ感覚でスト ーリーの中に入れこんでいったりするんですよ。 血液型だとか誕 生日だとかも聞き出して、作品が進む中、脚本で追いかけてそれを反映させていく。【156】

たとえば「エヴァ」のミサトの服は、街で見かけた、男物のライダースーツみた いな服を上に着て、それでスカートをはいてた女の子が参考にな っているんです。スカートをはいている以上、その人は絶対バイクには乗ってないはずですけど、それなのに首からゴーグルを下げていた。こういう女性はいいなと思いました。だからミサトの 服って、実はオートバイ用のものが原型なんです。ただ男ものをそのままだとカッコ悪いところもあるので、そこを考えていじっ ていって、あの形になりました。【159】

【大月俊倫】(インタビュー日時:2004年6月)

「エヴァンゲリオン」の制作当時、庵野監督が大月氏のアパート に月に一度はやってきて泊まり、朝ふたりで中野ブロードウェイ のグッズショップやLD屋を冷やかしてから、それぞれに出社し たという。【164】

(製作委員会方式について)このような作品 は、実は日本のアニメーション史上初といえるものだった。

大月氏が「エヴァンゲリオン」で放送局などの 意見を排除するスキームを採用した理由が、利益追求の手段ではなく「自分が惚れこんだ庵野秀明という才能が、思う存分に腕をふるえる場をつくるため」であったことだ。 大月氏は「エヴァ」 の制作当時、庵野監督に「私が少しでも雑音に気を遣い、作品に 介入しようとしたら、すぐ私を切ってくれ」と申し入れ、あくま でも作品を守るという立場を鮮明に貫いたという。【165】

庵野さんに、僕がまずかなり最初の段階で「大月、もし1回でも、キングはとか、会社としてはとか、俺の前で口に出したら、その場で作業はすべて中断する」と言われたんですよ。それだけは約束してくれと。要するに僕個人としての発言であれば聞くが、キングがとか、会社はとか、組織の事情で発言した瞬間に庵野さんは僕に対する信頼をなくすので、 もう作業はできなくなる。だから、そこでやめるしかなくなると。彼に言われたこの言葉は、僕にとっていまだに座右の銘です。【167】

来年からは庵野さんと特撮作品をつくろうと、ふたりで企画を進めています。【168】

庵野さんはあの頃(エヴァが大ヒットしていた頃)がいちばん暗かったからね。僕は庵野さんの才能と人柄を狂信しちゃっていたから、その庵野さんが暗くて、苦しんでいる状況で自分が楽しいわけないよ。 「エヴァ」が話題になればなるほど、庵野さんはどんどん暗くなっていくから、僕もいっしょに暗くなっていった。世間的に「エヴァ」が盛りあがった当時が、ふたりにとっていちばんつらい時期だったですよ。思い返すと、つらい思い出しかないもんね。【172】

今、特撮作品をふたりでつくろうと盛り上がっています。庵野さんもすごいやる気なんですよ。うれしいですよね。【178】

【佐藤裕紀】(インタビュー日時:「ワンダフルデイズ」封切の日)

庵野氏はカレカノのために各地の学校を行脚して高校生の気持ちを取材したという。【181】

【大塚雅彦】(インタビュー日時:2004年6月)

庵野さんは作品をつくることがすべてなんです。「生きることが作品をつ くること」と言いますか。実際にほとんど会社に住んでいましたし、本当にもうプライベートがない感じで、寝て起きたら仕事を 始めて、終わったら寝るみたいな。あれほどまでに作品にのめり 込めるのはすごいですよ。 高畑勲さんや宮崎駿さんも、すごい質と量の仕事をこなしてしまうんですけど、「エヴァンゲリオン」 をやっているときの庵野さんは、本当に自分のすべてのエネルギーを作品に投入しているという感じでした。【223】

【樋口真嗣】(インタビュー日時:2004年11月)

当時撮影所のアルバイトをして84ゴジラの現場に関わったが、DAICONFILMの作品、特に「DAICONFILM版 帰ってきたウルトラマン」なんかを観ると、明らかにそちらのほうが画づくりに対する、正しい取り組みと工夫を感じる。「本物ではないものを使って、どのように本物に見せるか」という意志が伝わってきた。あの頃、プロの現場にいて、「大阪の学生でもこれだけやってんのに、大の大人が集まってこの体たらくはなんだ」と感じて、やっぱりがっかりしてきたんですね。いろいろなことを考えましたけど、正直なところ、そこまでしてプロの撮影現場にしがみつきたいという気持ちをかなり失ってしまった。【248】

「いっか、もう……」と。ということで撮影所のアルバ イトを辞めてしまったんです。 で、どうしようかと考えたとき に、なぜかあのメガネのもじゃもじゃ頭の人を思い出しまして (笑)、「大阪は楽しそうだなぁ」と考えたんですよ。それでとに かく大阪のDAICONFILMに遊びに行かせてもらおうと、 庵野さんに電話してみたんです。庵野さんは「もうちょいで仕事も終わるっス」みたいなことを言ってくれたので、その場で「じゃあ、いついつ行きましょう」と予定を決めた。それでいざ、そ の当日に庵野さんのところに行ってみたら「メガゾーン23 かなにかの仕事をやっていて、「ちょっと待ってて」と言われま した。それで〝ちょっと”待ってたら、そのまま二晩待つことに なった……………。今にして思うと「あの当時からそれか!」みたいな (笑)。(←このエピソードめっちゃ草)

桜台にあったグラビトンというスタジオだったんですけど、そ この押し入れで二晩寝て待ちました。 それから「じゃあ、終わっ たから行こうか」と、庵野さんとふたりで大阪に向かったんですよ。【249】

実は「トップをねらえ!」の企画段階では、ずっと俺が監督候補として準備を進めてたんですよ。あの作品はガイナックスが王立」でつくった借金の穴埋めのために企画されたもので、基本的に「小松左京SF劇場」とかのラインと同じように、「ブレインワークのみを社内でやって、あとは外注に出して利益をつくる」というスタイルで制作するはずの作品でした。それが嫌だっ たというわけではないんですが、企画がなかなか進まなかったこともあって積極的に取り組めない心境でいたんです。そんなときに実相寺昭雄さんの映画「帝都物語』 に参加しないか、という電話がかかってきたんですよ。【256】

その後、当然ながら「トップをねらえ!」は企画が宙ぶらりんになり、脚本を読んだ庵野秀明さんが監督を引き受けることになった。庵野さんから当時、「帝都物語』のスタッフルームに電話がかかってきて「あれ、僕がやっていい?」と聞かれたんです。それは、俺なんかがどうこう言うことではありませんから、もち ろん了解しました。『トップをねらえ!」は、結局自分が放り投 げたものを、庵野さんがきちんと素晴らしい作品にしてくれまし た。【256】

それともうひとつ、俺はあの頃に別の作品も放り出していたん です。「ナディア」の直前に、ある日中合作の特撮映画に参加し、 その仕事で香港に行っていたんですが、これがまた企画が途中で 二転三転して、スケジュールがどんどん延びて、その結果お金も出なくなって帰国せざるを得なくなった。

そんな形で、俺は2回も続けて、「なにかをつくろうとして、それを途中で放り出す」ということをやってしまったんです。【256】

それがすごく負い目になっていて、とにかく 「なにかつくりたい。 作品として完成したものをつくりたい」と考えていました。そのなにかって、なんでもよかったのかもしれない。だから「ナディア」が始まったときに、庵野さんのところに行って、飲みながら 酔っ払って「庵野さん、ガンダムの『ククルス・ドアンの島』みたいな話をやらせてくださいよ」と頼んだんです。途中の枝葉みたいなエピソードみたいなのでいいから、とにかく1話やらせて もらえればと思っていたんですよね。酒の席で俺がそんなことを話していたのを、きっとあのお方は覚えていたんでしょう。後に その「ククルス・ドアンの島みたいなやつ」がどかっと、10本ぐ らいまとめてやってきた。「やりたいって言ってたでしょ。 やってよ」という感じで(笑)。【257】

(島編をやってるときに)本当に制作中に気絶したことがありますからね。スタジオでラッシュを観ていた時、その仕上がりのひどさに目の前に流れるものを体が受け付けなくなった。【258】

そうしたら鈴木俊二さんたちが「ちょっとくらいなら直せるよ」と言ってカット袋をスーっと持って行ってくれた。マジ泣きです。みんな自分の仕事を抱えてるのに。「ありがとう、ありがとう」というだけでした。【258】

庵野さんが、トップをねらえ!で情熱を注いでいたこだわりのひとつ が、あの、「おっぱい」だったんですよ。ノリコとカズミとユン グという3人の女の子がお風呂に入る場面が出てくるんですけど、 そこの設定書に、庵野さんが指示を書き込んでいた。それがおっぱいなんです(笑)。あのとき庵野さんは熱く「だいたいね。アニ メのおっぱいって、僕はダメだと思うんですよ」と語っていまし た。「アニメのおっぱいって全部同じ形になるじゃないですか。 そんなはずはない、本当は一人ひとりおっぱいの形は違うんです よ!」と(笑)。あれは、さすがに着眼点が違うなと思いました よ。なるほどそりゃ普通は考えないわ。おっぱいか……(笑)。【260】

もう時効だから言いますけど「おたくのビデオ」のドキュメンタリーはヤラセです。って見ればわかりますよね。ありえないよあんなの(笑)【261】

「ウルトラマンパワード」の現場では、当初思い描いてい たものと、すごく違うものを見せられました。しかしそれは明ら かに、普段我々が目にしているハリウッド製の素晴らしい作品 と、地続きのものではあるんですよ。 「すごいものをつくってい るところでも、一歩間違えばこうなってしまうんだ」という事態を目の当たりにして、「こんなのだったら俺たちのほうがマシじゃねえか」と、つくづく感じました。結局、向こうのつくったミ ニチュアを全部我々でつくり直して、もらうお金だけもらって帰ってきました。そこに来た話が、『ガメラ 大怪獣空中決戦』だったんです。【262】

実は最初、「ガメラ」に関して依頼されたのは、画コンテと怪獣デザインだけだったんです。しかし、当時の特撮を取り巻く環 境を考えると、「どうせ描いても出来上がりはひでえもんになるんだろう、それは嫌だなあ」と感じていました。それまでは仕事 に対して、自分から志願したことはなかったんですよね。かかっ てきた電話に対して、どう受けるかということしか考えていなか った。しかしそのとき初めて、自分から電話をかけて「特撮の監 督、誰にも決まってないんだったら、俺にやらせてもらえません か」と頼んだんです。【263】

エヴァの立ち上げ段階で、具体的に俺が働いたというところ はないんですよ。初期の企画会議で、「ピングーみたいなマスコ ットキャラクターっていいよね」と提案したのは覚えていますけ ど。舞台が箱根湯本だとは決まっていたので「箱根といえば箱根園水族館のペンギン。じゃあ、ペンギンがいいんじゃないですか」と発言したんですが、もしかしたら、あのいてもいなくても いいペンギンは、俺のその発言がもとになって生まれたのかも (笑)。でも確かその会議では、ペンギン案は却下されたはずだか ら、また誰かが蒸し返したのかな? わかんないや。【266】

摩砂雪 さんのつくった、庵野さんの結婚式の記録ビデオなんてすごいですよ。1時間ぐらいなんですけど、総カット数は軽く1000以 上あるんじゃないかな。編集だけで半年ぐらいかけていましたか らね。これはもう本当に愛なしではできない。それも性別を超えた、ヒトとしての愛。【266】

【神村靖宏】(インタビュー日時:2004年1月)

「蒼きウル」がとん挫したところで、庵野が自分からテレビシリーズの企画を立ち上げました。これが想定外の大ヒットとなった「新世紀エヴァンゲリオン」です。【312】

パソコン通信では、反応がつくっているそばから聞こえてくる。放映するや否や反応が返ってくるし、会議室では話題がどんどん広がってゆく。「エヴァンゲリオン」は、大きなブームとしてのお客さんの反応を、リアルタイムに受けとめながらつくっていくことになった、最初の作品ではないでしょうか。【317】

エヴァの明朝体を使ったサブタイは神村氏が担当した。【318】

「エヴァ」の制作現場は、当時本当に血を吐くような猛烈なテン ションで作品をつくっていました。「作品をつくる」という行為 は、こんなにも壮絶なことなのかと改めて感じましたね。僕は 「王立」「トップ」 (88)、「ナディア」のときにはガイナックスに いませんでしたから、庵野がこれほど作品に没入するのを間近で 見たのは、アマチュアのとき以来だったんです。【318】

パソコン通信のフォーラムを通しては、負の反応だけではなく、「観て面白かった、ありがとう」という気持ちも、たくさん返ってきたんですよ。作品に、夢を感じてくれる人もいる。 作品のメッセージをよりよく受け止めてくれた感想が届いたりすると、それはこちらにとってもプラスの原動力にすごくなってい ましたね。ある人が寄せてくれた感想を庵野に見せると「この意 見を読んだから、俺は、もう一晩徹夜できる」と言ってくれたこ ともありました。【320】

ガイナックスにおけるゲーム制作を立ち上げたのは、先に言っ たように赤井孝美でした。 赤井のクリエーターとしての発意がもちろん原点ですが、ガイナックスがゲーム制作に取り組んだ理由のひとつに、やはりアニメ作品では権利を持てなかった経緯があると思うんです。作品の権利を持っていないために、いくら一所懸命にアニメをつくって、どれだけの作品がヒットしようともまったく儲からなかった。しかしゲーム作品であれば、つくったものを自分たちで販売して、そのまま自分たちの収益とすることができたんですよ。パソコンゲームならプログラムを組める人間がいて、まめに秋葉原の店なんかを営業してまわる人間がいれば、数人の会社でもゲームメーカーとしてやっていけた。当時、実際に製作から営業まで4~5人でやっているゲームメーカーはけっ こうありましたからね。アニメではできなかった作品制作と収益の一致が、ゲームではその当時の我々でも実現できるのが大きかったと思います。【324】

「エヴァンゲリオン」関連のパソコンソフトということでは、「鋼鉄」の前にアプリケーションデータ集の『コレクターズディスを商品化しています。 これは当時、「エヴァ」の広報を担当していた佐藤の発案でした。 今でこそ良くあるタイプの商品です が、発売時には画期的だった。当時のガイナックスの脆弱なソフ ト開発力で、実質的に強力な商品をつくることができたのは、佐藤のアイディアの賜物でしたね。

ゲームに関して言うと実は、作品ごとにそれぞれ考え方がブレているんですよ。「エヴァンゲリオン」という作品の世界観やキャラクターでゲームをつくる。 その際にどこまで、原作品をいじっていいのか。下手にいじることでオリジナルのクオリティまで下げてしまってはいかんのではないか、という足踏みがあって、 企画によってスタンスが変わっています。【325】

「鋼鉄のガールフレンド」の場合は、プログラマーの橋本立郎君 が、まず「やらせてください」と手を挙げた。「やりたいヤツが いるなら」と企画が実現して、シナリオも橋本君が書いて、ゲー ムとしては成功し、大きな収益も上げました。しかしガイナック ス全体としてはなんとなく「よし、この勢いでつくっていこう!」 というふうではなかったですね。先にお話しした、会社全体のバランスの悪さのようなものがあって、その後なかなか大作ゲームはつくれませんでした。その時期、ゲームをガイナックスのビジ ネスのひとつとして立ち上げた赤井がガイナックスから離れていて、明確な指針を示せる者がいなかったことも、「鋼鉄」に続くゲームをつくることができなかった原因かもしれません。【325】

インタビュアー:「エヴァと愉快な仲間たち 脱衣補完計画!」 のような脱衣ゲームも発売しましたが、あのときには「自分のところで脱衣ゲームを出すか、さすがガイナックス」と皆が衝撃を受け、畏怖 の念すら覚えたものです。

神村:「作品をどこまでいじれるか」という話の中で、「じゃあ脱衣を やってもいいの?」という意見が出て、庵野自身も「なぜやんないの? やればいいのに」という受けとめ方だった。そこで実際につくって「ガイナックスが自社作品の脱衣ゲームをつくった」 と話題にもなりましたし、ヒットもしましたけれど、あの系統の 作品は、実はあまり続いてないんですよね。その後、18禁のゲー ムをいくつかつくりましたが、失速は早かった。結局あのゲーム を、我々はそれほど楽しんでつくってはいなかったのかもしれない。

売れる商品ということでつくってみたけれども、たぶん誰もそ れをつくることでエンドルフィンが出なかったんですよね。だか ら後が続かなかったんじゃないかと思います。 「脱衣ゲームが売れたから、もっとがんがんエッチなやつをつくろうよ」という方針もあったんです。でも結局形にはなっていない。ってことは、 「うちには、本気で脱衣ゲームをつくりたがっているヤツはいな いんだ」と思います。うーん、商売に不熱心な会社(笑)。

ほかにも「エヴァンゲリオン」ではいろいろなゲームを出しま したけど、未消化だったり、力のかけ方がいびつだったなあとい う反省は、振り返ってみるとあります。会社として、「エヴァン ゲリオン」という作品で起こったムーブメントを、どうやって盛り上げて維持していくか。それにきちんとした方針を持って取り組めたとは言いがたいですね。

たぶん佐藤は、その状況をものすごく意識していたと思いま す。だからこそ「エヴァンゲリオン リニューアルプロジェク ト」では、ムーブメントの盛り上げに一所懸命に取り組んだんですよ。あれは佐藤が音頭取りをして、企業横断でもう一度「エヴ ァンゲリオン」を盛り上げようとする試みでした。かつて、ガイ ナックスだけではどうしてもできなかった取り組みでしたが、「エヴァンゲリオンを大事にしてくれる人、集まれ」という感じであちこちに協力をいただいた結果、良い成果をあげられたと思います。【326】

インタビュアー:ブームの盛り上げや維持には、作品の送り手側のイベントや広報などの活動が想像以上に大切だと聞きます。しかも業務の量としても大変なことになるそうですね。 かつては、うまく盛り上げ られなかったというのも、会社の体力として無理もなかったのではありませんか。

いや、それは作業量の問題ではないですよ。ユーザーと提供側 の人々のモチベーションを一致させるタイミングだと思います。 「リニューアルプロジェクト」では、キングレコードさんの「リニューアル版DVD」とバンダイさんのPS2ソフト『エヴァ 2」とが同じ年に出るという好機を、佐藤がきちんととらえまし た。このふたつの商品を求心点にして、もういちど一連の波をつ くろうとし、しかも参加していただいた企業のモチベーションの ベクトルが一致していたので成功したんですよ。昨年1年間「エヴァンゲリオン」のライセンスを担当して強く感じたのは、「リ ニューアル」に参加してくれた企業の担当者の人たちは、やっぱ りみんな「エヴァ」のことを好きでいてくれた。だからみんなそ れぞれに「自分たちもいい商品をつくりたい」と考えていてくれ た。そういうモチベーションの焦点を、このときはうまく提示す ることができました。最初に「エヴァ」が放映され、大ブームが 起こったときには、それを意識的に生かすことはできなかった。 会社として「作品をつくる」ことまでしか意識できていませんでしたし、「つくる」以外の意識もノウハウもなかったんですから仕方がない。でも、今後は、それをやらねばならないと思います。

【鶴巻和哉】(インタビュー日時:2004年4月)

「新世紀エヴァンゲリオン』のときに、庵野秀明が「ライブ感覚を持ち込む」という話をしてたじゃないですか。実際あのときは僕もスタッフとして中にいましたけど、まるで先がわからなかった。 第弐拾弐話をつくっているときに、第弐拾四話がどうなるのかまるでわからないという、予測のつかない状況でした よ。【342】

「フリクリ」の第1話で、「漫画のページのような画をつく ってそのまま写す」というシーンをやっているんですけど、あそこはアニメーターだった今石洋之君に丸投げというか、「任せたから、ハチャメチャにしてください」と発注してつくってもらっ たんですよ。【343】

「フリクリ」のまだ最終話のあたりを制作していたとき、年末 も、もうすぐ正月だというのに、ずっと会社で仕事をしていたん ですよ。そうしたら庵野さんから電話がかかってきた。どうも仲 間を集めて忘年会をやっているらしい。で、「『プロジェクトA 子』 や 「AIKa』 の監督の西島克彦さんがマッキーに話があると言ってるから替わる」と言われたんです。そうしたら 西島さんに「なんでそんなにカッコつけたアニメをつくってるん だー」と、電話口でとうとうと怒られたわけですね。「おっぱいとかパンチラとか、そういうことだろう、アニメは!!!!」と(笑)。 いや西島さんも酔っ払っておられたんですが、僕としては「自 分なりのエロスを出しているんだ」と一所懸命に話すんです。でも西島さんはもう全然認めてくれない(笑)。「そんなんじゃダメだよ」という感じで怒られましたよ。それまでは、西島さんとほとんどお話ししたこともなかったのに(笑)。そこまで言っていただける方はいませんからね。ホント、ありがたい話です。【346】

「フリクリ」の場合は、いろいろごちゃごちゃと入っているので複雑に見えてしまうんですけど、実は「わざわざ6話もかけてこの話をやる必要があるのか」というくらい、すごく単純な話なんですよ。 単純な話を複雑なキャラクターがやっているだけで。【347】

『トップをねらえ!』の後日談的な小説や漫画はいろいろ発表さ れているんですが、「地球に帰還したユングが、ウラシマ効果を つかってノリコたちが帰ってくるのを待っている」というストー リーを期待しているファンの話を聞いたことがあります。しかし それは違うと思うんですよ。最終話でノリコは、「人と違う時間 を生きる人間は、自分で最後にしたい」と言ってます。そのノリコの真意を知っているユングが、人と違う時間を生きようとする わけがないんです。だからユングは、地球に帰った後、普通に年 をとってそのまま亡くなったんだろうと思います。【348】

「フリクリ」に登場するハル子の場合は、そのスタートに 「えの素』という漫画に登場する「葛原さん」があったんです。【349】

(FLCLのキャラデザについて貞本さんとの打ち合わせ)僕の中では騒々しい葛原さん”というイメージがあったので、「ミサトではないんです。もっとハチャメチャなんです!」とリクエストしたら、「じゃあ声を新谷真弓がやるような感じ?」ときたんです。そのときはピンとこなかったんですけど、とにかくハチャメチャさを貞本さんに伝えるために「そのくらいのイメージです」 と反応してしまった。結局、本当に新谷さんに声をやってもらう ことになったわけですけど。

「普段は美人でクールなんだけど、すぐに暴力をふるう、わけの わかんない人」なんて、そんな説明じゃ伝わらないんですよね。 新谷さんという声優さんを介することでようやくイメージを共有 できた。その結果、当初より愉快な要素が入ってきて、あのキャ ラクターになったんです。【350】

「フリクリ」で、主人公がスクーターで轢かれたり、ギターで殴られたりするんですけど、それが僕的にはエロスなんですよ。確 かにおっぱいやパンツみたいな直球エロではないけれど、明らか に僕の中ではエロス。ああいうところにドキドキする。 【351】

(トップ2について)実は庵野から「お題」がひとつだけ出されているんですが、 それを聞いたとき「できる」と思ったんです。以前うまく行かなかった企画のアイディアに「お題」の要素を足すと「できそう」っ て勘が働いたんですね。で、その場で「トップ2」引き受けちゃった。そのアイディアをパッと見て、「『トップをねらえ!」らしい か?」と問われると、「そんなに『トップをねらえ!』じゃないですよ」と、こたえるしかないんですけど、しかし「トップをね らえ2!」にふさわしいという確信はあります。 僕の中に「トッ プをねらえ!」らしさの基準があって、それにはばっちりハマっ てる。ただね、当然ですけど「トップらしさ」というのが、人に よってだいぶ違うんですよね。【351】

庵野なんかは、それこそ「トップをねらえ2″じゃ面白くない から、いっそ トップをねらえ3″ にしちゃいなよ」と、言ってたんですよね。「いや、でも”2″はどうするんですか」と聞いたら「トップをねらえ2″は皆さんの心の中にあります」 ということでいけと(笑)。確かにそうかもしれない。「トップをねらえ!」ができてから2年後、3年後に”2″がつくられるのであれば、違うやり方もあったと思うんです。 それこそユングが出てくるような話もあったかもしれないんですけど、16年もたってから2をつくるのであれば、もうそういうことではないと思うんですよ。【353】

「トップをねらえ!」のファンには、すでに「トップをねらえ!」 があるじゃないですか。あれほど見事に完結している作品があれ ば、「それで充分、余計な続編は必要ないだろう」とも思うんで す。だからこそ、好きにやらせてもらうことにします。 あれから16年を経たガイナックスが、今つくるべき『トップをねらえ!」、それが「トップをねらえ2!」だと考えています。【353】

(ガイナで)全話の画コンテが読める環境にいると、もっとやりたいところが出てくるわけですよ。しかもですね、「ちょっとマッキー見てよ、これ」とか言って、自分がやりたかったけどやれなかったシーンを「こんなレイアウトが上がっ てきちゃってさぁ」と庵野に見せられたりするわけです。そうすると「うーん、これはやっぱり許せんですね」と直してしまう。(庵野さんに)うまく使われてたんでしょうけど(笑)。策士ですよね。【355】

僕が庵野を天才だと思うところは、そこなんですよ。だから庵 野の近くで仕事をして、「あの技術を吸収したい」と考えている んです。それは人をやる気にさせたり、場合によっては窮地を土 壇場でごまかす技術。あれはすごいですよ。僕はむしろ庵野のす ごさはそこだと思っているので、見ているところが人とは違うだ ろうなと思います。

以前、貞本に「もう庵野さんの下から離れて仕事したほうがい い」と言われたことがあるんですけど、そのときに「いや庵野さ んが窮したときにどうするか、困ったときにどうするか。そうし たときの技術がすごいんです。あれはすぐそばでないと見られな いことだから、もっと近くで見ていないともったいない」と話し たら、驚いていました。

たとえば録音スタジオで行き詰まったときに、こうやって乗り きるのかとか。ここでこういうことを言うと場がうまく回り出す んだと【355】

だいたいガイナックスに来た理由も「オレのこの職人の 腕を、庵野さんのために使いたい」ということだったんですから。だから今やっている仕事に関しては、本当に「まさかこんなことになるなんて」という気持ちなんですよ(笑)。【358】

庵野が宮崎駿さんのところで「ナウシカ」の仕事をしたとき、いろいろと直接に意見具申をしたらしいですね。当時でもすでに宮崎さんはアニメ業界ではカリスマ的な方で、作画スタッフがそうそう作品について意見することはなかっただろうと思うんです。そんな中で庵野が「ここはもっとこうすべきだ」とか、 こうしたほうがカッコいい」とか意見して、それが面白くて気に入られたというんですよ。宮崎さん、驚いたでしょうね。学生あがりで経験も少ない、ばっちい身なりのアニメーターが、宮崎さんに文句を言うんですから(笑)。【358】

本能だけでつくったものがアニメらしくなるという人がいたら、すごく尊敬します。 そうなりたい。しかし、僕はそうはいかないから考えてつくらざるを得ない。けれど、自分の頭だけで考えて つくったものは面白くないだろうから、人の力も借りて、自分の 予期しない揺らぎの部分を用意しよう、そこが面白さに結びつくようにしようということです。【363】

僕の中では同じなんです。画コンテも原画も、どちらも絵を描くことですから楽しいんですよ。逆に、録音スタジオで、「今のセリフは良かったです、悪かったです」という話をしているとき とか、編集スタジオでの作業とか絵を描かない作業は、苦痛です ね。絵さえ描いていれば、僕は楽しいですよ。【363】

インタビュアー:鶴巻さんは「エヴァンゲリオン」では副監督でしたが、そうなると作家性も要求されたのでは?

鶴巻:それはなかったですよ。それは庵野が一手に引き受けていましたから。僕の役割は、庵野が煮詰まっているときに、表層を飾り立てるアイディアをなるべくたくさん出していくことだった。それが突破口になることもあるかもな、と考えながらやってました。【365】

(FLCLは)まあ、「次もあるさ」と思っていたから、つくれたというのはあります。 庵野なんかは一球入魂、一発必中、乾坤一擲という か、自分が焼け野原になるまでやって、そうでなければすごい作 品なんてつくれないよ、という姿を見せる。

「もちろんそのとおりだ」と思います。実際に庵野の言動を見て いると、本当に燃え尽きて、灰になるまで取り組んで、それから またニョロっと出てくる。すごいと思います。しかし僕には、そ こまでやれる自信はなかった。だから、僕の場合は「次もある」と考えながらやっていました。【366】

インタビュアー:「トップをねらえ2!」では、「フリクリ」とは違う、また新た なアプローチをファンは目にすることになりそうですね。

鶴巻:とりあえずは、前作の「トップをねらえ!」の雰囲気、ちょっ とゆるいところから始まって、それが段々と盛り上がっていくようなところ。あれは踏襲したい。【366】

【平松禎史】(インタビュー日時:2004年8月)

絵を描き始めたのはマジンガーZがきっかけ。小学生の時模写してた。【369】

その後に松本零士さんの絵を模写してた。【370】

そこからパラパラ漫画の方に行きました。「未来少年コナン」を観て「絵を動かすのは面白い」と思って。【370】

美術系の短大生の頃は人形劇サークルで影絵劇をやっていた。非常にいい経験になった。【373】

卒業後すぐアニメ業界には行かずに1年間サラリーマンをやって、それからアニメに行った。【376】

「ミスター味っ子」から原画をやったが、爆発、日常芝居、食事の時の端の上げ下げまでいろんな要素の場面が出てきたので一通り経験することができて幸運でした。【377】

「七つの海のティコ」から、「名作劇場」の仕事を始めているんですけど、それを当時ガイナックスにいた鈴木 俊二さんが見てくださっていて、「エヴァンゲリオン」の第拾伍話に誘ってくれたんです。その後、第拾九話「男の戦い」)から、ガイナックスで机を借りて仕事を始めるようになりました。ただその前に、スタジオかぁたんでの最初の仕事として 「ふしぎの海のナディア」をやっています。

【赤井孝美】(インタビュー日時:2005年3月)

だいたい「(DAICONFILM版帰ってきたウルトラマンについて)赤井が完成させてくれた、ありがとう」というのも 庵野君の自己チューのなせる感想であって、最初の企画とコンテ は庵野君ですけど、実際の現場に入ってからは僕がカメラを回して、照明のセッティングなども僕がやっているわけです。それに 給料ももらわないで手伝ったスタッフや、出演した武田さんたち を含めて「みんなの作品だ」と考えるのが、普通のアマチュアの 発想だと思うんですけど(笑)、彼は完全に自分の作品だと考えているから「すまないねー、なんか僕の作品に巻き込んじゃって -」 みたいな感想が出てくるんでしょう。 庵野君のいいところは、そんな究極の自己チューが、まるで善人に見えるという。そこが彼の人徳なわけですが。(この話、筆者個人的に大ウケ)【402】

DAICON3のときも、意識としてはマーケティングのようなところから入った部分があると思います。 「SF大会で見せる」 というのが大前提でしたけど、自分自身がSFファンではなかったので、SF大会に集まってくる人がなにを求めてくるのかわからなかった。参加しているスタッフの好みもわからないし、それ にアニメファン、今のオタクワールドのようなものも確立されていたわけじゃなかったので、よくわからないところからリサーチしながらつくっていったんです。

あの時代のファン活動の通行手形として「美少女」っていうも のが出てきていました。当時を大航海時代だとすれば、それを支 えた推力は、内燃機関なのかどうかわからないですけど、メカと 美少女でした。メカは庵野が描ける。もう庵野が描くパワードス ツを出せばお客さん的にはOKだろう。そして80年代の初めに美少女といえば、吾妻ひでおさんの絵とクラリスが2大トレンドでした。主人公の女の子については、〝それをそのままやりまし た”という感じです。あとオープニングアニメの場合、自分で描 ける枚数の問題と、全部素人がハンドトレースでセルにするとい う事情もあったので、画を極力単純化しています。単純じゃなか ったら、細かい線のニュアンスがつぶれるという予想があったので、それでつくった画なんですよ。【403】

DAICON3の場合は、吾妻さんの画とクラリスでしたけど、DAICON4では、さらに「風の谷のナウシカ」の ナウシカが加わりました(笑)。DAICONの場合はネタモノと いうか、企画モノでしたから、企画性の枠で発想したんです。D AICON3ではランドセルを背負った女の子を出したから、4 では意表をついて「バニーガールだっ」とか。今では定番ですけど、その頃は意外だったんです。【403】

【渡辺繁】(インタビュー日時:2004年2月)

王立宇宙軍のパイロットフィルムはいろんなところに見せて回った。押井さんにも見せましたし庵野さんがナウシカに参加していた縁をたどって、宮崎駿さんのところにも見せに行きました。【426】

宮崎さんとは3時間にわたって話して、といっても宮崎さんが 2時間50分お話しになって、僕は10分だけでしたけど(笑)。そのときに宮崎さんは「庵野君たちはアマチュアだけど、ちょっと違 う存在だと思う」と評価してくれたんです。「アマチュアには豪華な出窓はつくれても、基礎をきちっとつくるという部分でふら つく人間が多い。しかし彼らはきちんと基礎をつくって、たぶん 新しい建物をつくることができそうな気がするから、もしも必要 ならばバンダイの役員会の皆さんの前で、アドバイスなどをして 差し上げてもいいですよ」とまで言ってくれたんですよ。

もうそれだけで、僕は我が意を得たりといいますか、「これで大丈夫だ」という気分になりました。 実際に役員会でも、「宮崎さんはこうおっしゃった」と伝えたら、それで企画は通ってしま いました(笑)。【427】

【感想】

エヴァや庵野さん等に関係がある箇所は太字で表してます。

ガイナックスが潰れた今、読んでみると複雑な気持ちになる人がちらほら。山賀さんはまだしも武田さんなんて話もスジが通ってて尊敬できるのに…

この本の著者:堀田純司という人は『ガンダム者』という1stガンダム関係者へのインタビュー本を出している人で有名らしく、読んでいるとすごい知識と実力を持ったインタビュアーだなと感じる。この本も丸々2年かかったんだとか。すごい本です。

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庵野秀明直撃インタビュー ナディアのこととかいろいろ(スペルマぬるぬる副艦長)

ナディアのエロ同人誌の中に入っている希有馬さん(イラストレーター・漫画家)から庵野監督へのインタビュー。インタビュー日時1998年7月10日。(カレカノの作業で忙しい時)

七月十日、三鷹・ガイナックス。 

「彼氏彼女の事情」の作業で忙しい庵野秀明を訪ねて、 

二人の無謀者が訪れていた。 

「不思議の海のナディア」に関して、 

今の庵野秀明から何かを引き出せるのだろうか? 

希有馬:どうも、お忙しいところを。 

庵野:あんま時間取れそうにないすけど。 

希有馬:いや、別に全然構いません。 30分でも・・・ ・・・ええと、ずいぶんすっきりされましたね。

庵野:ああ、夏は鬱陶しいすからね。 

希有馬:なんか・・・・・あ、ええと、これ、みやげ物なんで。 

有馬:全然たいしたことない、そこら辺で買ってきたモノなんで。 

庵野:ああ、すいません。 

希有馬:······ 

希有馬:今やっぱ、カレカノで忙しいんですか?

庵野:ああ、忙しいっすね。 

どうしたの?(笑)

希有馬:いや、なんか……目の前にあると、なるほど進んでるんだなあ、と…… 

庵野 :んーま普通の、テレビシリーズくらい のスピードッスよ。 

希有馬:あ、そんなもんなんすか。意外と······時間 かけないって言うか・・・・・あの、庵野さん自身が前イ ンタビューで、もうアニメやらないよ、みたいなコト言ったときに・・・・・・ 

庵野:どっかで言ってましたっけ

有馬:なんか••••••システムが見えるんでイヤだって話を…… 

庵野 ああ、はい。 

希有馬 で、やるからにはなんか、勝算があってや るのかなあ、と、なんか・・・そう言うこと考えてたんすけど。 

庵野:まあ、勝算は別んトコにあるンすよ。勝算って言うか、やる・・・・・・なんかなあ、理由じゃ無いなあ、目的? みたいなものは・・・ 

希有馬別のところにあるって言いますと

庵野 ん!…………ひみつ(笑)

希有馬:(笑) 判りました(笑) 

庵野 なんかなー若いのに好きにやらしたいんすよ。エヴァって押しつけて作ってたから、 ま今回は、こういう原作だし、気楽にやれるし。

希有馬:じゃ、今回はあんまり口を出さないと? 

庵野 んーまあ、そうッスね。若いのが好きにやれればなあ、と。 

有馬:若いのって言いますと······ええと・・・・・・

庵野ああ、原画やりたい人は原画やればいいし、 これで作監やってみたい人は作監やればいいし、演 出やってみたいってのがいれば、じゃあ演出やってみたらって。 

希有馬:あー、なるほどなるほど••••••そいつはすげえや(笑) 

庵野 エヴァはもう、 コンテやれる人間ですら、 絞っちゃいましたからね。三人しか残んなかった。

有馬:あー······なるほど······で、今回は自由にや ってみようと。 

庵野 ま、できるだけ。時間のない中でまあ、 時間かけてちゃんと作るのは当たり前なんすよ。 

有馬:当たり前すか。 

庵野そら当たり前でしょう(笑) まあ時間の無 いところでどこまでできるかってコトですよ。2 年かければ、なんかなあ・・・・・・それなりのものはできるし。 2年あれば・・・・・・ 

希有馬:はあ・・・・・・ 

庵野:まあ、スタッフにそれなりの人がいればで すけど。 

希有馬:で、今回は、あのもう今更聞いてもしゃあないのかもしれないんですけど、庵野さんに、 ナディアの話を聞きに来ようかなあと、思って…… 来たんですけど・・・・・・まあ、もう完全に忘れてるでしょうってコトは、こないだ会場で聞きましたんで、 どうしようかなあと本当に思ったんですけどね・・・・・・

庵野:まあ結構忘れてますね・・・・・・ 

有馬:実は今日の朝観てきたんですよ。

庵野: ? 

有馬:ナディアを。 

庵野:ああ。 

希有馬:久しぶりに、半年ぶりくらいに。で、あの ですね、あのハマハマがどうこうって言うとこ ろから、ラストまで一気に、やっぱ観ちゃうん ですよねえ。 

庵野:はあ

希有馬;で、観るとですねえ…とてつもなく実は面白くて、こんなの失敗作だって言ったヤツは誰だ? 俺かあっ!? っていう……(笑) そこでちょっとだけ反省してみたりなんかして。やっぱ面白いですよ(笑) で、あのう······あの同人誌自体が、 なんかしょうがないから出したみたいなところがあったんですけど、やっぱいるんですよね、ナディア 好きって言うのが。 

庵野:ん……そうっすね…… 

希有馬:で、だから…… エヴァがあったからナディアっていうんじゃなくて、ホントにナディアが好き で、未だにナディアが好きって言う人たちがいて、 結構若い奴らにもいるんですけど、手紙が来て、その文面から「俺はナディアが好きやあ!」てのが溢れて来るんですよね。で、なんであんたそんなに好きやねん(笑)ていうアレなんですけどね(笑) あのう、そういうトコで、なんであんなにその、好きなヒトがいるんでしょうねえ、って言うのを、庵 野さんに聞いてもしょうがないんですけどね。 庵野さん自体はどう思いますか? その、未だに・・・・・・ 「ナディア!」っていうヤツがいるってのを。

庵野 んー…や、それは人の好きずきだから、言えたコトじゃないですけどねえ······

希有馬:ひひ(笑) 

庵野:それはそれありがたい話だと思いますけ ど。 

希有馬:ええと・・・・・・じゃあ、庵野さんは冷静に、ナディアの一体どこが受けたのかって分析できるんで すか? 

庵野:受ける……受けるねえ・・・・・・ 

希有馬:ていうか、つまりあの頃もう業界ナディア一色に染まってたじゃないですか。 で、すごいじゃあ良くできた作品かって言うと、穴は、まあ、そのう作った人目の前にしてアレなんですけど、 結構開いてるんですよね。かばかばどうしてこうなってるんだろうとか、構造上の穴もあるし演出上 の穴もあるし、またあのう、発注の、アレもあるで しょう? あの海外発注の画質の荒さとか。で、 それでも・・・・・・そんなもんさておいて、やっぱその、 全員が盛り上がったワケじゃないですか。で、ホン トは一番聞きたかったのはそれなんですけど・・・・・・ど うやって、そんなことができるのかっていう魔法をかけてるとしか、僕には思えない。 

庵野:んー……えっとですね、どうだったかなあ ……最初のアニメージュのインタビューの時に、結 当時のことは言ってたと思うんですよ。 ロングインタビューがあって······ ロマンアルバムに再録して ると思うんですけどね。 

希有馬:ええ。読みました。 確か、一番最初の段階では成りゆきで参加したという話ですけど······

庵野:成りゆき…まあ成りゆきっすねえ。あのねえ、えーと…ちょっと待って、思い出すから・・・ 

希有馬:(笑) ホントにホントに忘れてるんで すね(笑) すまんこって(笑) 

庵野:まあ「トップ」やってたんすよね。 ビデオ でで、ええと… 「トップ」やってるときに、僕 はもう「トップ」で全然知らなかったんだけど、井 上プロデューサーがNHKの方に、貞本と前田の絵でプレゼン出してたんですよ。 「ナディア」てのは 僕はもう、全然知らなかった。 まあ知ってても相手にしてなかったと思うんですよ。 それどころじゃな かったから・・・ 

希有馬:「トップ」で。 

庵野 ええ。 で、 やってて・・・・・・あの、まあ…… 「トップ」 って赤字だったんですよ、ウチの会社。

希有馬:え! そうなんですか!?!?!? 

庵野:まあ制作費決まってて、あと持ち出しって コトで・・・・・まあいくらかのアカが出ちゃったんです よ。 

希有馬:それ書いてもいいんですか?

庵野:まあアカが出たのはいいんじゃないです か? 具体的な金額は俺もよくわかんないけど、 結構な金額のアカが出ちゃって、まあそりゃまあそうなんですけど制作費をほとんど据え置きで、まあ時間だけかかっちゃってるっていうことは……あの値段であれだけ頑張っちゃいけない企画なんですよ。

希有馬:え······ いや、でも······そうなんですか?

庵野:ああ、商売考えたらそうなんですよ。 ウチの会社じゃなきゃやっちゃ行けないことですよね。 ただウチの会社だから、まあそんな無茶を出来たわけでよそなら、もう当の昔にストップかかってるでしょう。 

有馬:そんなに金かかったんですか? 

庵野 いや、そうじゃなくて、安いんですよ。 元々が安くて、その安い部分をウチがかぶるってい うんですか。 

希有馬:はー、なるほど•••••• 

庵野:制作費が決まってるんだから、後は持ち出 すしかない。 

有馬:あちゃー痛い話ですねえ……(笑) 

庵野:だから例えばその会社の維持費が、まあ何百万かかるとして、で、仮に本来だったら三ヶ月かかるところを、五ヶ月かかっちゃったとすると、 その二ヶ月分ってのは維持費だけは飛んでくわけじ ゃないですか。 

有馬:ええ。 

庵野:まあその維持費だけでも赤字になっちゃう ワケですよね。だからスケジュールは、タイトで短きゃ短いほどアニメは助かるんですよ時間がかかればかかるほど金がかかる。だから、セル枚数々 ていうよりは、それはあのう、たいしたアレになん なくてね、あのう、セル一万枚が一万二千枚になっ たところで、そんなにアカにはなんないすよね。 ど ちらかと言えばそれに伴う人件費なんすよね、アニ メーションの場合。 ほとんど人件費だから要する に、セル一枚にかかる動画のお金とセル画のお金だけじゃないですか。 それって、全体から見れば大したお金じゃないですよ。それよりはその二ヶ月他の仕事してりゃ他の仕事で儲かってるワケじゃないで すか。 

希有馬:それで、アカが出ちゃうんですね。

庵野:そう。で、その分の被害って言うのはわかんないわけでしょ。 

希有馬:ああ、その間仕事していたらどうだったか、 っていうのは、わかんないと。 

庵野:そうそう。 

希有馬:で、それでアカが出て・・・・・・ 

庵野:まあそう言うのも含めて、トップ全体はー今はもうわかんないんだけど、当時はアカだった

有馬:え!! 信じられん! 

庵野:そんで、プレゼン通ったところで、この話 が突然やってきてですね、で、えーとねえ…これは僕の見た風景ね。実際の他の人のはわかんないん だけど。僕が見た風景は、えーっと…まあ、とりあえず、次の仕事決めなきゃいけないっていうんで、 あの「トップ」が終わったあとで、井上さん がテレビシリーズをやりたいって言って、 で岡田さんは当時そんなに乗り気じゃなかったんだと思うんですよ。 

希有馬:なんでですか

庵野:儲かんないじゃないかなあ。

有馬:あ、やっぱり 

庵野:アニメやっててももうかんないって、当時 はゲームがちょっと始めた時期だったと思うんだけど、確か、ウチの会社が。 で、アニメよりゲームやった方が儲かるって。

希有馬;はあ・・・・・・ 

庵野:だから、アニメやめようみたいな話が、 まあ、その時はまだ無かったですけれど、段々そっ ちに移行しつつあるって、こんな時にテレビシリー ズやって、また赤字被って、まあ、どうなるんだろうっていう不安あったと思うんですよ。それも どうなったのかなあ、わかんないなあ・・・・・・ま、岡田さんとか井上さんが、どういうアレだったのかは、 ちょっと、俺の聞いている範囲では判らないですね。 まあとにかく、ウチで、この企画はTACが上なのね、だからアレも、NHKから、NHKエンタープライズに行って、NHKエンタープライズから 東宝に行って、で東宝からTACに行って、でTACからウチだから、ウチは孫受けの孫受けくらいなんですよ(笑) 

希有馬:(笑)前のインタビューの時には孫受け てことになってましたけど、それじゃあ曾孫受け、 個々孫受けくらいじゃないですか(笑) 

庵野:まあ、実際そんな感じなんですよ。だから あのう、なんかなあ・・・・・・それで、僕最初声がかかんなくて、まあ「トップ」やってたし、やんないだ ろうって言うのが向こうにあって。で、最初これどっかで言っちゃったかなあ? 言ったような気 もするんだけどわかんないな。言ったかどうかち よっと今わかんないけど最初は貞本が監督だっ たんですよ。 

希有馬:あ、そうだったんですか? 

庵野:でも、あの… NHKから来た条件がちょっと厳しいんで、降りちゃったんですよ。これじゃ出来ませんって。そりゃまあ、降りて当然だったんですけど。で、降りちゃった後、それでもこの企画だけは続けたいって言うことで、それでようやく僕 のところに話が来て、とにかくまあやってくれない かって言うんで、そん時は負い目があったんですよ。会社にね。トップで赤字出してるから。で、当座の金もいるってから。後はまあまだ29だったかな、あの頃。で、NHKのテレビの監督やれるってんだったら、まあ・・・・・・テレビシリーズは体力が 勝負だから、やるなら早い方がいいって思ったんですよね。 

希有馬:やっぱやりたかったんですか、テレビシリ ーズ? 

庵野:まあ、やれるウチにやっとく、ていう······

希有馬:で、引き受けた。 

庵野:ていうか、引き受けざるを得ない状況だっ た……でも、それがなんかね、あの······僕ン中でナディアが駄目な理由の一つなんですよ。 

有馬:途中から参加したって言う……? 

庵野:いや、じゃなくて、自分で本当にやりたくてやったわけじゃなくて…… 「トップ」はもう、こりゃあ勿体ない!てのがあって、自主参加みたい な感じだったけど、これはなんか、やらなきゃなあ、っていう、まあ人様のために、みたいな感じ だったんですよ。 

希有馬:・・・・・・なるほどねえ······ 

庵野:まあそれと、後はNHKから来てるのが、 もうこれはもうどっかで言っちゃってるからいいと思うんだけどNHKから来てるラフって言 うかプロットみたいな原案が、これがもうラピュタ そっくりなんですよ。 

有馬:んー(笑) 

庵野:まあ、これこのままやったらラピュタの真似にしかなりませんよっていう(笑) 

希有馬:ブルーウォーターっていうのはそこら辺で? 

庵野:いや、もう、基本設定はみんな向こう、NHKですよ。それをいじっちゃいけないっていう。

希有馬:え、そうなんですか······俺前田さんあたりが考えたんじゃないかと思ってたんですけど(笑) 

庵野:いや、デザインはこっちだけど、あの…… 設定的なモノは全部向こうですね。名前もそうだし

希有馬:ナディアって言う。  

庵野:そそそ。最初はアディアっていったかな。

希有馬:ナディア・コマネチから来たんじゃないん ですか 

庵野:いやいや、ウチから名前はなんにも出してないっすよ。 ホントの名前の方と、あとジャンの下の名前は必要だったんでこっちで考えたっすけど。 メインの人間の名前と設定その他は、全部向こうで すよ。 

希有馬:ネモ船長やエレクトラさんも?

庵野:エレクトラって言うのは向こうですね。

希有馬:ヘー、そうなんですか。実に決まってますねぇ・・・・・・で、制作に関わったのは、ロマンアルバム によると二話まで出来てる段階からって……?

庵野:僕が監督引き受けたときには脚本が二話まで上がってて、で、全体39本のプロットはもう決まってたんですよね。だから……最初からね、言い訳がもう、頭の中にあるんですよ。 

有馬:言い訳が? 始める前から? 

庵野:そう。ラピュタにしないようにすればいいっていう。出来るだけそれから外すようにするしか、 やれることがないって言うか・・・・・・ 

希有馬:なるほどねえ。 

庵野 だから………最初っからうまく行くはずがないんですよ。そんなんで。 

希有馬:うーむ……………(笑)じゃあ、全体のペース配分は? つまり、どこの話数まで落としてどこを自分たちで押さえるか、みたいなのも、最初のうちに決めてたんですか? 海外発注とか 

庵野:海外発注? 海外発注はでも、最初から動画から先は韓国って言うのは、もう、最初からその約束でそう言うモンなんですよ。三銃士とア レは、もうそれがベースなんですよ。 動画から先は 韓国って言うのは、もう決まってることなんですよ。 引き受ける前から、アニメはもう、そう言うコトに なってるんですよ。 

希有馬:ああ、それがシステム化されてるって言うことに。 

庵野:まあ、それに関しては。ナディアって言うのはもう、それが最初からレールの上に乗ってて、

希有馬:そーれはきついわ!(笑)良く引き受けましたね……って、引き受けざるを得なかったのか・・・ 

庵野:でも、見方に寄っちゃあラクなんですよ。 動画から先を全部、どっかで引き受けてくれるって 言うことは、そこに関してはこっちで面倒見る必要がないっていう。 

希有馬:でも、ある一定以上のレベルを保てないと、 やっぱ「トップ」観て庵野秀明を期待していたファ ンはーていう部分のアレはなかったすか?

庵野:でも、トップもほとんど、動画は向こうですよ。 

希有馬:あ、そうなんですか? 

庵野 今日本で、海外使わずにできることって無いですよ。どのみち韓国に行くんだったら最初ッからシステム化されてればそれはそれでありがた い。やってるウチにうまくなってくしね。 

希有馬:実際うまくなってますよね。 

庵野:うまくなってる。撮影の技術とか、かなり上がってるから。まあアレもねえ、一長一短なんで すよ。一概に全部悪いとは言えないです。いいトコ あるんで、そこは利用した方がいいです。

希有馬:いいところ。 

庵野:まあギリギリまで待ってくれるし後は、 なんだっけ・・まあ、デメリットもかなりあったけ ど、枚数が多くても文句言わないし、んー、結構メ リットもあったんですよね。なんかあるとしたら、 原画から韓国出さなきゃ行けなくなる瞬間からが厳しかったッスねえ。 

希有馬:ああ、じゃ、原画さえちゃんとこっちで押さえとけば、ちゃんとしたモノが上がって来るんですね。 

庵野:まあ割と。まあそれなりに。向こうも日本の国営放送と仕事をしてるって言うのは売りになる わけだから、そんな、手を抜いた仕事もできないッ スよ。だから、向こうとしてもかなりやってくれた と思いますよ。 

希有馬:じゃあ、あまり海外発注だったデメリットって言うのは、そんなに無かった? 

庵野:あ、デメリットもあったけど、 プラスマイナスで考えれば、最終的にはプラスの方が多かったと思いますよ。 

希有馬:はあ······じゃあ、 で、始まって…… 

庵野:まあ、後はいかにNHKの原作から崩していくかですよね。 

希有馬:それで取った道が「トップ」と同じ手法だ った、と言うことが以前のインタビューに載ってましたけど

庵野んー元々最初の企画が宮さんのパロディじゃないすか。じゃあ、宮さんのパロディになるくらいだったら、それじゃあセルフパロディの方がいいやという…… 

希有馬:(笑)また、○○になるくらいなら××の 方が、ってヤツですね(笑) 

庵野:でも、あのままだったら…どっからどう 見てもラピュタでしかなかった。 

希有馬:そのプロットの中に、最初から南の島編 やアフリカ編は入ってたんですか? 

庵野:入ってましたよ。 アレって、 ジュール・ヴ ェルヌの原作の、島に行くヤツ、あっちのほうも一 緒にしたいってわけで、その原作も、オチが実は無人島がネモ船長の秘密の補給基地だったって話なんですよね。そういうのだから、気球で旅行もしなき ゃいけないし、最後にはアフリカに行かなきゃいけないしー 

希有馬:すごい、全部忠実に守ってる(笑)

庵野:まあ、島はどうしても行ってくれってんで、 じゃあどうしても行きますって。で、行くにはどうしたらいいんだろう、ノーチラス沈めるしかないなあ、と。 

希有馬:え、アレは沈まない予定だったんですか?

庵野:沈まない予定だったんです。 

希有馬:えー、じゃあ······どうやって話を繋ぐんですか? 

庵野:だから、出ていく。 脱走する話だったんです。 

希有馬:はー。 

庵野だから、ナディアが他の人先導してノーチラスを脱走して、気球でその島に流れ着いたらそこがノーチラスの補給基地だったって言う…それはないでしょーっていう(笑) 

庵野:でもあの二つの原作を一緒にすると、 確かにそうなっちゃうしかないんですよね。 

(ここで一旦庵野監督の仕事の打ち合わせのために 一時中断) 

庵野:まあそんな具合に、大枠はNHKの方で出来てて、それはいじれなかったんですよね。

希有馬:で、ノーチラスを沈めるしかなかったと。

庵野:まあそれもなんかなー、結構弁を弄していったりとかしたんですけどね。最初はね、NHKのプロデューサーの人も、結構すごい剣幕とい うか、険悪なムードだったんですけど······途中でまあ、諦めてくれたって言うか••••••まあ、若いのにまかせようって言う感じになってくれたんですよね。 そっから後はラクになったんですけど。

有馬:どこら辺から……ですかね

鹿野 やっぱ放送スタートして、人気が出てからですよね。 

希有馬:数字を見て。 

庵野:数字とか、評判を見て・・・・・・ああ、これでい いんだ、って言う。それまでは、これがいいのかどうかわからん、っていうのがあったと思うんですよね。あと、自分でやりたかった企画だから、まさか若いのに乗っ取られるみたいなコトは、思わなかっ たと思うんですよね。だから最初の頃は、かなり抵抗してましたけど・・・・・・ 

希有馬:なるほどねえ・・・・・・ 

庵野:まあそれも、ちょっとずつちょっとずつ変えていくって言う感じでしたね。一話の脚本はさすがにほとんど残してないですけど、それも、よってたかって… 確か、脚本直しでやってても埒が明かないから、絵コンテの形にまで起こして、その第一稿みたいなコンテをNHKの人に見せて、で、これが通らないんだったら、僕にはもう監督は出来ませんっていう……でもう、スケジュール的に今更、N HK側としても変えられないんですよね。それも計算の上だったんですけど。で、もうしょうがな い、これでいいよっていう。それで路線変更。二話も……二話は半分くらいは残してたかな。三話は三 分の一くらい、っていうように、どんどんちょっとずつ消えていったんです、 元の脚本が。 

希有馬:第一話って、言っちゃなんですけど、無茶苦茶バラバラなイメージがありますよね。 とても第一話に見えない、ぎくしゃくして。 

庵野:あれはもう、なんか······なにやっていいの かわかんないって言うのが正直なところでしたね。 だから、やれることやっとこうという…それでも、 サーカスで出会わなきゃいけないし、三人組は出さなきゃいけないし、 

希有馬:あ、アレ三人組も決まってたんですか?!?!?

庵野:三人組は最初、おばあちゃんと息子二人で 

有馬:ぶう(爆笑) 

庵野:でブルーウォーターを狙うという・・・・・・

――なんか、鷲鼻のおばあちゃんが脳裏に浮かぶんですけど(笑) 

希有馬:そーれは、なんていうか・・・・・・(笑)

庵野:名前だけはその時の名残が残ってて、グランバアって。グランディス・グランバアって言って、 それでおばあちゃんなんですよね。 

有馬:弱ったなそれは(笑) 

庵野 アレもね、ラピュタになるんだったらタイムボカンにしてしまえっていう。 

有馬:ああ(笑) 

庵野:だからね、全部アレ、 比較級なんですよ。 ベストのものを見つける時間が無くて、全部ベター で作ってある。これよりはこっちの方がまだ気が晴れるとか、そういうレベルですよ。 

有馬:あと、エアトンについてなんですけど、あ いつも決まってたんですか? 

庵野:アレもそう。 原作にも出てるはずですよ。 ジュール・ヴェルヌって読んでないから知らないん だけど

有馬:あいつってなんでいるのかさっぱりわかんないキャラで、それなのに最後まで出てくるじゃ ないですか。 

庵野:アレも用意されてたんですよ。島に行った ら先に流れ着いていたって言う設定で決められてて。 確か原作のどこかにいると思いますよ。 

ーーーキャラの設定や、登場退場については、絶対にずらせないんですね(笑)

希有馬:はーなるほど・・・・・・なんだか見えてきましたよ、ナディアがどうしてあんなだったのか(笑) じゃ、次ですけど、34話でしたっけ、韓国から来た絵が全部使えなくて、自腹切ったって言う回。

庵野:ああ、はい。 

希有馬:あの回って、本当の話って言うのはどんなだったんです? 気球に乗ってナニやってたん ですか? 

庵野:••••••いや、あの頃は脚本は・・・・・・もう、 上がってきたの読んでなくて、 

有馬:ええっ?! 

庵野:脚本読まないでやってたハズだから、えー と、アレは一回もりさんに頼んだんだよね。ブロッ ト、それも一行しかないようなのを渡して、で上がってきたコンテをもう素通しで韓国に流して 「捨て」の回だったんですよね、もう。この回に関 してはナニもしない、っていう…… 

希有馬:最初からそうだったんですか。

庵野:34話に下駄を履かすヒマがあるんだったら後半に力を注ごうって言うね。だから切り捨 てたブロックだったんですよ。あそこは。

希有馬:なるほど・・・・・で、庵野さんとしては、ナデ ィアはやっぱ、軽く流そうとした作品だったわけですよね。 

庵野 最初は。 

希有馬:それが、軽く流せなくなった。なんでですか? 

庵野:まわりのスタッフが頑張ってたから。

(カレカノの脚本のチェックのため、一時中断)  

庵野なんだっけ?(笑) 

希有馬:えーと…… (笑) 

結局、スタッフが頑張るから、自分だけ流していこうと思えなくなったっていう。 

庵野:結局スタッフが本気でやり始めたら・・・ ・・・しょうがないっスよね。 

希有馬:しょうがない(笑) そう言う感じだったんですか、始めは? 

庵野:やるときは、最初は出来るだけラクしようラクしようと思うんですけど・・・・・・テレビですから、 どうしても経済的にも精神的にも追い詰まって行くから、だからラクしなきゃいけないと思って。あの時期にあそこでテレビシリーズやっておかないと、 テレビアニメダメでしたからね。 

希有馬:ダメでしたね。 

庵野:当時から、反対意見って言うのは結構あって。まあテレビであんなコトやんな、ナニ考えてん だって言うのはありましたし。 エヴァの時もそうだったけど….. 

希有馬:え? ナニ考えてんだ……?

庵野:ああいう仕事をテレビでしちゃいかんという。

希有馬:あ? ああいう仕事、っていうのはいい仕事のことですか?(笑) 

庵野:そうですよ。 

希有馬え、そうなんですか?!?!?! 

庵野:テレビは流さなきゃいけないんですよ。いい仕事しちゃいけないんです。 

希有馬:えーなんで······しちゃいけないんです か? だって…•••いい仕事すれば、LDとかは売れ るし、ファンは喜ぶんじゃないですか? 

庵野:いやあ、ファンは喜ぶかも知れないですけ ど、LD売れたって……なんかなー、戻ってこない じゃないですか。スタッフには。戻るのは金出した ところにで。ナディアで全然食えなくて、その後儲かったかって言えば作監に版権で少し行ったくらいで…… 

(バンダイビジュアルからお電話で中断) 

有馬:えーと、ですから、なんでいい仕事しちゃ イカンのか、って言う点を。 

ーー結局、そうすることによって…… 

庵野:バランスが崩れるからですよ。 一つに、お金が儲からないですよね。プロって言うのはまあ、 いろんな考え方ありますけど、その中の一つに金銭 に見合った仕事をやるって言う、千円の仕事は千円 の仕事、五千円の仕事は五千円の仕事って言うふう に、ギャラに合わせた仕事をするって言うのはプロ の考え方ですよね? 

希有馬:当たり前ですね。 

庵野:だから、そう言うのをプロとする人たちは、 こういうコトされると困ると。千円のギャラで、な んで一万円の仕事するんだっていうね。 

希有馬:で、やっちゃうと後から、こないだはあの 値段でやった、とか言われちゃうワケですね。

庵野:そうなんですよ。 よそのスタジオに向かって 「あそこはこの値段でこの仕事をしている。 なんで君のトコでは出来ないんだ」って言うとばっちりが行くわけですよ。だから、バランスは均衡は 破っちゃいけないと。 

希有馬:や、でも・・・・・・あの時期ナディア無かったら、 それこそセーラームーンまでオタクはなぁんにも見 るモノがなかったって言うか・・・・・・ 

庵野:だから、そう言う意味ではウチはアマチュアイズムだって言われるのはそこですよね。金銭の ことを考えないって言うか、よそのことを考えてない。 

希有馬:でも····そういうつまり、面白くないモノを量産すれば良いのである、って言う考え方だと、 段々縮小して行くだけじゃあないですか? 

庵野:まあそうなんですけど、でも・・・・・・でも世の中の大半って言うのはそういうもんなんじゃないですか?(笑) 

希有馬:まあ、そうなんですけどね(笑) 

庵野:だから、それが通常のシステムですよ。

希有馬:いやあ、でも・・・・・・なんて言うかなあ・・・・・・ 

庵野:縮小再生産は、アニメーションの宿命みたいなモンですね。 

希有馬: 宿命! 

庵野:今でも宿命みたいなモンですよ。 どう見ても衰退期ですからね 

希有馬:うーん……エヴァ終わった後、見るモノが 

庵野なんかな!星の一生で言えば、ちょうど赤色巨星ですよね 

希有馬:(笑) あと爆発するくらいしか無いじゃないですか (笑) 

庵野:あとはまあ、爆発して四散するか、ブラッ クホールになるか・・・・・・超新星かブラックホールか、 まあどっちかでも最後がありゃまだマシですよね

希有馬:はあ・・・・・・

庵野:なんにもならずに燃え尽きるという可能性もあるかも知れない。 

希有馬:いや······でも······庵野さんなんか矛盾して て、要は······庵野さんがそうやって面白いモノを作 ることによって、寿命が延びるワケでしょ、アニメ界の? 

庵野 いや、伸びてないすよ。大きい目で見れば縮んでると思いますよ。 

希有馬:縮んでる!?!? 縮んでますか……(笑)

庵野 少なくとも、エヴァの後ロボットモノは無 くなっちゃいましたね。 

有馬:ああ・・・・・・ 

庵野;ひとつ、なんか…………要するに、売れセンだったジャンルが、これで終わっちゃったワケですよ

希有馬:えー、でもなあ······ 

庵野:新しい物差しができるって言うのは、つまりそう言うコトですよ。 

希有馬でも······ エヴァのおかげで、他のアニメの 企画は通りやすくなったって….. 

庵野:いやそれも、最初の一回だけッス。

庵野:まあ、エヴァが当たって、今ならアニメが 儲かるって思っても、質の量産って出来ないわけですよ。良質のモノが出来るスタッフって決まってるから。

希有馬:それが痛いトコですよねえ…… 

庵野 ま、どこもそうでしょ。 TV番組24時間近くやってますけど、その中でじゃあ面白い番組って 何時間あるのか、とか。バラエティあんだけあって、その中で面白いバラエティはじゃあどれだけあるのかって。それと同じですよ。 バラエティはバラエティの分野で、面白いモノを作れる人は限られて て。小説にしたってそうでしょ。本は余るほどあるけど、その中にどんだけ面白い小説はあるのかっていう。アニメに限らないッスよ。 

希有馬:でも、アニメには少なすぎですよ

庵野:ゲームだってなんだってそうでしょ。どの ジャンルでも同じですよ。ただ、アニメが儲かってると言うか、イけそうに見えるからって、 他のジャ ンルの人が慌てて金かけたとしても、その掛けた金が返らないと思ったら、やっぱ新参の人はさっとや めちゃいますよね。 

希有馬:返ってきませんか。 

庵野:返ってきません。 

希有馬:返るんじゃ…………ないですかねえ?

庵野:どうして

希有馬:いや・・・・てゆうか今回は本数が多いと思いますけど・・・・・・ 

庵野:買う人間の数はだいたい決まってて、それで本数が多いって言うことは、そん中のどれか一つ しか買わないってコトですよね。今まで一つ買ってた人が、いっぱいでたからじゃあ七つ全部買うかって言えば、やっぱ買わないわけですよ。精々もう一個増える程度で。そうすると、残りの五つは売れないワケですよ。結局、40本アニメがあったとして、 そのなかでお金出してまで買おうって言うのは一本か二本なんですよね。で、十本のうち一本が二本だったら、まだ十分の一で済みますけど、これが40 本のうち一本だったら四十分の一になっちゃう。 残りの39本って言うのは、やっただけ撮って言うこ とになるわけですよね? 

希有馬:・・・なるほど

庵野:現に深夜アニメはほぼ全滅ですよね? 

希有馬:うー(笑) 衛星のシステムはどうですか 

庵野:衛星・・・・・・だれも見ないでしょ、アニメファ ン以外。だから、外に向かないでしょアレは。

希有馬:ダメですかあ······· 

庵野:現に何も声を聞かないじゃないすか。

希有馬:そうなんですよねえ(笑) 最近衛星のブレ ンパワードしか楽しみなアニメが無くて、あんなに面白いのにどーしてみんな騒がないんだ、って思ってるんですけど(笑) 

庵野 ブレンパワードは……1分半くらいだけ見たなあ…… 

希有馬: やっぱダメっすか? 

庵野:古かったッス。 

希有馬:そこがいいんだと思うんですけどねえ(笑) やっぱ富野世代なんで、「ああ、トミノだ」ってだけで見る理由になっちゃうんですけど(笑) 

庵野:それはVガンの時に味わったんで、もういいっすよ笑) 

希有馬:以前、Vガン本が作りたいってコトを言っ てたのは、やっぱその辺なんすか? 

庵野 いや、アレもねえ…………あの時期、アレしか なかったんですよね。だから、なんかな!結局、 押井さんが言ってるのと同じになっちゃうのかなあ 

希有馬:なんすか? 

鹿野:アニメージュの20周年記念本で押井さんがちょろっと言ってたんですけど、まあアレなんすよ。なんかねえ、なんて言うか・・・・・・ 逆シャアは面白かったんすよ、すごく。そんで、F91はまあ、それなりだった。あの頃、あんなに面白かったのって F91くらいしかなかったんすよ。他のアニメはあんまり面白くなかった。 その後は・・・・・Vガンと「お兄さまへ・・・・・・」くらいしかなかったんすよね。結局、 今になっても面白いモノを作ってるのは、出崎さんとか、あとVガンで富野さんとか僕らの中で 人気があるのって、セーラームーンじゃないすか。 まあアレは……キャラ人気とかそういうもんで、およそ文化として残すモンにはならないですよね。一 過性のモノだと思うんですよ。 一過性じゃないって 当時言ってた人もいたけど、アレはどうみても一過性ですよね(笑) セーラームーンを見ていた子供たちが、って言うけど俺はセーラームーンを見ていた子供たちではないので(笑)一般論ではない。

希有馬: そらそうだ(笑) 

庵野:要するに、当時あれだけアニメがあって、 面白いのはVガンと「お兄さまへ・・・」だけだったんですよ。結局、なんかな~····面白いモノを作り続けてるのは、あのおじいさんたちだけかって。 後は、当時アニメ誌にも結構言ってたんですよ。

希有馬:なにを? 

庵野:結局特にアニメージュっていうのは、 宮さんとガンダムとそういうアニメ文化の発信源 になってたじゃないですか、当時。 

希有馬:はいはい。 

庵野:アニメ誌で、いろいろやってたじゃないですか。コナンは見てたけど、宮崎駿っていうのはそんなに意識してなかったすからね。 そんな人の過去 の作品の紹介とか見て、「ああ、面白いのはみんなこの人がやってたヤツだ」 って思って、あと高畑勲って人が面白いの作ってる、と。まあ、富野とか、 松本零士とかは知ってたんだけど、宮崎駿のは作品は知ってても名前までは来なかった人だった。 コナンで初めて「ああ、こういう人もいるんだ」って 知ったわけで、で、そういうのをちゃんと認識させ てくれたのがアニメージュの誌面だったと。 アニメ誌が当時、そう言うのにもう見向きもしなくなって、 表層的な部分しか見ない、ただの情報誌になっちゃったんですよね。 

希有馬:そうですねえ。 

庵野:そう言う声優さんの本と、なんか情報を発する本でしかなくて、当時、Vガンダムを取り上げたとこってどこにもなかったんですよ。

希有馬:ああ、それで・・・・・・ 

庵野:あれだけのものが出来ていながら、アニメがまるで見向きもしない。 それで、渡辺くんがアニメージュに帰ってきたときに、それで、言って、ようやく富野さんとの対談って言うのをね・・・・・・とにかくのっけなきゃいかんて言って(笑) だから、一人で Vガンの応援してたんですよね。 

希有馬:(笑)

庵野:「今これを持ち上げなくて何を持ち上げる」 と。特撮ファンがティガに群がるようなモンですよ 

有馬「これしかないと。 

庵野:「これしかない」から、今これを持ち上げとかないとホントに無くなっちゃうって。だから、 Vガン時も、危機感なんですよ。 アニメはもうダメなんだろうなあって。 

希有馬:今でもそう思ってるっすか?

庵野:ああ、それはもう十年前から、ナディアよ りも前、トップの頃からずーっと思い続けてることッス。 

希有馬: エヴァのあの成功の後でも、やっぱり?

庵野 いや全然、なにも変わってないッスよ。

希有馬:そうかあ・・・・・・やっぱ現場は重いッスね・・・ 

庵野:逆に、エヴァが十年に一度の傑作だって言われたら、あと十年何もないって言うことですよね。

希有馬(笑)それは困りますねぇ(笑) 

庵野:ガンダム以来のヒットって言うことは、アレが二十年前だから、あと二十年待たなきゃ行けないわけで(笑

希有馬:そーれはキツいわ(笑) 

庵野:ヤマト・ガンダム・エヴァンゲリオンって コトは、三十年でこれしか・・・(笑)

希有馬:でも、それはヒットと言うことに限ってで、 面白い作品ってだけなら、他にも······ 

庵野 いや、世間はヒットが来ないと動いてくんないすからね。 

希有馬:それは難しい話ですね……(笑) 

庵野:まあ他は、宮崎アニメくらいッスかね。 

希有馬:まあ、それはさておき・・・・・(笑)んで、ナディアが終わったあとにですね、CDを何枚か出し てるじゃないですか。で、最後に「ByeBye Bluewater」っていうの作って、我々ファ ンが「ああ、これで終わりか」と、ほっと胸をなで 下ろしていたらですね、それから一年だか、二年だか経ってから、「ByeBye Bluewate 「2」ってのを出したでしょ、アレは一体なん でですか? 

庵野:あれは、なんでだったかなあ・・・・・・経済原理が先立ってたんかな、 

有馬:あ、やっぱそんなもんすか(笑) 実はこないだの年末に初めて知ったンすよ(笑) ナディア本作ろうと思って、じゃあ、ナディアの資料、今から手に入るだけ手に入れてみようと思って、 中古CD 屋に行って初めて知ったんすよ。 「こんなモンがあったのか!」って(笑)で、その頃ナディアファン だったって言う連中に見せると、みんながビックリ するんですよやっぱり(笑) 「こんなモンがあったのか!」って(笑

庵野:「2」はアレは、ボックスですね。

希有馬:ボックスのヤツを、単品で出したって言う 

庵野:えっとユーメックス(昔のレコード会社)なんかには、あれ、 ドル箱だったんす。 CD。あんなに売れたCDは、 ガンダム以来って言うか当時、ドル箱だったんす。あれはだから出し続けるのを宿命づけられちゃったんすよね。で、なんてのかなあ。ナディアに関して、僕にはなんも権利無いすよ。だからまあ、出さないでくれ、とは言えないんですねアレ。

希有馬:ああ、はあはあ 

庵野:まあ、リミックスだけはさすがに勘弁してくれって、アレだけは関わってないですけど、なん か、リミックスのヤツが出てるはずなんすよ。 アレ は一切関与してないっすね。さすがにもう、いいで しょうっていう……………(笑) だからアレだけは、なんもアドバイスもしてないっすね。 

希有馬:はー・・・出さざるをえないから出すのか・・・ 

庵野:箱で出す、で、新しくCD1枚入れるっていう時に、なんかな~・・・・・・CDだけはなんつーの、人に振りたくない、最後の砦だったんすよね。まあ、 LD出すのも、向こうの勝手なんですよ。 ビデオ出 すのも勝手なんです。 勝手に出されるくらいだったら協力して、少しでもこっちの、こう、気の済む方向にさせて貰おう、と。だから、おまけ劇場みたい のをLDに付けたのも、値段設定が、僕から見りゃ べらぼうに高かったんですよ。 

希有馬:わはは(笑) 買ったヤツがここにいますよ(笑)

ーーすいません、買いました(笑)

庵野:だから――こ、この値段はちょっと無いでしょ(笑) てのがあったんですけど、でも、 その値段設定も、こっちじゃどうしようもないでしょ。じゃあ、せめておまけくらい付けないとマズいんじゃないですか、って。んもう販促も、こっ ちの知らないウチに出来てるからね、テレカとか。 あずかり知らないところでどんどんどんどんナディアって動いてたんすよ。だから今出し直ししてんのも、もう知らなかったッスよ。

希有馬:えーアレも知らなかったんすか(笑)

庵野: だからもう、ホントになんの通知も来ない ッスよ、僕には。ま、関係無いんすよね。権利者じゃないから。まあ、ボックスで出すって言うときに も、そこに一枚CDを新たに入れる。 それはまあ協力しますけど、ボックスはともかく、出るときにち ゃんとバラでも出してくれって頼んだンすよ。 

希有馬:ああ、それでバラで出たんすか。 

庵野:で、バラも頼んで、で、あのう、 ボックス 全部買い直す人もいれば、中には新作一枚のため にっていう人も何割か、何パーセントがいるかもしれない。だから、その人たちが損した気分にならないように、ボックスで出すときに、バラもあるって告知してくれって頼んだンすよ。 

ーー今聞くとすごいドラマですよね(笑) 

希有馬:ひひひ(笑)

庵野:あれはなんかな子供っぽいのがダメだったんすよね。 

希有馬:子供っぽいのがダメだったっつうと・・・ 

庵野:だから、ナディアみたいな、ああ言う子供 っぽい、ガキっぽいのがすごくイヤで、しょうがなかった時期じゃないかなあ・・・・・・だからちょっと、なんか、大人な感じ大人な感じって、背伸びしてますよね、アレは..まあ背伸びしてて、 キャラクター 使わなくてもいいかって言う感じで、じゃあ好き勝手させて貰おうっていうことになって……

希有馬:そんで第二新東京市ですか(笑) 

庵野:アレは…………あの頃なんすよ、エヴァの最初の、ビデオの頃の企画書いてたのがちょうどあの頃 だったんすよね。だから、重なってるんすよね。

希有馬:なんか、ハタから見てると、継続して成長したみたいな感じがあって面白いっすけどね(笑)

庵野:ほぼ同時に企画やってましたからね。エヴァのひな形になるヤツ、ビデオ六本の時の企画とは。アレが第二新東京市の話にするつもりだったから、 まあ・・・・・・同じですよね。世界観的には引きずってますよ。アレにもリツコっていうキャラクターが出る 予定だったし。 

希有馬:なるほどね、そう言う事情があったんですか。

―庵野さんが言う、その「CDが最後の砦だ」 って言うのは? 

鹿野:アレは、えーと・・・・・・徳間の方で、小説まで出ちゃったんすよね、知らないウチに。

希有馬:(笑)

庵野:んもう、最初のノベライズの時には、まあ台本通りにした方がいいんじゃないですかって言ったんですけどね。あんまりオリジナルで作るとなん か・・・・・・ テレビシリーズを見た人が反芻するためのモンだから、ノベライズって…… 

庵野だから、あんまり変えない方がいいッスよ って。……あれもなー、なんかやっぱナディアん時ってみんな貧乏だったンすよ、ホントに。 で、直接現場に携わってない人ほどお金持ちだった んすよね。 

希有馬:はー(笑)

庵野:んであげく、知らないまあホントに知らないところで、なんか、書き下ろしの小説とかも徳間から出ててですねえ・・・・・・しばらく徳間の仕事しなかったからなあ・・・・・・ 

希有馬:あ、そんなにハラ立ちましたか・・・・・・

庵野:アレはハラ立ちましたね。感情論でしかないんすけどね、アレに関しては。 

希有馬:映画とかは……? 

庵野:映画も結局は、降りた形に。 

希有馬:あ、アレは降りたんすか。 勝手に、とかじ ゃなくって…..? 

庵野:時間的に無理なんすよ。東宝って「タッチ」 とかやってたじゃないすか。 あれ、テレビシリーズやりながら映画同時にやってましたよね。 で、映画で使った絵とかをそのままテレビに流用するとかし て、まあ、うまくやって両立させてるじゃないすか。

希有馬:ええ。 

庵野:僕にはそれ、できませんって。まあ映画になるのはもう決まってて、だから東宝が入ってるンすよね、アレ。東宝で映画化って言うのもセットだった、既に。だけど、それはちょっと勘弁して下さいって。テレビシリーズで多分無茶苦茶になって、 もうなんか、余裕無くなるはずなんで、同時に映画の作業なんかできんと。まあアレも、いろいろ紆余曲折あるんですけどね。最終的には、あのう、僕に話が来たときには、総集編ならやるって言って。 新作入れて四ヶ月でテレビシリーズ、あれ最終話に半年かかってるんだけど、だから、テレビの三分の二のスケジュールで、映画一本作れませんって言って。 

希有馬:まあ、確かに(笑) 

庵野:だから、クオリティが落ちるのはもう、目に見えてたわけだし、これをこなすのはもう、 テレビのバンクをがーッと使った上に、新作カットを入 れて、要するにガンダムにするしかないと。100 カット……150ぐらいの新作カットを入れて、うまく繋げれば、まあアレ元々35ミリだし、

希有馬:え、アレ35ミリだったんですか?

庵野:韓国には35しか無いンですよ。だからまあ、仕方がない。 16ミリがないんだし。 16ミリ に縮小プリントなんすよ。 

希有馬:ヘー、ビックリ(笑) 

庵野:だから、まあ••••••時間がないんだからって。 で、それはまあ、NG食らったンすよね。

希有馬:なんでですか

庵野:あのストーリーは、NHKに著作権があるって言われて、ああ、そうですかって(笑)

希有馬:うわー)それはすごい(笑) 

庵野:だから、同じストーリーじゃ、映画は許せって言うので。まあストーリーに著作権があるって、俺にはちょっとわかんないすけどね(笑) じゃあ、聖書がマルC取ったらどうなるんだって (笑) 聖書は全世界の脚本家の共有財産ッスからね (笑) ••••••まあ、それはどうでもいいや(笑) とにかく難癖付けられて、ダメだったんすよ。じゃあもう降りるしかないって。だからあとは、もう預かりしらんところで・・・・・・まあ、そうせざるを得ないんですけどね。 

希有馬:小説と映画は、じゃあまったく関知してな いところで進んで、しかも小説に至ってはまったく通知もなかったって言う…… 

庵野:まーそうすけど、本来はそうなんですよ。 権利のない、受けの雇われ監督みたいなところ に、いちいちね……でも、なんかなー、半分以上は こっちでやったっていう、自負みたいなのが当時あ りましたからね…まあ、今考えればほとんど感情論なんすけど、やっぱ、不愉快な気分にしかならないッスよね。 

希有馬: エヴァの小説は勘弁してくれって 言うのは、つまりそこらへんから……? 

庵野:エヴァん時は、それだけはちゃんとしよう って思ってたんすよ。幸い大月さんがそれを許してくれたんで、だから、エヴァでようやく「小説は出しません」って言えるようになって、CDもだし、 挙げ句の果てには、これでもう終わりです、って言えるんですよ。ナディアみたいに「ボックス出すから」みたいのはないですよね、これで。 そう言うコントロールも、ようやくこちらで出来るようになっ て。だから、ガンダムにもヤマトにもならないで済む(笑) 松本さんとか偉かったと思いますよ、今考えれば。「1」ってのは自分たちでやったハズなの に、知らないウチに、ねえ、なんかこう…(笑) 次々に(笑)あんまりいい気持ちはしなかったんじ ゃないかなあ、わかんないですけどね。俺もあんまりいい気持ちはしなかったから…… 

希有馬:なるほどねえ・・・・・・ 庵野さん聞いてると、やっばナディア好きだったんですね。 

庵野:んー、や、作品はそんなにキライじゃないですよ、滅茶苦茶だけど。 やってた自分が嫌いなんですよね。やっぱり、言い訳を最初に、ベースにしてるから、あんまりすきじゃないっていう……..

希有馬:やってた自分が嫌いっていうのは・・・・なんかこう、微妙な意見ですね(笑) 

庵野:作品自体は、僕個人でどうこう語れるものではないし…失敗した部分もあるけど、うまく行ったところもある。当時、あのスタッフであれだけのことができたっていうのもすごかったし、途中で樋口にバトンタッチして、またあとからっていうのも、結果としては良かったなあって思うしあっちの方が好きだって人も、まあかなりいますしね。

希有馬:樋口ナディアですか(笑)とたんにおかしくなりますからね(笑)おかしくと言うか、途端に底抜けになっちゃって(笑)今まで底があったと思ったのにあの辺は確かに面白いですよね(笑)

庵野 いええ。そーゆうのも含めて、テレビシリー ズのおもしろさだと思うんですよ。だから、そこを否定するつもりはないっす。 コナンとかもそうですよね。途中まで宮さんがやって、八話で矢折れ力尽きて高畑さんにバトンタッチして、やっぱ途中から 変わりますから、コナンが。 で、十六話からまた宮さんが帰ってきたら、また元に戻りますからね。だから、そう言う意味ではコナンも二重人格ですよ。 高畑さんの部分が、やっぱり半ば入ってる。 

希有馬:テレビシリーズの良さは、そう言うところにある? 

庵野:や、それも含めて良し、って言う。

希有馬:ナディアが未だに好きだって人が多いの は、やっぱそういうふうにして、テレビシリーズの 少しずつ、別の部分が見えてたっていうのがあるんですかね。そのうちのどれかが、今でも引っかかっ てて。カチンと 

庵野:んーまあ、そう言うのもあるとおもうんすけど。いや、嫌いな人は嫌いだろうけど。 

希有馬:あー(笑) あんなにわがままなヒロインは初めてだったし……(笑) なにしろ、今見てもどん な女かさっぱりわかんないッスからね(笑) 

庵野:……わかんないッスよねぇ・・・・・・アレはもう最初に出来ちゃってるところから、いじって行ってるから……根っこがないんですよね、キャラクターに。ジャンくらいシンプルだといいんですけど 

希有馬:あージャンいい男ですよねー(笑)いやもう、父ちゃんが死んだってことを知るくだりからこっちのジャンは、なんかもう言うことは明解になる上に、思いやりまであっていいヤツですよねー(笑) 庵野さんのワールドの中では、かなりいいヤツの部類に入るんじゃないですか、あの男は(笑) シンプ ルで(笑)典型的ですけどね、おかげで。 

庵野:ん~キャラクターはマンガだからステレオタイプなんですけどね。まあ、役割分担がはっきりしてるからですよね。 

希有馬:比較として、まっとうに見えると?

庵野:や、いわゆる「いいひと」の部分を全部あそこに持ってくっていう。ジャンとナディアって、 二人で一つの人格だから。 

希有馬:ですねー(笑)片方だけだとストーリーに なりませんからね(笑)ずっと一緒にいるし。 

庵野:そういう対の部分がはっきりしてたから・・・ ・・・ダメなキャラクターといえばダメなキャラクターですよ 

希有馬:(笑)いやー 

庵野:四話で、たしか答えを出しちゃってるんですよね。確か言わせてる。「僕には嫌いな人っていないんだ」って言わせてると思うんだけど、てことは 好きな人もいないってコトですよ。誰も嫌わないってコトは、誰も好きじゃないってコトだし。あのセ リフ自分で思いついたときに、ああ、これでこのキ ャラクターはできたな、っていう。 

希有馬:ああ、そう言う男なんすか、あいつは。 

庵野:要するに世間知らずっていうか。典型的ないい人ですよね。イヤなヤツだと思いますよ(笑) マンガん中だから許せるけど、あんな人間がそばにいたら殴りたくなってたまんないと思いますよ 

希有馬:わははは(笑) 友達づきあいはしやすいと思いますけど・・・)

庵野:んーでもまあ、要するに誰からも嫌われないけど、誰からも好かれない人間になると思うんですよね。 

希有馬:んー、そうですねえ…(笑) 

庵野監督、携帯に電話入る 

庵野:んでなんでしたっけ。 

希有馬:すいません、忙しいのに・・・・・えーっと、 イヤ実はですね、昔ガンダムブームの時にですね、 僕はまだ小学生だったんですよ。 で、世の中には二ュータイプ信者ってのがいて、で、あのう、ニュータイプの思想が本当にあるって信じて、それを論説してる人間がいるって聞いたときに、げらげら笑ったんですよ。だって、僕にとってはガンプラの題材でしかなかったワケじゃないですか。ガンダムってのが。で、そんなのっているのかねって思ってたんですけど・・・・・・まあさかこの歳になって自分が遭遇するとは(笑) 

庵野 そうっすねえ…………俺も、そんなん話に聞い ただけだったんですけどねえ、ニュータイプ論者なんてのは······ 

庵野:え? 

希有馬:自分が作ったじゃないスか笑) 

希有馬:いや、エヴァンゲリオン論者を。 

庵野 ああ···・・・まぁ富野さんも、そんな気は無かったんじゃないかと思いますよ。 いや、俺よりはあったかも知れませんけど。少なくとも俺にはなかったなあ・・・・・・まあ、世の中にはいろんな人がいるんだなあと。 

希有馬:なるほど(笑) 

庵野:なんかなー…言っちゃ悪いけど、あの程度じゃないすか。 エヴァって。 

希有馬:そ、そこまで言いますか!(笑) 

庵野:だって、あの程度ですよ(笑) アレで宗教だなんだって言うんだったら、ほんとに麻原彰晃てのは、なんかこうオウムって、初めて聞いたときには、もっとイイ物だと思ってたんですよ。イイ ってのは、もっとレベルの高い…

希有馬:あ、僕もそう思いました。 

庵野:なんか、戦闘集団みたいな感じだったのに、なんかこう、上佑さんとか、いろいろマスコミに出始めたら、みるみる化けの皮がはがれて行って

希有馬:あああ(笑)

庵野:あれっ、こんなに頭の悪いヒトタチだったのっ!?っていう(笑) 

希有馬:いや、僕はオウムって言うのは一枚板の組だと思ってたんですよ。麻原彰晃のもとに。 

庵野:いや、一枚板だとは思わなかったンすけどね。もうちょっと、組織の上の方の人たちって、イケてると思ってたんですよ。 

希有馬:僕ももっとシャープだと思ってて、

庵野:シャープって言うか、んー、なんかもっとこう、洗練された部分? 確信犯的にですね・・・ ・・・やると思ったんだけど・・・・・・まあ、サリンのやり方についてもちょっと、迂闊っぽいですよね。

希有馬:うかつ(笑) 

庵野:本気でやるならもうちょっときちんとやればいいのにって思う。 テロリズムにしてはアマチュアイズムっていうか・・・・・・ アマチュアっぽいですよね。 

希有馬:ええ。 

庵野:あとあの、麻原彰晃ってのが、これがまた、 みるみるうちに化けの皮がはがれていって(笑) え、この程度の人なの? って······なんかな…… アレで宗教にハマる感覚って言うのがわかんなかっ たっすからね。でも、エヴァ程度でコレくらいてんだから、ああ、なるほどって…….. 

希有馬:(笑) 庵野さん教祖になれますよ、今なら(笑)

庵野:いや! いいっすよ。 いやーいいっすよ。 

希有馬:好みのタイプの女ばっかりまわりにはべらしてですねえ(笑) 

庵野:んーでも、あの感覚を快楽と感じられれば、 多分なれるんじゃないかな。 

希有馬:快楽と言いますと? 

庵野:そういう、人が崇めてくるような感覚をね。 なんか、褒めてくるわけじゃないですか。素晴らしいですねって。 

希有馬:そういうのって快楽じゃなかったんですか? 

庵野:快楽じゃなかったっすねぇ。むしろ、なんか不愉快…・・・ 

希有馬:不愉快!?!? 

庵野:だから、先生扱いされるたびにいやな気分 がしてましたよ。 こないだも、新人の子に、監督監督言うから「監督って言うな!」って怒りましたもん。 

希有馬:なるほど・・・・・・ 

庵野:そういうのがなんかもう、すごいヤなんですよ。 

希有馬:心情的に 

庵野:ん、なんか・・・・・・全然いい感じしないッス ね。もう、もてはやされるのがイヤ。 

希有馬・・・・・・なんでですか

庵野:それに値する人間だと、自分で思ってないからでしょ。そのギャップがあるからですよね。

希有馬:じゃあ、あれですね。庵野さんよりももっ とナルシストの人が、もしもエヴァンゲリオンを作っていたら教祖になってた?

庵野:ん、なれたでしょうね。富野さんだったらなれたかもしれない。 ナウシカ作ったころの宮さんだったらなれたかもしれない。でもまあ······フィルム作ってるような人はみんなそうなんじゃないですか? イヤじゃない人が教祖になるんですよ。 か、 フィルム作れないような人が教祖になるん じゃないかなあ。 

庵野 フィルム作ってる人はなんか、そういう風 に行かないんじゃないかなあ? 別になんなくても いいやっていう 

希有馬:なんで?? 

庵野:なんでって面白くないからじゃないすか・・・

希有馬: フィルムを作っている……よりも?

庵野フィルム作っている方が面白いからッスよね。 

希有馬:はははあ、なるほど。 

庵野:教祖みたいの、なんかなナニがおもしろいんだろうって思いますよね。イヤな思いしかしないだろうし…… 

希有馬:つまり、なりたくないんですよ (笑) 

庵野:まあ、正直エヴァのテレビが終わったあと、一斉に排除にかかったじゃないですか。まとわりついてくるみたいのを。 

希有馬:ええ。 

庵野:あれくらい言わないと、なんかこう、嫌われないっていうのが。あと、あれくらい言わないと耳傾けてくれないッスよね、アニメファンって。

希有馬:そうっすか。 

庵野 いや、なんか……やっぱアニメファンって、 ある面ピュアなんすよ。ピュアって言うことは一つのことを純粋に信用しちゃうんですよね。そりゃあ、 なんかこう…いい意味ではいいんだけど、広い目で見たら、どうみても弱点じゃないですか。 

希有馬:「お前騙されるぞ、そのうち」とか、そう言うコトですか?(笑) 

庵野:まあ・・・判っててやってんのはいいんですよ。判ってない人が、やったらとなんかこう、目に付いたもんで…. 

希有馬:判ってない……? 

庵野:自分の位置と社会の位置というか世間の位置というかというのを、相対的に見れてない層とい うのが、やたらといたのが気になっていて。 

希有馬:つまり、公共の場でも騒ぐとか、そう言うヤツじゃなくて? 

庵野:じゃなくて、 

希有馬:自分の趣味が一般的だと思ってるとか。

庵野 まあそういうのもありますね。一般的だと思ってるのかも知れないし、もしくは、一般の人が 自分の高尚な趣味を判ってないんだという

希有馬:あっ!それはありますねえ!

庵野:じゃないでしょーっていう

希有馬:おいおいっていうか(笑) 

庵野:実に下らない趣味なワケでその下らないことを一生懸命やってんのがイイんだって(笑)  うわ、なんて下らないんだーっていうのがイイのに、 それを高尚な物だと思うのはちょっと、思い上がりも甚だしい 

ーーちょうど僕らくらいの世代の少し後からだと思 うんですけど、アニメ観るのが恥ずかしくない世代、っていうのがあって…… 

庵野:まあ、いますねー。 

ーーで、僕らそれ見てビックリしちゃったんですよ。 僕らなんかはアニメ観るのが恥ずかしいことだって世代なんで 

希有馬:あのですね、コレは僕の考えというか、まあ······普通の人はそう思うのかもしんないんだけど、僕にとってはオタクって負けてるんですよ、い ろんな物に負けてここに流れ着いて来てるんです よね。 

庵野:ええ、世間の負け犬ッスよね。 

希有馬:だから僕は、「こんなアニメ、好きだあ !」ていうのは恥ずかしいし、「こんなアニメで、 こんなにエッチなコトを描いてしまいましたっ!」 っていうのなんて、あんな人が集まるところでしかやれないワケじゃないですか(笑) 同好の士が集まる場所でないと(笑) それをですね、あろうことか 一般公道で話すのはおろか、まるで自分が最先端の モノに触れているかの如くに言うヤツとかがいるんですよ実際! 

庵野:ええ、いるんですよ。アレが格好悪くてですね。 

希有馬:勘弁してくれって感じで(笑) 

庵野:そうなんすよねもう。 オタクが情報の発信源みたいな勘違いしてる人たちがですね、なんかやたら多かったんで。アニメがなんか世界の、うーん、 文化の最先端って言ってるように見えるけど、僕から見れば一周遅れなんすよね。

希有馬:一周遅れ(笑) 

庵野:一周遅れだからなんかこう、 先を走っているように見えるだけ(笑) レースとか見てて、お、 あいつ速いなと思ったら、実は周回遅れでって言う (笑) 一位と競ってるように見えるんだけど(笑) なんか······あ! ニッサンがこんな位置にいるなん て!って実は周回遅れで(笑)だからまあ、 そう言う感覚が、僕はもうオタクにはあるんですよね。 

希有馬:で、それを…………おまえらが見てるのはこんな下らないモノだ、って言いたかったんですか?

庵野 下らないコトだ、っていうのを認識して欲しいっていうかいや、認知とか認識とかそんなんじゃなくて、なんかなー…… 

希有馬:成功しました? 

庵野 んーまあ、ある程度は。でも、それはもうどうでもいいんすよ。まあ、そう言うことで俺のそばに来るのがガタッと減ったから、それでいいっす。

希有馬:あ、なるほど(笑) 

ーーみんな心から、「そんなことはない」「アニメはもっとすごいモンだ」 って、言ってましたからねあの頃エヴァンゲリオン終わって、庵野さんがそう言ったのを聞いた後に 

希有馬:あっれでもしも、庵野さんが「俺は世界の最先端だ!」みたいなコト言ってたら、ああっと言う間ですよ笑) 

庵野:でしょうねえ······ いややっぱ、世の中には 教祖になりたい人と、なりたくない人がいるんですよ。あとなれない人が。なれない人は、もうしょうがないんで、誰かすがりつく人を捜すしかないですけどね。 依存するしか。 でも、俺は依存の体質には 耐えられなかったから…… 

希有馬:結局、それがいやだったんですよね?(笑)

庵野:なんかもー俺、「蜘蛛の糸」のカンダタの気持ちが良く判るんですよ。いろんな、なんかこう、 仲間がやってきて・・・・アレはもう仏様がひどいと思う(笑) 元々カンダタ一人を助けようと思って蜘蛛の糸をそれも、蜘蛛の糸じゃないですか。 アレ がナイロンザイルとかだったら、もう二、三人はオッケーかとカンダタも思うと思うんですよ(笑) で も、よりによって垂れ下がって来たのが蜘蛛の糸で、 そんなん見たらねえ······自分一人で上がってても、 いつ切れるのかしらんっていう恐怖と戦っているは ずなのに、それで、いろんな人間が山のように群がってきたら、そりゃあ、なんか落とすじゃないですか(笑)おまけに······なんかな 僕が法の基礎だと思ってるのは二つしか無いンですよ。 「カ ルネアデスの船」、目には目を、歯には歯をの 「ハムラビ法典」。あれこそが僕は、法として最低限のモノだと思ってるから。だから、カルネアデスの板から思えば、自分が助かるために他人を蹴落とす のは、モチのロンじゃないですか。それを否定したら国際法がもう成り立たないわけで(笑)なのに、 お釈迦様自身がそれを否定してる

ーー仏教思想の中では、それはダメ?(笑)

庵野というより、芥川龍之介の中ではダメだったんでしょ。あれはもう······アレを教科書にするこの国の感覚は、俺にはわからん、と。 どー見てもコ レは、向こうが悪いでしょう(笑) それがカンダタ が悪人になってて、こりゃダメだと。 こういうの教科書にのっけてる国はイカンなあと思うんですよ。

希有馬:まあ(笑) ……そうなんですけど(笑) 要は、みんなで一緒に助かった方がいいって、そう言う話でしょ?(笑) 

ーーでも、蜘蛛の糸だよ(笑) 

希有馬:ナイロンザイルにしとけってか(笑)

庵野 ええ。あれがナイロンザイルとかですね、 まだガンダムの手とかだったら、まあ、あと十人く らいは大丈夫かって、そう思いますよ。それが蜘蛛 の糸はないでしょうって

希有馬:わははは(笑) ••••••まあ、エヴァンゲリオ ンは蜘蛛の糸みたいなモンで、なんでみんな群がっ て来るんだろうと、そう言う感じですかね(笑)

庵野 まあ、そうですね。だから「あの程度のモン」なんですよアニメにしちゃあ良くできてる けれども、やっぱり「その程度」っていうだらけだし。あの、なんだったっけ、謎解き部分に 関しては、わざと開けてあるところもありますけど 

希有馬:あれでみんな、簡単に引っかかりましたよ ねえ。俺なんか、穴は開けるモンだとまで思いましたけど 

庵野:わざと開けてるところはありますよ。 リンクしないように、わざと矛盾があるように設定した ところが、二ヶ所か、三ヶ所 あれもね、なんか …………あれはどっちかって言うと嫌がらせかな(笑)

希有馬:嫌がらせって(笑) 

庵野:いや・・・最初のガンダムでそういう遊びをした人は面白いと思うんですよ。ファーストガンダ ムで語られていない部分を、どんどん埋めていって、 ルナツーってのはどうできててとか、ガンダムが宇 宙空間で動くのをどうやってるか説明して、なんかこう手足を動かしたら、その反動で動いて、これは推進剤を使わない分便利だって、エネルギーをつかわなくってっていう(笑) で、これはなんか・・・・・・いいこじつけだなあと思ったんです(笑) ザンジバル もホワイトベースも、あのまんまで突っ込んで行っ てですね(笑) 大気圏に突入するのがかっこいいと思ってたんすよ(笑) ガンダムにサランラップを巻いて大気圏に突入できる!ああ、これはいい! って(笑)

希有馬:わはははは!笑) 

庵野:ザクは燃え尽きるのにガンダムはなんで燃えないんだってシャアが不思議に思う、あの感覚が良かったんですよね。ガンダムのいいところってそこだと思うんだけど、それがゼータガンダムになってバリュートシステムとかいう余計なモンが付いて 格好悪くなってたじゃないですか。だからホワイト ベースも、あの格好で大気圏突入が可能な戦艦って いう設定が良かったのに、でも、ジオンは大気圏突入が遅れてるから、ザンジバルみたいなああいう丸 っこいやつでなきゃダメで、で、ザンジバル型でようやく大気圏突入が可能になったって。 で、 ホワイ トベースすごい!と(笑)

有馬:(笑) なにしろ、見た目で判りますからね、凄さが(爆笑) あんなんが大気圏突入するんですから(笑) 

庵野:え、なに、ガラスのトコにシャッター閉めたら、終わり? っていう(笑)••••••確かにガラスそのままはマズイでしょうけど・・ガンダムはサランラップだし(笑) まああれは銀とかでやればよか ったんだろうけど、アニメの場合銀って表現しにくいから。またはエネルギーの放射っぽいのとかを・・・ ・・・サランラップではなあ(笑) 説得力ないですよね (笑) 

希有馬:子供心にドキドキしましたけどね

庵野:耐熱フィールドつってまさかここからサランラップが出てくるとは(笑)

希有馬:(爆笑) 

庵野······あれが良かったのに、あっこからあとはなんか設定だけがやたら作られて… 設定マニア みたいのが出てきたじゃないですか。数値とかですね、なんか……ああいうのがな~ダメなんすよ。 ガンダムは18メートルだから、こういう風には見えないとか、いやその、どうでもいいじゃんって (笑)確かに人の大きさ、ここに乗ってるアムロとかから換算すれば18じゃないですけどね、どうでもいいじゃん! 1話で見てるアムロから換算すれ ば、あれ、30メートルくらいはあるんですよ。 比較すると。でも、あの大きさがかっこよく見えるんだから、それでいいハズなんですよ。だからエヴァ ンゲリオンもわざと、設定身長を出さなかったんですよね。 

有馬:スパロボで出たらしいですけど。

庵野 あの時には40~200って書いてありま すね。 

希有馬:んあ? 

庵野 まあ、一番小さく見えるときで40メート ルくらい、エントリープラグから換算すれば200メートルくらいかなあと。だって、エントリーブラグが首筋にこうささって、 こん中に人間がこれっくらいの大きさで入ってるってワケですからね。

希有馬:そう考えると滅茶苦茶でかいですね (笑) 

ーーかっこよく見えるために設定をいじっちゃうっ ていうコトを理解できないってのは多いですよね。 

希有馬:ああ、無理。飛べないっていうか…つまりその、「ヘンだろ、それ」ってのが先に立つんで すよね。 

庵野:そうなんすよ、だから気にしすぎなんすよね。普通の人はそんな気にしないのに。だから、 エヴァの場合はその辺意地悪くっていうか、言い方を悪くすれば・・・・・・馬鹿にしてるっていう。 ハナから。やるだけムダですよって。LDのライナーに 付いてる使徒図鑑みたいのも、あれも最初はやめたらって言ったんですけどね。どーやってもつじつま が合わないんだから。そんな風に、設定がいくつかリンクしないように作ってあるんですよ。これは負け惜しみとかじゃなくて、最初から、計算って言う か······こうすりゃもう、ダメだろう。このシーンっ てのは、それくらいいい加減にやってますよって言う(笑)誰が見てもこれじゃあ判んないでしょうっていう(笑) そういういい加減にやってるって判って貰えなかったかな、っていう(笑) ちょっと心外ですね(笑) 

希有馬:いや~それについてはあさりさんが「庵野秀明が、アンビリカルケーブルにオノが刺さると、 電気がたまってそこが膨らむくらいの演出をすれば、みんなが判ってくれたっていうのに(笑) あれはまだリアルすぎだ」って言ってましたよ(笑)

庵野:いやあそこまでやったらギャグになっちゃうじゃないですか(笑)だって、マグマにあの格好で潜るっていうアレでもうギャグっすよ。

――いや、俺たちはげらげら笑いましたけど

希有馬:んー、まあ、リアリティだよね

庵野:いやまあ、マグマの中が流動してるって言ったからって、こんな······あんなんじゃないですよね(笑) 

希有馬:いくらなんでもねえ(笑) あんなぶくぶく沈んでくのは無理だっつうの(笑) 

ーーマグマん中なのに、向こう見えますからね

希有馬:マグマの中で速い使徒って、なんだそりゃって(笑)

庵野:ねえ(笑) ちょっとみんな判ってよって 

希有馬:あー(笑)

庵野 あれもねえ・・・・・・山下くんとか、結構厳しい こと言ってて「マ、マグマに潜るんですか!?!?!」 つっ て、マグマっていう言葉はやめてくれって。マグマ ってのは個体の名称だからって。でも、それがいい のに(笑) マグマって言わなきゃ普通の人判んない よ) 

有馬:そうですねえ(笑) 

庵野:だから、ウチのやつはハードSFなんかじ ゃないですよね。まあ、それ言っちゃえば、昔から言われるように二足歩行の巨大ロボットの兵器運用性ってのは、もう、ハテナになっちゃう。 巨大ロボ ットがいる必要性から疑問になってく。 なんでそんなモンいるのっていうそれよりゃもっと、機動性 のいい戦闘機なんかの方がはるかにいいはずですよね。 あれよりはもっと、ちゃんと空を飛んで重火器を持たせて、の方が絶対にいいはずなんすよ。

希有馬:でも、それじゃあキャラクター性が無くな っちゃいますからね。 

庵野:まあ、ロボットにはなんないっすからね。 まあ、だからロボットモノって言う自体で、既にマ ンガなんすよ。 

希有馬:ゴチャゴチャ言うなと(笑)

庵野:ていうか、ゴチャゴチャいうたぐいのモン じゃないんですよ、 元々(笑) 馬鹿なことを、なん かこう、生真面目にやろうとしている、それがいい って言うのに(笑)最初のガンダムの良さ、マジン ガーの良さですよね。 

希有馬:はいはい。 

庵野:ガンダムでいいのは、あの微妙なバランス ですよね。ファーストガンダムは。ロボットモノと、 そこから抜けだそうとする力の微妙なバランスが良かったのになんでこう、Gアーマーとか否定するんすかね(笑) 

希有馬:(爆笑) いやあれ、富野さんもやりたくなかったって言ってるじゃないですか(笑) 

庵野:え、でもGアーマーいいよ。なんか、外枠から来ているロボットモノとしての宿命を、なんとどう回避しようかっていうあそこの葛藤がイイんですよね。アレを兵器として運用するっていう、 その無茶な(笑) アレを兵器として使用しようとす その心意気ってのが(笑) 

希有馬:確かになー、アレを与えられて、コレを兵器として使えって言われたら、困るよなあ(笑)

庵野でもま、兵器としてのMSを、作品中で否定しちゃってますからね。 MA出しちゃって。 ビグザム量産してれば良かったんすよ。 ギレンも、あん なところでレーザー作ってる場合じゃなくって(笑) 

希有馬:まあ・・・・・・これ以上長居しても・・・・・・じゃあ庵野さん、最後に聞きたいんですけど、庵野さんにと ってナディアって、今振り返るとどうですかね?

庵野 ん、まあ・・・・・・馬鹿なことやってたなあ、いっつもそれは思うんですけどね。 

希有馬:(笑)でも、今見る結構好きなんでしょ?

庵野:んーでも、やっぱりナディアやってる 自分が嫌いだから、多分見ないでしょうね。

希有馬:見られないですか。 

庵野見られないですねえ。 

希有馬:見てないんですか、結局? 

庵野:結局見てないす。LDの作業、アレが最後 

希有馬:じゃあ、ずいぶん見てないんですねえ。

庵野 んー、そうですね。六年くらい見てないか 

希有馬:もう見れないですか? 

庵野:見ようと言う気にならん、と。トップもそれくらい見てないですよ。 

希有馬:いつか見返そうかなあ、とか、そう言うのも今は……? 

庵野:今んとこないッスねえ。 

希有馬:見ると当時のことを思い出して辛いとか、 そう言う? 

庵野:いや、そういうんじゃなくて・・・もう終わ っちゃったから。 

希有馬:あぁ(笑) フィルム作ってるとそう言うコトってあるらしいですね。もういじれないフィルム に興味はないって言うか…… 

庵野:っていうか・・・・・・ああ、そう言えば、こない エヴァは一通り見直しましたよ。

希有馬:珍しい(笑) 

庵野 いや、アニメ忘れてるから(笑) どういうアニメやってたっけ、俺って。 カレカノやってると、 カット割りとかが実写になっちゃうんですよ。 カット 割りとか、カットとか。 

希有馬:実写のカット割り? 

庵野だから、「主観で全部動く」ああ、違う違う違う(笑) そんな、 こんなの主観でできない よ、とか。 

希有馬:あー(笑)アニメと実写で違う回路が必要になっちゃうん ですよね。 

庵野:そそ 

希有馬:ラブ&ポップの弊害っていうのもあったんですね……(笑) 

庵野:弊害って言うか、実写の方が今は好きだって言うのがあるんでしょうね。

希有馬:実写、面白いですか?

庵野面白いですよ。 

―これ終わったら、もう一度実写に……?

庵野 多分、これ終わったらまた実写でしょうね。

希有馬:ラブ&ポップ、アニメの人が実写って言うと押井守くらいしか思いつかないもんで、ああなっ ちゃうんじゃないかって心配してたんですけど いやあ、面白かったっすねえ。 

【感想】

見どころはエヴァの身長についての話やたびたび語っている「わざと矛盾点を入れた」っていう話。あとガンダムの話。エヴァの小説版は出さねえって話。(まぁ全部見どころだが)

ひとまずこれで全部終わり。最近上げたものを見やすく修正・要約する作業をすればコンプリートか。まぁでも「えっこの本に庵野監督のインタビュー載ってたの!?」ってのは後からゴロゴロ出てくるから見つけ次第上げるだろうなぁ… 

絶版本に絞っているからいいんじゃないかとは思うんだけどやってることは無断転載なんで版元に怒られたらいつでも消しますからねここ。

【R7.12.25感想】

貴重な話が多く面白いインタビューだが「いくら27年前とは言え同人誌に載っているインタビューを全文載せちゃっていいのかなぁ…」という罪悪感を感じる。希有馬さんこと井上さんは今でも現役の人だし)「ナディアの製作舞台裏」の話がすごすぎるのもある。

余談だがこのページはページをグーグルドライブでスキャンして文字起こしをしているのだが、希有馬さんの最初の希の字が高確率で飛んでいること、名前の後の:が高確率で飛んでいること、ところどころ文字がB字体になっているのも含めて誤字修正だけで7時間ぐらいかかった。疲れた。

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アニメージュ・スペシャル『GaZO』VOL.2「新世紀エヴァンゲリオン劇場版BOX(完全初回限定版)までの製作ストーリー)

エヴァLD&VHSBOXについての裏話。キングレコード内スターチャイルドレコード制作部ディレクター吉岡隆志氏の苦労話等(文:吉原有希氏)

・エヴァの最初のサントラCDは、はっきり言ってブックレットの中身がダサい。ミスはそのデザインをサンプル盤が上がってしまった段階で庵野監督が知ったことだった。【81】

・庵野監督は言った。「エヴァは、かっこいいんです。かっこいいものは、カッコよく見せなくてはいけないんです」。その口調は淡々としたものだったが、純度100%の怒りが充填されていた。【81】

・ここからリリースされるパッケージには十分注意する体制がガイナックスの中でも整っていく。【81】

・吉岡氏が庵野監督と本格的に作っていったパッケージの最初 が、シングルCDの『魂のルフラン』だった。庵野は「アバンギャルドなデザインでよろしく」と注文を出した。 吉岡はデザイ ナーの根津典彦と相談しながら、眼球の中LCLの海に漂う登場人物と、その中心で膝を抱える全裸の綾波レイをレイアウトした。【81】

・さらに吉岡は初回プレス分の特典 として、オリジナルカードダスマスターズ を入れ込んだ(炎の中を歩む初号機の絵) これがキングレコード商品と他社製品(この場合、セガ)とのタイアップの先駆けになった。 【81】

・吉岡は『THE END』のシングルCDのパ ッケージデザインを進めていた。 ガイナッ クスから「巨大化した綾波の原画を使おう」 という案が出された。 吉岡は原画のコピー にCG彩色を根津に依頼し、「エヴァの終わり」にふさわしい、『シト新生』を超える初 回特典用の仕掛けを施したいと思った。そこでLCLの海をイメージしたクリアーレッドのケースに入れるというアイデアを思いついた。 これは自分としては会心のヒットだと思った。

・それを監督に話すと、「ふー ん。 よくわかんないッス」と監督は言った。 本人の前ではあまり明瞭に人を誉めない庵野監督の中では、どうやら「ふーん」というのは誉め言葉の一つになっているらしい。【81】

・こんな風に吉岡はエヴァと共に歩んできた。 その最後を飾るパッケージが「新世紀 エヴァンゲリオン劇場版BOX(完全初回限定版)」だった。【81】

・貞本義行が描いたボックスの ジャケットイラストは感動的だった。彼はパソコン画面をしばらく呆然と眺めていた。そして(ボックスの全体も赤と黒のイメージでいこう)と決め、具体的な作業に入っていった。 【81】

・同封された特典はこれまでに類を見ないものだった。 この商品のコンセプトは1998年の初夏に、庵野・大月・佐藤(ガイナックスPD)の3人でわずか30分ほどの話で決まった。(場所は中野ブロードウェイ内の喫茶店)。

・庵野監督が「もうTV版とカップリングで(劇場版が)出てるので、 これは儲けを考えないで」と最初に切り出し、大月PDの「予算内でなんか特典いっぱい付けてあげようよ」の発言を受けて、 佐藤PDが「今までこの作品を盛り上げていただいた各社から、記念アイテムをひとつづつ用意してもらいましょう」とリストUPを始めた。結果、「最後の商品にふさわしいものに」「劇場版を全て収録の春・夏4枚組」「クリスマス発売なので、おもちゃ 箱のイメージ」「限定グッズブームに対するカウンターになるアイテム」などのコンセプトが決定し、佐藤は各メーカーに企画を 説明し、準備を進めた。 【81】

【感想】

庵野監督がサントラ1のダサさにキレたという話がめちゃくちゃ印象的。これはパッケージがダサいということ? それともブックレットの中身? 読んでる限り後者っぽいが…(自分は旧エヴァのサントラはS2WORKSしか持ってないので…)

この記事を読むまで庵野監督は本編だけにしか興味がなく、関連商品のデザイン等はノータッチなのかと思っていたのだがエヴァというコンテンツにおいて庵野監督はかなりデザインにこだわっているのだなと感じて超印象に残った。

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アニメージュ・スペシャル『GaZO』VOL.2【特撮リレー対談 庵野秀明×岩井俊二】

庵野 怪獣映画はもう時代に乗らないんですかね。 アメリカ版のゴジラとか、ウォール街をバシバシ走るあの動きの速さ。すごいですよね。日本のゴジラはゆっくり歩くというイメージがあり ますからね。あのスピードで来られたらちょっと怖いです。【49】 (関係ないけど筆者もエメゴジ割と好き。面白いと思うんだけどなぁ)

庵野 日本でゴジラを作ってる人って、 最初の「ゴジラ」を見て育っているから、 あのインパクトが抜けてないんだと思うんです。 初代「ゴジラ」の呪縛から逃れてないんですよね。そういう人は「ゴ ジラ対メガロ」を否定するんですよ。「メガロ」は一つのエポックだと思うんですけどね。 ウルトラシリーズ で「タロウ」を否定するように、ゴジラシリーズではこぞって「メガロ」を否定してしまうんです。本当はあれも「ゴジラ」なんだと、現実を直視しなければ駄目なんですけどね。 【49】

岩井 僕が劇場で見た最後の「ゴジラ」 でしたけど、 「流星人間ゾーン」 の亜流版みたいでしたよね。 

庵野 僕は「ゴジラ対メカゴジラ」も燃えましたよ。でも僕もあの辺から途切れちゃいました。 【49】

岩井 しかしゴジラがハリウッドで作 られるということは、それだけ認知されているということなんですかね。

庵野 ゴジラって日本では、大砲を撃っても死なない、生物としてじゃなく神様みたいな存在ですからね。でも日本人ってそういうものを許容してしまうところがあるんですよね。ウルトラマンにしても、アメリカ人やヨーロッ パ人が見たら理解できないと思うんです。銀色の巨人がミニチュアの舞台に立って怪獣を倒すようなものに、リアリティは感じられないですから。【49】

最初の頃の「ガメラ」って、 子供の味方という安心できる形で登場させているのに、闘うと必ず血を噴いてひどいやられ方をしてたんですよ。 そういうのはゴジラシリーズになかったですから、子供心に刺激が強かったです。 でもそれが「ガメラ」の魅力でもあったんですけどね。 【49】

岩井 頭に包丁がついてたギロンとかにいろいろなことされてましたよね。 

庵野 頭が出刃包丁で、耳から手裏剣が出る。あれは子供が考えた怪獣みたいでいいデザインでしたよね。 【49】

岩井 「ガメラ」がリメイクされた時に、 闘う相手がギャオスだったのは、嬉しかったです。結局、昔の「ガメラ」でも ギャオスが出てくるのが一番よかったですから。 

庵野 ガメラシリーズの中でも、ギャ オスの話がやっぱり突出してましたよね。脚本も、特撮もよくできてて。 あの子供の命名の仕方もわかりやすくてよかったです。 「ギャオー」と鳴くからギャオス。 生き物としてもリアルでしたね。火が苦手だから体内に火の対処方法を持っているとか。昼間は絶対に外に出ないとか、生命を食べちゃうとか、よく考えられてましたよ。血の匂いが好きで、人工血液でも匂いさえすればやって来るとかも。 【49】

岩井 体内血液が子供心に気持ち悪かったんですよね。あとギャオスが人を食べちゃうのが、子供心にショックで。

庵野 人を食べるというのは怖かったですよね。特にギャオスの巣を覗いたら、人を食べてる最中だったというの は強烈でした。 ゴジラが怖く感じないのは、生き物として何か食べてる感じがしないところなんですよね。放射性で物質を食べてるといっても、実際に生き物を食べないと見ている方としては 生き物と思えないですよ。 「サンダ対ガイラ」も、あの大きさで人を食べるという行為が怖かったわけですから。 ビアホールで歌ってる人をいきなりつかまえて、ペロッと食べて、その後に靴だけペッと出すとかね。 【49】

庵野 「ウルトラマンタロウ」とか「ウル トラマンA」は、子供の頃ダメだったんですよ。でも今は「A」も「タロウ」も結構面白いし、いいとこあるなぁと再評価みたいな感じはありますけど。【49】

庵野「ウルトラマン80」の特撮ク オリティはよかったですよ。(しょっちゅう言ってる)【49】 

岩井 庵野さんは、怪獣映画をやろうとは思わないんですか。 

庵野 特撮がメインじゃない、特撮のある映画は作ってみたいと思っています。僕は怪獣にはあまり魅力を感じないんですよね。「ウルトラマン」とか見ていても、ウルトラマンの相手として 怪獣がいるっていう程度にしか見ていなかったんです。だからウルトラマンという巨大ヒーローにしか思い入れがないんです。 【50】

庵野 「ガメラ」も見てましたけど、そこまではハマらなかったですね。僕はメカ派でしたから。だから「怪獣大戦争」とかも見ましたけど、気持ちはメカの方ばっかり向いてましたね。  【50】

庵野 ウルトラマンはインパクトある宇宙人ぽいデザインでしたしね。 ウルトラセブンもいかにも戦闘的な感じがして好きでした。 【50】 

庵野 「ウルトラマン」っていうのは、 すごい発明だったと思うんですよ。でもその後に出てきた巨大ヒーローは、結局どれも「ウルトラマン」の亜流でしたからね。アレンジバージョンにしか過ぎない。この辺でそろそろ大人向けの何か新しいエポックなものを出したい ですよね。9時、10時台のドラマ枠で そういう特撮メインのものができたらいいですよね。「ER」みたいなドラマでも何でもいいから何かできないかなあと思うんですけど、大人向けの特撮 で。 【50】

【感想】

エヴァに関する話はなかったっすね。

でも庵野さんが後に撮るゴジラとかウルトラマンに関する話が載ってたから大事だなと思って…。

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アニメージュ・スペシャル『GaZO』VOL.2【特撮リレー対談 川崎郷太×庵野秀明】

庵野 僕が「ガメラ3」のメイキングを撮る趣旨としては、日本の特撮の総括とまではいかないんですけど、現状認識ぐらいはしておこうというのがあったんですよね。それができると、 この 先の方向性みたいなものに対して、 どうすればこの先よくなるのかなあとか少しは見えてくるような気がしたんです。 それと特撮周辺のうっとうしそうな環境も、できることならルポルター ジュしておきたいと思ってましたから。【41】

庵野 日本の映画でこれから先メディアとして生き残ろうと思ったら、イベント・ムービーしかないと思うんですよ。つまりテレビの延長とか、あとは最初からお祭りとして打ち出さない限 り、客はもう劇場には来ない。そういうところまで来てしまっていると思う。 日本映画というだけでもう何かレッテルが貼られてしまっているところがありますからね。【41】

庵野「平成ゴジラシリーズ」なんか、名前にあぐらをかいて映画を作っていた 感じがしましたからね。要するに一時期の「ガンダム」と同じですよ。「ガンダ ム」という名前がつけば、何でも売れるから中身に対する切磋琢磨というのが、 まるでなくなってしまったんですよね。 【41】

庵野 宮崎アニメが何で当たるかとい ったら、男が女の子を誘って外さない 映画だからなんですよ。 映画が当たる秘訣というのは、そういうところにあると思うんです。 「タイタニック」なん かまさにそうですよね。むしろ女のほうが「あれ見たい」って誘うでしょ。 今、 映画は1800円ですから、男が両方 払ったら3600円。3600円払って2時間つぶして、それでつまらなかったら、その後のフォローは大変です よ。3600円の投資に見合うだけの快楽に導いてくれるスタンスというものを、そこで与えて欲しいはずなのに、 3600円損するわ、その後の食事はまずくなるわ、肝心かなめのコースには行けなくなるわでえらい騒ぎですよ。 【42】

庵野 「ガメラ1」は、確かに砂漠化していた特撮界に、いきなりポンとオアシスのように出現したという感じはありましたからね。 【42】

川崎 本当にポンッと出てきましたか ら、見ていてびっくりしました。

庵野でも樋口はあれに人生かけてましたから、当然といえば当然の結果なのかもしれない。古い言葉ですけども、 あの映画で僕は樋口の男を見た気がしたんです。 初号の時にこっそり紛れ込 んで見てきたんですけど、泣けました。 樋口の仕事に泣かせてもらったという感じがありましたから。【42】

庵野 僕が宮崎さんのところで仕事をしていた時に言われたことなんですけど、多分、毛沢東の言葉だったと思うんですけどね。「何かを成し遂げるためには、三つの条件がある。その三つが そろっていれば、 成功する」って言うんです。その三つというのは、”無名であること”貧乏であること若者であること、なんです。 「ガメラ1」はこれが多分そろっていたんじゃないかと思うんですよね。みんな貧乏で、無名で、若かった。だから成功した。【43】

庵野 僕、最初の「エイリアン」 って、すごく好きなんですけど、あれも着ぐるみですよね。ああいう着ぐるみが、なぜ日本にはないのかって、公 開された当時は思ったんですよね。

最初の「エイリアン」しか好きになれなかったんですよね。あとは全部駄目なんです。特に「エイリアン2」と か、「俺のエイリアンをこんなふうにしやがって」という感じがあって(笑)。 何か仮面ライダーの再生怪人みたいで、嫌だったんですよ。 【43】

川崎(笑)。でも「エイリアン」は当たりましたね。「3」で終わったと思ったら「4」まで作られて、すごいですよね。

庵野そうやって先端文化をいくアメリカにしても、日本にしても、作り手は、もうリサイクルの時代に入っちゃってますよね。この間、ワイドショー かなにかで、どこかの教授が「リサイク ル文化」っていうことを言ってたんですけど、これはいい言葉だなって思いました。現在の「ウルトラマン」にしても、 「ガンダム」にしてもリサイクルですか ら。【43】

庵野 結局、僕らが子供のころ見て乗り損ねたと感じていたものに、大人になって作り手として参加しているだけなんですよ。だから何か新しいものを作ろうと考えた時に、僕らは最初から作るということをしない。でもそれは仕方がないことだと思うんですよ。 「ウルトラマン」を見て育って、「ウルトラマン」みたいなものを作りたいと思って 特撮業界に入れば、その人がやりたいものは「ウルトラマン」なんですよ。今、 円谷プロがやっていることはそういうことだと思うんです。だから僕の書いた「ウルトラマン」を見て下さいという のが、「ティガ」だったと思うんです。それは僕らの世代の宿命みたいなものだ と思うんですよ。この呪縛からは決し て逃れられない。本当はその鎖を断ち 切りたいところではあるんですけどね。【43】

庵野 僕から見れば特撮ってもう沈んでいく船なんですよ。 タイタニック号 に乗っているようなものです。 【43】

庵野 「ガメラ」にしても、根本にな っているエネルギーって、本当は「ゴジラ」で何か新しいことをやりたいのに、 何もできそうもない。だったら「ガメラ」をやろうっていうところにあるんじゃないかと思う。それは僕から見れば、 「ガメラ」を「ゴジラ」の代用品として使ったということでしかないんですよね。 金子さんにしても、伊藤さんにしても、 樋口にしても、本当にやりたかったの は、「サンダ対ガイラ」だと思うんですよ。あれをやりたいのに、チャンスがない。しかも東宝より大映のほうが自由度が高い。それじゃあ大映で自分たちの好きなことをしようっていう感じだったんじゃないかと思うんです。だとしたらはっきり言って彼らは 「ガメラ」の名前を利用しているだけだと思うんです。でもそれだけの報いを彼らは受けていると思います。 だってガメラはキャラクターがカメなんですから。本人たちがいかにその世界観でカメを否定しようが、僕から見ればただの立ってるカメなんです。 カメが立っていて絵になるかっ ていうことですよね。【44】 

庵野 だから伊藤さんと、金子さんと、 樋口が持っている真面目さが、あれを 紙一重でギャグにはしなかったんだと思うんです。ほかの人がやっていたら、 多分ギャグになっていたんじゃないかと思います。所詮、カメですから。それを凌駕するだけのパワーをあの3人が 持っていたということだと思うんです。【44】  

庵野 つまり何とかカメにしないようにしようという意図的なものが、 画面に反映されているんですよ。それが紙 一重でギャグにしなかった。【44】

川崎 子供はいわゆる昔ふうに怪獣プ ロレスというのが見たいんでしょうか。

庵野 もうそういう感覚はあまりない と思います。 

庵野 だいたいプロレス自体がもうショーとしてすたれかかっている感じがあるじゃないですか。 「ウルトラマン」 が時代遅れだと思う一つの理由は、カで解決しようとしているところにある と思うんですよ。怪獣を光線でやっつけて終わり。要するに力なんですよね。 でも今は力じゃ何も解決出来ない複雑な世の中ですから、その現実とのギャ ップがすごく大きいんじゃないかと思うんです。 【44】

川崎 絶対正義がない時代なのに、ウルトラマンが絶対正義だと言っちゃうところでのお話が作りづらいんだろう と思いますね。 

庵野 確かに、そういう妙な決まりごとがあると話は作りづらいですよね。

川崎 ウルトラマンの存在自体がうさ ん臭いという気がしますよね。 

庵野 ウルトラマンという存在、ヒー ローという存在が、今はもうちょっと 厳しい感じがしますしね。だからもう単体ヒーローはちょっとあり得ないと思うんですよ。まさかウルトラマンを 神にはできないですし。【44】

庵野でも特撮ファンから見れば、ウ ルトラマンは神様みたいなものなのかもしれませんよ。 

川崎 僕はそれで叩かれたことがありました。これじゃあウルトラマンが人みたいじゃんって言われて(笑)。

庵野 特撮ファンってそういうところ があるんですよね。初代の 「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」しか認めてないんですから。そういう人たちは、「帰っ てきたウルトラマン」をとことん 駄目だと言うんですよ。それって何でかなあとずっと思っていたんですけど、 要するに「帰ってきたウルトラマン」っ て、神様じゃないんです。人なんですよね。だから駄目なんだろうなあっていう結論に達したんです。【44】

庵野 評論家ってサポーターですからね。自分たちがコアになれないからその周辺にいて、何とか自分たちのアイデンティティを、そこにしがみついて保とうとする人たちが評論家なわけですから。 「ウルトラマンティガ」は最終回で、 誰でもサポーターになれる。 誰でも光になれるっていうことを具現化していたじゃないですか。だからそういう人たちに受け入れられた。 

でも実際にはそんなことはないんですよ。 才能ある人間しか光になんかなれないんですから。 だから「君もあなた もウルトラマン」って、最後に言ってましたけど、あれってJリーグを応援しているサポーターが、選手がゴールキックを入れた瞬間、自分が入れたような気持ちになるのと同じことだと思うんです。 つまりそこに同化することに よって、自分のアイデンティティを保 つことが出来る人たちなんだと思う。【44】

庵野 あれは「ウルトラマン」を作りたかった人たちが、 ウルトラマンになるにはどうしたらいいんだろうというこ とに対する答えだったんだと思うんです。それがウルトラマンと同化すると いうことだったんでしょうね。【44】

庵野 特撮ファンにしたら、この世の中では生きていけないからウルトラマ ンに何とか救ってもらいたいということなんですよ。 【45】

川崎 本当にウルトラマンに来てほしいんでしょうね。 

庵野 そうだと思いますよ。もしくは 自分がウルトラマンになりたいんでしょうね。「俺にフラッシュビームがあれ ば・・・・・・」という感じだと思います。 そういう感覚は、僕も持っていたんですけど、今はそれが嫌になっちゃった。 そ れで脱落したら、脱落組に烙印を押されてしまった。だからそういう人たちには「エヴァンゲリオン」は絶対受け入 れられないと思いますよ。「エヴァンゲリオン」って、その部分の否定ですから。そういう自分がいることを認めた 上で、否定していますから。何か別の ものが欲しいという人たちには変革は 許せないんですよ。 特撮ファンがヒス テリックに「エヴァンゲリオン」を批判するのは、多分そういうところなんだろうと思うんですよね。【45】

少なくとも「ティガ」の最終回を好きな人は「エヴァンゲリオン」は 駄目だと思うんですよ。僕が「ティガ」 で納得できた話って、結局、川崎さん の作品だけでしたから。だから僕にとって「ティガ」は川崎郷太だったんです。 【45】

庵野 「ティガ」も、「エヴァンゲリオン」も、 認めているところは同じだと思うんです。ただ答えの出し方が違う。「ティガ」 は夢に逃げていって、「エヴァンゲリオン」は現実にもどろうとしたということ だと思うんです。 それで僕はまるっきり夢物語を語るというのは嘘だろうと 思ってますから、そういう「ティガ」の 最終回みたいなものを見た子供には、期 待するなって言ってやりたくなるんですよね。しかも「ティガ&ダイナ」では、 「そうか、あれは夢じゃなかったんだ」 と、まるっきり「ティガ」の最終回を否定しているようなことを言っています からね。ちょっと許せない感じがあるんですよ。【45】

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庵野秀明 アニメと実写の映像革命(KAWADE夢ムック)

発売日:2004年5月26日。主に実写版キューティーハニーについての特集。

庵野:「『エヴァンゲリオン』をもう一回やります」と言えば十億円以上、すぐに出ると思います。けど、「実写をやる」と言ったらそこまでは出ないんですよ。実写だと「庵野さんは実績がな いから作れない」と。そこが大きく違います。 実写だとまだまだ予算がもらえないですね。【31】

庵野:今は実写を作るのが面白いんですよ。あと、ア ニメは”頭の中〟にあるイメージを絵にして作るもの ですけど、実写は”頭の外”の、現実空間にある素材 を使って作るものなんですね。今は外界の影響で変化する実写映像の方が面白いですね。【31】


庵野:『THE END OF EVANGELION」 を作っている時に、「もうこれは実写でなければダメだ」という結論に行き着いて、アニメだけじゃなくて特撮の現場もやっている樋口真嗣に相談したんです。その時に樋口から実写のスタッフを紹介してもらって、甘木 プロデューサーと知り合ったのが良かったですね。僕が実写をやれる環境をそこに用意してもらえましたから。

庵野:まあ、全ての始まりは「エヴァ」の実写をやったことですね。 実写を続けている理由も、「エヴァ」の時にぜんぜんうまくいかなかったことが大きいと思うんですよ。結局、撮ったものをみんな捨てちゃいましたから。その時の復讐をまだやっているんだと思います。【33】


「エヴァ」という完結したアニメ世界の中で、何故あのような映像パートを挿入しなければならなかった んでしょうか

庵野:あそこに欲しい映像が、セルのアニメーション では表現できないものに行っちゃってたんですよ。「もっと現実に近い感じのものが欲しい」、「じゃあ一番現実に近いフィルムは実写だ」と。 もともと実写で入れるの は声優さんのドラマだったんですけど、撮影している時に「これは違う」と。

庵野:結果として、風景と映画館の観客の映像を使うことになりました。【34】


庵野:当時色々な人たちが過剰にフィクションにのめり込 んでいるのが嫌だったんです。他者が作った脳内世界 に自身の存在を依存し過ぎているのが、見ていて怖い感じがしました。とにかく少しでも外界を認めて、 分の尺度で相対的な視野を持って欲しかった。【34】


庵野:そこで、見ている人が自分の現実を意識する方法と して、鏡を差し出すのもありだろうと。観客の映像は 鏡のイメージでした。ビデオにする時は真っ黒の画面 にしようと思ってました。 画面が黒いとブラウン管に 観ている自分の顔が映りますからね。【34】


フィクションにのめり込むのは嫌だ」という感覚は、「エヴァ」や「ハニー」の物語の中にもしっかり記録されているように感じます

庵野:言ってみれば、外の世界もそんなに悪いものじゃないということですね。

庵野:「外」というのはまあ、「世間」みたいなもの。内向きのベクトルはあまり持ちたくないし、自分も他者もできるだけ外に向いていて欲しい。大きなお世話だと言われても、そういう気持ちは作っているものにも表れてしまうんでしょうね。
でも僕も、面倒臭がりだし無造作に人に会うことがあまり好きじゃないので…どうもこう、パーティーとか苦手なんですね。【34】


「エヴァ」の後の二作の実写映画『ラブ&ポップ』 「式日」は、人物造形や時代感がリアルなものだったと 思うんですが、これはアニメ表現に対する反動からだ ったんでしょうか。


庵野:とにかくアニメっぽくないものをやりたかったんです。 その手段としての実写映像だったし。

庵野:でも実際に『ラブ&ポップ』を撮ってみたら、その逆になっ たんですよね。目の前に生身の人間がいるのに、無機質っぽく撮ろうとしている。結局自分は被写体やその空間にないものを、ないものねだりで入れたがるんだと思うんです。

庵野:アニメをやっている時は、セルで描いた人間にない生っぽさや、絵という虚構世界に現実っぽさを出したがっていましたから。【36】


庵野:ハニーは破天荒ながらもどこか接地感がある世界観を目指していました。 リアルばかりを追求するの は面白くないし、むしろ馬鹿馬鹿しさが表に出ている 世界が「ハニー」にはよいかと。そういったモノをや りたいがための企画でもあったわけだし。【37】


庵野:「ハニー」のプロトタイプも兼ねて作ったショートビデオ「流星課長』(2002)で、だいたいの雰囲気や感じは見えて摑めていましたから。【37】


そもそも、何故『キューティーハニー』を原作に選んだんですか?


庵野: 『キューティーハニー」は漫画の面白さの外に行ける作品だったんですね。「ハニー」の漫画が持つゆるさとか、幅の広さみたい なものが、永井先生の原作以外のハニーを許してくれ るわけですよ。 【38】

庵野:とはいえ「公園の銅像に変身するハニーがないのは許せん!」というファンには、「すんません」となりますけど(笑)。あれをやれなかったのは僕も至極残念です。 ただお弁当キャラは残しました。 その心意気だけでもファンに伝わってもらえれば、幸いです。【38】

庵野:少女漫画を本格的に読み始めたのは中学の時ですね。女の子の友達が塾で「別冊マーガレット (別マ)」を貸してくれたの がきっかけで。

庵野:「別マ」の作家さんが白泉社に行ってからは「花とゆめ」と「ララ」ですね。あとは「りぼん」 と「別冊少女コミック」等です。その辺りの雑誌を高校の頃は毎号買って楽しみに読んでましたね。【38】


庵野:高校時代は一度も女の子と付き合えなかったんですよ。【39】

庵野:少女漫画が好きだったのは、ぜんぜん思いもしないネーム(言葉)とか、話の展開とか理屈や世界が自分と違うところです。 少年漫画を読んでいても、 先の展開が読めてしまってもうひとつ面白くなかったんですけど、少女漫画はこの次にこの人はどんな行動に出るのかが、さっぱり分からなかったですね。【39】

庵野:あとは、ページ全体で絵とフキダシの位置や形状も含めた 主観的イメージ世界としての表現がすごく面白かったです。【39】


庵野:少女漫画はインナースペース(内面世界)を感覚的な手法を使って、紙の上に定着させようとしているの がよかったですね。

庵野:少年漫画ってインナースペースじ ゃないんですよ。確固とした客観的イメージがフキダシとコマで作られていて、コマ割りで話が進む世界ですから。少女漫画はすごく進んだ表現だと思っていました。【39】

庵野:今は全然読まなくなって、嫁さんの漫画だけですね。 多分もう少女漫画を読んで女性観みたいなものを自分に取り入れる必要がなくなったのと、嫁さんを見ている方が少女漫画を読むより面白いからじゃないかと思 います(笑)。【39】


庵野:漫画の文法をなんとか映像に持っていけないか という思いは以前からありましたね。 『ラブ&ポップ」 で色々な大きさの画面を使った理由は、縦に長いもの は縦に長いまま見せたかったからです。【40】

庵野:コマの大きさでイメージが変化する面白さも映像の中で扱ってみたかったし、そもそもスクリーンの大きさが固定されて いる額縁舞台がなんか嫌だったんですよ。【40】

実際のところ、ハリウッド映画に対する競争心はお持ちなんですか。

庵野:そういうのは、あまりないです。面白さは1800円分にはしなければいけないというだけです。 他と争ってもしょうがないんです。

庵野:映画である以上、お金を払うお客さんには楽しんで欲しい。そして、商業映画である以上、出資者には元を取って欲しい。 その興行である以上、出来るだけ当たって欲しい、それだけです。そうしないと次の映画が撮れないですから【42】


庵野:僕の所に実写映画の企画が来ることは滅多にないですね。今までにお話をいただいたのは、二つ三つぐらいです。アニメは色々と来ますけど。【42】


庵野:今後の予定はまだ未定です。決まっているのは「ハニー」のアニメ版の総監督ですね。ただ、「ハニー」で ここまでオープンなものを作ったから、次はオリジナ ルでカルトで行こうと思います。根が飽きっぽいんで、前の作品のテイストを持続せずに、出来るだけ毎回違うものをやりたいですね。【42】


一時期、「いつか舞台の演出に挑戦したい」という話を各種メディアでされていましたが?


庵野: 舞台は難しいです。そっちの世界に踏み込むだ けの覚悟が足りないですね。やっぱすごい世界だと思 います。【42】


庵野:映像が一番好きなんですよ。全てが自分に向いてい ると思います。

庵野:例えば文字だけで表現する場合、曖昧さがなくなって伝えづらくなるんだけど、映像だったら、映像の中に文字情報だけというのもできるし、 字幕だけでもいけるわけだし、それを台詞にしてナレー ションにすることもできるし、モノローグにすることもできる。

庵野:絵の他に音と時間と各種表現が混じってい る混沌とした複合的、総合的な部分が映像の好きなところで。「なんとなく」という曖昧な「気分」を表現出来る手段が、僕にとっては映像しかないんです。他のやり方で自分は「気分」を作れないですから。【42】

(2004年3月16日 ガイナックスにて収録)


【滝本竜彦氏(NHKへようこその作者)との対談】

庵野:綾波は僕にはよくわからないキャラなんです。
滝本:なぜあんなに人気が出たのかも?
庵野:わからないんです。


庵野: 「エヴァ」には他にもたくさんのキャラクターが 出てきますが、実は綾波だけコントロールしてないんですよ。「この娘はこうだからこう動かす」ってのがなくて、なんか成り行き任せのキャラになってしまいました。ミサトとかアスカとかってい うのは、話の中でポジティブに動いてもらわない と困るので、そういうキャラは、作品に意識して組み込むようにしています。【115】


庵野:綾波や、あとシンジなんかは、なんとなく「流れていればいいや」と。脚本家のイメージも汲み 取って、自分で感覚的に違うと思った所だけ直してました。 鶴巻和哉や摩砂雪や貞本義行の想いみたいなのも入りつつ、僕や彼らの無意識の集合体のようなものが、 綾波なのかも知れませんね。 形而上的キャラクターですね。【115】


庵野:あと、わかりにくい言い方かも知れませんが、綾波は非現実の集合体の中に少しだけ現実が入っているようなキャラクターだと思うんです。脚本家は綾波にリアリティを持たせようとしてて、鶴巻 とかはそれを外そうとしてたようです。僕は特に そこについてはジャッジメントせずに、他人がいじるのも良し!というか「放し飼い」のような感じでフワフワ~と出来上がったのが綾波レイと いうキャラなんです。【116】


滝本:アスカはどうですか?
庵野:アスカは本来考えていたものからどんどん壊れていっちゃいましたね。あれは予定外でした。本当はああいう感じに壊れる予定ではなかったんです。もっと自己の強いキャラだったはず なんですが。

庵野:自分が最初にガチッとキャラクター を決めてやらないタイプなので。特にシリーズの場合は流れに任せて作るんで、予想外の展開になってしまったアスカには、ちょっと悪いことをし たな、と今は思っています。ミサトさんにも、最終的には「すんません」と言うしかない(笑)。【116】

庵野:(20話のミサトさんのシーンは)あれはマッサージですよ(笑)。【117】


庵野:TVの「エヴァ」に関して言えば、怖くて観ることが出来ませんでしたね。 見返すのが、ちょっと怖い。作っている時は、集団で気が狂って面白かったんですけど(笑)。

庵野:特に後半に向けてどんどん加速していく時がすごかった です。 時間はなくなるし、何をやっているのか客観性がなくなっていくしで、興奮状態が続いていましたね。

滝本:観てるほうもすごい切羽詰まってるのがわかりました。

庵野:ええ(笑)。ついに脚本も追いつかなくなり 、脳内麻薬が出っぱなしな感じで、あのような状態はあれより前にも後にもないですね。とにか 脳内麻薬が出過ぎてて、今観ると辛い、という のがあります。


編集部:「ナディア」の時も後半時間がなくなってたんじゃないですか?


庵野:「エヴァ」に比べればあったほうです(笑) だけどよく間に合ったなあって思いますよ。最終回が形になったのはすごいですね。【120】


庵野:多かれ少なかれ、ものをつくる人は気が狂ってると思いますよ。【123】

庵野:僕の場合だと、「エヴァ」のTVで本格的に壊れ、なんかものすごいウツが半年くらい続いて・・・ それでも劇場版は約束してたんで作業をやんなきゃいけなくて、11月の記者会見の時になって も、脚本が一行も出来てなくて・・・・・・。
なんとかものを作れるような状況になったらど んどん話が大きくなっちゃって、尺が倍になるわ、 絵コンテは遅れるわで…。【123】

庵野:TVが終わってから、その十一月頃までは、自分でもよく生きていられたな、と思います。ピー クは5月。で、6月から徐々によくなって・・・これは、ありがたいことにいろんな人たちが助けて くれたんですね。それがなければ、多分、僕は今ここにいないと思います。それくらいギリギリの 所にいた。いや~そうとう狂ってましたね。人間が全部敵に見えるというか。【123】

庵野:オタクもすでにファッショ ン化されましたね。オタクになるのも今やファッ ション。オタクの価値はなくなりつつあると思います。オタクであることが恥ずかしくなくなっている。【127】

庵野:「エヴァ」は、オタクは恥ずかしいものなん だ、というのが実はテーマのひとつだったんですけど、大きくなりすぎて見えなくなった。【127】


庵野:作っている時は、アニメ業界はこれで一度終わったほうがいい。現状のアニメ制作現場のシステムは壊れて欲しい。そしてそこから新たなアニメ制作の環境が出来ていって欲しいってのがあったんですけどね。結果的には逆のものになった。延命させてしまいましたね。【127】

庵野:(エヴァでは)少なくとも自分の中にあったものを全部出 しました。あれ以来、実写も含めてしばらくオリジナルを作っていませんね。 自分の中の冷蔵庫がからっぽになっちゃったんです。【128】


編集部:そういえば原作ものばかりですね。
庵野:ええ、ただ次はオリジナルを撮ろうと思っています。ようやくオリジナルの実写にお金を出してくれる所が現れて。 次はすごい辛気くさいカルトな映画を作ろうと思っています。 「こんなん誰が観るんだ」っていうのをやりたい(笑)。まあどうなるかまだわかりませんが。【128】

庵野:お客さんは、まず脳天がしびれて、思考する暇もないうちに映像が進んで行って、感情部分を揺さぶられ、気がついたら終わっていて「ああ面白かった」というのが理想ですね。(これは前にも言ってた)【129】

滝本:あの・・・・・・さんざん言われたことかも知れま せんが、エントリープラグの中で、 綾波の涙が落ちるという描写ですが……。
庵野:ああ、あれはもう、「ガンダム」とか観ていて宇宙空間で爆発音がするのと同じなんですよ。 あそこで涙が塊になったらハードSFにはなると思うんですけど、お客さんには心情が伝わらないと思うんです。あのシーンは作画もよかったし、 ウソでいい、と。設定的リアリティを追求するよりは、涙が出たら頬を伝わって下に落ちる、とい う描き方のほうが、伝えたいことが伝わるんです。 特にアニメの場合は、そういう心の表現を絵で伝 えるのは非常に難しい。 お客さんにどうしても伝えたいと思うことがあったら、僕はウソでもかまわないと思うんです。ウソをつくべきだ、と思います。【131】

庵野:自分の発言もインタビュアーや媒体によって、 フィクションとノンフィクションや建て前と本音が混じってたりするんですけどね。

庵野:自分が喋ることはメディアに露出する段階ですでに編集や演出をされているし、逆に自分からすることもある。 雑誌のインタビューなどで、建て前で訊いてくる人がいますが、そういう時は建て前の答えしかしません。鏡みたいなもんになっちゃいますよね。 悪意や敵意にはそれなりの言葉で臨むし、向こうが本気で訊いてくれれば、こちらも真摯に答えているだけなんですけど。【131】

庵野:集団作業による複合人格とはいえ、結局キャラクターのコアな部分は、自分の各パーツの切り売りになりますけどね。【132】

庵野:「エヴァ」の時は・・たとえばシンジは中学の頃の自分なんですよ。結果的には当時の自分に近付いちゃいましたが(笑)。 庵野:で、ミサトさんは自分の好きな女性なんですよ。 リツコと込みで、当時の自分たちの気分を出したかったので、実年齢に近い設定にしていました。

庵野: アスカはそれの若い頃ですね。

庵野:綾波は・・・・・・なんか 自分の無意識の部分なんだろうって思います。底にあるものといいますか。うーん、なんか当時はこうかなって答えっぽい考えがあったんだけど、 もう細かいところを忘れてますね。

庵野:加持さんは、 僕の中の理想の大人だったんです。いつまで経っても子供っぽい自分がイヤで、せめて作品の中くらいには欲しいなと。大人の自分に憧れてました ね。

庵野:カヲルくんは本来は、もっと偶像的なシンジ の憧れとなる彼の理想像のキャラとして用意してたんですけど、じっさいに動かしてみたら、なぜかおかしいヤツになって(笑)。【132】


庵野:カヲルはレイと対の存在のはずなんですけどね。レイの中にあるもうひとつの姿ということ で。本当は三話分くらい出したかったキャラですけど。なんとか理想の男の子にしようと思ったんです。

庵野:後で友人に言われましたが、あれはシンジくんの王子様なんだ、と。今までの自分を百パー セント受け入れてくれる人がいたら、そりゃ誰でもその傍に行きますよ、と。なるほど、と思いました。

【感想】

個人的な見どころとしては「なぜEOEの後半で実写パートをやったのか」、11月の春エヴァ記者会見の時に脚本が一行もできていなかった話、加持さんは庵野さんの理想の大人だという話。