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第三の役立たず

松尾スズキさん(俳優、劇作家、演出家、脚本家、映画監督、コラムニスト)が著名人と対談する本。その中の一人に庵野さんがいる。(しかも最初の一人目)後にこれをきっかけとして『庵野秀明のフタリシバイ』という庵野さんの対談本でも松尾さんとは対談することとなる。

エヴァの謎なんてどうでもいいと思ってる【34】

中学生の頃は優等生だった。学級委員やってた。【36】

宮崎駿さんに「人間嫌いなんだろう」と言われたことがある。【41】

動物嫌い。生き物が嫌い。食べ物もそう。見た目が嫌い。猫は好きだけど犬はダメ。特に座敷犬。犬のくせに人間慣れしてるから知人の家で飲んでるとツカツカとやってきて膝の上に乗ってきた。反射的にダブルチョップを食らわせた【41】

昔は犬の死骸なんかもいっぱいありましたよね。今の子供はそういうのを見慣れてない。それはキビシイと思っている。(これたびたび言ってる)【41】

(日本人離れした顔をしているから)小学校の頃から『外人』と呼ばれていた。【47】

手塚治虫はあんまりハマらなかった。唯一のめりこんだのが『火の鳥』【52】

松本零士の描く男って女々しくていいですよね。あと永井豪とか中学の頃はその辺。別マから始まって少女漫画を読んでた。高校入ると荻尾望都とかメジャーどころは一応押さえてた。『花とゆめ』とか白泉者のものは買ってた。『ララ』は創刊から買ってた。【53】

『残酷な神が支配する』いいですよ。我慢しきれず9巻まで出たところで買ったので「くう、10巻が~!」ってなっている。(ちなみにエヴァのOPはこの漫画のタイトルからとったとWikipediaに書いてある)【53】

少女マンガについてべた褒めする庵野さん【54】

でも本宮ひろ志読んでしまう自分もいる。ああ、本宮ひろ志は心の中に生き残ってるなあと。【54】

ずっとロボットとかそういうものに強く憧れていた。強さとか、パワーですよね巨大ロボットというのは。あからさまにそれのメタファーですから。戦艦が好きなのもたぶんあれが強さの象徴だからだと思う。対艦巨砲はあからさまにチンチンのメタファーだと思う。そういうものにまるっきり自信がなかったから。子供の頃は本気で仮面ライダーになりたいと思っていた。【61】

ロボットものとかすごい好きだったんですけど最近さっぱり冷めてしまって。エヴァ以来巨大ロボットとか巨大ヒーローとかそういうものに対するあこがれがまるでなくなった。なんでだろうと思ったがたぶんそれに代わる力みたいなものを自分が持っちゃったから。あの頃(エヴァの頃)は完全に飢えでやってたけど今はたいしたことはなくても一応権力みたいなものはあるわけだから。しかしそれを得るとむなしいだけだった【62】

(エヴァの謎について)今の日本には「答えをくれ」という風潮があるってことだと思う【63】

世間に答えとか意味とかってないと思うんですよ。そこにあるのは自分の価値観だけで。相対的なものだと思うんですよ。統一の価値観がなくなっちゃってる。宮さんぐらいまでは欧米に対するコンプレックスと憧れがあった。ところが僕たちにとっては東京が憧れ。「東京に行けばなんとかなる。あそこに行けば夢が叶う」【64】

僕たちの前の世代には経済成長とか目的があった。上に対して楯突くエネルギーがあった。でもそれが失敗するところを見てるからみっともないな、カッコ悪いなと思ってた。経済成長の後に水俣病や公害が来た。高度経済成長の反動というものを僕らは見ている。それからドルの絶対性が崩れるところ、石油がなくなるということを見ている。そこに残るのは「信じられるものはなにもない。どういう価値観を信じても結局裏切られる」【66】

「自分たちが命を懸けられるイベント」というものがなかった。僕たちは漫画とテレビしかない。アニメの話題で1日過ごせる。こんなことで一年つぶせるのって平和な国ですよ。アニメの話題で一日つぶせる国でアニメを作っていけるっていうのは幸せなことかな、と【66】

(「チンコにこだわりますよね。大きい小さいとか」ということを聞かれて)それはこだわりますね。男の象徴ですから。【68】

ヒモ願望はあるがヒモはいざとなったら女を守るもの。だからヒモに今一歩なれない。【68】

僕はホモはダメなんですよね。レズはいいんだけど。やおい本もダメですね【69】

アメリカでNASAのトイレに行った時に外人のチンコを見て「ああ、戦争に負けるわ、日本は」って思った。あれはちょっとカルチャーショックだった。【69】

(「SかMかってどうですか」と聞かれて)両方あると思います。SかMかっていうのはコインの裏表だと思います。僕はMっ気が強いのかな、女性に対しては【70】

洗濯も掃除も3年以上やってない。自宅に至っては7年やってない。【72】

自分自身に何もない。誇るものもないし守るものもない。そういうときにどこに行くかというと作品ですよね。そこに自分のプライド全てが行ってしまう。自分自身よりも作品を守る。それは脆弱な自分を理想の自分に変えていっているわけですから。メッセージというものは本当にないですよ。自分をすべてそこに投入したのがエヴァですから。人生で一度でもそういうことができたのは幸せなことだな、と。【72】

(女性について)エヴァ作ってた時には支えてくれた人たちがいて。あれは助かりました。いろんな意味で、そうやって支えてくれた人っていうのが。テレビの後5人いる。そのときは自分は幸せだなと思いました。でも肉体関係にはいかないんですよ。友達感覚。(EOEのコメントで出てきた5人の女性は主演声優ではなくこれ?)【73】

(「庵野さんみたいに才能がない人は何で「空白」を埋めればいいんでしょう」という質問に)それは女でもいいし、子供でもいいし、サラリーマンだったら愛社精神っていうのもあるかもしれない。僕は空白が他の人よりも深いんでしょうね。しかもでかい。でかいわ深いわ、えらい話ですよ【74】

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マジック・ランチャー

・庵野監督と有名映画監督岩井俊二監督の対談本。1998年6月15日発行。

・岩井監督の発言は(岩井監督)と表示。それ以外は全て庵野監督の発言。

・ものを作らせてくれるのは締め切りだけ。締め切りがなかったら、なにもできない。 【15】

・ファーストシーンは思いついても、ラストシーンは最後の最後で出てくる。その方が面白いような気がする。どこにいくか分からない。まあそういうのは制作には嫌われてるんですけど。

・台本も、ラストのあたりは最初には書かない。【18】

・一つの作品を作るたびにアイディアのストックをみんなおろしちゃう。冷蔵庫の中のもの全部洗いざらい無くなる感じ。【19】

・以前は自社企画にこだわっていた。原作付きはイヤだなと。だからエヴァまでに4年も間が空いてしまった。4年溜めこまないとあそこまでできなかった。【20】

・四月物語の主人公(卯月)は田舎者に見えない。華があって役者としては良いんだけどあの企画としてはどうかなと思った。【22】

・『スワロウテイル』のトイレで蝶を追うシーン、あれにはやられました。グーでしたね。【23】

・『Love Letter』で中山美穂が向こうからチャリでやってくるシーンにも「ああやられた」と思った。(すれ違いのところ)【23】

・↑のカットは樋口さんから「すごい1カットがあるんですよ」と聞いていた。【23】

・『スワロウテイル』では↑のトイレの回想シーンが一番好き。(それまでは「まぁ普通かなぁ…」と思って見てた)。タトゥー入れてるところも好き。「なんかこうこの子、胸見せろよ、ちゃんと出せよ、って思ってたらちゃんと出した。オーケー!勢いや良し!と(笑)」【24】

・↑のトイレの回想シーンではあそこでぼろぼろ泣いてしまった。スワロウテイルには技術的な部分、ストーリー的な部分、ここがこう失敗してるとかいくらでも書けるんだけどそういう細かいのは全部あれ(蝶のシーン)でオーケー!スワロウテイルは良かったですよ。【24】

・エヴァは全体の構成案は最初は半分もなかった。後半はほとんどラフ。人類補完計画もキーワードでしかなかった。最初はもっとロボットものだったのだが途中からああなってきた。やりながら「何を補完していくか」って考えてた。まず最初に言葉のカッコよさがあって使ってたんで、中身は明確には決めていなかった。どこに行くのか決めてるとつまらないから。だからあんなにまで人さまが気にすると思いませんでした。【25】

・岩井さん「エヴァってナディアと繋がる話なんだと思ったんですけどそういう構造はなかったんですか?」

庵野さん「遊び的にはありましたけど。要するに、僕の中では延長なんです。いちばん最初に書いたエヴァの構成案の中には日本海に沈んでいる遺跡付近での水中戦というのがあったんです。ナディアの最終回で沈めたノーチラス型の宇宙船。あれをサルベージに行く話を書いたんです。エヴァで水中ものを1本ぐらいやっておこうと思って。あれに似たアイディアはマグマダイバーに持って行っちゃったんで、まあいいかってことになった。【26】

・最初に全体的に用意しておいたアイディアを前詰め前押しでどんどん使っちゃったんで、相当あとあと厳しくなっていった。【26】

・最初に引いた路線がやっぱり厳しかったんですよ。いわゆるテレビアニメ的なごまかしはやめよう。最初は、毎回めでたしめでたし路線で行こうと思っていた。僕はそれにこだわったんだが、周りのスタッフが「そんなの嫌だ。そんなのだったらやる気がない」って。「それじゃ、ハード路線まっしぐらにすっか」と言ったら、「はあ、分かりました」でガシャンって(笑)【27】

・その後はただ地獄です。自分の中で嘘がつけなくなって。そもそも最初に嘘があるんですよ。少年がロボットに乗るっていうのは嘘なんですね。その大嘘をスタートして、それを詭弁でなんかこう理由づけていくのに一苦労ですよ。だから途中で一回乗らなくなるし、さらにもう一回乗らなくなるし、そのたびに詭弁を弄するようにしてたんですけどね。あれはもう限界ですよ。【28】

・(ナディアと点と線で全部繋がって来るのでドキッとしたという岩井監督の発言を受けて)同じ人間がやってるから同じになっちゃう。ナディアのマリーとエヴァのアスカは同じ髪の色。そういう分かる人にしか本当に分からない繋がりだけなんだけど。もうちょっと余裕があれば、あっちの世界のアダムとこっちの世界のアダムを繋げようと思ったんだけど、余裕なかったです。あんまり突っ込むと、ナディアはNHKで局が違うので、キビシイかなと。うちはナディアの権利持ってないんで。ひ孫請けでしたからね。【28】

・(ナディアとのリンクは)精神的なリンクなんですよ。ストレートに物理的なリンクは出してないです。【29】

・でも心の中では繋がっている。同じ人間ですからしょうがないです。一番最初に出した企画書ではストレートに繋がってた。それはまだ当時ナディアは人気があったから「それの続編っぽくしておけば・・・」という。ストレートに続編にはしないけど、そういうのでちょっとは企画も通りやすいだろう、という。まあそういう商売っ気みたいなもんです。【29】

・(「エヴァはテレ東の6時半にあれが流れてたってのがすげぇ」という岩井さんの発言に対して)そう、水曜の6時半にあれやってたっていうのがイイんです。ナディアもあれをNHKでやってたっていうのが。(イイ)【29】

・ナディアのエレクトロさんの弟の腕が落ちたシーンとかは「もうイケイケゴーゴー」。あれはNHKだからこそやらなきゃってやってました。切り口を見せなきゃいいんですねって。じゃ絶対に切り口は見せませんからって。【30】

・NHKは表現というよりは言葉にうるさかった。「過去にクレームが来たセリフ集」というのがありそれがダメだった。あと屠殺もダメだった。【31】

・ナディアが肉を食わない理由の一つとして屠殺をやろうとした。「ナディアが動物と話が出来る」っていう設定はNHKのほうにあった。「動物と話ができるのに肉を食うっていうのは俺は許せん」っていうのがありまして。だから肉を食わない人種にしましょうと。どういう動物とも話が出来るんじゃあ、何も食えませんよ。牛と豚とだけは話が出来ないっていうわけには(笑)【31】

・じゃあナディアがどうして話ができるようになったかというきっかけ話を考えた時に、屠殺にしようって思った。うちの田舎では朝方に屠殺をやってて、その鳴き声がたまに聴けたのだがそれがすごい悲しそうだった。NHKから屠殺だけはいやめてくれと言われた。【32】

・これはもうあちこちで言ってるけど僕らの世代はイベントが何もなかった世代だった。つまり「依り代」になるものがない世代。戦前の人には天皇が、戦中の人には戦争が、戦後の人には復興や高度経済成長や学生運動があるけど、僕らには何もない。あるのは魔法の箱みたいなテレビだけだった。【42】

・とんねるずが結局、昔の番組のパロディ以外何もできないのはそういうことなんですよね。僕らが作ってるものもそうです。そういう、前の人たちがやっていたことを自分たちなりにやっていくモデリング等は誰でもやってると思うんです。【42】

・最近の日本は平和。日本では今死体が隠蔽されてるから、死というものがリアリティを持たないんです。僕らが子供の頃は町中に犬猫の死体がけっこうあった。川の藻に犬の死体が引っかかってたり、路上にひかれた犬猫ってけっこう長い間放置されて腐乱死体になってたのに、最近そういうのも全然見なくなった。とくに都会にいるともうダメ。血も死体も見慣れてないから、そういうのにいちいち過敏に反応すると思うんだけどそれは平和な証拠。【45】

・岩井さん、アニメーションは楽ですよ(笑)あんな甘い業界なかなかないですよ。俺みたいないい加減な人間が生きていくのはここだなぁと。一気に世間ナメますよ(笑)【48】

・(↑について)まともな人間は、あそこにはいないですよ。逆にまともな人間はアニメーションの世界にいられない。社会的な人間は皆無で子供ばかりの業界なんですよ【48】

・「アニメはアニメ。実写は実写」というのは根強くあると思う。「アニメなのによくできてる」とか「アニメのくせに」「アニメにしては」とか。あと、アニメーションは子供向けのものっていう決めつけがけっこうある。でも、そういう固定観念は逆手にとって、利用した方がいい。【49】

・そういう点ではAVも差別されている。次はAVもやろうと思ってる。なかなか切り口が見つからなくて暗中模索なのだが、AVはけっこう日本では進んだ映像だと思う。ドキュメント映像という点において。テレビよりはるかに進んでる。僕も遅まきながらようやく知った。【50】

・最近ようやく他のジャンルの表現も見に行く余裕が出来てきていろいろ見てるのだが演劇も面白い。もっと早くに見とけばよかった。でも日本映画だけはもう客を失いつつあるからそのうち伝統芸能になると思う(笑)【50】

・日本の特撮はすでにキビシイ状況。米国でデジタルで撮った洋モノゴジラがきたあと果たして日本で着ぐるみをしじしてくれる一般客がいるんだろうか、と思いません?【50】

・人が入っているのが丸わかりの着ぐるみというのは、お客さんのイメージに頼るしかないもの。今はもう子供やオタク以外そんなめんどうな作業はしてくれない。そういうシビアな状況において着ぐるみの特撮ってまだ有効なのかと。確かにそこに良さはあるし、それを見てくれる人はいると思うが果たして生き残れるかと。まあアニメもそうだが【50】

・昔マンガを描いたことはあるのだが才能ないので早々に諦めました【51】

・綾波のマンションのイメージは「70年代の地方都市のマンション」この辺だと多摩団地。大阪だと万博の頃の千里ニュータウン。今はあまりないと思うけど僕らの子供の頃、廃鉱になった炭鉱の周りってあんな感じだった。【55】

・団地は小さなコロニーですよ。僕も一時期高校の時団地だった。3年ぐらい。【55】

・一回3軒先が火事になったのだが妹と僕はそのまま寝ていた。ひどかったらあのまま死んでましたね。【55】

・(四月物語の団地の人たちの反応は現実だとあんなもんじゃないという庵野さん)田舎は一目だけですから。常に他人に監視されているのが田舎。東京に来て一番うれしいのは、誰も俺のことを知らないってことが大きい【58】

・大事なのは「何を見せたいか」ハズせないシーンってありますね。「それハズしたら作品全体がおしまいになってしまう」というシーンはどこなのか。映画を作る人はそういうのが見えないといけない。お客さんが見た時に「ああもう駄目だ」という醒めてしまう瞬間があるとしたらそういうことを考えていないシーンだと思う。予算は貧乏くさくても、一点豪華で「ここだけはなんか良かったなぁ」ということがあればいいと思うんですよ【67】

・(低予算ですごいものを作るという気概の話について)それは僕にもある。「これセル5000枚くらい使った?」「いや3500です」って言ってエーッって言われるのがちょっとうれしい【71】

・映画というのは嗜好品。コーヒー飲むのと同じですよ。なくても生きていけるわけですからね。(これは庵野さんたびたびよく言っている)【72】

・ラブアンドポップはEDだけ35ミリフィルムで撮った。台本に「フィルr無のありがたみを感じる客」って書いた(笑)(ラブアンドポップはデジカメで撮ってるため)【74】

・よく話題に出す「アニメの監督をするというのは船の船長をするのと同じ」という話がここでも出てくる【76】

・ダメージ・コントロールってえ日本が一番遅れてるところだと思いますよ。日本人には精神論がもとにあるから、最初に負けるイメージを持たないんですよ。負けた時にどうするかという発想がない【78】

・岩井さん「僕も庵野さんも日本映画界だけにいれば一生安泰ですよ」

庵野さん「1~2回コケても「先生この次こそお願いします」の世界ですからね。岩井さんの場合は『スワロウテイル2』を出せばいいしミヤさんには『もののけ姫2』もある(笑)僕も『エヴァンゲリオン2』で。ま、これは最後のキメ玉なんで、とりあえずとっておきますけど(笑)【79】

・アニメの学校だけは行かない方がいいかな(笑)それより自主製作やってる方がいいですよね【86】

・僕らはモノクロ・テレビを知ってる世代だから、モノクロのありがたみとカラーのありがたみ、両方身に染みて分かってると思うんですよ。あと8ミリ。【90】

・8ミリカメラを手にして最初にやったのがコマ抜きみたいなトリック撮影。ずっと上に飛び跳ねてるところだけカシャカシャ撮って繋いで(笑)そういうのからスタートしたんだけどそれなりに面白く見える。バタバタしながらもなんかこう動いて見えるっていうだけでうれしかった。そういう原体験って今でも残ってますね。そのおかげでまだやっていられる。【92】

・アニメ派最近袋小路に入っちゃった。たった30年で。伸びるのも早いけど潰れるのも早い。【93】

・最近の若い子たちに希望を見てる。今の中学生とか見てると何かやると思いますよね。今の女子高生なんてすごく洗練されてていいですよ。「15歳でこんなに頭良いんだこの子たち」と思ってしまう。たしかにあれだけの情報量の中でサバイバルやってりゃそうなるでしょうが。【95】

・アニメは制作費が低すぎる。でもアニメーションがなんとかもっているのはその製作費の低さのおかげ。ローリスク・ローリターン。【98】

・自社配給がちょっとずつ増えていっても良いと思う。(オフィス来たのは『HANABI』を配給通していないはずだという話題)(新劇場版にも通ずる話題)【99】

・今映画という文化が残ってるのはもう都市部だけ。映画館に行くとイベント館があるから。『ラブ&ポップ』も単館系にしてくれと言った。あれは田舎じゃ当たらないですよ。だから渋谷という場所で限定上映してくれと言った。渋谷見たことない人が『ラブ&ポップ』を見てもピンと来ない、リアリティ持てないと思う。だからあれは都市部向け映画なんです。【100】

・田舎は映画館行かなくても面白いものがいっぱいあるけど東京にいると映画・ゲーセン・カラオケぐらい。(これは庵野さん他の本でも時々言ってる)だから田舎じゃ映画館がどんどん減ってる【101】

・スポーツと音楽は万国共通だと思うけど、映像は国境を超えないと思う。言葉もそうだけど文化は国境を超えない。逆に、超えない文化だから注目されてる。「日本の映画ってこうなんだ」っていうところでよそさまは評価してくれてるんだと思う。だからアジアやアメリカやヨーロッパでウケるような媚びたもの作ったら逆に嫌われる。日本人は日本の文化しか作れないです。僕はアメリカに媚びる必要は何もないと思います。(確かシン・仮面ライダーの舞台挨拶でも似たようなことを言っていた)【102】

・今、日本のアニメーションがちやほやされて「ジャパニメーション」とか言われてるけどアニメがアメリカでウケてるなんていうのは幻想ですからね。実際にアメリカ行ったって日本のアニメはほとんどないですよ。ロサンゼルスの小さいお店に日本のアニメが飾ってあるだけで、ジャパニメーションなんてどこにもないですよ。ジェームズ・キャメロンとか日本に対して声の大きい人が兄絵mを見てるからアメリカではみんな見てると日本で勘違いしているだけじゃないのかと思う。【102】

・日本ほど総理大臣にこだわらない国ってないんじゃないですか。(シン・ゴジラでも描かれていた話)【104】

・エヴァはバブルだった。あれがヒットして、いつまでも人気が続くと思ってる人たちがいたのが信じられない。そういう人たちに「この人気、夏が限度ですよ。せいぜいもって年末くらいまでですよ」って言ってたんですけど。「いや、そんなこと言ってもらっては困る」って言われて(笑)。でも、いつまでも続くわけないですよ。いつまでもズルズル続いて、いつの間にかフェイド・アウトよりはスパッと自分たちでやめようと。だから、夏のタイトルが「THE END」なんですよ。これで終わりです。皆さんの中で終わってください。なんか、思い出として残していつまでも引きずらないでください。僕も割りましたと。あれは終局というか終わりの宣言なんです。【106】

・僕らは『ガンダム』や『ヤマト』のみっともなさを見てますからね。あんなみっともない真似は、自分たちはやめようと。再編集のリバイバル(『REVIVAL OF EVANGELION』のこと)は、最後のファン・サービスなんですよ。本来の形を最後に見せて、「いや、申し訳ない」と。自分たちで終わらせるっていう、幕引きっていうのが重要だと思うんですけどね。【106】

・日本人がなかなか「終わる」っていう感覚をもてないのは、戦後の復興があるからだと思う。たった50年でこれだけの力があるっていうのを見せつけられると「あれ、まだいけるかもしれない」って思いますよ。バブルがはじけて「もうダメだ」って言われて、まだイケてますからね。【107】

・「監督っていらないんですよ、本当は」「監督いなくても映画はできちゃいますからね」(これは庵野さんたびたび言っている)【120】

・各自が責任をとらないシステムを作るために監督がいるんですよね。つまり「責任とり係」ですよ。本来は現場にいなくてもいい。アニメとかけっこういますよ、名前だけの監督って。【120】

・制作の立場からいうと、監督が仕事しない方がスムーズでいいんですよ。監督が仕事するってことは、つまり「流れをせき止める」っていうことですから。【121】

・監督っていうと「作家」みたいなクリエイティブな感じやテクニックのイメージがあるが、僕は両方とも嫌いですね。ようやく「監督」と呼ばれるのに慣れて来たけど嫌だなぁと。他の人は名前で呼ばれるのに、なんで監督だけ「監督」って呼ばれるのか(笑)

・実写はある程度波に乗っちゃったら、監督はすることがない。むしろ現場に任せてる方がスムーズに流れていい。北野武さんが途中からキャッチボールを初めて「監督、今のカットは?」と聞かれたら「あ、いいの?オッケーオッケー」という話が合って、あれは分かる。僕も途中からそれだった。「手放していい瞬間」みたいなのがあって、あとはもう現場の人に任せる。【124】

・庵野さん「その代わり編集だけは手放さない」

 岩井さん「編集は面白いですよね」

 庵野さん「いちばんおもしろいところですよね」【125】

・映画がもし変わるとしたら、編集だと思う。極論を言えば一人で撮って一人で編集するのが理想。人に切ってもらうよりはとことん納得いくまで自分で切った方が気が楽だから。【126】

・映像って、一方的なメディアだから良いと思うんですよね。全部押し付けられるから。極端に言えばプロパガンダだけど、一方向メディアとしてはいちばん進んでいる部分だと思う。時間も空間もお供支配できるわけだから。漫画や絵画、小説や音楽も何かが足りないし、演劇も客によって場が変化してしまう。だけど映像だけは、とりあえず全部支配できる。あと残るのは触覚と嗅覚だけで。【129】

・ゲームみたいなインタラクティブは僕にはちょっとユルく感じられる。やっぱり一方的に押し付ける方がいい。ゲームみたいに客のことを考えなきゃいけないっていうのは、キビシイですね。お客さんの快楽はたぶんゲームの方が映像よりデカいと思うんですよ。でも映画は「見てる人と自分たちとの真剣勝負」みたいなところがある。そこで客に媚びるのはどうかなと。そういう体質にはなれないんで、ゲームができない。自分がゲーム文化で育ってないって言うのがあるかもしれないけど、性格的にもそこまでお客の反応を考えないですから。【130】

・いま人気のあるテレビのバラエティも放送作家の書いたものがどれももう限界がきてつまらなくなってきてる。先が読めたらもうオシマイになっちゃてる。だからバラエティもセミ・ドキュメントになってますよね。『電波少年』とか『メチャイケ』とか。最初の企画性と、芸人が面白いことをやるのをただ撮ってるだけのものになってれう。この先何が起こるか作ってる人間もお客さんも分からないというそういうハプニング性にしか刺激がなくなってるんだと思う。【131】

・こっちはシャレでやってても、向こうは本気に受け取ることってあるから。エヴァのいわゆる謎と言われている部分とか。でもそういう部分はケース・バイ・ケースで考えて作ってるんですけどね。ただ、こちらの許容範囲を超えて勘違いしてくるお客に関して対処するには、あきらめるしかないかな、と【138】

・岩井さん「庵野さんは言葉をすごく素材として使ってるような気がするんですけど」

 庵野さん「便利なんですよ。言葉の持つイメージって。」(ここで本には「だから殺した」や「みんなの、他の人のためにエヴァに乗るのか?」という25話のテロップを例に出している。(つまりエヴァのテロップ演出の多用は庵野さんが「言葉の持つイメージの便利さ)を意識している使っているということが伺える)【140】

・北野武さんの『HANABI』を見ての印象だが、「この人は言葉を全然信用してないな」と。信用してないから最後の「ありがとう」が出てくると思うんです。【142】

・便利だから、とくにアニメーションやってると言葉以外何も頼れなくなるところがありますね。(エヴァでテロップによる「言葉」が出てくるシーンというのは「それしかもう頼れない」からその演出を使っているのかもしれない。劇場版26話の「無言」とか)【142】

・(岩井さんが小説版スワロウテイルを書いたことについて)映画監督が自分の作品を小説にするのはイカンですよ。だったら、最初から小説だけでやれっていう(笑)ああいうのって、なんか自分の残りものの捌け口みたいな感じがしてダメなんですよ。映画に満足できなかったグチを、小説に置き換えるっていうことですからね。あとで小説出すくらいだたら映画にするな、っていうのが僕の中ではあるんですけどね。(岩井さん「僕のやつは映画化する前に書いてるんですよ(笑)」庵野さん「なら、まだオーケーです」)【144】

↑庵野さんが自分の作った映像作品の小説版を書かないのは恐らくこのスタンスで作品を作っているため。

・日本語の小説は改行のタイミングとかで読むリズムとかが出てくる。そういうのを考えてない小説はちょっと読んでて辛い。パッと開いた時の見た目の美しさを分かってるって言うのが僕は良いと思うんです。少女漫画にはそれがあるんですよ。ああいう繊細な感覚っていうか「いいなぁ」と思いますね。漫画でありながらイラストでもある。【147】

・エヴァに字幕が多いのは、ただ単に東方戦争映画とかの影響。あと岡本喜八監督。【147】

・極太明朝は元々は市川崑さん。アレはかっこいい。【147】

・字を出すと情報量が増えていいんですよ。とくにアニメの場合、なんか絵に力がないときには字幕を入れるとですね、江西真理が入っていい。客の視点を一度そこにくぎ付けにしてくれるし。いちばんシンプルな記号です。【148】

・庵野さん「記号と言えば岩井さん、チャリになんかこだわりがあるんですか?自転車に?」

 岩井さん「そうですね…まあ、好きですよね」

 庵野さん「僕もチャリに乗ってる女の子は、なんかこういいなと思うんです」

 岩井さん「わりと自転車と傘が好きで、しょっちゅう出てきます」

・女の子がチャリに乗ってる絵が好き。昔からそれには惹かれる。とくに田舎道。『ラブ&ポップ』もわざわざチャリのシーンは入れた。しかも3日もかけてる(笑)【149】

・AVの撮影を手伝った時に「俺ってそんなにセックス好きじゃないんだ」ってことに気づいてガーンと来ましたね【162】

・自分でハメ撮りができるか知りたい。【164】

・自分を追い込まないと何もできない。だからとにかくやってみたい。何が自分にまだ残っているのか、今のうちに知っておきたい。AV関係の人たちは今まで自分の周りにいなかったから、僕の中にもちょっとバカにしてたところってあったんですよ。しょせんAVでしょっていう。でもそれは思い上がりだった。僕より遥かにシビアでしっかりしてる人がそこにいて、すごいなぁと思いました。映像として見てる者もまるで違う。感覚や経験で叶わないと思いましたね。【166】

・自分はスケベじゃないんじゃないかと思ってて。性行為そのものに何かピンと来ない。それよりはもっと添い寝系(笑)。横で寝ててくれる方がいい。肌と肌の密着感とか好きなんです。【166】

・(クサい(感動的だがわざとらしく非現実的な)シーンについての話で)アニメは逆。そういうクサイことをやらないようにすると難しくなる。エヴァはそっち系。できるだけ生々しく使用、作り事じゃないようにしようと。キビシイですよ。(これは↑にもあった)【177】

・(岩井さんがナディアで一番感動したのが最終回のマリーと紙飛行機のカットだという話になり)ああ、じゃあ同じです(笑)。僕がナディアで一番グッときたのもあそこですから。あれは思いついた時にイケる、と。編集の時も、繋げて初めてその瞬間を見た時、「これで終わった」という実感を味わいましたからね。【183】

・『Love Letter』は映画技術の粋っていう感じがする。劇場で見損ねちゃってLDで見た。コンテ集は上下とも買った。今更だけどやられたなというのがけっこうあって、悔しかった。【183】

・『サンダ対ガイラ』はいまでもトラウマになってる。大学生になって見ても、やっぱりこれはすごい、って。怪獣映画で言えば、最初のゴジラの次にすごい。『サンダ対ガイラ』の両氏が海の中を見るとガイラの顔がてシーンが怖くて怖くて。(岩井さん「ハハハハハ。あれ、最悪ですよね(笑)」)【188】

・↑のシーンは友達がプールでガイラごっことしてやってた。今でも海を覗いてガイラがいたらどうしようって思う時がけっこうある。あと海の回想シーンで人が泳いでると向こうからガイラが泳いでくるじゃないですか(笑)あのビジュアルも怖いですよ。【188】

・ガメラ1は福岡ドームの福岡決戦までは本当に良い映画。CGでガメラが回転ジェットで飛んでいくときには泣いた。あれがベストショット。あれを見た時には樋口の仕事に感動した。彼があの仕事に己の人生をかけてた感じもあって良かった。あれは男の仕事だった。【190】

・『ガメラ1999』のメイキングを頼まれてて、ただ撮ってもつまらないから、特撮のルポルタージュみたいなのをやろうと思ってる。「なんでまだしがみついているのか」っていうのを赤裸々に書こうと【194】

・↑の件で岩井さんにインタビューさせてもらってもいいですか。(岩井さん「いいですよ」) ←GaZOVOL2のインタビューのことと思われる。【194】

・アイディアが思い浮かぶ時はバラバラ。風呂もあるしトイレもあるしチャリ乗ってる時、電車乗ってる時、本を読んでる時。つまらない映画もアイディアが出てくる。つまんない映画って考えるのに向いてると思う。退屈しのぎに別のこと考えるから。

・(「エヴァは庵野監督の個人的に体験の投影なのか」という質問に対して)なんかなぁ…個人的体験だけdが突出してピックアップされやすいんですよ。「こういうときこういうことがありまして、それをそのまま作品に生かしてるんですよ」ってのがいちばん言いやすいんですよ。それをまた、聞き手の方も欲しがってるし。あと他の事言ってもそこだけ載せるとか。それが記事として面白いと考えてる人が多いから。けど本当にそうだったら自分の自伝書けばすむわけですから。それじゃ面白くないからこういうことしてるわけで。僕の自伝が面白きゃ自伝でやりますよ。【197】

・(「ナディアが肉を食べないのは、庵野秀明自身が肉を食べないことと関係あるか」という質問に対して) 関係ないっす。↑で書いた屠殺の時の鳴き声だって聞いたの1回だけですから。高校の頃天文部にいて朝方まで街から離れたところで星を見てたんで。そういう山の方の空き地…そこ墓場なんですけど広い場所でなんかこう、墓場のど真ん中に寝たりとかして、天体観測やって。朝方になるとうすーく聞こえてきて。トラウマになんかならないですよ。自分では肉を食わない理由はさっぱりわからない。そう、生き物が大っ嫌いなんですよ。魚も嫌いだし、そういうものを食おうとは思わないですよ。犬も嫌いだし。まあいいのは猫ぐらい。猫は人間に寄ってこないから。まあナディアっていうのはキャラクターとして何か立たせなきゃいけないっていうことでああなったんです。NHKから来た条件が「動物と話が出来る」だったからそれに対してキャラクターを立てるための道具の一つなんです。【198】

・(「生まれ変わってもやっぱり映画監督になるか」という質問に対して) この仕事ってたぶん死ぬ頃には飽きてると思うんですよ。だいたい監督を目標にしたことがないんですよ。一度しか。まあもったいないって気分が大きかった。いいホンがあったんですよ。このホンがこのままつぶれるのはもったいないなあって。その方が大きかったんです。(再三語られているトップをねらえ!の話だと思われる)監督になりたいと思ったことはないし監督には向いてないと思っています。【198】

・(この時点では)銀行とか役所のアンケートで職業書くときは「会社員」と描いている。一応ガイナの会社員だから【202】

・僕は映像をやってるから自分の映画の開設は映像でやってりゃいいやと思うだけです。僕がこういうインタビューできちんと全部説明できるような人間だったら、映像づくりなんてめんどくさい作業はしてません。「この映画のテーマは何ですか」という質問は僕にとってはすごい愚問なんです。【204】

・AVに興味を持ったのは『ラブ&ポップ』のドキュメントにカンパニー松尾さんとバクシーシ山下さんが来たのがきっかけ。プロデューサーの山里さんが彼らの作品を観てて、この人たちのドキュメント性が面白いからって。【207】

・(「夢に出てきてうなされた作品は?」という質問に対して) 『悪魔くん』ですね。あとは『怪奇大作戦』。悪魔くんのマネキン人形の回がすごい怖くて。あと怪奇大作戦の人喰い蛾。あれから蛾が嫌いです。あと人形も昔から怖い。夜見れない。ただ、そういうパーソナリティが作品にベタベタな形で出てくるっていうのはありえないっす。エヴァの時はすごくそういう書かれ方をした原稿が多かったですけど。

・エヴァの時も作品世界だけじゃまとめられなくて、僕自身のことを利用して、無理に作品を批評した人が多かったですけど、分からないですよ、ホントのところは。マヌケな行為だなあと思います。登場人物って複合人格だし、だいたい、全く知らない人から理解されるほど僕の人生単純じゃないし。【Epilogue】

【感想】

「なぜ庵野監督は自作の小説版を書かないのか」という長年の疑問の回答があったのが良かった。(もしエヴァの小説を庵野監督が書き下ろしていたらエヴァ本編の理解にもかなり繋がってただろうなと長年思っていたので)あとこの本をきっかけとして初めて岩井俊二監督を意識して作品を数本見たのだが、岩井監督、天才です。

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アニメスタイル第1号 庵野監督ロングインタビュー

(インタビュー日時 1999年12月2日)

・エヴァの前にセーラームーンやVガンダムを見ていたのは「検証のため」(近代史の勉強に例えている)【78】

・セーラームーンの良さは「緩い世界観」。要は「遊び場を提供すればいいんだ」と言うことが分かった。
 個性的な分かりやすいキャラクター配置と遊べる場所が用意されていることでファンがそれを使って遊ぶことができる。それが人気の秘訣だと思った。
 (この時に小黒さんが「マコちゃんに好きな先輩がいたという情報はあるけれど、どんな人とかはわからない」とかですね。と返している(博識すぎる…)【78~79】

・エヴァでは世界観にブラックボックスを作るようにして、「そこは自分たちで考えて遊んでみてくれ」と言う風にしてある。【79】

・セーラームーンは「なんで、この人とこの人はこんなに仲がいいんだろう」という緩さもある。その理由もファンが考えられるようになっているのがセーラームーン。それがヒットの秘訣だったと思う。【79】

・綾波の方向性みたいなのを決定的な形にしたのは薩川さん。5話の脚本の段階で。綾波はどういう暮らしをしているか等の地に足が着く感覚は薩川さんが作った。
 あと貞本さんの包帯姿の画の力も大きい。自分は分からなかったけどやたらと評判が良かった。【79】

・エヴァは効率論で作られている。【80】

・エヴァの2話の戦闘シーンはあそこのシーンがうまくいかなきゃその話全体が成り立たなくなってしまうぐらい大事なシーンだった。超うまい本田さんと吉成さんがあっていて、当時できる
 最大限のシフトでやっているシーン。あそこがコケたら話にならんというシーン。【80】

・エヴァはタツノコと約束して基本的に平均3500枚でやっていた。2000枚で済む話があれば次の話数には1500枚投入してもいいというやり方。(3500枚はTVアニメの平均的な数字)【80】

・総集編を2本入れる。総集編に新作を入れてもいいけど、そのための新作は500枚以下で抑えるという枠組みもあった。【80】

・8話に枚数を使うために4話の枚数はちょっと少なめにしとかなきゃいけないとか。【80】

・6話は打ち合いでのタイムサスペンスにすれば基本的にはほとんど「止め」で済む。アクションをしなくても緊張感を持続できる。6話は作画を外注に出すのが決まっていたから、できるだけ作業面で負担をかけたくないのでそういう話にした。【80】

・コストパフォーマンスでストーリーも、スタッフ配分も行っている。全話そういう風に作っている。【80】

・アニメージュ90年4月号でも言ったがアニメというのは「穴の開いた船」。 沈む前に港に着けるかというそれだけ。そのために排水作業をどうするかという、ダメージコントロールでしかない。最悪の事態を想定してそれに対処するためのシフトを作っておくだけ。それは組織論の基本。そしてそれは軍艦の運用思想(軍艦は敵の弾が当たって沈むというのを前提に作られている)と同じ【81】

・「アニメというのは情報なんだ」というのは山賀さんが王立の頃に言っていたこと。「庵野監督の制作運用的なものは王立の時に山賀さんがやってたのを踏襲してるだけ」とのこと。【81】

・王立はものすごい画の密度の情報量で客を圧倒するっていうのが狙い。【81】

・王立とは違いエヴァは基本的には地続きの感覚を残そうとして作っている。(現在の日本の延長線上の世界だということ)【81】

・現在の延長にすれば記号的に楽なんですよ。電柱を見せれば「見たことある」と思い客は安心する。緊張しない。そういう効果もある。【83】

・SFに出てくる電話はおいてあるものを説明するために「もしもし」と言わなくてはならないが、緑色の公衆電話を見せればみんな「電話だ」と認識する。それは客の認識力に対するコントロールである。【83】

・エヴァは「分かるもの」と「分からないもの」を意識して分けて作っている。 制作側が「これは分からない方がむしろありがたい」というところは分からないように作っている。
 死海文書だとか「そうか、そういうことかリリン」というセリフも「今カヲルが言ったセリフはよくわからない台詞なんですよ」という意図した情報であるということ。
 それに関してシンジが「よくわからないよカヲル君」という客の気持ちを代弁するというところは親切な作りである。「分からないことを言っているんだ」ということが分かりやすいため。【83】

・エヴァはビデオで録ってみる見るということを前提に作ってある。【83】

・だから、OPの情報量を多くした。細かく作った方が良いだろうと思った。そして、歌詞の一文字に対して1枚の画ぐらいの細かい曲合わせをやってみた。見た目の気持ちよさを優先した【83】

・近藤喜文と高畑勲という二大巨頭が組んであれだけの時間と手間をかけて作った『おもひでぽろぽろ』が自分にとって何にもリアリティがなかった。
 「セルアニメで細かいところを動きまで作って表現しようとしてもそりゃ実写には敵わん。そういう方向性は無駄だ」と気づいた【84】

・4話でミサトがシンジに激昂するシーンは「見せないで表現する」方法を取った。最初のフィルムではあそこでミサトの表情を見せていたが、「でもねぇ…なんかなぁ…表情変化もさして無くですね、三枚の口パクで、喋ったところで…」と思い三石さんの芝居に賭けた方が良い、顔を見せない方が「どういう表情をしているんだろう」と客が想像してくれるから表情をBLでつぶした【83】

・あそこは中途半端な潰しだとダメ。あそこまで黒くすることで「あっ、これは顔を見せたくないだ」という意図を分かってくれると思う。「ミサトさんは、いったいどういう顔をしているんだろう。怒ってるけど、悲しいんだろうな」とか想像してくれる。その想像した瞬間はセルアニメの限界を超えてると思う。【84】

・前述のミサトの顔のカットもそうだが、描かないことでその人が想像できる最高のものをそこに当てはめてくれる。想像の余地を残すということは必要なことだと思う。【84】

・音楽がかかると視聴者が安心してしまう。だから4話は音楽をわざとかけなかった【84】

・4話ラストでミサトとシンジが見つめ合うシーンでかかっている曲はバックノイズ。あのシーンはBGMだと保たない。あそこでバックノイズとして歌謡曲が流れると歌詞を聞き取ろうとする心理が働く。歌詞を聞き取ろうとしてしまうことで緊張が生まれるのを狙っている。【84】

・24話で第九がかかるのは「聞きなれたクラシックがあんなに派手にガンガンかかっていると見てる人間はそれに流されていく。それでテンションが上がっていく。第九は人の声だしものすごくテンションが高い。そういう風に感情的な部分やテンションまでコントロールしている【84】

・24話でイヤホンから流れてくる曲も第九なのは「中途半端はやめよう。徹底的にやろう」と思っていたから【84】

・エヴァ全体に関して「徹底的にやろう」と思っていた 【84】

・(22話のアスカと綾波のエレベーターのシーンについて)リアルに考えればもっと長い間になるんだけどアニメだとアレぐらいの間でも長く感じてくれる。実写だったら40秒の間なんてよくあること。間の内に入らない(実際にはあそこの間は50秒) 【84】

・夏エヴァの時は世の中の文字が全部明朝になっていたので「これはやめよう」と思い教科書体に変えた。(THE END OF EVANGELIONのタイトルやポスターの事) 【86】

・エヴァ明朝体の演出は「Mac様さま」とのこと。細かいところまで作れるし文字の変形もスゲェ楽。データをそのままフィルムで出力できるのも良かったといいことづくめだった。【87】

・実写は「アニメと違うもの」「異質なもの」というぐらいの印象しかない(イメージオンリーで作られているアニメの画との対比) 【87】

・他の媒体で言ってるのかは知らんけどガンダム5話(大気圏突入回)の予告をベタ褒め。かっこいいじゃないですかとのこと 【90】

・Vガンダムの予告はナレーションが本質の部分を言っているところが良かったですねとのこと。 【90】

・1stガンダムでアイキャッチが入るタイミングにはかなり影響を受けたと思うとのこと(9話でアムロの台詞の後にアイキャッチが入るところを見て「カ…カッコイイ」とのこと) 【90】

・カットが切り替わる時の気持ち良さにはこだわった。(カットに右に顔→左に顔→疲れてきた頃に真ん中にポンという手法等とのこと)【90】

・アニメはカメラが顔に寄ったらそれだけ情報量が減っちゃうからエヴァの場合は顔のアップをほとんどなくしているはず。(普通のアニメは顔のアップが多いから情報量を足そうとしてディテールが増えたりしがちとのこと)【90】

・エヴァの付け入る隙は「アニメなのによくできている」ところ(当時は現代よりもアニメは下に見られていたため)【91】

・「アニメだから見ない」という一般人のハードルを越えようという意識がエヴァにはあった。「この作品の話をしても恥ずかしいようにはしない」という具体的な目標もあった 【91】

・幾原さん「最終回で綾波レイが妊娠して、腹がデカくなっているというのをやってくださいよ。綾波ファンを裏切ってくれ。ホントだったら妊娠して腹がデカくなって子供産んだりして、
 年を取ったりするんだっていうのを思い知らせてやってくれ」みたいなことを言われて「そこまでせんでも・・・」と思った(笑)(庵野監督自身がそれを見たくなかったとのこと) 【94】

・もともと綾波は巨大化させるつもりだった(苦笑) 【94】

・「グロってあんまり好きじゃないんですよね」(えぇ…)【94】

・弐号機VS量産機戦は原撮の方がセルよりも迫力があってよかった。(一部がAirの予告に使われている)アフレコの時に緒方さんが「うわ~、エグ~イ」と反応していたが、完成したのを見た後に「あそこ、あんまりエグくなくなっちゃいましたよね」と言われて庵野さんもそう思ったとのこと 【94】

・バルディエルをダミーがボコボコにするシーンは「メシ時に見てる人が吐く」のが理想だったがセルだとなかなか嫌悪感は出ないなと感じた。【94】

・庵野さんが実写を撮ったのは「とりあえず川岸を変えてみよう」「ここの居酒屋、メニューの品を全部食べたから新しい店行こう」という感覚だった 【95】

・ワカメ影は古いと思ったのでエヴァでは全部修正した 【96】

・庵野監督の音のこだわりの話あり(DTS版劇場版DVDのブックレットやリニューアルDVD作成時のニュータイプへの寄稿でも同じことを言っている)【96】

・マクロスの時は影をいっぱい入れて金属の質感にこだわってやってたが、王立の頃あたりからセルにそれを求めるのはやめて音に賭けようという考え方に変わった【96】

・アニメーターは役者とカメラマンと画描きの3つの役職を同時に兼ねないといけないからすごく大変な商売(他のインタビューでも時々言っている)【97】

・カレカノの信号機のカットは心象風景を表している。黄色は「不安定」(どっちにしようかなってイメージ)赤は「止まる」青は「レッツゴー」【98】

・アニメファンとかその辺の人のポピュラリティは「メカと美少女」。メカと美少女さえ出てれば、基本はOKですよ。それは30年以上変わっていない(否定的ではなくて肯定的な言い方をしている)【98】

・カレカノもラブ&ポップも「メカと女の子」(電柱とか信号機とかがメカの部分) 【98】【99】

・ラブ&ポップで電柱を撮っている時は楽しかった【98】

・(変なアングルについて)ああいうカットを撮るのは「日常を見せるにしても普段見えない角度から見れば、非日常的なものとして映るから」【99】

・「『もののけ姫』にはフェティシズムがない」という話になったときに小黒さんが急に「ピカチュウってフェチっぽくないですか?」と言い出し、「ピカチュウのいいところはデブなところだよね。抱き心地が良さそうだよね」とか庵野さんが言ってる。
 「あれが細いとなんかもう一つだっただろうね」とも(先見性高い)【99】

・映画で基本的に興味の持続を指せることができるのは「この人は一体何をするんだろう」ということと、次は「どういうことが起こるんだろう」という2点 【99】

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エヴァ・エース 「庵野秀明スペシャル・ナイト」インタビュー

(2003年7月18日 新宿ミラノ座で行われたイベント)

・リニューアルDVD制作にあたってエヴァが完結して6年ぶりにTVシリーズと映画を見たが面白かった。「ああ、これはウケるわ」と思った。これ僕が作ってなくて他の人が作っていたら、僕はハマりますね。

・(劇場版について「ぶっちゃけていうとあれはどういう話なの?」と聞かれて)「最終的には、いいじゃん、他人がいても」ということですね。

・エヴァは「僕と同じ感覚の人にとっては面白く感じると思う」とのこと。

・「一つの作品でもその人の取りようによって全然違うと思う。エヴァが嫌いと言う人も好きと言う人もいる。100%の人に好きだと言われるとちょっと怖い。賛否両論と言うのは一つの作品にとって健康的でいいと僕は思いますよ。」

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井手功二のエヴァンゲリオン フォーエヴァー 気になったとこ

・緒方さんは直前に台本をもらっても最低2回は目を通す。最初は俯瞰的に、2回目はシンジの気持ちで台本を読む。
1回目では「なんでこんなことするの」と思っていたことがシンジの気持ちになって読んでみると「全部きれいにつながる」という感覚があったという。【73~74】

・緒方さんは夏エヴァアフレコ前日に4時間ぐらい台詞について庵野さんと話をした。その時に台詞を2か所変えた。
一つが25話の「どうしようもないんだ」というセリフ。二つ目が26話の「チクショウ」の台詞。【76】

・まごころを、君にのラストシーンはアフレコの時にようやく気持ちがつながった。【77】

・劇場版でリテイクが出たのはラストシーンとアスカとのリビングのシーンだけ。【77】

・26話ラストI need youの前のアイキャッチについて、緒方さんに「一応その前のところで終わりで、最後のところはエピローグ。あれが前シーンからの続きだと考えてくれてもいいし、その前のシーンはなかったって考えてくれてもいい。どうとでもとれるような、でもあれしかないシーンにしたい」と庵野さんから話があった。【78】

・26話のラストシーンは庵野監督から「このシーンだけはシンジではなくて俺にシンクロしてくれ。もうここだけは俺になってくれ」と言われた。その時に求められたのが「初めて自分のことを自分で抱きしめてあげられた瞬間を演じてほしい」ということ。【78】

・アフレコの前は自分の中ではアイキャッチ前が結末だったが、みんな死んでしまえという「うわああああああああ!」の後にラストシーンの嗚咽を録ったので、「死んでしまえの最中にふと触れたぬくもり。そのあとの声にならない許容」という感情がつながったとのこと。(トップでも「うわあああああ!」というセリフは喉の負担を考えて最後に撮ったという話がある。そういう意図でだろうか)【79】

・緒方さんはリテイクの時に何度やってもOKが出なかったので「一度やってみるか」と思い宮村さんを床に引き倒して首を絞めた。(もちろん加減をして) 【79】

・まごころを、君にのラストシーンは庵野監督の知り合いの女性に実際にあったシチュエーション。
・首を絞められ、殺されるかもしれないと思った瞬間、殺そうとしている男性のことをフッと撫でなくなった。それで力を緩められた途端急に冷めて「あんたなんかにころされるなんて死んでもいや」という言葉が口をついたんだそう。
・その話を聞いた瞬間に庵野監督は「これが『エヴァ』のラストだ」って思ったらしいとのこと。(緒方さん曰く「ちなみに庵野さんではないですよ念のため(笑)」【80】

・まごころを、君にのラストシーンは本当に入り込んでしまってよだれとかダラダラ流しながら泣いて、鼻水は出るし瞬きもできなかった。だからあのシーンが終わった瞬間自分に帰れたという感じが強くした。OKが出た途端みやむーも緒方さんも抱き合って喜んだ。庵野監督も今まで見たことのないすがすがしい笑顔をしていた。【81】

・Qもういちどシンジやれって言ったら? A緒方さん「いや、もう、できませんって言います。もう、私の中のシンジは終わっちゃったんで、声忘れちゃいましたって(笑)
それは冗談ですが。でも苦しかったけど本当に楽しかったです。(後に新劇場版でシンジを演じるのだからこのコメントは感慨深い)【85】

・山口さん「リツコの声はある友達をイメージしてやっている」
その話を本人にすると「やめてよ、全然違うじゃない」と怒られるんです(笑)とのこと。【92】

・リツコを打った時のゲンドウの台詞は「言わないで」と言われている。山口さん「EOEのパンフレットのコメントで書いていたら「これは書かないで」とボツになっちゃいました(笑)」とのこと。【93】

・山口さん曰く「あのゲンドウの言葉は「すごい簡単な言葉」 「みなさんが想像しているので当たっていると思います」【93】

・山口さんはTV版25話でリツコがLCLに浮かんで死んでるのを見た時にショックを受けた。台本を投げた。
「う~ん、ちっちゃく終わっちゃった」と思ったとのこと 【95】

・20話ぐらいの時に庵野さんから山口さんに「ごめん。リツコいい場面できなくなっちゃった。あとは死ぬだけ」と言われた。【95】

・リツコの最後の「嘘つき」は「よかった、この人を好きになって。すごい男だわ」という感じの「嘘つき」なんですよ。とのこと。(リツコは最期は若干満足して逝ったということなんだろうか)【96】

・マヤの中の人曰く「マヤの最期の台詞はやっと想いがかなった絶頂の台詞だと指示があった」【106】

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庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン気になった情報まとめ

・庵野監督は綾波に思い入れが全然ない。「自分の深層心理に一番近いじゃないか」と思ってるとのこと。【94・95】

・綾波の存在を完全に忘れてたことがあった。7話は思い出して綾波のシーンを1カット足した。(7話って綾波出なくね?)【95】

・庵野さんは6話の「笑えばいいと思うよ」の展開について、早すぎたので失敗したと思っている。あそこでアレを描いたので「もう綾波描き切っちゃったじゃん」という風になってしまった。 【95】

・綾波は最初から1回殺す予定だった。【98】

・庵野さんはミサトさんにこだわってた。(まぁ漫画版の巻末コメントでシンジとミサトが主人公だと言ってるし)【99】

・逆シャア友の会はエヴァを制作するにあたって巨大な影響とプレッシャーを受けている富野監督とその作品を総括することで自らの立ち位置を確認するために作ったもの。(庵野監督談)【119】

【庵野監督欠席裁判第二部】

・エヴァは最初女主人公で行く予定だったけどナディアの後だったからいいかげん女々しい主人公は嫌いだった貞本さんが庵野さんに「男の主人公にしようよ」と言った。何回かしたら「じゃあ男にしよう」となって、男主人公になった。貞本さんは樋口真嗣さんが間に入って色々話してるうちに何かきっかけがあったのではないかと思ってる。【135】

・主人公が子供で、14歳の理由について話をしていたところ、貞本さんがちょうどNHKの「脳と心」という番組を見ていて、ロボットの中にお母さんの精神が入っていて、そこに息子なり娘が乗ってロボットとシンクロするのはどうかなと思った。「キャプテンハーロックのアルカディア号みたいな」とある。(全然関係ない話だが富野監督はこの「ロボットの中に人の心が入っている」というのが大っ嫌いで、それがエヴァが嫌いな理由の一つだとインタビューで言っている) 【135】

・初期メモの時点でトウジとケンスケと加持さんはもういた。【136】

・最初の企画段階では父と息子が理解し合う瞬間が父の最期の瞬間でナディアみたいに「生きろ」とか言ってた。【140・141】

・最初は 庵野さん「父と子の葛藤を描く」とか言ってたけど後半には「もう俺親父のことなんか描きたくないんだ」とか言い出した。最後は「ゲンドウいらない」ばっかり言ってた。【141】


・エヴァの企画が上がったときに世間では母性的な話が流行ってたので(「セーラームーン」とか「ああっ、女神さま」とか)それを気に入らなかった庵野さんは「『愛と幻想のファシズム』のような父権的な話にしたい。ゆえにゲンドウの存在は…」ということを言っていた。(結局そういう話にはならなかった) 【143】

・貞本さん曰く最初のメモは「トップをそのまま移し替えたようなキャラクター表だった。コーチの位置にゲンドウがいた。【143】

・20話の「私と一つにならない?」はユイがシンジに「どっちにしたいの?」と試しているために見せているもの。 
・貞本さんはサルベージプログラムでミサトさんたちが「こっちにきなさい、現実に返ってきなさい」と呼び掛けてる話で良い話だねと庵野さんに言ったら「お貞はそういう風に取ったんだ」
と言われてガーンとショックを受けたとのこと 【148・149】

・1話の「逃げちゃダメだ」が26話で「逃げ出してもいい」になったのは最終話前に   

庵野さん「けっきょくどうしたらいいんだろ」 貞本さん「逃げたらダメって人が逃げてもいいよって言われたら大抵の人は楽になって気持ちいいよ」と答えたから(貞本さん談) 
・当時流行ってたセラピー物の小説の最後は大抵「逃げてもいいんだよ」で終わってるんだよって話を庵野さんにしたら後日脚本見た時言ったことそのまま脚本に入ってたとのこと。【153】

・最初は「親父を踏みつけて、自分の中の親父を殺して乗り越えていくようなラストにする」とか言ってたとのこと。【154】

・25話・26話の話を大月さんにした時に 

庵野さん「エヴァもうやめる」→大月さんが人生の大事な場面をどう対処したのかという話を新宿の夜に酒飲みながらする(庵野さんの好きな、『大月さんが3歳の時にアル中の父の頭を包丁で刺した話』とか)→庵野さん「やっぱやる」【155】

・庵野さん後半で「もうやめたい」ばっかり言ってて「20話のあえぎ声のシーンに無修正の性器の絵入れて放送打ち切りになるのが夢」とか言ってた。【156】

・貞本さんは1話のシナリオ読んだ時点で「これ乗らねぇだろ」と思ってたから映像が完成した時に音楽の力とかで初見の人は騙されて感激するだろうというタイミングで音楽流れたりして
「あぁアニメーションっていいな」と思った。【157】

・鶴巻さん「シナリオ二稿まであった綾波が初号機に乗って車に乗ったシンジたちを助けに来るシーン。暴走事故のケガではなくてシンジを助けるために負ったケガだということにしたらさらにシンジが乗らなければいけない理由になると思ったから入ってる。とにかくシンジが乗る要素を入れてなんとかしようと思った名残。」【158】

・貞本さん「前述の理由と共に漫画版のシンジは「どうせ親父は乗らないと思ってるんだろうけど、乗ってやるよ」みたいな反抗心がある。【158】

・エヴァ1話の時点でガンダム1話をチャート図にしてて書いてた庵野さん 途中でいきなり「完璧だ!こんなの超えられない!!」とか言ってた(笑)【158】

・1話描いたあとに「1話で主人公乗せちゃった!Vガンダムと同じ失敗をしてしまった!」と言っていたらしい(貞本さん談)(1話で主人公がロボットに乗るというお約束に流されてしまったことについて)【160】

・鶴巻さん「エヴァは反復の話じゃないですか」(もう乗りたくない→乗る の繰り返しの件に触れて)(ちなみに新劇でも庵野さんがこれ言ってる) 【162】

・庵野さんは6話のコンテ描いた時点でもう勝利宣言してた 「綾波の最後の笑いが良ければもうエヴァは成功だ。勝った。」と言っていた(摩砂雪さん)【162・163】

・摩砂雪さんのコンテをみた庵野さん「行くのか?これで本当に?」→摩砂雪さん「このベタベタなのも俺良いと思うんだけど。お前のシナリオ通りにやったらどうやってもこうなるよ。これでやってみよう」
・三石さんは25話の脚本を見て感動して泣いた。それを聞いた庵野さんはガッツポーズした。貞本さんの担当も泣いたという話をしたらさらにガッツポーズ。
庵野「世の中に二人ほど泣いてくれた人がいただけでも勝った」 【163】

・でも終わってからいろいろ世間で言われたらやっぱりダメージ負ってた。【164】

・25話を作ってた時は「俺って天才」とか言ってた庵野さんだが、放映されたら放心状態で部屋から出てきて「なんでこんな変なものを俺は作ったんだ」と言っていた(最終回はそんなことないんだけど25話はすごい気に入っていたらしい)(摩砂雪さん談)【164】

・貞本さんは庵野さんがガイナのビルから飛び降りようとした話を聞いた時に「あんた、あそこから飛び降りても、足が折れるだけだよ」って喉まで出かかった(笑) 【170】

・16話の横線と縦線のシンジが会話をするシーンは庵野さん自分で考えて自画自賛。庵野さんが鶴巻さんに「線だけでキャラが会話するのってどう思う?」と聞きに行った。【174】

・16話のそのシーンが電車なのは『鶴巻さんが電車好きだから』。ホントは王立のラストのイメージシーンみたいなめくるめくような映像のうずのなかで過去のいろんな人たちがシンジに言葉を投げかけてそれが使徒との会話になる様なシーンにしたかったんだけどさすがにできなかった。【174】

・綾波が水槽で浮かんでいるシーンは画面には見えないけど23話のような綾波が周りにたくさんいて、その中に綾波の記憶を入れている。ハードからバックアップを取るような感じ(摩砂雪談) 【176】

・この本の段階で貞本さんは「綾波にはアダムの意識が入ってる」「ユイは死にたがってた」という風に解釈してるので解釈違い。【178】

・宮崎駿さんから電話かかってきて「お前はもう休んでいい。半年仕事しなくていい」と言われた時はうれしくて貞本さんに報告に行った庵野さん。(有名な話)【179】

・スキゾとパラノは鶴巻さんが「死と新生」とか中学生みたいだからそういう名前にしない?と言ったのを拾ったとのこと。【179】

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庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン気になった情報まとめ

庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオンより https://www.amazon.co.jp/%E5%BA%B5%E9%87%8E%E7%A7%80%E6%98%8E-%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%82%BE%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3-ebook/dp/B00NPWMDC8

・エヴァは快感原則に則ってやっている。ありとあらゆる人がみたときに自分の鏡となって返ってくるような作りになっている。【16】


・基本的に僕の作りはアストロ球団。1試合完全燃焼【28】

・18・19話を作っている時にスケジュールが行き詰まるのが見えていた。【37】

・シンジくんは今の僕発言【44】

・サントラの最後の曲「グッド・オア・ドント・ビー」(「OKか生きるな」or「良いか悪いか」or「両方あるのか」
最終回の内容も良いも悪いも取れるようにした。「そういうところに僕の心情をちょっと出してしまった」とある。【45】

・大月さんが「嫌だから子供を殺さないでくれ。」と言ったので殺せなかった。反故にしちゃえばよかったなと今になって思う。【66】

・一番セルを使ったのは19話【67】

・「ネルフは根が気違い集団(笑)」【70】

・自己啓発セミナーには言ったことがない。言われて「あっそういうものか」と思った。【70】

・幻の完全新作劇場版の話が出てる。「100分しかないのですごくシンプルな話になる、性格設定がこれまでと同じとは限らない、テレビの時から気分も変わってるし同じものにはならないでしょう」とのこと。【72】

・エヴァにおいて「親子の確執」は最終話までとっておいた【79】

・永井豪テイストについては無意識にやっているんでしょうね。デビルマンのインパクトが否定できなくなっている。それを否定してしまえば自分の人生が根底からひっくり返ってしまう気がする。【81】

・愛と幻想のファシズムのゼロが好き。父親を殺して母親を犯すというエディプス・コンプレックスの話ですけれど、エヴァをスタートするときに同じだなと思った。
 シンジが父親を殺して母親を寝取る話ですから。とのこと(結局はそういう話にはならなかった)【86】

・エヴァ終わった後精神分析の本を乱読した。精神分析もやったし本も相当読みました。【89・90】

・エントリープラグ挿入はパイルダーオンを今風にやっただけ。【92】

・死海文書を出したのは「隠された部分があるから。全部公表されてるわけじゃないから」
「意図して全部出していないというところがよくって、その隠された部分はなんだろう」というところから取った。【94】

・本来の25話では大規模な戦闘シーンを予定していたが19話の作業前にもう無理だって分かった。【95】

・最後の方でゼーレがモノリスになったのは「人間のイメージから外れていった」から。抽象化してきてもう人の形じゃないなと感じたから。(これは新劇場版でも共通している要素だと思う)【96】

・ゼーレは最初は謎の円盤UFOの宇宙局の委員会(主人公の組織からしたらイヤミな連中)、庵野さんから見たスポンサーのイメージ。王立、トップ、ナディアの時に文句を言ってきた嫌味な連中のイメージ。
 最初は「我々には時間がない」とか言ってたけれど、そういう狭い世間から外れて最後は人から外れたイメージ。【96】

・エヴァの12枚の羽はルシファーのイメージ 結局デビルマンから離れられないけどしょうがない。【97】

・みんながエヴァの最後はデビルマンになるのではと立て続けに言って「デビルマンになるんですよl話はあれしかないんです。」「あとナウシカの7巻」【100】 

・庵野さんがエヴァ放送終了後に自殺を考えた時系列 

①エヴァ終了→鬱になりガイナの屋上で死ぬのか生きるのか試した(死ななかったら生きたいということなんだろう)→痛そうだからやめた

②オイオイ一人で泣いて寝た

③打ち合わせに出席しけど何も頭に入らない

④一人になってみようとアパートに久々に帰ったら恐怖そのものに包まれて自分が何をするか分からない

⑤着替えて外へ飛び出して「タクシー!」

⑥ガイナに行って人に近づいて落ち着けた (96年の5月ぐらいの話)【108】


・監督というものは何もしなくてもいい。とことん手を抜けるポジションだ(2014年に開催された国際映画祭の時にも同じことを言ってた)【112】

・庵野「エヴァの面白いところはエヴァを見た感想というのがその人の本質的な部分になること。ロールシャッハテストみたいな」【117】

【スタッフによる庵野監督欠席裁判】

・1話と比べて2話は局(テレ東)チェックが入りまくった。「エビスビール」「FOSO(トラックのメーカー)」「FILA(トウジの服)」とかは直せと言われたが、打ち合わせの後に
大月さんと飲んだ時に

大月さん「どうすんの?」

庵野さん「直すわけねえだろ」

 
エビスビールは最終的に「ボアビール」になった(空飛ぶ海賊船に出てくるボアジュースが元ネタ)【158~159】

・大月さん曰く25話のAパートは庵野さんと大月さんが一緒に飲んだ時の話が割と使われている。【163】

・綾波レイのイメージは貞本さんが感動した小説「スノウ・グース」に出てきた主人公の少女と当時ハマってた筋肉少女帯の「何処へでもいける切手」の歌詞に出てくる「包帯で真っ白な少女」
+福耳の子供のラストの女の人の声。 

・貞本さんが鶴巻さんに「この声でしゃべるようにしたい」と聞かせた。庵野さんのメモに綾波のイメージは「ボソボソと喋るような暗くて無口な女の子」とあったので
「じゃあこのイメージ使っちゃえ」と【164】

・「特徴が足りないので、髪の毛と目の色はアニメっぽくしてくれ。見た瞬間にキャラクターが分かる色にしてくれ」と庵野さんに言われたので青い髪と赤い目になった【165】

・エヴァのキャラは最初は全員日本人、髪の毛黒、肌の色、全員一緒ということだったのだが、蒼きウルのウルが一人だけ髪の毛が青だったので「髪の毛青にしたいんだけど」と貞本さんが言ったら庵野さんが「赤い目にしない?」と【165】

・ミサトさんがシンジの手を握ったシーンが肉体関係を迫ろうとしたといわれるシーン。あの話を庵野さんにすると「皆、そう見る」とかいって庵野さんはすぐ怒るんですけど。とある(庵野さんはそういう意図で描いたわけではないというニュアンスに見える)【167】

・摩砂雪「エヴァの24話は3週間ぐらいで作った」【173】

・貞本さんが綾波をデザインをした最初の段階、「ゲンドウが部屋に帰ると裸で綾波が待っている」というもの。 

・最初はそのイメージで膨らませてた(つまり最初の設定画の黒髪綾波はもうそのイメージなのか?) 【179】

・綾波がゲンドウの眼鏡を壊そうとするのは「使徒が持っている本来の残虐性」 1番目の綾波にはそれがもろに出てるっぽい(貞本さんは庵野さんから「眼鏡を壊そうとするのは1番目のレイの記憶が残ってて、残虐性があるんだよ」と聞いている。しかし23話のコンテを担当した鶴巻さんはそんなこと知らずにあの回のコンテを描いていたので後で「じゃあそういうふうに言ってくださいよ」と庵野さんに言った。【180】

(甚目さんが担当している21話もそうだが、脚本やコンテを担当している人でさえ庵野さんが考えている設定や演出プランを知らなかったということがエヴァにはよくあるっぽい)

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JUNE読本 残酷な天使のように 庵野監督インタビュー 気になったとこ 

・「風呂の中というのは胎内回帰のイメージもある」(エヴァでよく風呂が出てくることについて取り上げられ)【9】

・アニメで疲れて帰ってやっぱりお風呂に入る?との質問に

「いや,風呂はいいと思いますよ(肯定的な「いい」と思われ)」という庵野監督(あれ,あなた風呂嫌いでしたよね)【9】

・24話の風呂のシーンで桶に描いてあるネルフマークが逆なのは「とにかく疲れてたんで,遊びが欲しかったんですよ」とのこと【9】


・「ネルフの風呂は原子力の2次冷却水だと思う」【9】

・ビデオ版での追加シーンのことについて聞かれて

「24話はシンジとカヲルの話に集約しとけばいいやと思ってああなったけど,ビデオ版ではもうちょっと余裕ができるんだったらカヲルくんとミサトだけは会わせないといかんと思う。どういうシーンになるかは思いつかないけど」とのこと【9】


・「カヲルはもう一人のシンジ。理想のシンジ。シンジが持っているコンプレックスを全部クリアしているキャラクターだから」【11】

・薩川さんが出した「初期脚本の裸で二人で泳ぐ二人」は演出家も「さすがにこれはできん」と拒絶してしまった(笑)【12】


・初期脚本でシンジとカヲルのセッションがあったという話について「カヲルくんと音楽のイメージとの結びつきというのは?」との質問に
「言葉じゃないと思うんですよ。コミュニケーションとして,最初にきた時に」とのこと(Qであったカヲルくんとのシーンとも関連する話)【12】

・「シンジがチェロやってたのは脚本の人(薩川さんかな)のアイディア」【13】


・「シ者で「渚」というのを考えたのは薩川さん。水に関係する名前にしてくれとお願いした。」「カヲルというのも薩川さんで」とのことだが,これは『カヲル』という名前自体が薩川さんなのか,それとも「ヲ」の部分のアイディアが薩川さんなのかどちらともとれる(おそらく前者)【14】


・「もちらん死者の意味もある。掛けことば」【14】
・「カヲルはよくわかんなくなってきちゃった。ただのおかしい奴(笑) 自分が考えてたのはもっと誰からも愛される,すごくいい人にしたかった。だからイメージがちょっと違う。シンジが見たらコンプレックスを持つしかないみたいな感じにしたかった。ちょっと失敗しちゃったかなという気が無きにしも非ず」【15】
・「最初猫を連れていたのはどうして?」と聞かれて庵野「なんか変でいいじゃないですか。ウェットな感じで。転校生でがらがらがらって戸を開けて猫を抱いていたらいい画だと思いますよ。歩かせると作画が大変なんで抱えてる(笑)」とのこと【15】

・「なんで猫をやめたんですか?」との問いに 「面倒くさいから(笑)」

・「猫の方がオリジナルの使徒で,人間の方が傀儡っていうアイディアもあった。よくある話なのでいいやって没った」【15】

・『人間が機嫌によって優しかったり機嫌が悪かったりする。そういうものが一つの人格の中に内包されているということがわかって,初めて他人というものが見える。(これが「口唇期」の「良い母親」,「悪い母親」)

・自分が考えていた最終回2話のネタというのはそれ。それはTVシリーズ最終2話で使い切った。言いたいことは言えた。【16】


・本来は25話で「シンジから見たミサトとアスカ(他人)」をやって、親父などの血縁者は最終回でやる予定だった。アスカは25話で立ち直る予定だったけどダメだった。【17】


・「脚本を映すのは最初から予定としてあった。TVから出ている虚構のイメージとして」

・「庵野さん自身が実写で出ちゃうのは?」と聞かれて「やろうと思ったんですけど局の方からダメだって言われた。マジに半パートやろうって言った」【17】


・「ヴィジュアル部分のクオリティが22話以降維持できないというのが12月の前の段階でもうわかってた。」【17】


・「予定調和だけは避けたかったんで,最後は裏切ろうと思ってた」【18】


・「なぜみんな「逃げちゃダメだ」がテーマというのかがわからない。どちらかというと「逃げてもいい」がテーマ」【19】


・「得るものがある以上,失うものもある。人を傷つけずに自分が前に進むことはできない」【20】

・「逃げちゃダメだというのは,逃げたことによって,すっげえ嫌な目にあったからそう思っただけで。逃げたことによって「あっすっげえ楽になった」と思ったらそれでいいと思うんですよ【20】

・「26話のシンジはエヴァに取りつかれている。エヴァにしがみつくことによって自分の存在意義があると思っている。そこから解放されれば次の段階が待っている。」【21】

・サキエルはあさりよしとおさんの「ワッハマン」に登場するイシュタルが原型【22】

・「少年よ神話になれ」は最初の段階では「凶器になれ」だった【22】

・庵野監督の肉嫌いのエピソード 給食でも食べないから夜8時まで粘って担任があきらめた。
親に殴られたりしても絶対に食べなかったから親があきらめた。肉の味が口の中に広がると吐いちゃう【29】

・庵野「セルの1枚絵ではは「この人が本気で怒っているのか」,「怒っているふりをしているだけなのか」すら表現できない。」

・TVシリーズで儲かった部分はスタッフに全部返した。金に興味がないのだと今回実感した【29】


・「エヴァで人間ドラマができたとは思っていない。人間ドラマはこんなに生易しいものじゃない。」 【30】


・「ATフィールドをこじ開けるシーンは強姦のイメージ(コンテにも書いてたよね)服を引きちぎる音を入れている。
強姦の一番最初は服を脱がすところから始まる」【30】


・「ATフィールド(絶対恐怖領域)なんか怖い感じがしていいかと。絶対に入ってもらいたくないところ。自分の中の一番大事なものを守るもの」【30】


・「使徒にはエヴァじゃないと歯が立たない→ATフィールドが出てくる→「なんで自分の中でこんな設定出てきたんだろ…」→「あっ心の壁みたいなものか」ってなってそういう設定になった 【31】


・「もともと3話だけで3バカが仲良くなる話で作ってたんだけど,そうしてしまったら後がしんどくなるなと思った。結局そこから出ざるを得なくなった。4話を作ったときに人間をギリギリまでマジにやらなくちゃいけない作品に決まってしまった」【31】


・7・8・9話はスタッフが重い話ばかりで疲れてたんで明るい話を入れないとなと思って入れた」【31】


・「26話は3日で作った」【31】


・「24話は3週間で作った。摩砂雪がほぼ一人で作った」【32】


・16話は最初は「いろんな国の言葉とか動物の鳴き声と雑多なノイズが画面の中を流れてて,その中で使徒が日本語にたどり着く。そしてピッと合致した時に絵がパッと広がって,きみの思考言語というか考えてるパターンはこれでいいのかね,と聞いてくるところからスタートだった」


・でもそれで日本語を喋ったら終わりだと思って,カヲルくんが出てくるまでにとっとこうと思ってやめた【32】


・じゃあシンジが取り込まれて何をするんだと考えたら,自分のことをじっくり考えるチャンスなんじゃないかと思ってああした。あれは簡単に書けた【32】


・14話最初のレイのモノローグは最初は詰まった。んで,友人に相談して「キチガイが書いてる文章って何かないかなぁ」と言ったら別冊宝島の精神病の本を貸してくれた。それがよかった。それを読んで一気にイメージが広がって書けた。【32】

・エヴァには自分のすべてをかけてたからTVシリーズ終了後に自分の空虚さ,存在価値が何もないという感覚にガチで死にたくなって,ガイナの屋上で足を出してバランスを前に持ってて
「ここで死にたいならほんとに死ぬはずだし,後ずさるなら死にたくないってことなんだよな」と思ってそういうことをやった【33】


・「分からなかったのでアスカの生理の話をストレートに書けなかった。追加シーンでもうワンシーンだけ足そうと思ってる。(これはビデオ版の風呂場のシーンのことだろう)

・経験がないのに口先だけでやったって女性に対して失礼だという感覚がある。でもアスカという女の子を描くためにそこだけは入れたかった。【35】

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それをなすもの―「新世紀エヴァンゲリオン」コンセプトデザインワークス 気になったとこまとめ

・すべてのエヴァの中で最初に色が決まったのが零号機。

・山下いくと氏は「エヴァはその存在の本質を見せるようにすべて警戒色なわけで、零号機(改)の青白のカラーリングはいただけません」と言っている。【15】

・「B社のやたらでかいプラモ」デザイン改修用に準備した初号機のデザインが載っている。ひどくレスポンスの悪い対応に泣かされたあげく、通告もなしにいつのまにか山下改修案は立ち消えた。なんの滞りもなくプラモが出たところを見るに段取りは既に決まっていて、そこに山下の意見を組んでくれる隙なんて果たしてあったのだろうか?と思っているとのこと。(間違いなくPGエヴァのこと)【18】

・エヴァのデザインについて庵野監督から「シルエットを見ただけでそのロボットと分からなくてはダメ。ましてや、他の何かに似ているようでは、お話にならない」という旨を事前に聞いていた。(よく庵野さんが言っている持論。ガンバスターが一つ目なのはそういう意味では失敗だったかも等とよくインタビューでも言っている)【26】

・OP等で見られる『新世紀エヴァンゲリオン』というタイトルロゴは山下さんデザインっぽい。【32】

・エヴァのアーマーは内側全体から針麻酔のような端子が剣山のようにジャキーンと生えてきて身体に引っ付いている。(少なくとも山下さんの中の設定ではそう)【35】

・2話のコンテで初号機暴走シーンで「中には何故か生物的な歯」という一文があることについて山下さんからガイナ(庵野さん?)に設定の質問をしている

(①演出的な面白さで歯のようなパーツが見えているのか②暴走状態のエヴァがその場で急速に獲得した形態なのかについて【35】

・エヴァの素体にはもともと目はない。2話で目を開いたのは必要だから獲得したものと考えてくださいとのこと。【40】

・テレビでの大量の流血シーンは問題なのでは?と思われたのでエヴァは当初淡く光る青い血を流す巨人だった。(2話脚本決定稿時点でもエヴァの血は緑色)【41】

・弐号機のイメージは『超兄貴』ラストステージ前に「セクシ~ダイナマ~イッ!」という掛け声とともに出てくる競泳用ゴーグルをかけたシンクロナイズな兄貴にひらめきを得ている。【44】

・常にエヴァにはダイバーのようなイメージを持っている。【44】

・ロンギヌスの槍の企画会議の時に決められた設定。
 「人類が生まれるまでに非常に高度なテクノロジーをもつ先史文明が地球上に二相存在し、最初の文明がエヴァを作ってそれが原因で滅び、次の文明がロンギヌスの槍を作ってエヴァを封じ込めに成功、後に何者かがエヴァを復活させたときの対抗策、いわば全自動の安全装置として使徒を眠らせた。」
 (「当事者間でもすでに話が暴走している今となってはどうか走りませんが」とのこと)【45】

・「エントリープラグが高深度にいくと精神汚染を受ける」という設定はデザイン時点である。【46】

・エヴァのコクピットは元々胸にある設定だった。【52】

・庵野監督が述べた胸の条件として「コクピットがあること、胸板を薄くすること」の2つがあったが、そりゃムリだと思ったので背中のど真ん中、脊椎を通すことにして事後承諾を得て、『エントリープラグ』という名称も勝手に決めてしまった。【52】

・山下さんが庵野さんに「零号機から飛び出たエントリープラグは天井ガリガリやって部屋の四隅をガンゴンやって、燃料切れになったところでパラシュートは開くんだけど間に合わないんすよ」と言ったら本当にアニメでそれが使われてて設定冥利に尽きると思った。【52】

・エヴァの『ケージ』 「ハンガーではピンとこないし」との庵野さんに「飼育カゴのケージか、測定する意味あいからゲージにしよう」と山下さんが言ったことに発している。【55】

・初号機と弐号機の使っているナイフのデザインは山下さんではない。「現実のものをスケールアップするのは、おそらく監督の趣味でしょう」とのこと。【61】

・ATフィールドというネーミングはガイナスタッフの手によるものと書かれている。(庵野さんネーミングじゃなかったっけ?)【62】

・「弐号機は空を飛ぶ(というよりは、おっこちていくダイビング)装備があったはずなのですが、途中から設定を要求されなくて没になった。エヴァを飛ばそうというのも大変なことですが、落下中のエヴァでなければ戦えない敵の話を考えるのはもっと大変だったようです。」とのこと。(後にこのアイディアは新劇場版での弐号機S型装備へリサイクルされた)【67】

・ニュータイプ表紙案に「雪を見上げている初号機」の案があった。(結局マゴロクを抜こうとしている超カッコいい初号機が採用された)【69】

おそらくエヴァ+雪を描いた最初のイラスト 
引用:新世紀エヴァンゲリオン」コンセプトデザインワークス それをなすもの 株式会社角川書店 ニュータイプ  

・ニュータイプ100%コレクションの表紙の初号機の画はもともと「マゴロクの画が使われたニュータイプの表紙の第一案」だった。見た瞬間何が描いてあるかわからないデザインは避けることとなり使われなかったが、庵野さんはこのイラストの構図にご執心だったので、いつか世に出す機会もあるかもとクリンナップを済ませて眠らせていたとのこと。【70】

・山下さん案の量産型エヴァが載っている。(採用された量産型エヴァは本田さんデザイン)【85・88】
 
・山下さんは劇場版の記者会見に参加しており、そこで量産型エヴァの話をしていたので、本田さんデザインの量産型を見た時に「このデザインを俺が描いたと誤解されるのはマズい…」と恐怖を感じた。
 
・そのため山下さんは

①劇場版パンフへのコメントを断った。

②スタッフロールでの山下さんの肩書変更を要求

③ニュータイプに山下さんデザインの量産型を載せた。

・山下さんは劇場版の量産型のデザインが気に食わないとかそんなことは全く思っていない。(本田さんデザインじゃないとあの演出や効果は出せなかっただろうと思うため) 【88】

・鶴巻さん:企画書に描かれている通り零号機と弐号機の色は当初から決まっていたが初号機はなかなか決まらなかった。庵野さんや貞本さんと塗り絵みたくして何十枚もカラーリングした。
 
・鶴巻さん:熟考の末、グレー系のミリタリーカラーに落ち着いたある日、山下いくとさんが紫のカラーリングの初号機を送ってきた。

・紫=「紫色のポルシェ911カレラカブリオレにはホモの弁護士が乗っているらしい」や「紫色のトヨタソアラには頭の悪そうなエナメル履いた兄ちゃん」のイメージがあった鶴巻さんはそれを見て「えげつなー」と思った。だが、初号機は狂暴な野獣であるし、警戒色なので紫というのは「これで正解なのだ」と思っている。【112】

・山下さん:最初は主人公のメカをデザインする担当の人は別にいた。山下さんはその周りのメカなり雑多なものをやってくれと言われていたが、アニメだとそういうものは量がものすごく多くなるので一度断った。 
 それからしばらくして山下さんに主人公メカをやってくれという話が来た。【114】
     
・エヴァの初期の設定は「学園モノのロボットアニメ」だった【114】

・最初はエヴァが原子炉を引っ張って歩くという案もあった。【115】

・庵野監督は「基本的に電気で動かしたい」と言っていた。【115】

・きお誠児さん:ジオフロントの私なりのこだわりとしては「森と川」 庵野さんのこだわりは「天井ビル」【131】 

・ミサトさんの車をアルピーヌ・ルノーにしたいと言ったのは貞本さん【138】 

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コンテ集巻末スペシャルインタビュー⑤【鶴巻和哉】(副監督)気になった情報まとめ

【鶴巻和哉】

・当初は3話だけでシンジとトウジたちが仲良くなる話だったが、3話のコクピット内だけで仲良くなるのはおかしいと鶴巻さんから薩川さんに話したら
「僕もそう思ってたんです」と返ってきた。そして4話が作られることになった。【562】

・8話は作品的にバラエティ(幅)を持たせるためにああいう展開にしたところが大きい。
・あるスタッフが言っていた「ただ何も考えずに作品を撮っていくと実写の場合はめちゃくちゃな方向になっていく。アニメの場合はごくごく普通な方向になっていく。意図的にハチャメチャな方向へ進んでいかないとアニメ作品はどんどん平凡なものになってしまう」
・だから8話は樋口さんの力を借りてワザとトーンを変えた作品に仕上げたという部分が大きい。【563】

・外注に出すとスケジュールはどんどん良くなるがその分『こだわり』の部分は少なくなっていく。そのため、作画も含めてキーポイントとなる回は全てガイナのラインで押さえてあるはず。【563】

・鶴巻さん曰く8話はスケジュール的にもクォリティ的にも「テレビらしくする」というところに苦労した。【563】

・綾波は最初は「クールで何事に対しても表情を変えない」という設定しかなかった。

・「同じ姿のクローンが何人もいるとか人類補完計画のキーパーソン」だとかというシーンを最初からスタッフに知らせたら、なんでもないシーンでもそういう設定を活かすために思わせぶりな
表情を取るようになってしまう。演出プランも変わってしまう。
だから、最初は綾波の設定が決まってなかったのは作品的には正解だったと思う。とのこと【564】

・16話のコンテの時には人類補完計画がどういうものなのか具体的に決まっていなかった。【564】

・16話は最終回にかけての伏線の貼り方だとかキャラクターの動かし方を決めておかなければいけない時期だったので、そういった主となる部分が決まってなかったのが重荷になりはじめてた時期だった。【564】

・16話のもう一人のシンジくんは使徒。「23話でもう一人の綾波とかが出るし後半になったらこのシーンのもう一人のシンジの正体が分かると思うんですけど」とのこと。 【564】

・16話の『もう一人のシンジが使徒』だということは決めてあったが、そうは見えないようにしようという意図で描かれている。
・理由は「使徒として出てきたシンジが上から見下ろすような存在だと『自問自答』という構図が成り立たなくなるため。そのため、『シンジと同じレベルの考え方をする者』とした。【565】

・16話の電車のシーンはシナリオ1稿だとあの場面の使徒をもっと無機的な存在、コンピュータみたいな存在で描いていた。肉の塊であるシンジの理路整然としない考え方に対して使徒が延々と喋っているような感じ。(これについてはスキゾで庵野さんが別の側面から語っている) 【565】

・使徒が複雑なコミュニケーションをするために『言葉』を知っている『依り代』が必要になる。それがシンジの自己内面だった。【565】

・20話よりも22話のコンテの方を先にやった。【565】

・20話で『シンジが溶けてしまう』というのは後で考えればすごいアイディアだと思うが、当時はピンと来ないまま違和感のあるまま作業をしていた。【565】

・鶴巻さん的には19話でシンジのドラマを盛り上げて、→20話でアレという落差みたいなのは特に狙っていない。
19話は一本で完成していて、シンジのドラマとして最終回とさえ言える話のため鶴巻さん的にはストーリー全体の中から外れる話だと思っている。【565】

・鶴巻さんは22話をやっている時にアスカがこの回で壊れるとは思っていなかった。(廃人になるとは思っていなかった)
『今まで強気だった人間が実は内面に傷を持っている」という描き方をしたが、廃人になってしまうような強いエピソードの描き方はしていない。ラストでシンジに対して拒絶と言う形でコミュニケーションを取っているのがその証拠である。(22話ビデオ版でアスカの精神崩壊シーンが大幅に追加されたのはそういうところもあるかもしれない)【566】

・22話のアスカのエピソードについてはもっと強烈なインパクトが欲しかった。(おそらく、「アスカが壊れるとしたら」という部分で)
ただ単に母親が自殺するのを見ただけでは弱いかなと思う。もっと残酷な戦慄するようなエピソードが欲しかった。例えば、『母親がアスカの弟を食ってしまう』とか『母親がアスカに心中を迫るけどアスカだけ逃げ出してしまう』とか。(後にビデオ版では後者のような「アスカは母親から心中を迫られて同意したが、その瞬間に母親から娘だと認識されなかったというシーンが追加された)【566】

・23話で綾波が死ぬことにはゴネた。理由は「3人目のレイを2人目とは違う人間としてしっかりと描かないのなら2人目のレイを殺す意味がないため」
・鶴巻さん的には3人目のレイが2人目とは違うという面をしっかりと見せたかった。『同じだけれど違う』という面を。【566】