(2023年11月 漏れてたところを加筆)
なんとブックレットの表紙がこれ(攻めすぎ)。
僕はこれを見て初めて25話のシンジの精液にまみれた手が1話の綾波の血が付いた手の対比だと気づきました(わかんなくね?)
あと1話の手をそのまま使わずに血の部分を茶色にしているのはどういう意図なんだろう。
・アスカのテーマA-2は2話でシンジがSDATで聴いている曲になった(えぇ…) 【5】
・(巻末のインタビューで鷺巣さんもああいう使われ方をしていて驚いたと言っている) 【20】
・A-10(ユイ、母親っぽい曲)は『アルカのテーマ』である(アルカとは企画書に出てくる古代遺跡)【12】 1995年1月7日(最初の音録り)のときにはまだアルカの設定があった?
B-3 DEATH(TRUE)2インターミッションの曲は苦悩をイメージしている。 なお、使われたところは全部テレビで流れてる曲 【12】
・F-0、F-1に没になったアイキャッチ(それぞれ男性と女性で「エヴァンゲリオン」とネイティブに言ってる)が入っている。タイトル台詞Aタイプ、Bタイプも似たようなもの
(男性外国人がネイティブでNEON GENESIS EVANGELION・EVANGELIONと言っている)
『閉塞の拡大』(M-15)は制作側(庵野さん?)からの曲制作要求は「愛のテーマ」【14】
【鷺巣詩郎氏インタビュー】
・庵野さんと最初に会ったのはナディアの時。NHKや東宝の偉い人がたくさん来ていたが庵野さんは全然喋っていなかった。確かその時も庵野さんはサンダルだった(笑) 【18】
・曲の発注の仕方はナディアの時もエヴァの時も同じ。Mナンバーに「派手に」とか「優しく」とか形容詞の羅列をワープロで打ったメニューシートがある。【18】
・最初は共通の言語(例:カレカノの時には 庵野「マイティジャックのあのリフ」→「あ,あのギターの音ですね」で通じる)がなかったので全然かみ合わなくて苦労した。【18】
・音の時代背景(注文のこと?)的には60年代,70年代。80年代,90年代は全く出てこない。求められるのは「クリアな音」ではなく「ツヤ消し感」。60年代,70年代っていうとあんまりシンセじゃなくて,生楽器躍動感が必要で,リズムにニュアンスが必要なもので,ぴったり合った感じではなく多少ドタバタして,演奏にもヘタウマ感が必要。そういうのが庵野さんの場合は常に要求されるのかなと。【18】
・ナディアの時からアンノ・サウンドの要であるピアニストとギタリストは一緒。それは「庵野さんの頭の中に鳴っている音が変わってないって言うことで,結局それを突き詰めていくと同じミュージシャンにあたったりとか,音系にあたったりとかっていう,確立されたものがそれだけ庵野さんにはあるっていうことじゃないかなと思う。【19】
・拾何話を過ぎたあたりからやたらにシンセ(『シンセサイザー』のこと。いろいろな音が作成・編集できる鍵盤楽器)の音のBGMが使われるようになるとは予想していなかった(「エヴァのTVの前半はピアノとかバンドサウンド的なリズムのBGMが中心で,後半になると内面描写とかが増えてシンセのBGMが多様されたが,あの辺りの曲はまたちょっと違った作り方なんですか?」との質問に対して)
シンセの割合は少なかったと思うし,正直シンセの曲は「自分ぽくない曲」だしああいうミニマルなものっていうのはあまり好きではない音だった。【19】
・シンセの曲は使われたのは後半からだけど1回目のオケ録りのすぐ後に録ってる。【19】
・生楽器の曲を何十曲と飽きるほど録った後にシンセの曲を録ったのでシンセの良さが新鮮に自分の耳の中に響いて良い曲になったのだと思う。【19】
・『ボーダーラインケース』という曲はEVA-VOXで歌ものにした時に自分で聞くと自分ぽさが無いように感じた。ああいうアンビエント系のものは普段は絶対にやらないが,「譜面でコントロールしなきゃいけないオケもの」を何十曲と録った後に,たまたま「旋律があまりないけど主な和音の重ねだけを事前に決めておいて,スタジオで即興的にシンセの曲を録る」ものが多かったので,ああいうその時の心情なんかもあってああなったと思う。【19】
・エヴァは最初の打ち合わせの時は「ロボットもの」っていうことを聞いたり,「破滅的」だったり「宗教的」だったり「ドロドロしたもの」,「無国籍」とかそういう風に聞いていたので「もうちょっとシンセ使うのかな」とか思ってたがやっぱりあんまりシンセは使わないってことで始まった。【19】
・本来ならハイブリッドで,ハイパーで音色的に鋭い音でみたいになるところを庵野さんは「ピアノで上から弦で」と言う。そうするとそこにシンセがなくても緊張感が持たせられる和音を作ったり,弦の使い方をしたりっていう自分の書く姿勢自体がせっぱつまった姿勢で緊張感をもっていけるからいいものができる。【19】
・A-1(綾波のテーマ)がエヴァを象徴するようなメロディーとか雰囲気が完成したのはやはりそういうある程度制限がある中で初めて出る緊張感があったから。あれがもしシンセを使ってもいいということになるとあそこまでのものはできない。【19】
・要するに「庵野さんの戦略的な考えというのは結構見事に命中している」訳だと思う。【19】
・エヴァで「自分の曲がどういう使われ方をするかということ」は全く予測できなかった。
ナディアの場合は自分の曲がどういう使われ方をするかということがものすごくイメージしやすかった。カレカノもコミックとしての原作があるのでキャラの立ち具合や動き具合がある程度想像できたのだが。【20】
・なぜかというと最初の庵野さんの話が「どう説明していいか分からない」,「最後にどういう筋になるか自分でもまだ決めてない」って言ってたから(笑)【20】
・コンテも見てたしキャラのデザイン表も見てたけどそれがどう動いてどういう感じでセリフを言ってということが全然予測できなかった。【20】
・なのでキャラ一人一人にテーマ曲を作る時には綾波レイがかろうじて分かったぐらい。シンジとアスカに関してはどういうキャラ立ちなのか全然想像できなかった。【20】
・なので最初にアスカ用に書いた曲を庵野さんがあえて使わないで,楽しいカントリー&ウェスタン風の曲をアスカにあてたりしたのはすごい新鮮だったし,今思うとあれ以外には考えられないっていう気がする。エヴァは最後まで行くとアスカが一番ドロッとしてくるんだけど,それがまたああいう登場が懐かしく思えて,逆行してまた新鮮に感じる。【20】
・劇場版の時もキャラはあまり見えていない(TVの時と違って劇場版の時はある程度キャラが見えてきた感じで作ったのでは?という質問に対して)【20】
・なぜかというとDEATHでシンジ君を中心とした弦楽器への取り組み方みたいなものが象徴的に描かれたり,最後にカノンが荒廃した水辺から聴こえるというのは「ちょっと一本取られたなあ」って感じがしたため。「やっぱり裏をかかれた」という感じ。【20】
・総集編であるDEATHでさえそうなんだから新作のAirとかに至っては全くあんな風な使い方をするなんてということや,キャラの動きも含めて予想だにしなかった。【20】
・今LDとかを観ても思うが音と絵の関係でいえば最初の参話・四話ぐらいしか分からない。後はもういい意味で裏切りの連続。【20】
・E-13(THANATOSのこと)の使われ方の話だが,まずこの曲は最初にバラードがあって,その後に心情的な盛り上がりのある部分が繋がってワンセットになっている曲だが,劇場版の頃になると,映画の時点ではTV版を見ていた人がこの曲のイメージを固定してしまうほどの醸造期間があったし,絵的なものや音的なものが深層心理まで行くほどの使われかたをしていたのにそのイメージを壊すほど予測しない曲の使い方をしている。【20】
・なので劇場版の時は制作過程的にも二転三転したからTV版の時と同じく自分にとって新鮮なことが多かった【20】
・エヴァのサントラ3が1位を取ったのは「銀河鉄道999」の時とは事情が違うと思う。(「TV版のサントラがアルバムチャートで12位→4位→1位となったことについてエヴァ音楽の進化はどう感じたか」ということについて)
なぜかというとゴダイゴのタケカワ氏曰く(鷺巣さんはタケカワ氏のソロアルバムを作った時に長く一緒にいる機会があり色々なことを話したそうだ),「ゴダイゴは自分たちも予想できないくらいの大きなユニットになって一番化け物である真っ只中に999を作った」。だからあれは「アニメであって,ゴダイゴである」訳なのである種1位になるのは必然であった。そういう意味ではエヴァの1位というのはゴダイゴの主題歌が引っ張った999の1位とは違う。【20】
・今回は「庵野秀明とエヴァンゲリオン」というアーティストの1位なんじゃないかなって僕は思う。サントラが売れたというよりもまず現象としてのエヴァンゲリオンというものがあって,高橋洋子さんの主題歌が売れた,TV版のビデオが売れた,ナントカが売れたといういろんな要素が三つ巴,四つ巴,五つ巴になった上で成り立ったCDの1位というイメージの方が大きかった。【20】
エヴァのサントラ3がオリコンで1位を取ったときにはサンフランシスコにいた。【21】
エヴァが大ヒットしたからといって自分も庵野さんも劇場版の作曲の時にそれを意識はしなかった。周りの人は意識していたのでまるで台風の目状態。【21】
エヴァが売れたからといって作曲の時にバブリーになったりはしていない。庵野さん的表現で言うと「弦の編成が増えた」ぐらい。【21】
庵野さんから「エヴァがヒットして他の仕事増えましたか?」と訊かれたがさして増えたるわけでもなかった。中心に近いところで仕事をしていた僕の中では静かだったから、そういう意味では浮足立たなくてよかった。【21】
「エヴァンゲリオン交響楽」は「美しきオマケ」。
夏エヴァの音録りが終わった後のものだったので「いかにオマケと悟られずにいいパッケージを作るか、ファンに対して申し訳なくないようにきちっとしたパッケージにしようという意気込みもあった。あのコンサートは最後の映画の前夜祭的な要素があったから「もう完結した側の人間がこれから始まるものをどう見せるか」という意味では重要なコンサートだった。【21】
「THANATOS -IF I CAN’T BE YOURS-」は発注されて制作した曲ではなく、「Komm, süsser Tod」の制作後、前述の劇場版へ向けて緊張感を保つため自主的に制作したもの。
「こういうものができました」と庵野さんに聴いてもらったことから始まった曲とのこと 【22】
『Everything you’ve ever dreamed』は非常におすすめ。先ほどエヴァの曲でシンセのものは自分でかいたものじゃないみたいだと言ったが、この曲は自分が書いたんじゃないみたいな曲で、すんなりできた曲なんだけど、ものすごく不思議な曲になって、あれが今回日の目を見てよかったなと思う。【22】
Komm, süsser Todを作ったときはあの絵は想像だにしていなかった。あの曲で弦が上下動するのも鷺巣さんの子のみで書いてるが、仕上がりを見ると庵野さんがあの弦の動きに合わせて全部絵を作っちゃったうれしい番狂わせがあった。【22】
エヴァの曲は「全員違う入り口から入っているんだけど、たどり着いたら同じ場所へ来ていた」ところがあって、それがあまりにも多い不思議な仕事だった。【22】
普通サントラというと「場面に合った音を作る」パターンとそれとは逆の音が欲しい時にわざと音を使わないなどの「逆のパターン」があるのだが、エヴァの場合はどちらでもなく、どっちの要素もある、予定外調和の賜物がとても多かった。
エヴァの曲は最初から最後までまんべんなく使われた曲って実はあまりないと思うが、耳に残る曲がないかといえばそうでもない。結局その場その場の使われ方があまりにも鮮烈過ぎてというのが映画を通してもあって、それが予定外的に調和して一本の線になったという感覚がある【22】