https://www.tokuma.jp/book/b503856.html
演劇にハマってた頃の庵野さんの(主に)演劇関係者との対談集。対談者ごとに異なるページデザイン、構成がされておりユニーク。
【鴻上尚史氏との対談】対談日:1997年7月19日(EOE公開初日。ラブ&ポップ準備中)
鴻上氏の『ジュリエット・ゲーム』の「いいセックスしてる?」というのと「恋愛のはじめには理由はないが、終わりには理由がある」っていうのが好きなんですよ。【19】
(「庵野さんはダイアローグが好きなんですか」と聞かれて)好きです。会話劇が好き。【19】
エヴァのデザインは最初に「鬼にしてくれ」と言った。【20】
エヴァを作る時に何か壊してもう一度作り直すのはどうかなーと思ってた。とりあえず壊そうと。【23】
エヴァは本来のテレビの枠を超えちゃってる。1話からそう。その段階から「テレビでございます。この程度でございます」ってところから壊してる。【23】
エヴァの予算はテレビシリーズ並み。期間は多少あった。【23】
ゲームが出て、攻略本さえ手に入れれば間違いなくクリアできる。マニュアルさえあればなんとかなるというのが今の子供にはある。だから創り事っていうのは全て答えが存在する、それはいずれ公表されるものという認識がある。そういうのが当たり前になっているのでエヴァにしてもいずれそういうのが出るのだろうと思っているのだろう。でも僕は出したくないですね。【25】
出したらそれで終わりですからね。つまんなくなります。真実は人の頭の数ほどあると思いますから。僕にとっての真実とお客さんの真実はできるだけズレは少ない方がいいんですけど、お客さんのことをワザワザこっちに捻じ曲げてでも、こっちが真実なんだからこっち観てよというのはどうかなぁと思います。【25】
鴻上「ラストの終わり方に庵野さんのガッツを見た思いがしましたね」 庵野「そうですか。」 鴻上「あのワンエピソードがないと、ある感動的なオデッセイ、叙事詩で終わるじゃないですか」 庵野「ええ」 鴻上「そこで現実、ある種の生々しさがやっぱり残るんだっていうか。真実としてこの生々しさがあるんだというのはあるでしょ」 庵野「そうですね」 鴻上「アレは偉い。社会現象になった作品であの一つを付け足せるガッツってすごいと思います」 庵野「ありがとうございます」(EOEのラストのことらしい)【25】
14話の綾波のモノローグの話がここでも出ている。(頭のおかしい人が書いたポエムの本の話)【26】
鴻上「子供たちは劇場版で自分たちが映っているのを見て驚くでしょうね」 庵野「そうかもしれないですね」
(「声優さんのプライベートな恋愛体験などをかなり深く掘り下げ聞いてそれをキャラクターに投影していたという話を聞いたのですが?」という質問に対して) うーん、何かなぁ。キャラクターを掘り下げるのに当の本人のイメージを持ってくるのが一番ラクなんですよ。アニメって絵ですよね、でも声は生なんですよ。僕はセルアニメの中で唯一生に接する部分は、声だなと思ってるんです。だから声の芝居はこだわってやってたんですよ。【30】
でもこの間ある日突然ぱっと気が付いたのは、芝居の付け方というか要求の仕方って言うのが自分のイメージしているのに一番近いニュアンスっていうかイントネーションに近い言い回しをしてくれるように追い求めてる気がして、それってなんかこう・・・人形みたいな感じがしたんです。何か、役者に対する芝居のリアリティって何なんだろうって。求めてるものが生じゃなく作り物みたいな感じがしちゃったんですよね。【31】
芝居やってみたいんですよ【32】
昔から生の会話が好きなんですよ。芝居いいですよね。僕の一番端っこにある。すごくいいんですよ。一番遠くにあるんですよ。【33】
あとは芝居を作るシステム、あれがうらやましい。アニメは複合人格。何人ものアニメーターさんが一つのキャラを描いて、それを統一してるのは声優さんの声だけ。あとは髪の毛の色とか。記号論なんです。話によって間が違っちゃうんです。そのシステムを何とかしたいっていうのがあるんですよね。声のね、生の部分の芝居つけるのって、長くて4時間なんですよ。4時間しかもらえない。映画の時はその倍の8時間。そんなんで芝居ができるかなんですけど。でも3日、4日あればよくなるのかといえばそういうわけでもない【33】
鴻上「声優さんでこの人は早口だからちょっと時間が短いようにしとこうって考えるんですか」 庵野「僕はそうです。第1話だとわかんないけど、ある程度つきあえばこの人早口だから巻きにしておこうとか僕はやってますけど。」【34】
先日第26話で3シーン、シンジとアスカ2人の芝居のヌキ取りをとるのに7時間以上かけさせてもらいました。初めて満足したアフレコでしたね。【35】
【野田秀樹氏との対談】対談日:1998年2月20日(ラブ&ポップ公開中及びカレカノ準備中)
映画館の空気ってあんまり信用置いてないんです。今の若い人がお金払って映画観に行くってことはもうすぐなくなってきてますよ。【52】
エヴァの映画の時は精神的に辛かった。(ラブ&ポップよりも)【67】
声優の声は「生」だと信じていたのだが、そこにあるのは技術だと気づいた。そこにあるのは記号だと。人の声をした記号。そう思った瞬間にダメなんです。(鴻上氏との対談でも言っていた)【67】
カレカノでは一人でも多く声優さんを使うまいと思ってるんです(笑)【68】
カレカノでは自分で音響をやれることになった。TVシリーズでも無茶と言えるセミプレスコシステムを導入したりしてた。【74】
【幾原邦彦氏との対談】対談日:1998年7月31日(カレカノ準備中)
カットを切り返して、止め絵のリズムで観せるのってもう飽きた。エヴァでやり尽くしたね。【76】
最初『バーチャファイター』を見た時、これにアニメは勝たないといけないのかって、ショックだった。その時に「だったら絵以外のところでレベルを上げていかねばいかんな」って。ちょうどエヴァやる前かな、思ったんだよね。【78】
CGの影嫌い。やっぱりパキっとしてないと。ワカメ影も板野さんとかセンスのいい一部の人が使って許されるもので他の人が使うとワカメにしか見えない。王立の作画をやった時はアレに対するカウンターだった。【80】
コミケでメジャーになるかならないかっていうのはエロティックなものになるかならないかっていうこと。やっぱりいつの時代も性的産業が強い。鶴巻が言ってたんだけど、ひたすら等価値なんだよ。広末涼子も綾波レイも。話すことが出来ないという点で、自分の中での距離が同じなの。【81】
幾ちゃん(幾原さん)は学生時代に演劇を割と見る人だった。自部が演劇に興味を持ったのは彼の勧めもあります。彼の演出したセーラームーンや金魚注意報は面白い。まだウテナは1話しか見てない。すまん。エヴァ始めてからほとんどアニメ見れてない。【87】
【KERA氏との対談】対談日:1999年4月11日(カレカノ放映終了直後及び実写新作企画中)
(「筋肉少女帯の三柴氏はウルトラセブンがキングジョーに負けそうになるのを見て興奮して初めてオナニーをした」という話の後に)ウルトラマンってそういうのありますよね。僕はやられてるシチュエーションが好きでしたね。レイプみたいな。【93】
『ゲバゲバ90分』を子供の時に見てた。インパクトを受けた。『94』
『奥様は魔女』でスゴイと思ったのはテレビから笑いが聞こえてくるところ。あれはうまいですね。やっぱり舞台を意識してるんでしょうね。【95】
『モンティーパイソン』はギャグもいいし、割と好き。でも僕は字幕スーパー版じゃなくてやっぱり日本語吹き替え版。【95】
演劇を見たきっかけは声優さんのお呼ばれ。大学の時に舞台やってる友達はいたが前衛的で全然わけがわからなかった。俺はこういう世界に入っていけないっていう感じで。数年前に声優さんのつきあいで観に行ったらなんかなぁ、面白かったんですよ。【97】
エヴァのアフレコ現場はすごく緊張感があってよかった。他の現場と全然違った。女性陣が他所だとジーパンだとかTシャツなのにエヴァだと着飾って来る。女の闘いですよね。なかなかイイ現場でしたね。【100】
新谷さん(カレカノ・FLCLでおなじみ)に会った時に「なんで芝居やってるんですか?」って聞いたら「滅び行く美学があるから」って言ってて気に入って新谷さん入れようって。【101】
何も言わないっていうのは2種類ですよね。役者を信用してるか、信用してないか。【103】
自分は作品に寄りけり。これは放し飼いだって思ったら放し飼いだし実写だと注文しない。芝居は役者に任せる。その方がいいものになる確率が高いですから。【103】
ギリギリまでよりよいイメージを模索した。だから意見を言ってくれ、このままでは良くないんじゃないかっていう不安が毎回あります。【103】
いわゆる独裁者にはなりたくない。最終的には決定権は僕が握ってるっていうのがいいんですよ。それが監督というか責任者ですから。うまくできたらスタッフやキャストのおかげ。失敗してたらそれは自分の責任なんですよね。【104】
基本的には自分も含めて作品の奴隷なんですね。作品にとっていいものであれば、どんなスタッフの意見でもよければ取り入れる。だから役者の分際でっていうのはないです。新谷さんみたいに噛みついてくれる人は好きですね。【104】
エヴァまでは1試合完全燃焼でやっていた。(今もでは?)でもそれやってるともう続かなくなっちゃいますね。【106】
芝居もAVも日本映画も現場の人と話をするとどこもかしこも限界みたいなことを耳にする。どこも閉塞感というか行き詰ってる雰囲気がある。アニメもそうだし【108】
何かこうトータルにできないかなぁと思う。統一場理論みたいなもの。これらを一つにする方法はないのかなぁと。垣根というかパーティションをとっぱらって、もうちょっと人の出入りとか自由に気楽に激しくなるようにですね。お互いのカテゴリーに関係なく別々のフィールドがぶつかると面白くなるように思えるんですけど。いわゆるコラボレーションというやつですかね。【108】
風呂敷は広げるだけ広げてですね、キレイに畳むだけが方法じゃないと思ったんですね。もっといろいろあっていいんじゃないかと。世のなかはエヴァだけじゃないし。【111】
【松尾スズキ氏との対談】対談日1999年5月18日(式日準備中)
※この対談だけ左から右へページを読むようになっているため後半の方がページ数が若くなっている。
昔専門学校で講師みたいなことをやったことがある。【154】
インタビュー記事が世に出る時にはネタが古かったりその時から思ってる事も変わってたりする。GaZOのVol2もそうだった。1年前のインタビューが載ってて「今はもうそんな思いをもってないよ」っていう感じだった。【151】
エヴァの時はパソコン通信が伸びてる頃で最初のうちは読んでたのだがそのうち読む暇もなくなって。参考意見になるありがたいものもあるんですけど大抵はホントに便所の落書き。だから見るのが億劫になって最近は見なくなった。リアルタイムで感想が聞けて、それを次に反映できるという夢があったんですけど、まあ見事に砕けましたね。【148】
最近疲れてる。【147】
『ガメラ3』をやったスタッフが終わってやっぱりへこたれてるって言ってた。僕自身も最近なんか疲れてるんです。自分でも休まないとちょっと危ないなっていう感じがしますね。自分で蒔いた種なんだけど、きつ過ぎる。【146】
組織を維持するための仕事をするんだったら、その組織はもう解散した方がいいんじゃないかな。【144】
ガイナックスでもう番を張るのに疲れた。【143】
最近疲れてるのに心惹かれてます。なんかみんな疲れてるんだなあっていうのを見るの、何か心が休まる。【142】
この間『人狼』というアニメを見たんですけど疲れ切ってるアニメで良かったんですよね。【141】
客って終局を観たがりますよね。【141】
今ジブリでいろいろやってるから巷では『山田くん』を手伝ってると噂されている。(実際は式日)【140】
『ミス・サイゴン』を観た時にはスゲエ!と思いました。【139】
清川元夢さんのために「舞台をやる」と5年前に約束して、その締め切りが6月いっぱいなんですよ【139】
清川さんは父と同い年。30分ぐらいの舞台を。【139】
オーディションは最初は面白いんだけどだんだん似たような人しか来なくなって途中で飽きちゃう。【138】
ジェームズ・キャメロンはどうやったら元が取れるか、リスクを極力背負わないようにということを確率論でやってるのが小憎たらしい(笑)【137】
松尾氏「鶴巻さんのアニメに僕ホントに出るのかなぁ」 庵野「出ると思いますよ。キャラクターで1人松尾さんをモデルに作ってましたから」【136】
『ターミネーター』は1ぐらいかな。キャメロンって基本的に好きになれないんで。観るたびに何かこうダメなんです。同類な感じがして…。【136】
芸風を変えたい。疲れてる。ちょっと何か広げたいって言う感じ。【132】
プライベートライアンはまだ見てない。(後に観て音響等に衝撃を受けたと言っていた)【128】
子供の頃61式戦車が展示でデパートに来て乗っけてもらってすごいかっこよかった。やっぱり戦車はいいなあと思う。【127】
死の瞬間って至福があるかもしれないですよね。これまでにない快楽と共に死んでいけるんじゃないかと。セックスしながら首絞めるのってなんかこういいらしいじゃないですか。【125】
戦車が好きなのは男性のシンボルと同じで…。戦艦もそうだけどでかい大砲が付いてるところ。そこにこだわりがあるんです。【125】
男が男であることを女に提示できるものって戦争しかないかもね。戦争映画を女の人よりは男の人が好むのは戦争は男の仕事だからでしょう。そうしないと男はどんどんメス化していくから。【124】
自分は女に振り回されたいタイプ。理想はヒモ。【122】
金を使うものは本とDVD、LD、CD。それ以外に使うこともない。欲しい時にすぐ手に入れられるお金があればいいだけです。今一番お金使ってるのはタクシー代ですよ。物欲ないですから。【121】
(「他になりたかったものは?」と聞かれて)バスの運転手。電車の運転手。
(「タクシーの運転手じゃない?」)タクシーじゃない。車は興味ないです。
(でっかいのがいい?」)でっかいやつ。
(パイロットは?)飛行機はそんなに興味ない。船と電車。
船と電車はやっぱり子供の頃側でよく見てたからでしょうね。あとは戦車。【119】
もともと男ってそんなに必要ないんですよね。子種と外で戦うくらいしかすることない。平和と呼ばれる状況だと女性に甘えるだけなんですよね。でもそれが本来の姿なのかも。そのうち子育ても男の担当になりますよ。【117】
(「これだけは嫌だっていう死に方はありますか?」と聞かれて)溺死はいやですね。
(舞台について)そういう客の思い込みっていうのもなんかうっとうしいですね。客は絶対安全な場所にいるみたいな。1回たとえばスプリンクラーをガーッとかけてみたらどうですか。【115】
(インタビューを終えて)この時もなんか鬱状態でしたね。本当に疲れてたと思います。何も映画の企画がまとめられず、何もできない時でしたね。【113】
【いのうえひでのり氏との対談】1999年8月10日(実写新作準備中というより、企画混迷中)
僕のアクション観は大野剣友会くらいです。【160】
犬は基本的に好きじゃない。愛玩用に改造された犬は哀れを通り越してイヤですね。【167】
僕はもともと人間がキライですから。極論すると滅びてもいいって思うし。【167】
映画は人間がパーツになるからいいんですよ。映画を作るっていう目的の元に自分たちがパーツになるわけですよ。【167】
僕自身ドライなのかウェットなのかよく分からないですね。【168】
MTV(アメリカのケーブルテレビ)は見てないです。【168】
(庵野さんの編集はMTV的だといわれて)飽きる前に切るというのが鉄則ですから。タルイのがヤなんですよ。【168】
でもタルクするところは、とにかくゆるくやる。タルイところを際立たせるためには、他を刈り込む。映像のいいところは時間を自由にできることですね。【168】
もっと観たいと思ってもここまでしか観せない。観る人が考える暇もなく次々に観せていけますからね。【169】
人が何かを考え付く前に、次にいってしまえば、なんかよくわかんないけど、面白かったっていうことになる。【169】
【常盤響氏との対談】対談日:1999年8月9日(実写新作準備中というより、企画空転中)
(「エヴァのOPはミュージックビデオみたいでしたよね」と言われて)
TVアニメのOPってここまではできますよっていうクオリティーの保証みたいなものなんですよ。
どこもOPだけはエネルギーを使ってますね。【174】
まずOPが面白くなかったら,チャンネルを変えられちゃう。
エヴァもOPを毎回変えたかったんです。【174】
パッケージになったとき,同じものが入っていると思わずサーチしちゃうでしょ。
(「サーチ」とは早送りの意味らしい)
だからといって,OPが省略されて1本しか入ってないのはヤだし。
なんとかEDだけはバリエーションを用意しました。【174】
カレカノのEDは毎回違うんですが,実写ビデオだからよかったんです。アニメでやってたら大変ですよ。【175】
エヴァでは歌を変えることにして,それが成功した。同じ絵で同じ歌っていうEDの固定概念がイヤだった。【175】
LDって場所を取るからヤなんですよ。小さい方がいい。【175
でもDVDってCDと同じ形で良いのに,なんであんなトールボックスで出すのかなぁ。【175】
僕は本はけっこう表紙で買うことが多いです。常盤さんの装丁した『インディビジュアル・プロジェクション』は最後まで買うのを悩みました。
結局装丁だけで買うのはやめようと思ったんですが(笑)【176】
最後の購買意欲をそそるのって,ジャケットなんですよ。アニメ誌でも何誌もあるけど,中身はあまり変わらない。その時に1冊何か買おうとしたら,表紙なんですよね【176】
パトレイバーのジャケットが実写なのはちょっとアレな気がします。絵をそのまま実写化というのはかっこいいと思えないです。
送り手側がそれをやるのはどうかという問題です。ああいうコトをやるとアニメそのものを否定する気がするんです。アニメだからできる一番いい長所を,否定してる気がして。
それって実写という方法論をまちがえている気がする。【177】
カレカノのterm.2の階段やterm.5の海の写真とかいいですね。(対談相手の常盤さんの仕事)【177】
常盤さんの写真というか,装丁がすごく好きなんですよ。本屋であ,いい,と思った表紙はたいてい,常盤さんでした。
カレカノのビデオ&LDのデザインワークをやっていただけました。【186】
【田口ランディ氏との対談】対談日:2000年11月24日(式日公開直前)
この映画のテーマは何ですかって聞かれることは多いですね。岩井俊二さんに「庵野さんて,愚問に対して厳しいですねえ」と言われた。
「インタビュアーがばからしいこと聞いてくると,ほんとに手厳しく答えるんですね」って。
「映画の見どころは何ですか」っていう質問ってイヤだなぁ。【188】
ルーチンにはルーチンの一番ありきたりなことを言って,期待されてることだけは言うまいって思う(笑)。
だから僕は雑誌方面では,評判悪いそうです。インタビューしづらい人だって。【189】
新聞は基本的に嘘書きますからね。嘘多いですよ。【189】
答えがみつからないと気が済まない。戦後の教育の悪いところですね。
人の考えたことだから必ず答えがあるだろうと・・・。【190】
エヴァで感じたことなんですが,あんなに膨大な人たちが答えを必要としているということが意外でした。
やっぱり,戦後教育のゆがみですかね。原因探したらたぶんその辺になるんじゃないかなぁという憶測でしかないですけど。【190】
僕は受験勉強に落ちこぼれた方なので。勉強らしいことをしたのは中学までですね。【190】
最初はイヤだったんですけど,10年以上いると東京もいいなと思いますね。【191】
(「思春期の時に興味を持った者をいまだに興味を持ち続けている。結局思春期の決算をずっとやり続けているような感じ。庵野さんはどうなんですか?」と聞かれて)
よくそう言われます。俺にはちょっとわからないですね。でも結局14~19歳ごろの興味をひきずっているのかなぁと感じます。
あの頃はアニメですね。漫画とか。【192】
「もうそろそろ自分も卒業かなぁ」と思ってた矢先に『宇宙戦艦ヤマト』を観たんです。当時自分が観たかった全てがそこにある感じがしました。
話が面白かったし,メカもかっこいいし,画も音楽も良かったし,戦記物の雰囲気もあるし,友達に自慢できるTVマンガだったんです。【192】
友達に布教活動してました。ヤマトがいわゆるアニメファンを生んだんだと思います。【192】
ヤマトはガムとかカードとか小遣いをはたいて箱買いしました(笑)情報に飢えてたんです。
ヤマトを知るためには本でもガムでも何でもあるものは買いあさりましたね。お年玉も全て使って。【192】
高2の時8ミリをようやく買って,それで自分でアニメを作った。自分が描いた絵が動くのを観てやたらと感動しました。
その後同じ友人らと特撮のヒーロー物のパロディとかを作ってました。それを文化祭で上映してすごく受けたんですよ。【193】
それからですよね,こういう世界に行くのは。中学・高校の時からそのまんま引きずってる気がします。【193】
『式日』は相互依存の話ですからねぇ。バランス悪いんですけどフィフティ・フィフティの依存じゃないのかな。【197】
人は結局誰かに頼っていないと生きていけないわけですからお互いにギブアンドテイクが基本にありますよね。でも中には100%他人か何かに自分をゆだねようとする人がいて。
そういう人はちょっと厳しいんじゃないのかなぁ。妄想に依存している人が多くて,僕自身それが一時期耐えられなくなって,そういう人たちに対して,思わず攻撃してたんですけど,
考えてみればそういう人はそうじゃなくちゃ生きていけないんだから,あまり攻撃しすぎるのもなぁ,と。
せめて認識しているというか,それに気が付いていて,確信犯としてやってくれと思います。妄想に行かなくては生きていけないのは分かりますけど,「自分はそうなんだ」というのを
せめて認識しててくれと。あの映画の中の女の子もそういう感じなんですけど。【197】
(「自分ができることということをやっぱり考えますか?」と聞かれ)できること?何ができるんだろうってこと,考えますね。
よく思うんですけど,ふと言葉に出るのは人の役に立ちたいという気持ちの延長なんです。なんで役に立ちたいかって考えると,自分に全然自信がない。
どっちかというと,自分という人間が嫌いな方で,せめて自分くらいは自分を好きになってあげないと,自分がかわいそうだと思いながらも,
やっぱり自分はどっちかというと,否定の方に入る。その否定の方に入ってるのを何とかプラスの方に持って行くとする気持ちが,せめて人の役に立ちたいというバランスを取ってるのかなぁ。
こんな自分でもお役に立ててる,ここまで毎日深刻に考えている訳じゃないけど,たぶん根底にそういうものがあるんじゃないかと思います。【198】
式日の芝居に関しては監督としてあまり演出してない。そこまで自分の妄想にしたくない。映画が続けられるっていうのはそこにあるんですよ。
僕が物書きだったらたぶん1年持たないと思います。それは一人で作業するから。一人で作業するのは脚本ぐらいにしておきたいですね。
脚本は映画の設計図なので,最終的に形にするときは1人で作業しています。それからあとは映画は色んな人の色んなモノが入ってくる。
その時のスタッフとか,役者で作るものが全く変わっていく面白さがあるからいいですね。【199】
同じ作品と付き合うのは2年が限度ですかね。それ以上はつきあいたくない。エヴァの時は3年半も付き合っていたんで少しやりすぎたなぁって思います。【200】
実写に挑戦してみたのはアニメーションに自分の限界を観てしまったことと,実写が持っているスピーディな感覚を知ってしまったことです。
アニメの場合はまともなものを作ろうと思うと,どうしても2年くらいかかる。実写は半年で完成できますから。【200】
(「撮影を始めてから終わるまでっていうこと?」と聞かれ)全部ですね。式日では今の形の企画書のペラを書いたのが1月6日で,7月7日に完成初号ですから早いです。
半年で映画が一本できる。【200】
ジブリのアニメのプロデューサーが撮影現場に来たんです。(鈴木P?)1カット撮るのに5~6時間かかるのを見ていて「実写は大変ですね。1カット撮るのに6時間もかかって」と言っていましたが、でもアニメは1カット作るのに2日かかるんですよ(笑)
それでもできて数秒がスタンダードです。しかし実写の場合,6時間で1分も10分もできてしまう。これはすげえです!(笑)自分の余生を考えれば,実写の方が本数作れるなというのもあります。【200】
実写だと監督だけに徹すれば年2本できる。でもなかなかモチベーションが持たなくて,やっぱやれて1年に1本になっちゃうんですけど。【201】
(「アニメはもういいやって感じ?」と聞かれて)アニメはもういいやと思いました。もう冷蔵庫が空になるまでアニメをやってしまっていたんですね。
新しい材料が入らないとアニメではもう料理できない。で,実写映画という隣の冷蔵庫に行ったら,やっぱりよくわからなかったです。【201】
去年はいくつものオリジナル企画を考えては自分でつぶし,考えてはまたつぶしの繰り返しでしたね。いきなり対策をやらなきゃというプレッシャーのようなものもあったと思います。
食べたこともない知らない食材ばかりだったので,料理の仕方もまるで分からなかったんです。その時の自分の器に合う企画というのが『式日』しか見いだせなくて。
切実な思いで作ってるんです。すみません,これしかできませんという。【202】
『式日』は自分の中ではかなりポピュリティを持たせてるんです。いわゆるエンターテインメントとは違うんですけどね。男と彼女をはじめ猫以外に名前が出てこない。
観た人が何とかさんではなく自分のことのようにとれるようにです。あとは台詞やディスプレイ,ビジュアルも含めてキーワード的なものもかなり分かりやすくしましたし。【203】
方法論としては分解と再構成しか知らないんですけどね。【204】
(「女の子が毎朝屋上に行って「今日も私は大丈夫」ってやってますよね。あれって原作にあるんですか?」と聞かれて)あ,ないです。
僕も1回だけやったことがあったんです。4年くらい前ですけど。会社の屋上に上って,その時酒も飲んでて,もうちょっと深酒してたらちょっと危なかったかもしれません。【205】
屋上のへりギリギリに足を出して,飛び降りられるかどうか確認したんです。飛び降りればそれまでだし,飛び降りなきゃまたしばらく大丈夫と酒の勢いもあって,プラプラしたんです。
でも会社の屋上って3階とちょっとしかなくて,下がはっきり見えるんです。のぞくとかなりリアルな映像で痛そうなんですよ。それが思いとどまる最大の理由でしたね。
もっと高けりゃ下に行くまでに気を失いそうだし,これならいけるかもしれないと思う気がするんですけど,
3階という中途半端なところだと1度じゃ死ねない感じもするし怪我は嫌だしなぁとリアルなところを考える。そのときは結局なにもしませんでしたね。【206】
電車での自殺も1回考えたんです。なんか変な言い方だけど「どうなるんだろう?」という興味の方が大きくて。
考えたけどあんまりよさげじゃなかったんで,それもやめてしまいました。電車停めるのもすっごいメーワクだし。【206】
僕らの世代はノストラダムスの世代。なんか面白いことが起こるんじゃないかって思っていたんですね。【207】
阪神・淡路大震災の時もサリン事件の時も最初は虚構っぽかったり「日本でこんなテロが!」と正直興奮したりしてたんですが被害者の方がいるとダメですね。
現実に人が死ぬのはやっぱやり切れん感じがしますね。【208】
(「映画って撮り終わったときにどういう気分になるもんですか?」と聞かれて)回数が重なるとだんだん変わってきますよ。できたときの喜びとか,スタッフの顔色が気になるとか。諸々あります。【208】
(「私は本を書き終わるとなーんにも面白くないんですよ。見たくもないんですよ。本でも書いてる時だけが楽しいんです」と言われて)それはあります。同じです。【208】
終わった映画はまず見直さないですね。エヴァもこないだ原画本を作るのに観直したくらいです。なんか5年ぶりに見直すとですね「あっ結構面白いじゃん」と思いました。(笑)
こりゃみんなが騒ぐのも分かる。よくできてます(笑)【209】
↑これがのちの5.1ch版DVD,新劇場版に繋がっていくのだろうと思われる。
シナリオはある程度の映像イメージのラフがあって書いてます。【209】
セックスをシナリオに使うんだったらSMっておもしろそうだと思うんです。性と暴力は万国共通で,最高のエンターテインメントだなあと確かに思いますけど,
その中でも異世界感を味わえるのはSMだと思います。よく作り手がSMに走るの,分かるような気がします。日常の絵院長で一般の人たちが面白いと思うのは犯罪とSMくらいしかないんじゃないかな。【211】
『式日』のラストは僕としてはギリギリの選択で,あと半歩のところまで行ったけど,なんとか変な世界からは逃げ切るのかなぁと思わせたんですが。
半歩。下がってはいない。半歩進んでるんですね。【211】
『式日』は僕の中でかなり僕らしくないんです。あんまり自分が好きな世界ではないんです。【212】
(「式日のような映画を要望されるでしょ?」と言われ)言われますけど,あれ撮ったからあっちの方面はしばらくいいやと思います。できるだけ違う感じのものを撮り続けていきたいですね。【212】
『式日』は案の映画なら他の終わり方があったと思うという人がいるんです。そこに収まるのは気持ち悪いなぁという気がしてたんです。そういわれて青の終わらせ方で良かったんだと最近確信しました。【212】
↑について,ひとつは,主人公が死んじゃうっていう終わり方。自分らしい終わらせ方は途中で男が逃げ出す。「こりゃ,かなわんんわ」って感じで逃げ出すと思います。
それらは今回「やめよう」って思ってました。ただお客さんの中にはエヴァみたいな壊れたラストを期待する人もいると思います。【212】
映像のいいところは一方向メディアなので客が文句を言っても映画は変わらない。それが映画のいいところですね。小説もそうです。【213】
『式日』のエンディングは違うバージョンがあったんです。キレイに片付いた彼女の部屋の中からカメラがずっとワンカットでそのまま商店街通り抜けていくというもの。ラストは太陽です。【213】
『式日』のエンディングは実は最後に雨が降っているんです。一部の人にそういう毒のある演出は面白いだろうけど,前向きに映画を観てくれてる人には申し訳ないなって思って雨粒がレンズに着く直前,1コマ前で終わってます。【213】
AVの周辺にいる人は面白いです。ああいう人たちにはかないません。すごい人たちです。それだけの力が自分にもほしいです。入っていきたいですね。【215】
結婚したり子供ができたとたんに,創る側にいけなくなってしまった漫画家を知っています。【216】
村上龍さんは極,普通の人だと思うんです。俗物が俗物じゃない人にものすごくあこがれているという視点で作品を書いてる感じがします。
僕は村上さんがそれを認めた『5分後の世界』がすごく好きなんです。【217】
あまりモテない。圧倒的に女性の知り合いが増えたのはエヴァ以降です【218】
(「自己肯定的に自分のことを観ないって子供のころからなんですか?」と聞かれて)子供の頃はもっと浮き沈みが激しかった。「自分ってイケてるんじゃないか」って思ってて。
すぐ出鼻をくじかれて「やっぱ,ダメなんだ」と,これの繰り返しが激しかった。だんだんこの繰り返しの山がスッと平らになっていったんです。【219】
今の人は生き急いでる感じがしますね。自分の親や周囲の大人とか世間の情報から自分がどういうところまで行けるのかとか予想できちゃうんでしょうね。【219】
この間すげえ頭が良くて図書館の本はほとんど読みました。でもゲームはやらない。小説や経済の本を観てる方が面白いって子と会った。
ああいう子供がいればにほんはまだまだ大丈夫だなぁと思いましたよ。【220】
水が好き。形が無いから器によって形が変わるところが好きなんでしょうね。川のせせらぎ音も好きです。去年『となりの山田くん』の試写会に行くつもりだったけど急に富士山に行きたくなって,
御殿場まで行ってその場でうろうろしてたら川を見つけてすごくうれしかったんです。その時に自分は風景の中では川が好きなんだって確信しました。
川にかかってる橋も好きですね。用水路をちょろちょろと流れているちっちゃい川とか「あっ,ここに川がある」って見つけたときにはうれしいですね。
水が流れるっていうのが好きなんです。あと胎内・・・母親の体の中で羊水で満たされ,生命というものを育てたりというイメージが良いのかな。水が好きなんだなぁ。水に満たされてる時が好きです。【220】
自然は嫌いなわけじゃないけどそこまで好きじゃない。【221】
廃墟が好き。廃墟には時間っていう自然が流れていると思うんです。人工物であり,自然との中間にある。自然に戻りつつある人工物が廃墟になる。
90年代の建物は全然興味ないですね。つまんなくて。この間霞が関ビルを見て「やっぱりいい」と改めて思いました。【222】
90年代の建物がつまんなくなったのは一面性だと思う。裏が無いんです。見たらすぐわかっちゃう。その後ろに何もない。
近代の乗り物や平気なんかもつまらない,ツルッとしたデザインが多いですね。何か人のにおいがしないというか,コンピューターで計算された感じがします。
昨日にプライオリティを持って行くのも分かりますが,機能美だけっていうのは,ほんとに一面的なものになると思う。【223】
子どもの時は核ミサイルがいつ飛んできてもおかしくないと,子どもの頃は核がリアリティあったんですね。
いつか核ミサイルが落ちてきて死ぬのかなぁ。でもそれは東京だから,山口は大丈夫なのかなぁ,なんて,戦争っていうのはそんな感じでした。【224】
自分は相手に合わせて喋り方を変えるところがあります。何か,田口さんもそんな感じかなぁと思いました。【227】
【林原めぐみ氏との対談】対談日:2000年12月12日(式日公開直後)
エヴァは贅沢な林原さんの使い方だった。例は台紙がなかったから,代わりに色んな声をやってもらったね。
林原めぐみを呼んでおいて,1話で「はい」しか台詞がないなんてほんと贅沢って言われてた。【232】
『式日』のヒロインのキャスティングは庵野さん。原作を読んだときに本人がやらなきゃ,これはしょうがないよなと思った。主人公の岩井さんは鈴木Pの推薦があった。【237】
『式日』の前は全然違うのをやろう,やろうと思って結局できなかった。いきなりそっちに体かな,心かな,その辺が移行できなくて,半年ぐらいグルグルと空回りしてた。
空回りの先にあの原作があったんです。商売を考えたら難しい企画で,お金は出しづらいし,元も取りづらい。決して万人受けのエンターテインメントではないから。【239】
(「パンフかな。大竹さんのシーンがアドリブがどうのこうのって書いてあったんですけど。脚本がなかったとか。」と言われて)台本あると,台本の通りにしかならないと思って。あれが,何かイヤ(笑)【241】
大竹さんに結局説明しなかった。「台本が上がるんじゃないですかねえ」とか言ってたんだけど,ウソでしたね。スタッフも出演者もものすごい不安になってた。【242】
大竹さんも「自由にやってください」というのは今までやったことありませんと言っていた。終わるまですごい不安だったみたいだけど終わったらすごい気に入ってくれてたからよかったんじゃないかな。楽しそうだったよ。【243】
林原「エヴァですごい覚えているんですけど「赤ん坊が生まれるような声」っていうのと,あとレイちゃんが何回か『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』を歌う時に,1人目のレイは冷静に歌って,2人目のレイはもうちょっと冷たくて,3人目のレイは,猫を無表情でギュッてひねりつぶしちゃったりするような歌い方でって。」
庵野「猫を絞め殺すような歌い方」
林原「そういうよくわからない要求をされながらも,こうかな,こうかな,こうかなって思う作業が嫌いじゃないというところを実感しながら,のこのこ帰ってました。【245】
林原「監督が覚えているか,覚えてないか,すごい印象的なセリフが合って,それは私の中で自分にも刻んだし,ああ大事なことだなと思ったんですけど,ある子が自慰行為をするシーンがあって,
その声を女性がやってたんですよね。その時「私は男じゃないし,わかんないし,どうしたらいいかわかんない」って言って,ワッとなったときに「非現実なところとか,非リアルなところにリアルはあるので,
思ったままでやってください」という風に監督が言ったんです。「リアルじゃないところに,リアルさと説得力があるので」って言ったのかな。おーって思って。
庵野「そんなの言ったっけ?(笑)」
林原「今はそう思ってないんですか?」
庵野「そういう考えはあるんだけど,そんなこと言ったかな」
林原「そうしたら,やる人も納得して,「はい,わかりました」って言ってやってて。だから,すごく,なるほどーって。【246】
当時セルがイヤでイヤでしょうがなかったね。セルの持っている無機質な感じがすごいイヤだった。でもそこがアニメのいいところなんだけど,そればっかりやっていると,なんかどんどん嫌になってきた感じかなあ。【246】
アニメーションはアフレコから先の感覚だけは実写に一番近いね。【247】
字幕だけで,人の声がしないアニメって,俺はやっぱりあまり面白いと思わない。何か足りない気がするの。やっぱりそこに人の声が欲しい。【247】
(「監督という人は頭の中に絵があるんだなあっていう気がしたんです」と言われて)僕はアニメにはあるけど,実写はなるだけイメージ作らないようにしてる。
これはたぶんアニメを長くやりすぎたせいだと思うんだけど,どちらかというと,台詞に行ってるの。モニターは画角とかしか気にしなくて,どっちかっていうと,台詞だな。
今の台詞がよかったかどうかで,結構OKテークは判断する。これは長年そういう仕事をしたからかもしれないけれど,声の感じを取っちゃうね。【249】
僕は自分の声が嫌いです。小学校の時にレコーダーで録って聞いてみたらすっごい変だったんだよ。【250】
自分の首って逆三角形なの。下の方が細いから声が高いのかなあ。(高いか?)もうちょっと自分の声がよけりゃなあ。もっと出るのに(笑)
モブの声とか,足りない時は自分の声で埋めたりしてるケド。最後の手段として。基本的に自分の姿や声がイヤなんだろうね。【250】
出るのは嫌いじゃないけれど好きだというわけじゃない。出るのが好きだったら,もうちょっと積極的に出てるね。【251】
林原「監督って,レールが好きなんですか」 庵野「線路,好きだね」
林原「『ラブ&ポップ』にも出てきたじゃないですか,レールが。」
庵野「そうそう。列車が好きなの。線路とか,電車が。」
庵野「アニメで線路は大変だから,あまり使わないの。だからエヴァの時全部リニアにしたんだよ。上はどう見ても普通の電車なんだけど,とにかく線路だけは描きたくない。
線路描くの大変なんスよ。ゴマカシきかないし,平行線で描かなければいけないし。枕木がまた線が多くて立体で大変なの。」【252】
林原「バスタブも好きですか。式日で出てきたときアスカと重なったんですけど」
庵野「そういえば入ってたね。忘れてた,すっかり。あれ,同じ意味の使い方じゃないかなあ。何だろうなあ。無意識なところでしょうね。」
林原「私は,あの中でうずくまるという,すごく狭いところにいたがるような。それをあれこれ考えるのも違うなあとおぼろに思ってたんです。」
庵野「イメージ的には胎内回帰だもんね。母親の中。子宮代わりにバスタブを使っているんじゃないの。なんで子宮がバスタブなのか,自分でもよくわからない。産湯のイメージ?
へその緒を切ったら湯に入れるから。【253】
とりあえず(『式日』の)次は変えるんじゃないかな。あまり同じのはやりたくない。結果として同じになっちゃうのはしょうがないですけど。【255】
「自分の中にあるもの」はできるだけなくしたいんだけどね。『式日』はそうだよ。できるだけ自分の世界を削ろう,削ろうと。削って,そこにいる人のをはめ込んでいく。【256】
あまり自分で自分を観たくない。それは面白いとは思わない,自分のやっていることとか,考えていることとか。【257】
林原さんはすっごく頭のいい女性ですね。自分に何を求められているのか,瞬時に判断できる方です。勘が良いんですね。
それでいて役の入り方というか,掴み方が的確というか,シビアで良いです。綾波レイを林原さんに決めたのは天佑だったかと思います。
自分の場合林原さんを始めキャストやスタッフに常に恵まれています。アニメや映画の神様には,好かれている感じがしますね。ありがたいです。【259】
【Dr.エクアドル氏との対談】対談日:2001年1月19日(実写新作準備中)
雑誌の記事を観て庵野さんが非常に興味を抱いた劇団がゴキブリコンビナート。表現するうえでぶつかる閉塞感と格闘する様に引かれるらしい。どうしても話してみたいと庵野さんの切望により対談が実現した。【261】
(どこで客が引くのかという話になった際に)とても面白いドキュメント映画で北海道をAV女優と二人で旅をする話(『由美香』平野勝之監督)があるんですが,最後にヒロインが自分の排せつ物を食べるシーンになって観客は一斉に目を背けるんです。
クライマックスなのにここを観ないとはお前ら何事じゃー!?という(笑)うんこをするところと,それを食うところはほとんどの客が観てませんでした。これが境界線かなと。
この映画でテーマになっている部分を観ないというのは映画としてとかじゃなくて生理的にダメなんでしょうね。【263】
うんこといえばハイレグジーザスの芝居でもやってましたね。朝出したものを客席に飾っているんです。上演中に役者たちがそこに手を突っ込んで指の先につけてそのまま客席になだれ込む。
その時の客のパニクリようは尋常じゃないです。全然本気度数が違う。自分の体や服にうんこがつくことがそんなに怖いのかということがよくわかりました。【263】
最近日本も感覚的にオープンになってきていてモラルの感覚がない。だから少々インモラルなことをやったってお客はそんなに喜ばない。逆に受けるためにインモラルなことにインフレが起きている。
アンモラルに行きついてもまだ先に行くしかないんでしょうね。そういういきづまった状態を観るのが好きなんですけど。【264】
瀬戸内は気候が温暖で,水も豊富。だからか人種も穏やかです。【265】
僕が子供の頃はまだ世間は戦後を引きずっていましたね。戦記物はあちこちの本でも漫画でも溢れてたし,『鉄人28号』も旧日本軍が作ったロボットの話だし。
『宇宙戦艦ヤマト』もたった1艦で敵本土に殴り込みをかけて,勝利してしまうという話だし。戦争に負けた口惜しさとかを,願望として出してたんですね。
それでいて,ヒューマニズムも訴えています。僕らが太平洋戦争を2次的に引きずる最後の世代じゃないですかね。【267】
(好きな漫画の話になった時に)『宮本から君へ』は読めなかったです。とにかく辛かったから。
『ワールドイズマイン』は全体的に人が死ぬことを当たり前にしている世界観がいいですね。犯人は普通の男の子でしたけど,その母親が自殺する件は突出して良かったのですごいと思いました。【268】
僕はヤケになった人が好きなんです。エヴァに関しては,「今,敵を探した時に結局自分にしかならない」っていう話です。今時世界征服もないですし。
自分も嫌い,他人も嫌い,でも他人もいないとねっていう,基本的にはシンプルな話なんですよ。【269】
ゴキブリコンビナートの芝居はマイフェイバリットです。初め,雑誌の記事でチラっと読んだだけだったんですが,なんか強烈に引っかかってました。
いきなり,行き詰ってる感じが良かったです。追い詰められ度数が高いというか,もうどうしようもない。という切羽詰まった感じがすごく心に響きました。
途中から近所の居酒屋で話をつづけたんです。そっちも面白かったんですがあまりにドメスティックな話題なので掲載されませんでした。【270】
(ダイアローグに関して)「絵が悪くても,脚本が良ければ救われるという,コストパフォーマンスの高さがある。幅広い観客をつかむためには,絵よりもダイアローグに気を遣う【271】
庵野監督は平野監督の『由美香』にはまるでかなわない。としきりに語っていたとのこと。【280】
【座談会】(SM嬢と漫画家と一緒に。全員お酒を飲んでいる)
(「ミサトと加持みたいな恋愛って実体験なんですか?ああいう経験が1回でもあれば恋愛にどん欲になれると思うんだけど」と聞かれて)
ハズなんだけどね…あぁ,でもセックスって最初から冷めてたなぁ。なるほど,男は夢中になるなって。【288】
愛がほしい。【288】
お金はないよりはあったほうがいいんだろうけど,製作費以外にはあまり興味ないなあ。使うのはスタッフ旅行か。みんなの働きでできた作品だから還元するの。エヴァとカレカノで蔵王に行ったし。【288】
体育はずっと成績2だったのがずっとコンプレックスだった。【289】
他にコンプレックスというとモテない,とか。中学ではまだモテたのかなあ。
高校も大学もモテなかった。エヴァ意向だよね,多少なりとも女性と話す機会が増えたのは。エヴァやってるときは女の人と話すことなかったもんな。
少女漫画を読むくらいしか,女性心理に触れることってなかったしなあ。何年間も。【289】
【あとがき】
どうもこの「文章」というモノが苦手です。つい,肩に力入るというか,妙に構えちゃってサクサクと気楽に書けない。この「あとがき」というのも,苦手です。
なんかこう,後ろ向きというか,ネガティブなイメージという感じがしてイカンです。すぐ言い訳になってしまいます。自分が書くと。【290】
最近も思うに,エヴァのTVシリーズが終わってからずっと,自分は迷走している気がします。何かをなくして,何かを求めてフラついてる感じです。
それは居場所なのか,表現手段なのか,主張みたいなものなのか,恋愛なのか,新たな自分自身なのか,まだ他の何かなのか,分かりません。【293】
最後にこの本の関係者にお礼を言って〆。
↑誤字ってるところはまた後日修正します。